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合鍵/ボクと彼女の関係は?



車の鍵に、ギルモア邸の鍵も一緒についている。
常に誰かが居るギルモア邸のために、普段フランソワーズは邸の鍵を持ち歩くことはない。

けれども、ギルモア博士の親友、コズミ博士がギルモア博士をヨーロッパの学会へ一緒に行こう。と、誘ったために、2つしかなかったギルモア邸の鍵を、増やす事になった。

1つは、常に共用自動車(ギルモア邸の住人、全員運転するが、ほとんどジョー専用車と言ってもいい)の鍵と一緒になってつけられていて、もう1つは、常にギルモア邸のリビングにある、アンティーク調の飾り棚の上に置かれたシルバープレートの上に、フランソワーズがアクアリウムで買った、ピンクのイルカのキーホルダーと、ともに放って置かれている。

今まで何の不便もなく生活していたが、今後もしかしたら、ギルモア邸に誰もいない。と言う状況が出て来るかもしれないために、せめて常に身を寄せている、ジョー、フランソワーズ、グレート、張大人、ギルモアは鍵を持つこと。と、なった。


「アタシと博士の分が必要なのよね?」
「うん、キミと博士の分だね」
「2つ?・・邸には、置いておかないのかしら?」
「じゃあ、3つ?」
「どうしましょう?」
「・・・とにかく、言われた通り2つ、作っておこう」


いつも買い物へ出かける車で20分ほどの場所にある、大型スーパー。
駐車場へと繋がる入り口のドアの隅っこに、シュー・リペアの店があり、スペアキーも受け付けている。

ピンクのイルカの鍵は、張大人と、グレートが共用で使うと話し合いで決まった。







様々な形の鍵は、金、銀、銅色を中心に壁にかけられて、店の左側はすべてウィンドウとなっているために、駐車場の様子が一目でわかる。
西日が射すようにウィンドウいっぱいに陽が照りつけて、金属製の鍵がきらり。きらり。と光る。


1畳ほどのカウンターに座る、おっとりとした年配の女性は、異国の香り漂う2人を良く知っている。

よく知っている。と、言う表現はおかしいが、週に1、2度夕方に2人は駐車場からやってきて、店前のドアから、スーパーへと入っていく。
その都度、天使の輪ができる、うっとりするようなハチミツ色の髪の女の子は、そっと、カウンターに座る女性にむかって、形よいふっくらとした愛らしい口元を微笑みにかえ、大きく、こぼれ落ちてしまいそうな瞳を細めて会釈して行くのである。

今時の若い子は、つん!と、して無視するか、ちらり。と、店に座る自分を見て、そっけなく顔を背けてしまうことが多いために、フランソワーズの印象は深く、しかも、彼女は日本人ではなく、フランス人。

そんな彼女が、店前を通り過ぎるたびに、魅力的な愛らしい微笑みをたたえながら、日本風に会釈するのである。
店番をする女性が、フランソワーズを覚えていない方が不思議かもしれない。









「いらっしゃいませ。靴の修理?」
「え、と・・・スペアキーを」
「あら、鍵?」


女性の声に驚きの色が含まれてたが、ジョーは気づかない。
フランソワーズは困ったように、少しばかり眉を寄せた。そして、ジョーの服の端を引っ張る。

女性は座っていた椅子から立ち上がり、興味深く明るい栗色の髪の青年と、異国の少女を交互に見つめた。


「すみません、この鍵のスペアキーを2つ、お願いしたいんですが」


青年は手に持っていた、焦げ茶色の皮で作られたシンプルなキーケースから、1つ、鍵を外してカウンターに置いた。


「ご自宅・・・の?」
「はい」
「2つ・・で、いいんですね?」
「はい、お願います」


カウンターに置かれた鍵を手にとり、女性は青年を見る。
いつもは通りすぎるだけで、長い前髪が邪魔して知る事がなかった青年の、端正な顔立ちに、ほうっと、見惚れてしまう。

