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2/14 (2008)
2月14日

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街はずれの海岸沿いに隠れるように建てられた洋館。
そこには小さくギルモア研究所と言う表札が掲げられている。

朝からキッチンに甘いチョコレートの香りが漂う。
2月14日は、バレンタインデー・女の子が好きな人に想いを告げる日。
1月の終わり頃から、CMにはピンク色の製菓会社の「売り上げにご協力を!」と
宣言しているような、ものが流れ始めた。

日本は祭り文化。祭り好き。
日本に住む00メンバーは簡単にそのように解釈していた。

CMを初めて瞳にしたフランソワーズは、デパートやスーパーで見たその雰囲気に
すっかり感化されたようすで、
「みんなに美味しいチョコレートケーキをごちそうするわ!」と、張り切っているのである。

「みんな」じゃないだろう?
特に日本では。

00メンバーたちの顔にはしっかりそう書かれていたが、
フランソワーズは気づく様子もなく。
14日の朝から、今日のお茶に出すケーキ作りに励んでいた。

3時。
リビングルームには、
博士、イワン(昼の時間)ジェット、アルベルト、ジェロニモ、張大人、
グレート、ピュンマ、そしてフランソワーズ。
お茶とケーキが綺麗に並べられたリビングのテーブル。
イワンには特別にちょっとチョコレート風味のミルクが用意されていた。

今日のこの日に居なければいけないはずのジョーの姿が見えない。
そして、数を数えても、ジョーの分がない。
メンバーの顔に「?」マークが浮かんでいる。
だが、それをわざわざ口に出すメンバーも居なかった。

フランソワーズは、チョコレートケーキを切り分けながら、
1人1人に配っていく。

「博士、いつもありがとうございます、でも徹夜は少し控えて下さいましね?」

「ジェット、もう少しお部屋の片づけしてね? ふふふ。いつもありがとう」

「アルベルト、煙草を少し減らしてくれるって言った約束をまもってくれてるのね?
ありがとう」

「ジェロニモ、この間の苗から可愛らしい芽が出たのよ!ありがとう。春が楽しみだわ」

「張大人、お口に合うか解らないけれど・・・いつも美味しい御飯をありがとう」

「グレート、この間貸してくれた本、本当に素敵だったわ、ありがとう」

「ピュンマ、いつもお世話になりっぱなし、私も少しは貴方を見習わないと
・・・いつもありがとう」

「イワン、いつも助けてくれてありがとう。ふふふ。今日のミルクは
ちょっと甘いかしら?」

全員にケーキと日ごろの感謝の気持ちを添えて。
けれども、メンバーの顔から「?」マークは残ったままである。

「さてと!それじゃあ後はお願いしますわ。博士」

全員がケーキを口にしたのを確かめて、そそくさと部屋へ
戻っていくフランソワーズ。
彼女の部屋の扉が閉まる音を聞いた、メンバーたちが一斉に口を開いた。

「おいおいおい、ケンカでもしたのかよ~!」
「ジョーは一体どこいったアル?」
「そう言えば、朝から見かけないね?・・・まだ寝てるってことはないよね?」
「・・・ありえる。」
「ジョー、出かけた」
「お、ジェロニモ知ってるのか?」
「我が輩も、出かける所をみたぞ」
グレートとジェロニモは2人で頷き合う。

そんなメンバーたちの会話を聴きながら、
博士は美味しそうにチョコレートケーキを頬張り、ずずずと、コーヒーを啜って
「なんじゃ?みんな知らんのか?」
呆れたように言い放った。
「博士は知っているのですか?」
アルベルトがすぐに質問を返す。

「ジョーはコズミ君の所じゃ、ちょっと所用を頼まれての。
なんでも・・・・」

「じゃあ、博士行って参ります」

いつの間に1階に降りてきたのだろうか、

フランソワーズは、リビングの入り口に立っていた。
その姿にメンバー達は息をのむ。

フランソワーズは、ピンク色の薄いシフォンが幾重にも重なった
胸下切り替えのエンパイヤ・スタイルのAラインのワンピースに、
それより少し濃い色のショール。まだ肌寒い時期にも関わらず、
肩がむき出しになっていて、砂浜に打ち上げられた貝のように輝く
白い肌が眩しい。髪は軽くアップされていて、パールで飾られた大きめの
バレッタで留められている。

