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His circumstance





七夕さ~らさら~・・・♪
って、こころの中で歌っているオレは、大地。

年離れた兄貴を頼りに上京した、しがない大学生(2浪)。

オレの夏は朝の9時から巨大冷蔵庫に、押し込められて、眠い頭で、
揺れる文字を追いつつ、ああ、この一文字が多分、10円くらいかなあ?っと
払った授業料を計算してみたりする。




ごろごろ転がる、野菜たち。
オレがこの冷蔵庫から卒業する頃には、
立派に刻まれて何かしらの料理になっているのだろうか?



兄貴みたいに、小さい頃から夢があったわけでなく。
兄貴みたいに、その夢にむかって突っ走ることもなく。
兄貴みたいに、高校中退してフランス留学しちゃうなんてこともなく。
兄貴みたいに、あっちでそこそこのレストランのパティシエ見習いになることもなく。
兄貴みたいに、帰国してすぐに、知人に持参したケーキが気に入られて店を持つなんてこともなく。
兄貴みたいに、中学から付き合っていた女性と店を持つと同時に結婚するなんてこともあり得ない。







七夕がどうしたってんだよ!
運命か?

それが運命なのかっ?!




運命なんてっ信じるかよっ!!!


オレがこうやって巨大冷蔵庫の、選ばれぬ野菜になって腐るのを待っているのが
オレの運命か?!















「よ!なにぶ~ったれてんだよ、飯行こうぜ!飯!」


同期の外瀬(とのせ)が声をかけてきた。


「オレは運命なんて信じないっ!!」
「んあ?!・・・・なんだよ・・・いきなり・・とうとうこの暑さに頭があっちの世界にいっちまったのかよ?」
「オレのどこの何がわりいってんだよ!運命っつうのかっ?!くっそ~~~~~~!!七夕なんてえ嫌いだっ!!」


オレは握り拳を作った右手を振り上げた勢いに任せて、立ち上がると、
そのまま教室を出て行った。


「なんだよ?七夕がどうしたってんだよ?可哀相じゃん・・普通」
「なんでだよっ!」


鼻息荒く、足取りも荒々しい。
腹も減って、機嫌は最悪。


昼の時間は教室以上に廊下が混み合う。
同じ学部にもかかわらず、初めまして。の人間に1日1人はお目にかかる。
もしかしたら、同じ大学出身の同期であっても
一生会うことがないヤツもいるかもしれない。


「だって、よ・・・一年に一度しか会えない恋人なんて、最悪じゃん」
「それが運命っつんだろ?!」
「・・・・けどよお、考えてみろよ、たった一日で満足できんのかよ?」
「なにがっ?」
「なにって・・・お前・・・・」


外瀬ははあ・・・と。溜息をついた。
その溜息がオレをよけいに苛々させた。


一年に一度。
それが運命。

なら、仕方ないって、指を加えて7月7日を待っている牽牛/彦星ならびっ織女/織り姫が
バカなんじゃん!







外瀬は、カツカレーライスを食堂のテーブルに乗せて、再び溜息をついた。






オレは考える。
運命ってヤツがあるなら。
今のオレはいったい何なんだろう?


毎日を、ただ、毎日を繰り返している。
月曜日が来て、大学へ通い、兄貴のマンションに帰っていく。
店で夕飯を住ませるために、兄貴の店へ向かう。
一緒に兄貴の店で働く、義理の姉の休憩時間に合わせて、夕飯を食う。
兄貴夫婦より、一足早くマンションに戻り、風呂の用意をして先にすます。

与えられた部屋で、ラジオをかけながら適当に、漫画や雑誌を読んだり、課題をしたり、テレビをみたり、夜が更けていく。

布団に入ってから、枕元に置く、充電中の携帯電話のアラームをセットする。






朝。

携帯電話のアラームは、スーパーマリオ。
眠たい眼を擦りながら起きると、義姉さんが朝食を出してくれる。
それを喰って、大学へ。



またオレは今日も選ばれることのない、巨大冷蔵庫の中の野菜と化す。









冷蔵庫に入るために、オレは2浪も苦しんだのか?
なんのために、上京したんだろう?
なんのために、オレはここにいるんだろう?

親は、「せめて大学は出ろ!」っと言った。
「兄貴は出てねえじゃんっ!」って文句を言えば、返ってくるセリフはいつも同じ。



”お兄ちゃんは、ちゃんと夢があって、その夢を叶えるためにがんばったでしょう!
ちゃんと結果を出してる”









じゃあ、夢がない人間は駄目なのか?
結果を出してない人間は大学へ行かなきゃいけないのか?

”またそんな屁理屈を言う!”






屁理屈じゃないっ!













これがオレの運命だなんてっ!
なんてくだらない、運命なんだっ!?











昼食を済ませて、午後の講義まで中途半端な時間を、
大学近くの漫喫で過ごす。





壁一面に詰められた、コミックス。
ここには様々にドラマチックに、”運命”に翻弄されたキャラクターたちがいる。




憧れたって仕方ない。

現実にあり得るワケがない、フィクションなんだ。
漫画は漫画。
この地球のどこかで空想や想像力豊かな、絵の才能に恵まれた人が描く世界。

それを楽しく読んで、夢膨らませては・・・また、あの巨大冷蔵庫へと
選ばれぬ野菜となって、一日が終わっていくんだ。





冷えすぎたオレは、美味しくないと思う。
いつが食べ頃?
いつが旬?


