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Day by Day・67
(67)








「マ・・・・、フランは、フランソワーズは、島村が好きなの?」








彼らのやり取りに、特別な”何か”を感じる。
それは、ジェット・リンク、ピュンマ・ギルモア意外の、邸に住む誰かと、会話する彼女からは感じられない、何か。

明らかに、フランソワーズと話している、接しているとき、”島村の雰囲気”が変わる。
口で説明しろ。と、言われても、当麻には”雰囲気が違う”と言うことしかできなかった。






「荷物を、早くしまわないとダメになってしまうわ。急ぎましょう」

逡巡する瞳が、瞬く。と、言うには明らかにゆっくりと閉じられて、そして、再び当麻をとらえる。
曖昧な微笑みが愛らしく、ふっくらとした、いつもよりも濃く感じるくちびるに象りながらの、曖昧な返事。



答えないことが、答えのように思えた。



フランソワーズが車のトランクを閉めた音に背を押されたようにして、当麻は、訊ねた言葉をこのままウヤムヤにすることなく、勢いある今、もう一度フランソワーズへと問う。



「好きなのかな?・・・島村のことが、そう、見えるから」


当麻のくちびるが、動く。
耳に届く音に、フランソワーズは戸惑う。


そして、”いつもの台詞”を口にした。


「彼は、私・・たちの、大切な仲間ですもの。家族と一緒なの」


視線を買い出しの荷物へと落として、早口に畳み込むように言い。会話を終わらせようと、両手いっぱいに荷物を持ち上げた。


「そういう風に、見えないんだ・・・・。わかるから、ぼくは」


手にした荷物を重たげに、抱えてフランソワーズが足を一歩踏み出した。


「当麻さん、急ぎましょう。痛んでしまうわ」
「・・・ぼくの気持ちは、”あのとき”、わかってもらえたと、思っているけれど。ちゃんと言葉にはしていなかったから・・・・」







フランソワーズが、篠原の家を去る前日。

初めて、フランが乗ったという大観覧車の中で。
2人だけの空間で。

伝えたい言葉を避けて、自分の想いを伝えた。
ただ、伝えた。



伝えた。


伝わったはず。






「・・・・なかったことに、するのは・・・、なぜかな?」










フランソワーズの、前に踏み出した足が、重たく地に凍り付く。


「こんなときに、って思うかもしれない。・・・・でも、ぼくにとって、今、自分の周りに何が起こっているのか、まったく解らないし、それ以前に知ることを拒まれている状態で・・・。でも、こういうコトになったからそこ、フランに近づけたと、思う。だから、もっとちゃんとフランを知りたいし、向き合いたい。好きだという気持ちは、嘘も偽りもない、正直な気持ちだから。このまま、ここを去るときに、この間のようには、さようならしたくないから」


フランソワーズは、咥内に溜る唾液を、こくっ。と、飲み込んだ。


「私、サイボーグです・・・」
「それが、なに?」


即答だった。
フランソワーズは、両手に持った荷物を握りしめる。


「わかってないのよ、当麻さん。・・・サイボーグと、いうものの”本当”の姿を。だから、だから、そんなに簡単に言えるんだわ」
「本当の姿?・・・・目の前にいる、フランで十分だよ。ぼくにとって」
「・・・・そう言えるのは、今だけなの」
「だったら」


当麻は、フランソワーズの背後に立ち、立ち止まったまま動かないフランソワーズの肩を優しく抱きしめた。


「”本当の姿”を知っても、ぼくの気持ちが変わらなければ、受け入れてくれる?」


耳元で、甘くささやかれた。


兄でも、00メンバーでも、バレエのパートナーでも、ない男性からの包容に、フランソワーズの躯が石のように固まったとき、彼女の脳裏を鋭い光が、記憶の糸を遡った。が、固くくちびるを噛みしめる痛みに、脳裏を駈けていく映像から逃げることなく、冷静に、それらを再びこころの奥底へと追いやっていく。
スイッチが入ったように震え始めたフランソワーズにたいして、当麻はフランソワーズを驚かせたと思い、一度だけ、強くその肩を抱いた後、そっと彼女から腕を放した。

手に持っている荷物が滑り落ちそうになったので、ぐっと力を入れて握りしめるが、震える躯を巧くコントロールできずに、フランソワーズの手から荷物が音を立てて地面へ落ちた。

