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that day...
 海に面した国道は、日本地図の形を指でなぞるかのようにうねうねと左右に曲がりくねっていた。
 体が右へ左へと流されるたびに、片側にかかる重力。
 進行方向右手側は怖いほどに青一色。反対側は、圧迫感のある、緑色保護ネットに覆われた岩肌むき出しの壁。
 露骨にエンジン音が響く座席から、上下にゆれる視線をフロントガラスに集中させたとき、吹きさらされた不自然な人工物が目に飛び込んできた。
 潮風に吹きさらされて、ペンキが剥げたねずみ色の棒はぼこぼこといびつに凹んでいる。不自然に斜めに就きた刺さったそればバス停であるとわかるのは、そこに手作り感溢れる長椅子が置いてあったからかもしれない。
 毎日決まったバス停へバスを停車させ、人を運ぶことを仕事としているはずのプロも、思わず急ブレーキを踏んだ。
 いったい、どこの誰のためのバス停なのだ?と首をかしげたくなる。

 海と崖。
 錆びついたねずみ色の棒が斜めに突き刺さった場所から少し離れて停車した、マイクロバス。
 1日5本しか運行していないバスには、運転手をのぞいて4人の乗客がいた。
「悪かったね」という運転手の声が聞こえた。
 停車ボタンは音もなく押されていた。音が鳴らないようになっているのか、それとも壊れているのかわからない。
 明るい日差しに、美しい稲穂色の髪を輝かせる青年がにこやかに運転手と短い会話を交わしている。
 東洋と西洋がバランスよく混ざり合った端正な顔だと、横顔だからこそ良くわかった。
 青年の傍らには亜麻色の髪の、後ろ姿を観ただけでも明らかに日本人ではない女性がいる。

「ありがとうございました」
「merci」

 日本語を耳にしながらも、ここは、日本だよな?と一瞬、自分がどこに居るのか確認するためにバス内へぐるりと視線を走らせた。
眼に飛び込んでくる情報は90%は日本語だ。他は義務教育に無理矢理に勉強させられた、世界の共通語と言われる英語。
 走り出したバスの中から窓越しに、遠ざかる一組の男女を見送った。
 

・・・メルシ?
 ああ、フランス語だ。



 日本人ではない、と思われる男女は、バス内部から無遠慮に投げかけられる視線に気がついていたようだ。
 視線を不快に思うことなく、手を振ってバスを見送っていた。
 画(え)になる・・・カップルだったな。
 豆粒のように小さくなってしまった2人から視線をはずし、大切にひざ上に抱え込んでいたカメラを握り直した。
 もしかしたらボクは、絶好のシャッターチャンスを逃してしまったかもしれない。

 







 ある風の噂できいたことがある。
 世界が「今」あるべき姿を維持出来ているのは、その裏で悲しい運命をたどった人間たちのおかげだと。


「サイボーグ?まさか!」
「いや・・・これは確実な、この職業についている人間なら誰しも知っている事実さ」
「事実って・・アニメやハリウッド映画じゃあるまいし」
「・・・いいか、この道で飯を食って行きたければ、覚えておくがいいさ・・・世界の‘闇‘ってやつに落ちた人間の末路を」
「そんな、大袈裟な・・・」

 青年は、膝に抱いていたカメラをぐっと握りしめた。
この道で生きて行こうと決めたのは、ほんの数年前。
まだまだ経験の不足のアマチュアである自分でも、カメラの腕をかってくれる人がいた。

「大袈裟でもなんでもない、いいかい、これは我々の暗黙のルールでもある」
「暗黙の・・・ルール・・・」
「そうさ。 戦場・・・いや、世界の裏で、黄色いマフラー、赤い、特殊な戦闘服をきた、9人のチームを見つけたら、」
「黄色のマフラーに、赤い・・戦闘服?」



彼らを見つけたら、絶対に、シャッターを切るな。


関わるな。

彼等、サイボーグ戦士の尊厳と自由を守るために。




「彼等の正体、存在を守ることが、しいては世界を守ることにもなるんだ」




 海に面した国道は、日本地図の形を指でなぞるかのようにうねうねと左右に曲がりくねっていた。
 体が右へ左へと流されるたびに、片側にかかる重力。
 進行方向右手側は怖いほどに青一色。反対側は、圧迫感のある、緑色保護ネットに覆われた岩肌むき出しの壁。
 露骨にエンジン音が響く座席から、上下にゆれる視線をフロントガラスに集中させたとき、吹きさらされた不自然な人工物が目に飛び込んできた。
 潮風に吹きさらされて、ペンキが剥げたねずみ色の棒はぼこぼこといびつに凹んでいる。不自然に斜めに就きた刺さったそればバス停であるとわかるのは、そこに手作り感溢れる長椅子が置いてあったからかもしれない。
 毎日決まったバス停へバスを停車させ、人を運ぶことを仕事としているはずのプロも、思わず急ブレーキを踏んだ。
 いったい、どこの誰のためのバス停なのだ?と首をかしげたくなる。