冷蔵庫から出た瞬間に、ゴミ箱へぽい!なんてされないか?












「よお、大地、これ知ってるか?」
「はあ?」


漫喫のいつもの席に座った俺に、外瀬が、一冊の漫画を置いた。





聞いたことのない題名。
オレは文庫本になった、その漫画をパラパラめくった。

古っ?!




細かいコマ割り。
小さい絵。

トーンもない、白黒の・・・。
古き良き漫画?





「すっげー人気のあった漫画らしくってさ、2回くらいアニメになったり、映画になったりしててよ、また今度アニメ化するらしいぜ?・・・オレの彼女、漫研に出入りしてるだろ?それで、面白いのないか?って聞いたら、今はこれだって、教えてくれたんだ」
「へえ・・・ららちゃんがねえ・・・」


外瀬の彼女は両親ともに熱狂的な○ンダム・ファンらしく、ついた名前が”らら”だった。
世界は広い。と、思わせてくれたひとつだ。


「これ、どういう話し?」
「ま、単純に、悪の組織に誘拐された国籍バラバラの青年たちが、半分機械にされて、悪の組織に反旗を翻して、戦うって言う正義のヒーローな、話し」
「・・・・へえ、面白い?」
「はまるぜ!けっこう、奥が深いんだ。話しも色々とあるしオススメ」
「ふ~ん・・・。人間の中に機械をねえ・・・サイボーグってやつか?」
「それそれ、タイトルは”ナイン”だけどね」
「なに?9人サイボーグになれたってこと?」
「そういうこと!」
「面白くなかったら、これを読んで潰れた時間を責任もって返してくれよ?」


外瀬は、顔、左半分をぐんにゃり歪ませて、三度溜息をついた。


「ほんっと、最近のお前、どうしたんだよ?・・いいぜ、面白くなかったら、酒でも飯でも奢ってやる。バイトがよくって、今オレいい人なの♪」


外瀬は財布を入れたジーンズの尻ポケットをぱん!っと叩いてみせて、
オレが座る席から離れていった。






















オレは外瀬から、酒も、飯も奢ってもらえなかった。

午後の講義もさぼって、終電も逃し、兄貴から電話がかかってきて、
仕方なく”外瀬の家”と嘘をつき、そのまま漫画を読み続けた。

















運命ってヤツ。
こいつらが羨ましい・・・・。


















悪の組織にサイボーグにされて、機械化された躯を嘆きながらも、
悪の組織を裏切り正義のために戦う。

運命。



漫画の主人公たちは、いつもそうだ。
同じ毎日なんて、繰り返さない。




選ばれて、ちゃんと料理をされて・・・人のこころを満たしてくれる。

















実際にいないから、いいんだよな・・・・。
















気が付けば。
夜空の恋人(夫婦か?)の運命の1日は終わっていた。




ちゃんとH出来たのかよ?
364日分、発散できたのかあ?

人の願いなんて叶えてる暇、ねえだろ・・・?
そんなに嬉しいってか?































オレの人生は、ずっとこのままなのかもしれない。



毎日が冷蔵庫の中。
たまに、オーブンレンジに入れられて、忘れられて再び季節は巡り、冷蔵庫へ。

























運命は、突然やってくる。
耳にタコなセリフを、オレが使うなんて、誰が想像できただろう。







けれどもそれは、
本当に、突然やってきたから、言うしかない。







兄貴の店の・・・・・・




カフェのドアが開く。
ちりりんっと耳に心地よいチャイムの音。
鈴の音に誘われて、オレは入り口に視線をむける。
接客用の義姉さんの「いっらっしゃいませ」と言う声は、何度聞いても慣れない。

「また、来ちゃいました」

涼しげで、柔らかく、愛らしい声の主にオレは一瞬で恋をした。



















「フランソワーズさん、こっちは旦那の弟で「大地」って言うの。」


























突然、”運命の出会い”がやってきた。

























オレの毎日が変わった。
冷蔵庫の中で、オレはごろごろ転がっているだけの野菜じゃない。







運命ってヤツを信じてもいいや。


おい、牽牛!
ちょっとだけ、お前に同情してやるぜ!
毎日だって合いたいのに、1分1秒も惜しいくらいなのにな!






人を好きになったらよ!


ま。それも運命ってヤツで諦めないとな。





















・・・・・・・・・・オレも、だけど。
くっそ!


島村ジョーっ!!!
邪魔なんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ


















end.




・あとがき・

はい。
トップの挨拶に、七夕なのに何も用意してなくて、・・・と。
書いた後。

夕飯食べました。=エクレア♪
お風呂に入りました。=シャワーで楽チン♪


パソコン前に座って・・・打ち始めること40分。

さすが!大地くんっっヽ(´▽`)/~♪
ネタがあればよく動いてくれる~っ!
久し振りだったからかなあ?
最近出番がなくてごめんね?

文句は、・・・あの、ウジウジ片思いの93に言ってくれい!
”ミッション”が長引いているのは、煮え切らない9のせい~♪

って言うことで。
2008/七夕用で!

フランソワーズに会う前の、ちょっと人生に疲れた(?)大地くんでした!




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