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思わず笑ってしまう/アタシの秘密を知った彼

張大人とグレートが3駅先の繁華街に、お店をOpenして以来、週末の買い出しは、いつの間にか2人の仕事になっていた。

週1、2度のペースで買い出しに行く先は、車で20分ほど離れた場所にある大型スーパー。
最近は、張大人が店で仕入れる食材をギルモア邸に差し入れてくれるようになったため、スーパーへ出かける回数が減っていく。


それが、ほんの少しフランソワーズを寂しい気持ちにさせたコトを、誰も気づいていない。












いつものスーパーのとある一角。
フランソワーズのお気に入りのコーナーは駄菓子の棚。
とくに、食玩・玩菓に弱い。


「1回の買い物で、1個だからね」


ジョーは床にしゃがみ込んだ、天使の輪を持つ女の子、と言うには成長しすぎた、フランソワーズの頭に向かって呟いた。


「っもう!言われなくてもわかっているわ。どれにしましょう?・・んっと、先週ね、やっと全部”こげぱん”ちゃんのシリーズがそろったのよ。すごいでしょ?だから、今日からは・・・」


さまざまな箱を手に取っては追った膝の上においていき、右手、左手に、大小様々な箱を棚と膝の上を往復させる。
空っぽの買い物カートを邪魔にならないように、棚に寄せて立つジョーの深い溜め息など、聞こえてはいないのだろう。

これはスーパーで買い物をするための儀式。と、言ってもいいかもしれない。
スーパーに入ったら、まず、玩具・食玩のコーナーでフランソワーズが1個だけ、買い物をする。
前に、シリーズ全部をすぐに集めたくて”大人買い”をしたことを、ギルモア博士に怒られたのだ。

どういう風に怒られたのかは、ジョーは知らない。が、それ以来、フランソワーズはスーパーへやって来るたびに、毎回1箱だけ買い求める。(たまにコンビや、その他の場所でも買い求めているが、かならず1箱で、”大人買い”することはなくなった。)


「何が入っているか分かるやつにしたら?・・・ダブらなくていいと思うけど」
「そんなの、買う楽しみがなくなっちゃうわ!中身がわからないから、いいの!」



ーーーダブった中身をボクに押し付けないんだったら、別になんでもいいんだけどさ・・・。




中身がわからないため、同じものが箱から出て来る度に、フランソワーズはそれをジョーの部屋の、まだ、本が置かれていない空間に並べていくのである。

それは、ジョーが知らない間に密やかに行われ、だいたい週明けの夜には、何かが増えていたりする。
おかげで、置かれた食玩に本棚の貴重なスペースを奪われている状態のため、あまりジョーは快くは思っていない。



2回目の、ジョーの溜め息が聞こえたのか、おおきくて、こぼれてしまいそうな宝石は、むっとした色を放った。
彼女のご機嫌を損ねてしまいそうな溜め息を、慌てて口の中にしまいこもうとしたが、出てしまったそれは、すでに空気にまぎれてしまい、どれが自分の吐き出したものか、わからない。


「・・・別に、そこで待ってなくてもいいのよ?先に買い物をしていてくれて」


「出来るなら、とっくにそうしてます」と、言う言葉が喉から飛び出してきそうなのをぐっと、耐えると、ジョーの口がへの字になった。


見上げる空色の瞳の人が薄く下唇を噛む。と、同時にぷっと、頬を膨らませた。
飲み込んだはずの言葉が聞こえたようだ。




さすが、003。



それは、喉を通らずに胸の中で呟かれた。



ごそごそと、フランソワーズの手が再び膝と棚のを行き来しはじめる。
ジョーは黙ってそれを眺めている。

すると、突然。


「あ!・・・これ、これにするわっ」


きちんと整頓されていたはずの棚が、フランソワーズにかき回されてできた隙間に手を突っ込んで、引き寄せた2つの箱を手に取った。


「すごいわっ!もう販売されてないって思っていたのっ」


立ち上がったフランソワーズは、膝の上に置かれていた箱が落ちるのを、興奮してしまっているせいか、気にしない。
ずいっと、ジョーの目の前に突き出された箱、2つ。


「・・・・1個だけだけど?」
「でも、最後の2個みたいなの!」














####

ギルモア邸に帰り着き、買い出ししたものをキッチンのカウンターテーブルに広げて、冷蔵庫やストック用の棚に収めていく。地下の研究室から、夕飯の時間より少し早くやってきたギルモアが、キッチン内にいる2人を見つけて、皺を濃くして何度か頷くと、ふと。カウンターに置かれた、同じ柄の箱が2つ。重ねて置かれているのを目にする。


