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009は溜息をつく
胸に広がる焦りは、不安の色に変わっていく。
沈み込んだ苛つきは空腹感に似たものだった。

普段は呼吸をしているかどうかなんて、意識しなくても、
自分が生きているのだから、それは自然に行われているハズ。

けれども今は、脳から命令を与えて、肺を動かし、
血液に酸素を送りこむことまで命令しなければ、
自分で呼吸する。と言う行為を忘れてしまう。


極度の緊張感。
細胞のひとつ、ひとつを意識して、命令する。


いつの間にか咥内に溜まった唾液を飲む。
ごくり。と、音を立てた。








受け止めた夜風が、背に浮かぶ汗を冷まして体温を奪っていく。
冷え切った肩は、腕に抱いた熱とは対照的過ぎて、
サーモグラフィ(熱画像計測装置)にかけられたら、面白い映像になるかもしれない。


ふと、自分のそんな画像を思い浮かべたために、腕の力が弱まった。
それを合図に、フランソワーズが恥ずかしげに、瑠璃色の瞳をこちらにむけた。



「・・・・・どうしたの?」
「・・いや、なんでもない」


弱めた腕の力を再び取り戻して、さきほどよりも強くフランソワーズを抱いた。
その強さに、フランソワーズは躯を捩る。
それでも、腕の力はそのまま。



緊張は、彼女をこの腕に抱きしめているため。
不安は、今の状況を理由に、彼女を抱きしめているため。


冷たい夜風にさらされて。
重なり合いながら、消した気配。







ターゲットに見つかりそうになり、
慌てて身を隠した場所は人気のない駐車場。
身を隠す場所など、ほとんどなく、フランソワーズの腕をひいて、
自分の胸へと閉じこめた。

ひと昔前に流行った缶ジュースを、未だに売っている自動販売機を盾に、
ダーゲットから身を隠した。






自販機が、缶ジュースを冷やし続けている音。




防護服を着ていない、私服のフランソワーズ。









普段着の状態で、こんなにも彼女と密接することができたのは、ミッション中だからこそ。













「ジョー、車に乗ったわ」
「・・・ナンバー、覚えておいて」
「ええ、追いかける?」
「・・・・・加速できないし、ね。この服だと。それに、目的は彼の行き先じゃなくて」
「彼が出てきた、ビルの・・」
「フランソワーズ、部屋はどこ?」
「6階の一番奥。非常階段の隣よ」


夏服だと、肌寒くなりつつある季節に、
フランソワーズは肩が剥き出しになったワンピースを着ていた。
羽織るものもなく・・・。そのワンピースは、フランソワーズのお気に入りであることを、
みんなが知っている。



「僕が、行く・・・・。誰かまだ人が残っている?」


フランソワーズは、首を傾けて、ターゲットであった男が出てきたビルを見た。
綺麗な、凛々しいフランソワーズの顔を、見つめる。


エンジンが噴かされる音が耳に届いた。
ターゲットが乗り込んだ車が駐車場を去っていく。
彼が向かうと思われる先には、仲間達がすでに配置についている。


「ジョー、・・・1人、・・いえ、2人、まだ部屋に」
「サイボーグ?」
「いいえ、人よ・・・」
「周りには?」
「6階のフロアにいるのは、2人だけ」





緊張は、新しい緊張を呼んだ。
不安は、別の不安へと色を変えた。


背が痛いほどに冷え切ってしまった。




腕は灼熱の太陽にさらされたように、焼けていく。






「・・・・行くのね?」
「君も一緒にビルまで行こう。ここにアイツが戻ってこない、とは言い切れないしね」





意識して、命令した。









フランソワーズを腕から離せ、と。














009が、島村ジョーに命令をした。



島村ジョーは、従うしかなかった。
ミッションのためでは、ない。





ジョーの腕の力が抜けていき、フランソワーズの背から離れていく。


「?」



フランソワーズはすぐに自分から離れるだろう、と思われたが、彼女は動かなかった。




「フランソワーズ?」
「・・・・少し、寒いの」





胸に広がる焦りは、不安の色に変わっていく。
沈み込んだ苛つきは空腹感に似たものだった。


煌々と光る、自販機の無機質な白さは強い影を作り出して、
僕とフランソワーズを闇へと隠す。





009が島村ジョーに、命令した。







島村ジョーは、009に逆らった。



そんなもん、知るか!
こっちだってっ、今が絶好のチャンスなんだ!
















ビルは逃げないだろ!
目標のものは、2人の敵が護ってるし!










「・・・・こんな薄着をするからだよ?夜に出るって言ったのに、羽織るものも持たないで」
「・・・・・・・だって、もうすぐ着られなく、なるから」






腕をもう一度、フランソワーズの背にまわした。














009は溜息をつく。

















”さっさと、告白しろよ・・・・。フランソワーズだってまってるぜ?”
















うるさい。




僕の胸は焦り出す、彼女の体温に、その柔らかな感触に。
僕の胸は不安に色づけられる、彼女が自分を好きだと想ってくれている気持ちに
自信が持てなくて。

胸の底に沈み込んだ、情けない自分にたいする苛つきに、胃がむかむかとする。
それが空腹感に似たものだと、気が付いた。









009の溜息と、僕のそれが重なった。







end.













・いいわけ・

気分転換に書きました。
平・ぜろのジョーか原作あたりでしょうか?

ミッション中に何をやっているんだ!





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