フランソワーズは慌てて、落ちたそれらを拾うために、膝を折った。
当麻も同じように、フランソワーズの正面に移動し、片膝をついた。



「ぼくは、フランソワーズ、あなたが好きです」



フランソワーズの手が、止まる。
視線を地面に、落とした荷物に定めたまま、当麻へと顔を上げることが怖かった。








買い出しの荷物を邸に運ぶ手伝いを、張大人から頼まれたジェロニモが、当麻とフランソワーズに声をかけることもせずに、静かに歩み寄ると、フランソワーズは立ち上がり、荷物はそのままにして、早足にギルモア邸の中へと消えていった。
残された、当麻とジェロニモの間に会話はなく、当麻が持てるだけの荷物を持ち、残りはをすべてジェロニモが引き受けた。















####


ギルモア邸正門から、一般車道へは15分弱ほどの緩やかな私道を歩かなければならない。走り抜けるだけの車からは、そこに”道”が存在するなど、気づかない。
早足に一般車道まで足を向けて、カーブを描くアスファルトに沿う白いガードレール前に立つ。

ジョーの目から見て、あまりにも頼りなく感じるガードレールは、彼の腰にも届かない高さ。カーブを曲がり損なった車がぶつかれば、衝撃に耐えることなく、数メートル下に見下ろす、陽光を眩しく照り返す白い砂浜を、燃え上がるオイルの黒い煙が覆うことだろう。

簡単に映像化できた惨劇は、ジョーの目の前に広がる平穏な青の風景に似合わない。
彼は首を左右に振って映像を消去することにつとめた。



一般人が使う、”コンクリートでおざなりに設けられた階段”は、ジョーの立つ位置から10分強ほど下ったギルモア邸最寄りのバス停近くにあり、そこまで行くことが面倒に感じたジョーは、周りを見渡して、人気や車の往来がないことを確認してから、ひらり。と、ガードレールを飛び越えた。











振動した携帯電話は、002からの報告だった。

『石川が動いた。篠原秀顕に連絡を取った。2』










重力を躯に感じる刹那に、時が止まる間がある。
その間が、いつでもジョーに”宙(そら)を思い出させた。








利き足で、熱を含んだ砂の上に着地する。
ざんっと、乾いた音とともに、砂が飛沫をあげるように舞った。

歩きながら、ズボンの尻ポケットに突っ込んでいた携帯電話を取り出して、確認する。
002からの報告にたいして、短く、必要事項のみを書き込み、送信。





それは002のみならず、00メンバー全員へ送信された。














季節は遅れて、梅雨へと向かっている。
じめじめとした湿気を肌で感じながらも、涼やかな潮風がそれらを追い払ってくれる。




波打ち際まで歩き、履き慣れた愛用のスニーカーを脱ぎ、裸足になる。
持っていた携帯電話、使い捨てライター、紅い煙草の箱、いぶし銀カラーの、円い携帯用灰皿。を、靴の上に投げ出す。

ほかに何かなかったか?と、確認するように、腰周りを叩くような仕種をした。
ジーンズのベルトをはずそうと、して、しばし考える。
続いて、着ていたTシャツの襟元を引っ張り、逡巡をあらわしたような表情をみせたが、ふわりと、風に靡いて、砂の上に落ちる、よりも早く、ジョーは消えた。









