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ことば
「ジョー?」
「ん?」

リビングで雑誌や新聞に眼を通していたジョーに、ダイニングから声をかける。
ジョーは彼女を見ることもなく、返事をして、ちらり、と壁に掛かる時計を見た。

「ああ、博士に言ってくる」

ジョーはすぐにソファから立ち上がり、地下の研究室に籠もるギルモアの所へと足を運んだ。




====数時間後=====



青い空が高く、雲一つない晴天の日。
ギルモア邸にある洗濯機は朝から働き通しである。
長い梅雨があけたばかりの季節、今しなくていつするの?と、いうように、フランソワーズは溜まったリネン類などを片づけていく。
庭に干されたそれらは、空の青とのコントラストがそこに、穏やかな日々があることを
象徴しているかのように、心地良さそうに風と戯れている。

「ジョー!」

庭で洗濯物と格闘していたフランソワーズが、再びジョーを呼んだ。
彼は無言でリビングからフランソワーズを見る。

「うん、わかった」

彼は頷くと、玄関先に置いてある車の鍵を取り出て行った。


ギルモア邸では、そんな風景が日常的に見られる。
フランソワーズは「ジョー」と彼の名前しか呼ばない。
けれども、それだけでジョーは彼女が何を求めているのかがわかるらしい。

ジョーも同じように、「フランソワーズ、あのさ・・・」と言うフレーズを使うと、彼が何を探しているのか、何をフランソワーズに求めているのか、彼女には手に取るようにわかることらしく、それ以上2人の間で会話はない。

普段「人」らしく生活したい彼女が、脳内通信を使っているとは思えない00メンバーたち。

戦場で、何度もシュミレーションを繰り返した状況の中で起こる、極度にとぎすまされた精神の、人知を越えた「感」と言うものがあるのは、ギルモア邸に身を寄せる00メンバーたちは良く解ってる。
彼らも、目と目だけでお互いが何を求めているのか、言葉がなくても相手の意思を読む取ることができる。が、平和なこの世の中でそれらはまったく発揮されない。そんな00メンバーたちをあざ笑うかのように、ジョーとフランソワーズは難なくそれらを日常の中で披露する。






空になった大きな籐の洗濯カゴを手に、スリッパを心地よいリズムで鳴らしながら、フランソワーズはランドリールームへ行ったかと思うと、すぐに玄関へ向かう。どうやら、ジョーに車を出してもらうようだ。


「フランソワーズ、どこかへ出かけるの?」

ピュンマがリビングのソファから身を乗り出すように声をかけた。

「ええ、そうよ。図書館へ博士の本を返しに行くついでに、デパートまで足をのばすつもりなの。イワンの夏服を見にね。夏は寝汗がひどくって・・・数があった方がいいと思うの」

フランソワーズの答えに、リビングに何気なく集まっていたメンバーが納得する。

ああ、彼らは事前に今日の計画を立てていたのだ、と。

「フランソワーズ?」

なかなか玄関から出てこないフランソワーズに痺れを切らしたのか、ジョーが玄関のドアを開けてこちらをのぞき込んでいた。

「今、いきます!」

じゃあね、ピュンマまた後で、とフランソワーズは玄関へと急ぐ。
開けられたリビングのドアから微かに聞こえた2人のやりとり。

「いや、フランソワーズ、あのさ・・・」
「ええ、良いわよ。そうしましょ?」
「ありがと」

パタン と玄関のドアが閉まり、車のエンジン音が遠ざかっていく。
リビングに残るメンバーたちは、お互いの顔を見合わせる。

「・・・さっき、ジョーは何をフランソワーズに言ったんだろ?」

ピュンマの素朴なつぶやき。

「何も言ってねぇよ」
「でも、ジェット。フランソワーズはイイヨって了解したんだよ、ジョーはナニカを頼んだとしか思えないよ?」
「2人にしかわからないこともあるだろうから、気にするな、ピュンマ」
「アルベルト、だってさ。ちょっと・・・」
「ちょっとなんだ?」
「ちょっとは、ちょっとだよ!」

「ピュンマ、ジョーは”帰りに寄りたいところがある”と言った」
「「「「「「!!??」」」」」」

いつからそこに居たのか、ジェロニモがウィンドウから見えるフランソワーズが干した洗濯物の山を見ながらハッキリと言い切った。

「ジェ・・・ジェロニモ?」
「みな、簡単にわかるはず、ジョーとフランソワーズは特別なことはしていない。ただ、相手をちゃんと見ているだけ。毎日どんな仕草も見逃さないように。それだけだ。そうしていると、気持ちを言葉にする前に雰囲気でわかる」

「・・・じゃあ、ジェロニモは・・・わかるの?」

ーーーー彼らの会話も、僕たちが何を思っているのかも?

ピュンマをじっと真剣に見つめ、そして。彼はふっと口角を上げて優しい眼になり微笑んだ。

「わかる。オレたちは仲間だ」

ピュンマは恥ずかしそうに、けれども嬉しそうに笑う。

「そっか!」



「しかし・・・」
「「「「 ? 」」」」


「解らない方が、良いときもあるのも事実。馬に蹴られたくない」


「「「 !!!!!!!! 」」」」


ジョーとフランソワーズの言葉のないやり取り。
瞳と瞳で、微笑みと笑顔で、空気と仕草で会話する。

そこに含まれている言葉は、どうやら・・・恋人としてのものもあるらしい。



彼らは気づいているのだろうか?
ここに、言葉がいらない人間が1人いることを・・・。


「今日は、夕食は張大人の店・・・行った方がいい」
「オレ、博士に行ってくるわっ」
「じゃあ、電話をしておいた方がいいな」
「・・・彼らはそんなことも伝えているの?」
「ピュンマ、ある程度の経験も必要」

にやり、と普段のジェロニモらしからぬ笑いに、ピュンマは誓う。
無心・・・禅寺にでも通わないと、ジェロニモに全てを知られてしまう!





「・・・経験?」

ピュンマとジェロニモのやり取りを聴きながら、アルベルトはその言葉にひっかかる。

ーーーー今日の酒の肴はやつかな?










end



・あとがき・

ジェロニモさまは、決めるときに決めるのであります。
全てを大きな目とこころで見つめていらっしゃるので、ガキンチョ?カップルな
9と3なんて、もう、嫌なくらいに解ってしまうのでありますが、
そこはジェロニモさまなので、ちゃんと分別あるオトナな行動をなさっています。

ぴゅんま君も恋をしよう!
経験が必要らしいから(笑)


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