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Day by Day・39
(39)




「雨・・・止まないわね?」
<タマニハ コウイウ日モ アルヨ>
「そうだけど・・」


部屋の窓のカーテンを引きながら、外を見るフランソワーズ。
ガラス戸に映った自分の姿を、カーテンで消した。

フランソワーズのベッドの上で両足を伸ばして、ぺたり。と座っているイワンは、2本目の哺乳瓶をふわり、ふわりと宙に浮かせて遊んでいた。


「こら、食べ物で遊んじゃいけません」


フランソワーズは、宙に浮いていた哺乳瓶をそっと手にとって、簡易テーブルの上へと置くと、ベッドの上に上がり、ヘッドボードに枕を立て掛けるようにして、その位置を自分好みに変えてから、背中を預けると、座っていたイワンを抱き上げて、膝の上に乗せて抱いた。


<ふらんそわーず、コレ カワイイ>
「どれ?」


イワンはフランソワーズの枕元にあった、縫いぐるみをふわり、と宙に浮かせた。
それは、柔らかな、ふわふわとした白い短い毛並みの、糸で縫いつけられた目尻が下がった小さい瞳。くたくたとした異様に長く作られたうさぎの耳は、少しとぼけた印象の・・・・フランソワーズの”新しいお友達”。


ジョーがくれた、白いうさぎの縫いぐるみが踊りはじめた。


「やだ、イワン・・・ふふふ、うさぎさんはダンスがお上手ね?」


一通りダンスを終えた白いうさぎの縫いぐるみ、が恭しくお辞儀をすると、フランソワーズはうさぎとイワンに拍手を贈った。


「ありがとう、イワン。うさぎさんも、ありがとう」


フランソワーズは宙に浮く、うさぎの縫いぐるみにキスをして、そして、膝の上のイワンのおでこにキスをした。すると、不意に、頭の後ろが何かに引っ張られるような感覚から、目蓋が温かくなり、じんわりと頭の中で誰かが呼ぶ声が聞こえた気がした。
心地よい日常の疲れが、フランソワーズの躰を包んでいく。


「・・・・イワン?」


重く閉じられた目蓋は、もうフランソワーズの力では持ち上げることができない。


<オヤスミナサイ。ふらんそわーず・・・・次ギニ 眼ヲ覚マシタ時ハ、・・・新シイ 世界ガ 君ヲ迎エテクレル ヨ・・・コノママ 君ハ 眠ルンダ>
「・・・・い、いや・・・よ。・・いやよ・・・・・・ちゃんと・・明日の・・あ、さ・・自分で・・・・めんて・・・な・・・・・・・」


ーーーンス・・・ルームへ・・・行きたいのに・・・・自分で・・・。



<ゴメンネ・・・少シデモ、早ク 終ワラセタインダ・・・じょーニハ マダ 見セタクナイ部分モ アッテネ・・・ソレハ 博士ノ 我ガ侭ナンダヨ>


ーーー博士・・・・?ジョー・・・・・が・・・・・な、に?

<ふらんそわーずは、ふらんそわーずナンダヨ。誰デモナイ。ふらんそわーずハ、人間ダヨ>


ーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・い、や・・・・・・


<・・・・博士、準備出来タ。ふらんそわーずヲ めんてなんするーむへ てれぽーとサセルヨ・・・>



フランソワーズの躰の重さに沈んでいたマットレスが、急にその重さを失った事に追いつけず、ゆっくりと主を捜すように、元の位置へと戻っていった。

イワンは、宙に浮いたままの白いうさぎの縫いぐるみへと、小さなふっくらとした紅葉の手を伸ばす。すると、白いうさぎの縫いぐるみは、手を伸ばして、イワンと握手した。


<ふらんそわーずノ ソバニ イテ アゲテ クレル カイ?>


白いウサギの縫いぐるみは、返事をせずにフランソワーズの部屋から消えた。次ぎに、ルームライトが消えて、フランソワーズの部屋には誰もいなくなった。







####

リビングルームには、叩きつける雨音と、風に翻弄される波音だけが激しく響いていた。
部屋の壁にかけられている時の秒針が、妙に大きくカチッカチッっと、正確なリズム。

鋭く、テレビに釘付けになる14の戦士の瞳が捕らえたのは、人体図、そして埋め込まれているのは、”人工臓器”。008のパソコンのフォルダから開かれた、それは”オンライン・ゲーム”の景品だと言う。