「おお、おお、綺麗じゃの。楽しんでおいで。
夕食の心配はせんでいいからの、ジョーにもよろしく伝えておいておくれ」

フランソワーズは博士に綺麗だと言われ、少し恥ずかしそうに、頬を染める。
「はい、ありがとうございます」
フランソワーズが笑顔で博士に挨拶をする声と同時に、
タイミングよく外から車のクラクションが鳴る、その音は紛れもなく、
ジョーの車のそれだ。

「ジョーはもう帰って来ておるのか?」
「んふふ、彼はもう30分も車の中で待ってるんです、家に入ればいいのに、
恥ずかしいからって」
「なんじゃ、それは・・・恥ずかしいって何をイマサラ・・・」
「一緒にケーキを食べたかったんですけれど・・・」
「なに、ケーキは逃げやせん、帰ってからゆっくり食べればいい」
「はい。」
再び、クラクションが短く3回鳴る。
「行きなさい、ジョーが待ちくたびれておるよ」

「はい!行って参ります」

フランソワーズはキラキラと瞳を輝かせ、博士の頬にキスをする。
その場に呆けている、メンバーにさっと目線で挨拶をして、玄関へ急いだ。


そして、中断された話しを再び再会させた。
「・・・なんでも、コズミ君が知り合いからもらったというチケットを
どうしても、ジョーは譲って欲しいと願い出たそうでな・・・
それを譲ってもらう代わりに、ジョーはコズミ君の仕事を手伝っておったのよ、
3日くらい前からじゃったかの?」

「「「「「「「チケット?」」」」」」

「うむ。なんでもフランソワーズが観たがっておった
来日中の○○○バレエ団の初演チケットだそうな、今日がその日らしい」


玄関の扉が開き、
ドレスアップしたフランソワーズの姿が現れると、
言い合わせていた時間に遅れたフランソワーズに、少し苛立っていたことなど
あっという間に忘れてしまった。

「ごめんなさい、ジョー」
口では謝っているが、フランソワーズの顔は喜びと興奮で輝いていて
ちっとも、悪いとは思っていないことは明かである。
家の中で彼女の支度が整うのを待てばいいのに、「外で待つ」と
言ったのはジョー自身。
ドレスアップしたフランソワーズと、滅多に着ることのないスーツにネクタイ姿のジョー。
そんな姿を仲間達に見送られるなんて・・・。

「どうしたの?」
「・・・ん? いいや・・・・」
こういう時は、綺麗だね、よく似合うよ。などの言葉をかけてあげるべきなのかもしれない。
けれども、なかなかその言葉は、ジョーの胸からノドを通り、彼の声帯を揺らすことがない。

助手席の車のドアを開け、ジョーも運転席へ。
フランソワーズは、すぐにでもジョーが車を出すと思っていたのに、
彼はエンジンをかけずに、じっと彼女をみつめている。

そして・・・。
彼の手は、彼女の肩に。
お互いの頬が吸い寄せられるように、ゆっくりと近づいて行く。
ジョーの少し緊張した小さな声が、彼女の耳をくすぐる。

「チョコレートよりも、フランソワーズが一番のプレゼント・・・だよ。僕には」

ーーーー
いつもと同じ優しいキスが、今日は少しだけ甘いような気がする。
それはどんなチョコレートよりも甘いもので、僕しか味わうことができない甘さ。

 
時間がないから、今はここまで。
彼女が観たがっていたバレエ公演のチケットと、彼女が行きたがっていたレストランへの予約。
そして・・・このキスの甘さを存分に味わえる場所も確保済み。

僕は半分日本人だけど、半分は違うんだ。
たまには、こんな僕でもいいんじゃないか?
いつも他のメンバーたちに先を越されてるんだ。

大変だったんだよ。このチケットを手に入れるの・・・。
あっという間に売り切れてしまって、コズミ博士の友人がやっとの思いで手に入れたものを
どうにか譲ってもらいたくって・・・。

こんなに頑張ったんだから、今夜が楽しみだよ。



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