「フランソワーズ、1個じゃなかったかのう?」


調味料類が納められている棚を開けようと、のばした白い手が、ぴたり。と、宙で止まった。


「あ、それ。もう1つはボクの分です、博士」


間をあけず、ジョーが答えた。











夕食後。
リビングルームでいそいそと2つの箱を開け始めるフランソワーズを、食後の珈琲を飲みながら見ているのは、ジョー。

1つ目の箱から出てきたのは、蛇の目傘に丸い1つ目。ひとつ足に下駄をはいて、長い舌で”あっかんべえ”をしている、おどけたキャラクター、”唐傘小僧”の携帯ストラップ。


そう、フランソワーズが買い求めたのは、”日本・妖怪シリーズ”の食玩だった。


ジョーが目にしたそれは、予想以上にリアルに作られていて、今の食玩はすごいなあ。と、言う感想と、それを「可愛い!」と、呟いたフランソワースの感覚に、先週買い求めた”こげぱん”シリーズとは、傾向が180度違うと、疑問に持ったのは、ほぼ同時。



女の子ってわからない。と、苦い液体を口に含み、訂正する。




ーーーいや、フランソワーズがわからない。








持っていないものだったのか、大事そうに手にのせて眺めるフランソワーズの、きらきらとした明るく愛らしい笑みをみて、ま、いいか。と、口に含んだ苦みを味わいながら喉へと通す。


2つ目の箱に手を出して、出てきた品にたいするフランソワーズの反応に、ジョーは、思わず口に含んだ珈琲を吹き出しそうになる。

表情豊かなフランソワーズは、こころの動きが素直すぎるほどに顔に出るため、彼女のおおまかなこころの動き追う事は簡単だった。

そこにジョーが理解できる”原因”があればの、話しだけれど。


「持ってるの、だった?」
「残念・・・・ねえ、ジョー」
「なに?」
「ジョーの携帯電話、貸してくれる?」
「?」
「出して」


持っていた珈琲カップをテーブルにおいて、少しばかり腰を浮かせて携帯電話を取り出し、1人分、距離をあけて座るフランソワーズに渡した。


「・・・どうするの?」
「だって、これジョーの分だもの、つけるの」
「・・・え?」


携帯電話を購入したときに、備品としてあった、飾り気のないただの、ヒモ。の、ストラップを外し、妖怪”子泣きじじぃ”のキャラクターストラップを、ジョーの携帯電話につけて「はい♪」と、嬉しそうにそれを返した。


ジョーの携帯にぶらり。と、ぶら下がる、リアルな泣きっ面のおじいさんは、赤い前掛け、蓑を背に。


「・・・・・え?」
「ふふ、可愛いでしょ?」


ジョーの戸惑いと、漏れかけた溜め息は珈琲によって、フランソワーズに伝わる事を防ぐ。









####


「アイヤ?これ、フランソワーズのあるネ」



数日後。

ダイニングルームのテーブルに置かれていた携帯電話を手に取った張大人は、ギルモアと出かけたフラソワーズが、携帯電話を忘れて出て行った。と、リビングルームにいたジョーに伝えた。


駅まで2人を車で送って行き、帰ってきたばかりのジョーは、ソファに腰を落ち着ける事もなく、うろうろとリビングルームを彷徨っていたところ。


「何してるアルか?」
「・・・探しもの、て・・・ああ、大人がみつけてくれたんだ、ありがとう」
「アイヤあ。これはフランソワーズのアルヨ?」
「探していたんだ、携帯。・・・それ、ボクのだよ?フランソワーズと同じ機種だけど、彼女のは、ピンクだろ?」


張大人は、手にある携帯電話がシルバーであることを、確認する。


「あららら?・・・ほんとアルネ、でも、このストラップ・・・・・」
「ストラップが、どうかした?」
「これ、どうしたアルカ?」
「ほら、いつもの・・フランソワーズが買うおもちゃ付きの、ね。・・・ダブったみたいで勝手につけられただけだよ」


にんまり。と張大人は笑う。


「あいやあ、いいあるねえ」
「なにが?」
「ダブったから、あるかあ?」
「そう、同じものを2個も、3個もいらないだろ?・・・そういうのが、全部ボクにまわってくるんだよ。ほんと、困るよ」


にんまり。とした笑いがにやにやとした嗤いに変わる。


「2個も、3個も同じものアルかあ・・・。ワタシもグレートはんも一度もそういうのもらった事ないアルヨオ」
「・・・欲しいならあげようか?ボクの部屋にいっぱいあるよ?」
「いやいやいや、だめアルヨ!ジョー、絶対にそれらを人にあげちゃ駄目ネ!!!」
「?」
「せっかくの”お揃い”アル、大切にしてあげるネ」






お揃い?