「002、この設計図をどうやって手に入れたか、詳しく聞きたい」
「・・・まず、このオンライン・ゲームは参加者が限られている。管理人からの招待か、もしくは、すでにゲームに参加している人間からの招待状が、なけりゃ、参加できない。招待状があってもよ、すぐには、ゲームができねえんだ・・・ゲームの主人公tsutomuが、交通事故に遭うところから、始まるんだけどよ、病院に運ばれずに、ある”組織”に運ばれて、cyborgになる。その組織に辿りつかなきゃ、意味ねえんだ・・・。組織にたどり着くまでに、いくつかの”質問”いわゆる、”イベント”をクリアしねえと、主人公がcyborgにならねえんだよ、クリアできねえ、と主人公は死んじまうように、なってんだ・・」
「・・・・すごく、難しいゲームだよ、002は”補助脳”のお陰でなんとか主人公をcyborgに出来たんだよね?」
「うっせっ!!008・・・・。途中からはさすがのオレも”専門的”すぎてよ・・・008の、助けを借りてよ・・・んで、やっと、こうやって3枚目の”景品”を手に入れてみたら・・・これで・・よ・・」


008は、プレビューで広げた3つの景品をデスクトップ画面にきっちりと並べて見せた。


「すごいゲームだよ・・・多分、これをプレイできるのは、本当に限られた人間だと思うし、もしかしたら、1人じゃなくて、グループになって、プレイしているのかもしれないんだ・・・」
「そんなにか?」
「・・・・・まず、”普通”の学生や、社会人は無理だね・・・専門職の人間じゃないと・・・」
「例えば、誰アルね?」
「医者、学者、技術者でも・・電子工学に長けた人、生物学、細菌学・・・・犯罪学・・今まで僕と002がやっただけでも、ざっと・・これらの専門知識がいるかな?・・・ま、管理人は”マクスウェルの悪魔”って名乗るくらいだしね・・・・・」
「・・・スコットランドの物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルの、思考実験だね?」
「!!」


009の言葉に008は驚いて彼を見た。


「・・・”マクスウェルの悪魔”は科学用語のひとつ、非可逆現象である、熱の移動を可逆現象に変える能力を示していて、実際には”悪魔”は存在しないから、そういう、能力を持った”悪魔が存在すれば、熱力第二法則を使わずに、熱力学第一法則の中の、永久機関を生み出すことを可能とする、という、逆説的な論説補助手段・・・一応解決されている問題だけど・・・」
「我が輩は、009が何を言っているのか、さっぱり・・宇宙語だぞ・・?」


グレートは人が火星人と聞いてイメージする、タコのような”宇宙人となって、うねうねと動いてみせた。


「009はどこでそんなこと知ったネ?」
「・・・本だよ」

「お前さんの乱読には、コズミ博士も驚くだろうな・・」


呆れているのか、感心しているのか、どっちにも取れる004の呟き。


「その通りだよ、009・・・たまに、SF作品で、超常的エネルギーを表すのに使われてたりするんだ。僕もこの名前を知ったのは、SFノベルスだったんだよ?」
「・・・読んだのは、”熱の理論”だった、よ」
「え・・・・・それって、マクスウェル自身が書いた本じゃ・・・?」
「・・・・そうなの?」
「話し、それてるぞ。」
「っとにかくよ!・・・・・続けるぜ?ゲームは、cyborgにされたことによって、人生が変わっちまった主人公が、自分の躰をなんとかしたくて、改造した”組織”を探すことから始まるんだ。そしたらよ、実は、改造したのは、”組織”じゃなくて、組織を裏切った科学者が、なんとか、その組織を倒したいがために、死にかけた主人公を救うために、改造したってことが解ってよ・・・」
「その、科学者の名前が”トーマス・マクガー”・・・って言うんだ」
「「「「「!」」」」」」
「トーマス・マクガーっておい・・・008」
「・・・・・コズミ博士が”交流会”から得たものも、だな?」
「トーマス・マクガーだ。」
「ほら、ここ・・・」


008は、3枚のプレビューで開いた画像を、別のソフトで開いて拡大してみせた。


「T.マクガーってサインがあるのがわかるかな?地下のコンピューターでより詳しく調べてみないと、ハッキリしないと思うけど・・・」
「1枚目のは、確実に直筆のサインみたいネ?」
「どうだ、009?」
「・・・・・筆跡鑑定が必要だろうけど、同じサインだと思う、よ・・・あの資料にあったものと・・」