遠く、立ち上がった波飛沫が、キラキラと空に向かって放たれた。

























シズンデ イク カラダ。















見上げる、光満ちる海面は空色よりも明るく、波に揺らされて煌めく。
透き通る陽の温もりが肌に心地よかった。



口元から、ぷくり。と、小さな空気球が、上へ上へと逃げていく。











耳に聞こえてくる世界は、眼にみえない世界の音。

作り物の心臓が打つ音が妙にはっきりと感じる。
内側を感じる。












閉ざされた外の世界に、反発するように、内にこもる何かが、開放を求めた。













すべての力を抜いて、流されるままに、揺らされるままに、溶け出していく。













息苦しさを感じて、機械の力を借りる。






皮膚感覚が、消えたように思えた。
自分と海水との境が消えたように、思えた。

体内に埋め込まれたセンサーが勝手に反応し、現在の体温と海面の温度、そして
その誤差などをジョーに、009に知らせる。


ふっと、口元が緩んだ。


こぽこぽこぽ。と、空気球が無数に浮かび、口を開けると、ごぼごぼっ。と、海
水に圧迫された空気の固まりが地上を目指して、上へと上る。















ここから、始めよう。


















終わったわけじゃない。
戻るんじゃない。
やり直すんじゃない。





続いているようでいて、常に新しく始まるんだ。






















フランソワーズ。
キミの言うとおりだ。



俺は、俺で、俺でしかなく。
昨日、一昨日、去年、・・・・サイボーグにされる前、そこに生きた俺は、今の俺に繋がっているとしても、今日の俺じゃない。

積み重なる、過去の、一番上に開かれる真白いページは、常に新しい。
書き込んでいく、俺が、009で、009が、俺。











切り取られることのない、どこまでも続く空は、くるりと、世界を包む。
波の揺れるに乗って、目指す先に人影がみえた。

くちびるが塩辛く、腕で乱暴に拭うが、腕も同じ味がする。
海水を含んでしまったジーンズが、重い。が、それほど問題ではない。

一歩、一歩、歩くごとに、青から解放されていく。
天から降る光は暖かく、それは、首から、徐々に、肩へ、背へ、腰へ、と流れて
いく。


見上げた空よりもも、ずっと高い、宙から、地球を見た。
・・・どの、蒼よりも、キミの碧が一番きれいだ。







特徴ある人影が、ジョーに向かってタオルを投げた。


「泳ぐなら、中途半端に脱ぐんじゃなくて、全部脱ぎやがれっ!」
「・・・早いな、よくわかったね、ここ」
「早い?・・・携帯電話の電源を入れたままだろ?居場所くらい、これでわかる。忘れたのか?」


腕を組みながら溜息混じりにつぶやいた、彼の瞳の色が解るまでにジョーは2人に近づいていく途中、放り出していた、煙草とライターを拾った。
ジェットから受け取った、タオルを肩にかけ、とんとん、と、四角い紅箱をたたき、白い棒を1本取り出して銜える。
ささやかに吹く風から、ライターの火を守るかのように手を添えて、火を移す。


2,3度、強く吸い上げて、かちり。と、ライターの火を消すと、口の端から、風にきえゆく白を眺めた。


「・・・で、タオルつき?イワンに聞いたんだろ?・・・・俺は、”邸に2時間後”って送ったはずだけど?」
「はあ?んなもん、とっくに過ぎてんぞ?だ~か~らっ!わざわざ、報告にきてやったんだぜ?面倒くせえのが、うろうろ邸内にいるからよ!」
「・・過ぎてる?・・・そう、なのか?」
「1本遣せ」


アルベルトが、ジョーの紅箱に手を伸ばした。


「自分のは?・・・まだ買ってない?」
「なかなか、手に入らないんだ。ネットで取り寄せてもいいが・・・、税金がかかる。ほかを見つけるまで世話になるぞ」
「口に合わないんじゃなかった?」


アルベルトがジョーから受け取った箱から1本、取り出すと、ジョーは手に持っていたライターの火を、灯す。


「ジェットのよりか、ましだ」
「この旨さがわからないとは、おっさんの舌、やばいんじゃね?」


ジェットも、自分の分をくしゃくしゃになった箱から取り出し、アルベルトに続いてジョーから火をもらう。



「それで、何の真似だ?」


肺を満たした毒を満足げに空へと放ちながら、アルベルトがジョーに向かって尋ねた。


「・・報告があるんだろ?そっちが」
「動いた、今すぐにとは言わないが、秀顕は夜に入れていたスケジュールをキャンセルした」
「んだからよ、石川もそれまでは動きようがないらしく、ホテルでテレクラに篭った男みたいになってるぜ」
「古、・・・・・ジェット、テレクラって・・・今は出会い系サイトや、インターネットの、だろ?」


人差し指と中指に、煙草を挟み、呆れたように言った口から煙草を離した。
ジェットがジョーの足元に投げ置かれていた、いぶした銀色の丸い形をした携帯用の灰ざらを拾い上げ、スライド式に開閉する蓋を、親指で押し開けて、その中に、とん。と、灰を落とす。


「部屋に引きこもって、手帳と睨みあって、電話をかけまくる、だぜ?テレクラに居座り続ける男、以外の他に、なんて例えんだよ?」
「ストーカーか、その日の売り上げを気にする、ホストだな」
「同伴ってやつ?それとも、店に来てくれっつう~、営業?・・・面はいいから、ホストの方がしっくりくるよな?」
「・・・・まだ、この国に移り住んで1年経ってないよ、な?・・・・・普段、何してんだよ?」


再び、銜えなおした煙草を、くちびるでささえながら、タオルで髪をがしがし。と、拭きはじめたジョー。


「こっちの報告の前に、聞いておきたいんだが?」
「・・・・イワンから、聞かなかった?」
「フランソワーズにミルクをねだっているイワンに聞けると思うか?」
「聞いてみたら?」
「ジョー、お前を売ってもいいなら、な」
「・・・で、俺から何を聞きたいんだ、よ?」