「同じものを持ってる、女の子にとって、とっても、とっても、重要なことネ!」














同じもの?













「可愛いアルネ♪そうアルカ・・・お揃い、ねえ・・・お揃い」
「c、大人・・そういう、その、そういう意味で、フランソワーズがくれたわけじゃ・・・・」
「大ありヨ。フランソワーズの携帯電話、みるヨロシ!お揃いネ」
「・・・・・・」


張大人は、ぽんっと、ジョーの手の平に彼の携帯電話を乗せて、キッチンへと戻っていく。
ぱたん。と、リビングルームのドアが閉まり、手の中にある携帯電話を目の前まで持ち上げた、ジョー。


ゆらゆらと揺れるのは、八の字眉に泣きっ面のおじいさんは、赤い前掛け、蓑を背に、裸足で胡座をかいている。リアルな作りの、妖怪”子泣きじじぃ”。



ーーーこれと同じものが、彼女の携帯電話に?


「・・・・お揃い、なんだ・・・」


ーーーでも、なんで”妖怪”で”子泣きじじぃ”なんだよ?





ふと、自分の部屋の本棚を思い出す。
フランソワーズが勝手に並べる、”ダブったもの”たち置き場。




「あれ、全部が・・・彼女とお揃いってこと?」



思わず、ふっと、笑いがこぼれおちた。


「次回から、参戦した方がいいかなあ・・・。フランソワーズのセンスじゃ、これだもんなあ」


ぴんっと、爪先で妖怪・子泣きじじぃを弾き、携帯電話をジーンズにしまった。










####


翌週のスーパーで、ハチミツ色の髪の少女と、栗色の青年が、玩具・食玩コーナーに座り込み、ああだ、こうだ、と言い合う姿がみかけられた。


「もっ!1個しか買えないのにっ、ジョーって趣味最悪っ」
「ええ?!フランソワーズに言われたくないよ、なんだよ、この”アメコミヒーロ/ゾンビ・シリーズって!」
「ジョーこそ、これ!パンダ組シリーズだなんて・・」
「可愛いよ、これ。あ、ウサギ組の方がいいかな?でも、パンダの方が、愛嬌があるっていうか・・・フランソワーズこそ、”こげぱん”シリーズから、なんでそういうのになるかなあ?」
「あら、ス○イダーマンがゾンビにdeformerされていて、素敵でしょ?可愛いわ!」
「悪趣味だよ、・・・こっちの”イツデモ一緒・シリーズ”のト○、可愛いよ?これにしない?」
「・・・・・・ジョーって」
「なんだよ?」


ふう・・・っと深い溜め息をついたフランソワーズは、ぽつり。と呟いた。


「・・・オトメン(乙男)だったのね」
「なんだよ、そのオトメンって?」
「ウィキペディアへgo!」
「・・・教えろよ、絶対に変なことだろ?」
「やっぱり、これよ。これに決めたわ!行きましょう」


ジョーの質問を遮って立ち上がったフランソワーズの手には、アメコミヒーロー/ゾンビ・シリーズの箱が握られていた。



「お揃いなら、もう少し・・・それらしいものがいいんだけなあ」


そんなジョーの呟きは”都合良く”フランソワーズには届かない。上に、それを面と向かって彼女に言う事もできない。


003のくせに。と、毒づいてみせる。
こういうときに、聞こえないのはどうしてだ?と。
















*どうしてでしょうね?・・・9目線が多いのはなぜ?そういう時期らしい*
*おまけ*


ぎるもあてー・リビングルームにて。

「食玩なんかでお揃いしてないで、ペアリングの一つも買ってやればいいのに、気がきかないねえ」
「まだまだ、2人には早いアルヨ」
「スーパーにはそういうおもちゃのアクセサリーなんて、売ってないのかのう?」
「といいますかな、博士・・・。姫は気づいてないようですぞ」
「何にじゃ?」
「ジョーにお揃い計画がばれていることアルヨ」
「・・・秘密じゃったのか?」
「秘密だったみたいアルヨ」
「可愛いねえ、姫は」
「・・・儂が思うに、それは、本当にそういう目的じゃったのかのう・・・・純粋に2個も3個も同じものなど不要じゃから、・・・ジョーに押し付けていたんじゃ・・・」
「「・・・・」」
「黙って、おこうな、な、な?」


慌ててギルモは、話をなかったことにした。
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