009は、座っていたソファに背中をぼすん、っと倒れるかのように、もたれた。それを機に、それぞれが少しばかり緊張を解いてテレビ画面から離れた。


「・・・・どうする?」
「・・・・・・少し、考えさせてくれ・・」


天井を見上げるように顔を上向きにし、009は瞳を閉じると、ふううっと肩から息を吐いた。


「誰がどこまで進んでいるのか、わかるのか。」
「うん。今のトップは”ラムダ”って人、この名前はHNだね・・・5枚目を入手したみたいだ」
「そういうのは、どこでわかるんだあ?」
「このゲームには、情報交換の場所として、主人公tsutomuの友人、emiのパソコンがチャットルームになっているんだ、前まではBBSだったんだけどね」
「でよ、このemiってのが、また素直で、健気でよおおっ!!」
「そんな事は、どうでもいいアルね!」
「参加しているのは、何人くらいなんだ?」
「んっと・・・主人公をcyborgにしたのは、・・・16人かな?”景品”を得ているのは、その中でも僕たちを含めて4人だよ」
「少ない。」
「ったりめえだよっ!こんな難しいゲームの上にっ参加条件がめっっちゃ狭いんだぜ?」
「でもさ、このゲームすごく有名なんだよ・・・特に、この管理人はそういう”ゲーム作り”ではネット上では知らない人はモグリだって言うくらい・・」
「我が輩は知らんぞ?」
「ワタシもね!」
「・・・・だから、ネット上でだよ!」


「・・・・・002と008は、引き続きゲームを続けてくれ」


009が静かに、口を開いた。
真っ直ぐに天井を見つめながら言葉を続ける。


「できたら、004も参加して欲しい。そのチャットルームから、できるだけ管理人に関する情報を引き出してくれ。002と008。そして004と008で2方向からゲームを進めて欲しい。002、004がゲームに参加できるように、彼を招待してくれ。次の昼の時間がきたら、001にも参加してもらう。」

「了解!」
「早速、招待してやるぜ!」
「・・・わかった」

「あと、ゲーム内の”トーマス・マクガー”についてより詳しく知りたい。そして、その”景品”についてもだ・・・。誰が何枚手に入れたか、あと、手に入れた人物のプロバイダーを検索して、ゲーム参加者全員の身元を割り出したい。008、これらの件に関しては君に任せたい」

「うん、了解したよ」

「この設計図がどれだけのものか、博士と話し合った結果によっては、すべて回収、消去する。007、コズミ博士に会いに行って、もう一度リンツ氏について、そして彼の身元を洗い直して欲しい。できれば”交流会”の彼以外の創立メンバーを割り出してくれないか?」

「うむ、引き受けたぞ」

「005と006は、闇市(ブラック・マーケット)の方を頼む。どの方向からでもいい、どんな小さな情報でもいいから、かき集めてくれ・・・」

「了解。」
「まかせるアル!」

「僕は、003のメンテナンス後、この設計図をギルモア博士にお願いする・・・本物であるかどうか、素人の見解では、ね。そのまま、トーマス・マクガーについて、調べていく・・・報告は3日後に」

「了解した。」
「了解!」
「オッケーだぜ」
「3日後あるネ」
「早速、明日コズミ博士に連絡を入れるぞ?」
「・・・・003はどうする?」


009は姿勢を正して、004を見た。


「003は、メンテナンス後、イワンの助けを借りて通常生活に早めに戻るけれど・・・かなり無理させることになるかもしれない。リンツ氏が来ることで、余計に色々と気苦労させてしまうかもしれないから、これはギルモア博士とも話しあったんだけれども、ミッションとして、彼女にはリンツ氏がここを離れるまでは、実際の仕事はさせない」
「メンテナンスは明日のいつからだ?」
「・・・・もう始まっている」
「ええ?!」
「訊いてないぜっ!」
「なんでアルか!」
「・・・・フランソワーズはそれを知っているのか?」
「・・・そのために、イワンが一緒に部屋へ行ったんだ。スケジュールが急に変わって、かなり動揺していたからね・・・・俺は明日の朝に、助手として参加する」
「「「「「「?!」」」」」」
「・・・・・これからは、ここにいる全員のメンテナンスに、俺が助手としてつくことになる。始めに003。その後に、多分、004だ。急なことで、003には話していない・・・彼女を動揺させたくないから、今回、俺が助手として参加することは、彼女には黙っていて欲しい。それは、ギルモア博士からの頼みでもある、から・・・」
「・・・・いつから、だ?」
「本格的に、ギルモア博士の助手として勉強を始めたのは、ここに移り住んでからだ。・・・その前から少しずつだけど、色々教わっていた」
「本気で・・・かい?」
「・・・今後のことを考えて、ね」
「それは、その・・・・何かい・・・009、ええっと」