手を止めて、タオルを被ったような状態のままジョーは、すうっと口に銜えた草から、吸い込んだ煙を肺へと送った。


「動くぞ、石川が・・・」
「ああ・・」
「オレが見張っていた間に、電話をかけた先は控えてあるぜ・・・・。いくつかは国際電話、会話の内容までは聞くなよ?003じゃねんだからよ。けどよ、007が部屋に盗聴器を仕掛けていてくれたから、そこから”内容”を取り出せるだろうけどよ」
「内容は、ほとんど”篠原さえこ”探し、だろ?・・・地下で一通り聴いてみるけれど、秀顕と連絡を取った今、あまり重要には思えない」
「津田海は?」


薄く開くくちびるの隙間から、煙を吐き出し、半分ほど吸った煙草を、ジェットが持つ灰皿に捨てたジョーは、アルベルトの言葉にうなずいた。


「008に任せている、時間がかかるだろうから001の助けを借りた」
「001と、009、お前さんがが進めていたプラン通りにいくのか?」
「・・・それが、聴きたかった?」
「時間がない。接触する前に、石川を押さえる方がリスクが少ないのは当然だ」
「オレも、004の意見に賛成だぜ?・・・すでに、当麻、さえこに言っちまったんだしな、これ以上の情報提供の必要性はねえんじゃねえの?」
「篠原親子を信用しているわけでは、ないぞ」


アルベルトの意見はジョーの予想した通りであったために、くすり。と、笑いがこぼれた。


「余裕じゃねえかよ?」


こぼれた笑みを見逃すことなく、ジェットは2本目の煙草に火を灯けた。


「接触しても、問題ない」


きっぱりと言い切った、009。


「・・・・・また、面倒なコトを言い出すんじゃないだろうな?」
「・・・お世話になります」


アルベルトは、持っていた煙草を、ジェットの手から奪いとった灰皿に、捻じ込んだ。


「オレの、Roth-Handleを手に入れてくれ、それが条件だ」
「アルベルトだけかよ?面倒になるのはよぉ、みんな一緒なんだぜ?」
「そう思っているのは、お前だけだ・・・・。いいな、ジョー、たっぷりと吸わせてくれ、これが終わったら」


足にこびりつく砂を払い、スニーカーを履き、携帯電話を拾い上げてから、同じようにTシャツを手に取った。



「了解・・・・、ジェット」
「おう、なんだよ?」
「俺の脳みそは1つ、補助脳も、同じ。”俺が009”だぜ?」


アルベルトの左口角があがる。
ジェットは、にやり、と笑って、手に持っていたタバコを口に銜えると、ジョーの髪を覆い隠すタオルを、空いた両手でつかむと、わしゃわしゃ。とジョーの髪を乱暴にかき回した。


「ったく、うちのリーダーのマイペースぶりには困ったもんだぜっ!!・・・・やっとかよ、遅いっつうのう、一緒に落ちた、オレを見習えっつうの!」」
「・・・、いや、ジェットとジョーを足して2で割ったのが、好ましい。009、秀顕と、石川は夜の10時に、篠原の本社、秀顕の部屋で会うことになっている」
「今、何時?」
「4時前」
「ああ、本当だね。”2時間後”はとっくに過ぎてる・・・もしかして、みんなを待たせてる?」


歩き出したジョーについて、アルベルトとジェットも歩き出した。


「過ぎてる、どころじゃないだろう?・・・・殴られろ」
「さすがに8人がかりじゃ、俺も辛い。・・・・と、言うことは2人が代表になって、迎えに来てくれた?」
「・・・の、はずだったんだけどよおっ」


ジェットが顎で指した先に、おざなりに作られたコンクリートの階段が、砂浜から一般車道を繋ぐ道。
そこに、いびつな影が並ぶ。


「・・・・・邸をカラにして出てくるなんて、無用心だ、ね」


ジョーは眩しげに、影の数を数えた。

















####


「1人で海水浴?僕に内緒だなんて、ひどいんじゃない?」


駆け寄ってきたピュンマが言った。


「次回からは誘う、よ」
「ジーンズは脱がなかったの?」


Tシャツを手に、濡れて色が変わったジーンズを履いているジョーの姿を見て訊いた。


「・・・なんとなく、やめておいた」
「ジーンズで海に入るなんて、海水を吸って重くなるだけだろうに・・・」


ジョーに返さなかったGARAMの紅箱から、1本煙草を取り出すと、ジェットは自分が持っていたライターをアルベルトに向かって投げた。


「見られても減るもんじゃねえだろ?なあ?浴室に大穴を空けて、オレたちにストリップ・ショウをさせようとしたヤツがよ!」
「・・・・津田は?」
「あ、うん・・・・。ギルモア博士と話してる。思ったよりも落ち着いているよ、でも・・・・彼はすごく石川先生を信頼しているみたいだから、彼から聞き出すのには」
「時間がかかりすぎる、ね・・・。報告は済ませた?」