ジョーが女性とやり取りしている間に、フランスソワーズは不安げな視線でジョーを見上げる。
女性の、少し含みのある声が気になった。


「2時間ほど、時間がかかりますけれど、よろしいですか?」
「はい、買い物をしているので・・・・」


ジョーは店先の壁にある、古びたプラスティックの丸い時計を見上げた。その視線の動きを追って、女性も時計を見上げる。


「6時過ぎ、にはできてますか?」
「大丈夫だと思いますよ」
「では、また来ます」


軽く頭を下げて、隣に立つフランソワーズを促し、店を出て行く。
若い2人の後ろ姿を見送りながら、女性は手に持っていた鍵を見つめた。


「同棲するのかしらねえ・・・」


性能良い、フランソワーズの耳にはっきりと女性の声が聞こえていた。









普段通りの買い物だけでは時間が余ってしまう。
スーパー内にある小さな書店にも立ち寄るが、なかなか時間はつぶれない。

フードコートで席をとり、向かい合わせに座る2人。
フランソワーズにソフトクリームでも食べる?と、ジョーは訊ねたが、彼女は首を左右に振り、non.と答えた。
何もいらない。と、言う彼女に、自分と同じMサイズのコーラを買って、テーブルに置く。


「気分でも悪いの、フラン?」
「別に」
「変、だよ?」


スーパーでの買い物中、フランソワーズはこころなしか元気がなかったことには、気がついていた。
それがいつからかは、ジョーにはわからない。


「・・・お腹がすいてないだけ」
「ソフトクリーム、だよ?・・・いつも帰りに食べたがるのに・・・」
「いつもじゃないわ・・・」


氷ばかりが入ったコーラのカップを持ち上げて、ストローを口へと運び、喉の乾きを潤しながら、ジョーは胸の中で、はあ。と、ため息をついた。


今回”も”何がフランソワーズの機嫌を損ねたのか、わからない。
女の子は地球外生命体だ。と、胸の中で呟いた。




黙って向かい合わせに座る、フードコートの席。
夕食の買い出しでスーパーは賑わい、小さな子どもたちの声がフードコート内に響く。
学校帰りなのか、制服姿の学生たちも目立ち、楽しげにトレーに乗せたジャンクフードを夕食前にも関わらず、胃に詰め込んでは、けらけらと、明るく笑いあっている。



黙ったままのフランソワーズに、降参。と、ばかりに両手をあげてしまったジョーは、周りの様子をなんとなく眺めていた。

コーラが入っていたカップは、氷ばかりのために、その役目を果たし終えたにも関わらず、いまだキンキンとカップを冷やし続けている。


「飲まないなら、ボクがもらうよ?」


フランソワーズの前に置かれた、注がれたままのコーラカップに手を伸ばした。








ただ、遅く、緩やかに、腹立たしいほどの和やかすぎる時間が過ぎていく。


ジョーがフランソワーズの分のコーラを飲み終えたころ。
やっと、貝のように口を閉ざしていたフランソワーズの、くちびるが動いた。


「鍵、アタシいらない」


高校生らしき、3、4人の女の子たちが、2人の座る席を横切る。
聴きたくもない、会話が聞こえてくる。





仲間。
家族。


恋人同士?




・・・同棲・・・
同居、でしょう。














「もう、鍵はつくったんだし・・・。持ち歩かなくてもいいから、一応ね」


すれ違い様に、女の子たちはジョーを見る。
その視線に誘われたかのように、そちらへ振り向いたジョーにむかって女の子たちは、その年頃独特な、甘くて黄色い反応を見せた。





ケンカなんか、してないわよ。





胸の中で文句を言い、そして、女の子たちと視線があったために微笑んだジョーにたいしても、小さく文句を言った。



恋人じゃない、わ・・・。












2人の椅子やテーブルに置かれた買い物袋の中を見れば、そこに恋人同士。というような甘いものは1つと見当たらない。



「そろそろ、できてるかな?」


立ち上がったジョーにむかって、フランソワーズは手を差し出した。
その仕種は、まるで子どもがおコズカイでも強請るようだ。


「車の鍵。・・・・・・荷物と一緒に先に車に行くから」
「通り道だよ?けっこう買い物したから、重いし」
「鍵」


へそを曲げてしまった、彼女は頑としてその意見を曲げないことを、よおく知っているジョーは、仕方なくジーンズのポケットから、焦げ茶色のキーケースを出して、白くて柔らかそうな手のひらに置いた。


「すぐ、追いかけるから」


そんなジョーの言葉を無視するかのように、”自分の分”だけの荷物を持って、足早に歩き出し、今日、3度目のため息はしっかりジョーの口から漏れた。








目立つ、ハチミツ色の髪色の女の子の姿を目にして、注文された2つの鍵と、預かっていた鍵、計3つをカウンターに置いた女性だったが、彼女は店先で足も止めず駐車場へと去って行ったことに、怪訝そうに眉を顰めて、次に、栗色の髪の青年が、彼女を追いかけるようにして、姿を現した。