禿げた頭を掻きながら言いにくそうに007は言葉を繋げようとするのを、005が引き受けた。


「それは009としての責任か?命令されてか?それとも、それがジョーの意志か。」
「・・・・訊かれると、思ったよ」


ジョーはふっと目元を緩めて微笑んだ。


「俺の意志だよ・・・・色々考えたんだ。この、日本に邸を持つことを決めてから、俺はギルモア博士とイワンのそばにいると決めた。・・・それは、自国に邸を構えることになったら、みんな、同じ考えだったと思う。違うかい?・・・このまま、ぼうっと過ごすくらいなら、出来ることを、したい。・・・・・なら、自分のこの躰を知ることから始めたくてね・・・」
「・・・いつかは、いつかは、誰かがとは思っていたがな」
「ジョー、それを君1人が背負うものでは、ないと思う・・僕だって」
「・・・・・良い機会だから、訊いておきたい」


ジョーは、リラックスした状態で、仲間に話しかけた。


「・・・ここは、みんなの”家”で、俺も博士も、イワンも・・・ここに居る。それは何も変わらないよ・・・だから、自分たちのしたいこと、やりたいことがあるなら、遠慮無く言って欲しい。ここに全員が一緒にいる必要はないんだ。もちろん、今回のことがクリアしてからに欲しいけどね・・・・すでに、アルベルトは国に帰りたい意志を訊いている・・・・他に、誰か考えてる?」
「オレはアメリカに帰るぜ」


ジェットは長い足を組んで、ふんぞり返るような態度で言った。


「アメリカ。部族の何人かに会いに行くつもりだ。」
「・・・・連絡がつく?」
「調べる。時間がかかるかもしれないが、だいたいのことは把握している」
「・・・・・・助けがいるなら、遠慮無く言って欲しい、いいね?」
「その時は頼む。」
「ワタシは・・・」
「・・・・うん、張大人」
「店持ちたいネ・・・・日本でと、思ってたアル」
「・・・・・きっと、繁盛するよ、張大人の中華が美味しいのは、ここにいるみんなが保証するから」
「我が輩は、まだ・・・なんとも言えないなあ・・・・・イギリスへは、何というか・・・・まだ、正直帰りづらいんだ、情けない話しだけどよお」
「・・・・それでいいんだよ、グレート。ここはみんなの”家”だって言ったろ?いつでも出て行ったらいいし、帰ってきたらいい。部屋はずっと、みんなの部屋以外に代わりはないんだ、永遠にね」
「ありがたいよ、ジョー・・・そう言ってもらえると・・・」
「僕は・・・・いつか僕の国のために、働きたい。そのために勉強がしたいんだ・・・・色々と調べているんだけど、日本でとは、限らない・・・」
「・・・ピュンマらしい、な・・・・日本国内って言っても広いからね・・・」
「うん、そうだね・・・一度は北海道とか行ってみたいよ!」
「別に勉強じゃなくても行けるだろう、ピュンマあ・・」


グレートが苦笑しながら言った。


「そうだけどさあ、なんだかんだ言って、まだ関東県内、しかも東京近郊しか行ってないんだよ、僕!」
「まだディズミーランドも行ってないアル!」
「そうだよっ、ディズミー・オーシャンもだよっ」
「それを言うなら、ユニバーサル・オフィスもだぜっ関西の!!」
「京都に行きたいアルね~・・・神戸の中華街も行みたいアル」
「沖縄。」
「東北の方をゆっくり廻ってみたいな」
「夏なんだぜっ!夏と言えば海だろっ」
「避暑に行くのもいいよね・・・三重県とか良さそう!伊勢エビっ」
「料理しがいがあるネ」
「どうせなら、つい~~~っとドルフィン号で行っちまうってえのもありじゃねえか?」
「目立つよっ!」
「この人数で行くと・・・変に目立つな」
「・・・・・好きなときに行ってきなよ」


日本の、あそこへ行きたい、ここへ行きたい、そこへも行きたい、と話しはどんどん広まっていき、気が付けば、今回のミッションを夏が終わる前までにクリアさせよう!と、意気込み始めた00メンバー達。夏のバカンスのアイデアは、どう考えてもジェットの策略であるかのように思えたが、みなそれぞれに自室に戻る頃には、ミーティングの内容よりも”そちら”の方に頭が取られてしまっているように見えた。





