RSSリーダー
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2
ゆびきり/アタシが彼に約束したことは・・・

「ジョー、ねえ。手を貸してくれる?」


イワンを連れて日光浴へと近くの公園へでかけていたフラソワーズは、帰って来るなり、地下のギルモアの書庫に向かう。
そこでで積み上げられた資料の整理をしているジョーの腕をひっぱり、彼の小指に自分の小指をひっかけるようにして絡めると、突然。


「ゆ~びき~り♪、げんまん♪、う~そついたら♪♪、はありせんぼん、のおますっ、ゆうびきった!」


公園で小さな子どもたちが、短い歌のような呪文を口々に唱えたていたので、フランソワーズはその言葉を覚えて、ジョーにしてみせた。


「・・・フランソワーズ、指を切ったんなら、小指を離さないと」
「あら、そうなの?」
「うん」
「これ、なあに?」
「・・・・・ボクはいったい何を約束させられたの?」
「約束?」


書庫のデスクチェアに座るジョーを、不思議そうに見下ろすフランソワーズ。


「知らずに、指をきったわけ?」
「これ、Une incantation(呪文)なの?」


くるり。と、回転させたデスクチェア。


「知らないで言ってたの?・・・誰かと何かを約束をするときに、それを守らなかったら、嘘をついたことになって、お前の”指を切断するぞ”、”1万回殴らせろ”それから”針を千本”食べさせるからな!って言う意味なんだけど?」



ジョーはフランソワーズの正面へと向いた。


「まあ!・・・怖いわ、それ・・・そんな怖い言葉を公園に居た小さい子たちが使っていたの???」
「・・どこの国にもそういう部分ってあるとは思うけど、日本も昔は、残酷なことしてたと思うよ。確か・・・指切りの語源って、遊女が通いの客にたいして、自分への愛が変わらないって言う誓いの証として、小指を切断させてた。ってことからきてるって聞いた事があるよ」


ジョーの言葉に、さらに驚く碧色の宝石。


「・・・・すごいわね、それ。指を切る事が愛の証なの?」
「それくらい自分は本気だっていうことじゃない?」


再びジョーは、くるり。と回転させて、デスクに向かい、フランソワーズから視線を外す。


「切った指はどうするの?」
「え?」


フランソワーズの、予想だにしていかった質問に、跳ね上がるようにして彼女へ振り向く。


「ねえ、切られちゃった大好きな人の指は?」


興味深げに、瞬く宝石。
小鳥のように右に少しばかり傾いたハチミツ色の髪が、さらり。と流れる。


「・・・・知らないよ、そんなの」


ジョーは考えた事もなかった。


「・・ユウジョさんが持っているのかしら?」


---遊女さんって・・・


多分、”遊女”の意味もわかってないんだろな。と、胸の中で呟いた。
その意味をジョーは、フランソワーズに説明するつもりはない。
なんとなく、そういうことを知ってほしくない気がしたために、だ。そのために、そこへ話しがいかないよう、注意する。


「今みたいに、冷蔵庫とか、保冷ボックスとかなかったから、生身だし、腐ってしまうだろ?・・・持っていてもどうしようないとおもうけど。相手が”小指を切った”と、言う事に意味があるんだから、切った指は、それほど重要じゃないんだよ」
「・・・・」


ジョーの説明になっとくしたのか、にっこりと花やかに微笑んだフランソワーズ。


「なに?」
「だって腐らないもの!」
「?」


フランソワーズはデスクの上に戻っていた、ジョーの右手をとると、再び彼の小指に、自分の小指を絡めた。


「ゆ~びき~り♪、げんまん♪、う~そついたら♪♪、はありせんぼん、のおますうっ♪、ゆうびきった!」


ぱっと、フランソワーズの小指が、ジョーの小指から離れ、”指を切られた”。


「・・・・だから、約束の唄なんだけど?ボクは何を約束させられたわけ?」
「秘密!」
「それって使い方間違ってるよ?秘密にされたら、ボクは破ったかどうかなんて、わからないじゃないか・・・。それに嫌だよ、小指を切られた上に、1万回殴られて、針を千本食べるなんて・・・」
「嘘つきにならなければいいのよ、約束を守ってくれれば問題ないわ!」


ジョーはなんとも情けない顔をで溜め息を吐く。


「だから、その”約束”は何か、教えてくれないと・・・”約束”できないし、それを守る事もできないよ?」
「だって、ジョーは009だもの!指を切られても、博士に作り直してもらえばいいし、アタシに1万回殴られても、同じでしょ?たいしたことないわ。私の手の方がどうにかなっちゃいそう!・・・それに、針だって、あとできちんと取り除いてもらえるのよ?」
「・・・・・・・破る事前提なわけ?ボクが」
「破らないわ、だってジョーだもの、守ってくれるって信じてるわ」
「だから、何を約束したの?ボクはキミと!」
「ひ~み~つ!」


嬉しそうに、スキップでもするかのように書庫から出て行くフランソワーズ。
書庫の扉が閉まり、ジョーは溜め息をもう一つ吐いた後に、再び書類の整理へと戻っていく。

















ジョーが約束したんじゃないわ。
アタシがアナタに約束したの。























http://gogen-allguide.com/
「ゆびきり」については、語源由来辞典を参考。


*おまけ*


10分後、地下へと再び舞い戻ってきたフランソワーズの口から、ジョーが説明したくなかった質問”遊女”について、しつこく、しつこく問われた。


「通ってくるお客さんの指を切って、自分だけが生涯のパートナーだと誓わせてしまうようなところで働く、女のひとたち!」


と、説明した後に・・・。


「アタシも働ける?」


ジョーはフランソワーズの回答に悩ませられたが・・・・次の彼女の言葉に思考が一時停止した。


「そこで働いたら、ジョーはお客様として来てくれるのかしら?」
「・・・・」
「ねえ、来てくれるの?」
「・・・・」
「ヒドイわ!私が働いているのに、来てくれないの?!・・・みんなはきっと一所懸命に来てくれるはずよ!」
「みんなは、この場合関係ないよ、・・・・・・・・・・行く、から・・・・」


ぼそっと、呟いた。


「でも、・・・どうしてお客様と恋愛関係になってしまって、指を切ってしまうくらいな”誓い”が必要なのかしら?そのお仕事ってそんなに大変なの?2人の関係が危なくなるような、お仕事?」
「・・・・・・・」



フランソワーズの興味はつきない。
つぎつぎ飛び出す疑問の声に、


「・・・・ああっもうっ!禿(かむろ)のころから面倒見るし!水揚げされたら一番目の客になるっ!絶対に通って、他の客なんて取らせないっ!いくらでも指を切って誓うっ!ちゃんと身請けの千両(7500万円)も払う!もういいだろっ」


珍しく声を荒げたジョーの早口。
そして、言い切られた言葉。
その意味のほとんどがわからなかったフランソワーズだけれど、何に納得したのか、嬉しそうに頬を上げて微笑んで、小指をジョーの目の前に出した。


「約束よ!ゆびきりしましょ?」
「・・・・・・」




だまって指切る、ジョーがいた。




















*10分前に、何を約束したのかは、どうぞご自由に...決めてあげてください>あ、逃げ!・・・・それにしても、ジョー、詳しいね(笑)*
web拍手 by FC2
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。