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唇/ボク・アタシの初めての・・・・?
「いいよ、これくらい・・・大丈夫だから」
「切れてる・・わ」


不意をつかれて1発。


敵から受けた傷じゃないことだけが、ジョーの少しばかり苛つく胸の荒波を、それ以上、目の前にいるフランソワーズにぶつけなくてすんだ。


「どうしてジェットがジョーを殴ったりしたの?・・・いつもの口喧嘩じゃなかったの?ジョーも・・・彼に殴られるようなことをするなんて・・・ケンカなんかしないで。仲間なのに・・・」


細く整った眉が八の字に下がり、泣きそうに、こぼれ落ちそうなほどに大きな宝石が涙に滲む。
メンテナンスルームの無機質な白の明るさに、きらり、きらり。と煌めかせ、心配げに、長く宝石を縁取る睫が悲しげに瞬くのを見て、ジョーは下くちびるの内側を軽く噛んだ。

拗ねたように尖らせて見えるくちびるの右端に、円を描くように赤から紫にグラデーションする痣。
咥内に広がる血の味が、内側の頬肉を切ってしまっていることがわかる。


「痛そう・・・原因は何?」
「・・・・・・言いたくない」


ジョーの呟いた答えに、溜め息をつくと同時にフランソワーズの目蓋が、閉じて、頬に影をつくる。


「どっちが悪いの?」
「知らない」
「・・・・・ジョーなのね?」
「・・・・・・・」
「ジョーでしょ?」


深い碧の宝石に覗き込まれて、そっぽを向く。
その顔を、小さく華奢な手の、細くて長い、整った桜貝色の爪をもつ指先が追う。


「痛そう・・・」


触れられたグラデーションする痣に、引き攣るのは痣とは反対側の頬。
そして、その指がジョーのくちびるをなぞる。


上くちびるに伝う、爪。
下くちびるを撫でる、中指の腹。




「もっと、腫れてくるわ、きっと・・・」



息を吸い込むために、震えて、少しばかり開いたジョーのくちびる。






「口の中も切ってるんでしょ?今日はジョーのお夕食はぬるくしないと・・・」


離れていく指先。
追いかけていきたい衝動に舌がくちびるにはさまれる。








「イワンと一緒のミルクにしちゃいましょうか!ケンカのお仕置き!」


とっても素敵なアイデアでしょ!と、言わんばかりに、柏手を打った小さな白い手。


























ケンカの原因はキミなんです、けど?










「イワンのミルクなんか、飲めるかよ!」


殴られた痛みと、それっぽい雰囲気(ムード)が壊されて、立ち上がって、自分のそばから離れようとするフランソワーズへの不満が、ジョーの口調を少しだけきつくする。


「もっ!こんな痣を作っていて、口の中も切ってるのに!普通のお食事なんて絶対、痛いわよ?!ケンカのお仕置きなんだものっ」
「食うよっ普通に!もっと酷い怪我のときだって普通に食ってたんだぜっ!なんでオレだけお仕置きされなきゃなんねえんだよっ、殴られたのっオレなんだぜ!わかってんのかよっ」
「・・・・ジョー」
「っだよ」
「そんなに乱暴な言葉を使うお口には、こうですっ!」


立ち上がろうとしていたフランソワーズは、素早くイスに座り直した。

フランソワーズが作り出した風のために、ジョーの鼻腔にいつもの距離で香るよりも10倍は濃く香り、ジョーの視界はフランソワーズの碧の宝石だけに捕らえられ、宝石を縁取る長い睫の、ゆったりと扇いだ微風が、彼の頬の上を撫でる。


”イワンのミルク”発言に不満であった、拗ねたように、不満げにつきだしたくちびると、重なったのは彼とおなじだけど、同じじゃない、彼女の、もの。










音もない、柔らかく、甘い、感触、は、触れられた、彼女の指、とは、まったくの、別もの。


















な、?!


えぇ?









超至近距離で見る、宝石に映った、驚きに固まった自分自身の顔。
触れ合ったばかりの、フランソワーズの艶ある、ふっくらとした形良いくちびるの動きを追う。


「いい?そんな乱暴な口はきかないでください、ジョーらしくないわ。・・・もっとお仕置きしちゃうから!」







お、おし、お仕置きって・・・キミ・・・・・・。







離れていく花の香り。
いつのまにかジョーの膝にあった彼女の手が残す、熱さ。
手跡が、焼き印を押されたように、ジョーの膝に残る。








「ジョーはここで、1人反省会よ。みんなの様子をみてくるわ、きっと心配してるんだから!」



イスから重力を感じさせずに、ふうわりと立ち上がり、メンテナンスルームのドアへと向かう、フランソワーズ。


そして、ごく自然に、何事もなかったかのように、振る舞う。















あの・・・・・・今のって、その・・?


メンテナンスルームから出て行こうとする、フランソワーズを視線だけで追うジョーの、驚きに硬直したままの躯は、いまだに自由が効かない。



「もっと、お仕置きしてほしいなんて、Hなこと考えちゃ駄目よ?」







!!






フランソワーズの最後の言葉が、ぐるぐる、ぐるぐると、頭のてっぺんから足のさきまで、躯中を駆け回り、ふわふわとした目眩を感じるジョーは、その場に1人残された。
・・・・やっと動くようになった躯をのろのろと移動させ、メンテナンスルームのベッドへと俯せに倒れ込む。









なんなんだよ・・・・・・もっとお仕置きって、
おい・・・・・・。



彼女にとって、こんなの・・・・・挨拶程度なんだからな!

挨拶程度!



そうっっ!
挨拶っ!



お仕置きっ!



お。






お。し。お・・・・・・・・き





「もっと、お仕置きしてほしいなんて、Hなこと考えちゃ駄目よ?」








・・・・・・・・・・・ああああああああああ!!!














*ドルフィン号の備品であるベッドを壊した”理由”をギルモア博士に問いつめられて、普通に”むしゃくしゃ”して。と、ケンカを理由にしたらいいのに、できなくて(思いつかなくて)口ごもる、ジョーの、そのまじめ?さが可愛い。と、付け足しておきます(笑)*

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