####

メンバーが各々の部屋へ戻っていった後、ピュンマからオンライン・ゲームの”景品”である3枚のcyborg設計図をジョーのメール先に添付して送ってもらったものを、確認するために、地下へと降りていく途中、ジョーはアルベルトに呼び止められた。その隣にジェットもいた。


「ジョー、いいか?」
「・・・・なに?」
「フランソワーズの、メンテナンスに助手として参加すんだよな?」
「明日から・・・・」
「それをフランソワーズに言うのはいつだ?」


呼び止められたダイニングルームで、ジェットとアルベルトの2人を前に、ジョーは一瞬だけ、視線を床に落とした。その動きを見て、ジェットは苦虫を潰したような表情となり、アルベルトは深い溜息を吐いた。


「言うつもりはないんだな?」
「・・・・急なことだから、今回は。次回からは、言うよ」
「それが、どれだけフランソワーズを傷つけることか、わかってんのかよっってめえはっっ!!」
「・・・・決めたんだ、よ」


まっすぐに、2人を見る、褐色の瞳に何も迷いが見えない。


「だからっ!フランソワーズが知らねえっ訊いてねえっ状態でってことが問題なんだよっ」
「今回のメンテナンスは、”開頭”だ・・・しかも神経系ケーブルの入れ替え・・・彼女の”人”でない内部が晒されるんだぞ・・・・・お前にそれを受け止める”覚悟があるとは思えん」
「・・なかったら、助手になっていない・・・・」
「ジョーってめえは、それでいいかも知んねえけどよっ、フランソワーズの気持ちを考えてみたことあんのよ?」
「・・・・・反対なんだね?」
「お前がよくても、彼女の意志がそこにないなら、反対だ」


アルベルトの言葉に、ジェットは強く頷き、彼もアルベルトと同じ意見であることを強調する。


「これ以上、フランソワーズが”サイボーグ”だっつうことで、泣くようなことさせたくねえんだよっ」
「・・・サイボーグだからこそ、俺には必要なことだと思う・・・・彼女を助けるためにも、知っておかなければならないこと、だよ・・・」
「こころの方は、どうなんだ?ジョー・・・」
「・・・・・こころ?」
「よく、考えろ・・・・・フランソワーズの内部だぞ?・・・お前はそれを実際に見て、すべてを受け止める覚悟は出来てるのか?・・・・幻滅しないか?・・・・彼女を”人”として・・受け入れられるか?」
「オレらのんは、別にかまわしねえよ、見られようが、ほじられようがよっ・・・・でも、フランソワーズなんだよ・・・・アイツは・・もう十分によ・・・・。絶対、見られたくねえよ・・・」
「・・・わかるな?・・・・・もう一度、よく考えてくれ」


アルベルトはジョーの肩に手を置いた。
彼の手が異様に熱い。


「アルベルト・・・」
「ジョー、頼むぜ・・・。オレだってよ、おまえがしようとしていること、やろうとしていることくらい、ちゃんと理解してる。それが今後の自分たちの未来に大きく関わってくることも、な・・・誰かがやらなきゃいけねえって思いながら、ギルモア博士は・・・オレたちと違うって知っていながらも・・・・認めたくねええっつうか、ま、逃げてたんだよな、実際。でもよ、お前はそれを自分から考えて実行し始めてよ・・・すげえって思う・・・。感謝してる・・・・けどよっ!!!それと、これとはよっっ別問題なんだよっっ!!」
「・・・・ジェット」
「もう一度、考えてくれるか?・・・・その上で、ジョーが決めたことに、オレたちはもう、何も言わん。・・・・もしも参加したとしても、フランソワーズに言うつもりは、ない。・・・だが、お前が彼女のそれを見て、受け止められないなら、ミッション関係なく、悪いが・・・・オレはフランソワーズを連れて出るぞ?いいな・・・」
「それが、フランソワーズのためだと、判断してるからだぜ?・・・ジョー」
「・・・・・・・わかった、よ。ジェット、アルベルト」






地下への階段を下りていく、ジョーの足音が消えるまで、ジェットとアルベルトはダイニングルームから一歩も動かなかった。








=====40へ続く


・ちょっと呟く・

あたま爆発!
・・・・・シリアスだなあ・・・・
さくさく行こう!さくさくっと!!

ぐふふふ、なイベントが早く書きたいですぞ!


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