 海と崖。
 錆びついたねずみ色の棒が斜めに突き刺さった場所から少し離れて停車した、マイクロバス。
 1日5本しか運行していないバスには、運転手をのぞいて4人の乗客がいた。
「悪かったね」という運転手の声が聞こえた。
 停車ボタンは音もなく押されていた。音が鳴らないようになっているのか、それとも壊れているのかわからない。
 明るい日差しに、美しい稲穂色の髪を輝かせる青年がにこやかに運転手と短い会話を交わしている。
 東洋と西洋がバランスよく混ざり合った端正な顔だと、横顔だからこそ良くわかった。
 青年の傍らには亜麻色の髪の、後ろ姿を観ただけでも明らかに日本人ではない女性がいる。

「ありがとうございました」
「merci」

 日本語を耳にしながらも、ここは、日本だよな?と一瞬、自分がどこに居るのか確認するためにバス内へぐるりと視線を走らせた。
眼に飛び込んでくる情報は90%は日本語だ。他は義務教育に無理矢理に勉強させられた、世界の共通語と言われる英語。
 走り出したバスの中から窓越しに、遠ざかる一組の男女を見送った。
 

・・・メルシ?
 ああ、フランス語だ。



 日本人ではない、と思われる男女は、バス内部から無遠慮に投げかけられる視線に気がついていたようだ。
 視線を不快に思うことなく、手を振ってバスを見送っていた。

 画(え)になる・・・カップルだったな。

 豆粒のように小さくなってしまった2人から視線をはずし、大切にひざ上に抱え込んでいたカメラを握り直した。
 

「待ってください!降ります!!降ります!!」

 青年はバスの中、突然叫び、バスを停めた。

「ごめんなさい!すみません!!降ります!おろしてください!!」

 運転手はその声にバスを停めて、首を傾げた。

「お客さん、・・・こんなところで降りて大丈夫ですか?」
「大丈夫です!降ろしてください!」
「このあたりは、さっき降りていった島村さんの家と研究所くらいしかありませんよ?」













 フランソワ―ズの耳が、バスの中の出来事を知る。

「あら、・・・お客様みたいよ」
「誰?」
「さっきのちょっと日焼けして恰好よかった男性」
「・・・恰好よかった?」
「カメラをもってたわ、あのカメラはきっとスナップ用じゃなくて、・・・雰囲気からも思うんだけれど彼、戦場カメラマンじゃないかしら?私達に気付いたのかもしれなくてよ?」
「日焼けして恰好よかった?」
「ね、どうするの?」
「恰好よかったように、みえたんだ?」
「ジョー、彼、私達に気が付いたみたいんだんだけれど」
「ふぅ・・・ん・・さっきの男をみて、恰好いいって思ったんだ、フランソワ―ズ、・・・ああいうのがいいんだ」
「もう!一般論よ、で、どうするの?」
「・・・・・・」

 ジョーは拗ねたように唇を尖らせながら、とめていた足を一歩前に進めた。

「ジョー?」
「フランソワ―ズは、どうしたいんだい?」
「アタシ?」
「お話しとか、したり、御茶したり、・・・したい?」
「彼が、どんな人間かまだわからないのに?」
「・・・恰好いいんだろ?」
「やきもちなんて、焼かないで、真面目な話をしてちょうだい」
「いいよ、家にあげてもさ・・・」
「あら?いいの?」
「そのかわり」
「?」
「後悔させてやる」
「んもう!馬鹿なこと言わないでちょうだいよ!」

 バスから降りて、5分にも満たない立ち話の間に、すみませーん!と大声をあげて二人の元へと駈けてくる青年が一人。

「突然すみません!!! あの!とても!とてもっ素敵なっ素敵だなって、おも、おっ思ってっ!ボクは、そのっ普段、ええっと、御二人のっ写真を1枚っ1枚!とらせっとらせてください!!」










「どうするの?」
「・・・そういえばさあ、僕、きみの写真って持ってないや」














end.














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