両手に、荷物を抱えて。



「すみません、鍵は・・・?」
「できてますよ、はい。こちらです」
「ありがとうございます」


青年はカウンターに置かれた、鍵を確認し会計をすます。
よけいなおせっかいだと思いつつも、女性は胸は一言言いたくて、うずうずと口が落ち着かず、青年が財布にレシートをしまう様子をみながら、とうとう、口から言葉が溢れ出した。


「ケンカでもしたの?」
「いえ、そういうわけ・・・じゃあ」
「・・・・可愛らしいお嬢さんだけど、やっぱり外国の女の子ねえ、最近の日本の女の子も気が強いけれど、生活習慣も違うから、何かと大変でしょう?」


曖昧に微笑みながらジョーは財布をしまい、カウンターの上の鍵を手に取った。


「・・・・お兄さん、若いのに・・・急がなくてもいいんじゃなくて?・・・同棲したら、夫婦と変わらなくなっちゃうもの。まあ、いろいろとがんばってね」












同棲・・・?!
夫婦・・・!?













見開いた瞳は、瞬きすることを忘れた。



フランソワーズが助手席に座る車へと向かい、荷物を後部座席に放り込んで、運転席に体を滑り込ませたジョーは、フランソワーズから車の鍵を受け取りながらも、それを差し込むことなく、まじまじとフランソワーズを見つめた。


「・・・帰らないの?」


フランソワーズに不思議そうに覗き込まれて、近づいてきた碧の瞳にどきり。と、心臓を跳ねさせる。
心臓の音を聞かなかったことにしようと、ごまかすようにジョーは車のキーを捻り、エンジン音に耳を澄ませてアクセルを踏む。


「あの、イルカのキーホルダーも一緒にグレートと張大人は持っていったのかしら・・・」


独り言のように呟いたフランソワーズの言葉に、ジョーは答えなかった。


いや、答えられなかった。









頭の中をぐるぐると、回る言葉は”同棲”と”夫婦”。








一緒に住んでいるだけで、どうしてそうなるんだ?

その前に、恋人、・・・・だって言えるような、その・・・。

同棲、って・・・、同居?えっと・・・ハウスメイト?

だけど、ええ?同棲、同棲って、同居とどう違うの?

それなら、ギルモア博士も、イワンもいるのに・・???






自分で問い、自分に言い訳するのに必死で。
その後、フランソワーズに何を話しかけられても上の空だったために、再び、ジョーはフランソワーズが何に機嫌を損ねたのか、わからないままに1日が終わっていった。







その夜。
自室のパソコンでウィキペディア調べる、ジョー。



同棲(どうせい)とは、
1 一つの家に一緒に住むこと。
2 Tacticsの18禁恋愛シミュレーションゲーム。1.をテーマに扱っている。
本項では主に1.を取り扱う。

概要
「同棲」という言葉を使う場合、特に結婚していない(恋愛関係にある)男女が、共に暮らすことを指すことが多い。
「同居」との違いは、そのケースによって曖昧な部分はあるが、恋人同士である場合やそれに近い場合などでは、一般に「同棲」という言葉を使う。
ヨーロッパなどでは、結婚せずに同棲のみするカップルが増え、スウェーデンでは結婚したカップルの99%が同棲を経ているという。現在の日本においても、大学生以上の恋人同士であれば、自然と半ば「同棲」を始めるカップルも多く、社会常識的にも咎められるものでは無くなりつつある。
家の鍵を恋人に渡すことで、恋人が自分の家の出入りを自由にできる状態にすることを、「合鍵同棲」あるいは「通い同棲」と呼ぶ。


ついで、goo辞書にて検索。

同棲
(名)スル
(1)一つの家に一緒に住むこと。
(2)特に、結婚していない男女が一緒に暮らすこと。
「学生のころから?していた」








同棲、と言えなくもなく、けれども同居と言う方が正しい。

それは、日本であるため?
国外では同棲。と、言ってもおかしくないかもしれない。

とくに引っかかる部分が、一番曖昧になっている関係。



(恋愛関係にある)男女。
恋人同士である場合やそれに近い場合。














3つのスペアキーはギルモア邸のリビングルームにおかれた、アンティーク調の飾り棚にある、シルバープレートの上に、並べられている。










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