ちらり。とアルベルトへと視線をむけたジョー。


「待ちすぎて、キリンになりそうだったんでな」



砂浜を歩く。
海水を含んだジーンズが足にへばりついて、重い上に、妙に生暖かく、心地よいものではなかったが、逆にそれが、嬉しくもあった。



視線の先に、見える影の形がクリアになってくる。
ジョーの視線は、全体を捉えながらも、その1人に注がれた。

肌を撫でる、ささやかな潮風にさえ舞う髪の色は、蜂蜜色に輝いて、トレードマークのカチューシャが飾られている。
細腕に抱く、イワン。
彼にとって、ランソワーズの腕の中が一番の特等席。


いびつなコンクリートの階段をゆっくりと、足元を確認しながら降りてくるものの、その足取りが危なっかしく、つい腕を伸ばしたくなる衝動に駆られたジョーは、ごまかすように、肩にかけていたタオルをピュンマに持ってもらい、手にあったTシャツに袖を通した。


「あ~あ、フランソワーズのヤツ、危ねえっ・・・アイツ、あれでよく戦ってきたよなあ?バレエだって信じられねえぜ?・・・鈍くせえな!」


ジョーのこころを代弁するような、ジェットの声にピュンマが笑った。


「ジェットっ聞こえてるよ、絶対!」
「別に、かまやしねえよっ!」


フランソワーズの前を行くグレートは、ちらり、ちらり、とフランソワーズへと視線を送り、背後にはジェロニモが寄り添っている。すでに階段を下りている張大人は、階段脇に立ち、見上げて、フランソワーズの様子を伺っていた。


「姫、だな」


ふう、とアルベルトの吐いた息が、風に乗って海へと旅立ち、彼の言葉だけが、ジョーの耳に残った。



「強い、よ?・・・姫は姫でも、・・・戦えるのって、リボンの騎士?」
「・・・・・それの方が古いぞ?」
「知ってる、アルベルトが怖い、最近ので”姫”で”戦える”っていうの、知らない」
「リボンの騎士は、リメイクしたからね!」
「・・・ピュンマ、知ってるんだ?・・・リメイク?」
「グレートが毎月買ってる雑誌にね!原作も読んだよ」
「オレも読んだぜ!漫喫で!」
「・・・・・・・アルベルトは?」
「手塚作品は一通り持っている」
「・・・いったい、どこで何をしているのか、報告書を出してもらおうか、これから・・・。俺より日本人してそうで、怖い、よ」



<亜麻色の髪の乙女に恋する、フランツ・チャーミングという、王子がいるんだが・・・知っているか?>



フランソワーズの利き足が、砂に触れたとき、アルベルト、ジェット、ピュンマ、そして、ジョーが階段下にたどり着いた。



<亜麻色?・・・・・リボンの騎士は、確か・・・黒髪のショートヘア、だろ?>
<サファイアが変装した姿に、惚れるんだ>
<サファイア?って誰?>


「サファイア姫の正体が、リボンの騎士。」


何の前触れもなく、突然ジェロニモが言い放った言葉に、フランソワーズが驚いて彼へと振り返った。
ジョーとアルベルトは、顔を見合わせて苦笑し、ジェットはニヤニヤと笑う。
ピュンマは微笑を絶やすことなく、張大人は濡れてしまているジョーのジーンズに、溜息をつき、風呂に入ることを進めた。
グレートは、腕を組んで周りの様子を伺いつつ、フランソワーズはきょとん、と。瞳を瞬かせながら、イワンを抱きなおす。


アルベルトが肺に含んだ煙を外へと解き放ち、言う。


「さて、009・・・。これからどうすればいい?」









9人の、戦士が揃った。



















「・・・・・戦いの基本、その1。相手を知ること、だよ」



009の言葉に002の顔が歪んだ。


「んなもんっ!もう十分だろっ!!」
「だから、復習。・・・・サイボーグの文字を1文字でも残すことなく、消すために。心配しなくても、今夜、こちらから動く、よ」


















=====68へ続く



・ちょっと呟く・


脳みそ入れ替え中のパソコンから取り出した、テキストが、ウィンドウズでは
見られなくて・・・・。


紙に走り書きした、イベントマップを頼りに書き進めていたら、迷い道。
プロット無視で進みます。
大筋の流れは同じなのですが、9と3のこころの動きが危ない(笑)



当麻くん、ここで告白?
いやいや、ここからっすよ!

いろいろとね!






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