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Day by Day・70
(70)






「・・・わからない。のですね?・・・自分でも、自分が、自分をどうしていいのか、もう・・・わからないのでしょう?」


闇の中から、涼やかに、愛らしい、声が秀顕の耳に届き、青年の背後に隠れた闇に染まったまま、顔が判別できない青年の肩をすり抜けた、間接照明の光に色濃くした蜂蜜色の絹糸がかかる肩だけが秀顕の視界に捕らえることができた。


そして、その声の人物に興味をもつ。


「・・・女の、サイボーグか」
「003?」


擦れた声で、囁くように彼女のコードナンバーを読んだ、009。






「あなたは、幸せですか?」


秀顕は、今までの会話から検討はずれの内容の質問に、嗤いを浮かべていた顔がそのままに固まった。


「いつですか?・・・あなたが”幸せ”を感じたときは、いつですか?今日ですか?昨日?・・・・・・・もう、思い出す事もできない遠い昔・・・ですか?」
「・・・」


秀顕は、一瞬何を訊ねられているのか、涼やかな声が語る言葉が同じ日本語であるか、どうかさえも判断することさえ難しく感じるほど、その声の内容に、どう返答して良いのか分からなくなり狼狽する。


009の目にも、秀顕の狼狽ぶりははっきりとわかる。






「・・・朝起きてからすぐに、カーテンを開けて、晴れた空を見上げるんです。・・・それが、曇りの日でも、雨の日でも・・・。見上げる空のご機嫌を伺う事から、1日が始まる・・・・そして、波の音を聞いて、窓を開けたら潮の香りが気持ちよくて、ときおり雨の香りが含まれる事もあるし、遠くの・・懐かしい香りもある。


・・・毎朝作る甘くしたカフェオレが、エネルギーをくれる。

早めに起きて作った少しだけ豪華にした朝食を喜んでもらって」




淡々と、003はギルモア邸の”フランソワーズ”の1日を語り始めた。



秀顕は混乱する。が、003はおかまいなしに言葉を続ける。
009は、振り返って彼女をみつめた。
暗い闇に立つ彼女でも、暗視モードに勝手に切り替わる眼は、しっかりと003の表情(かお)を見ることができた。


009の視線に、ギルモア邸で見るのと変わらない、花が咲くように明るく愛らしい笑顔があった。
視線が009と合ったがために、途中言葉が途切れる。


その間を、秀顕は態勢を整えて003の言葉が続く前に、彼の口から言葉が発せられた。


「いや・・・参った・・・・・。声の感じからするとお嬢さん。と、言う感じがするんだが、ねえ・・・お嬢さんはいったい、何がいいたいのかな?ここへはあなたの日記でも読み上げるために、いらしてくださったのかな?私としては、いっこうにかまわないんだけれど・・・・やれやれ、驚かされた。ああ・・・驚いたよ。本当に驚いた!」


声を張り、秀顕は003に向かって驚きと感嘆のまじった言葉を口にしたが、彼の表情は明らかに彼女を嘲戯を浮かべた目で捕らえている。


「・・・・・驚くような、こと・・ですか?」
「お嬢ちゃんは、もうお休みの時間じゃないのかねえ?・・・・なんなら私が寝物語でも読んで差し上げようかねえ」


幼い少女に話しかけるように、言葉の速度を大げさにゆるめ、003へと話しかえた。


「・・・・どんなお話をしてくださるのかしら?」
「どれがいいのかなあ?・・・シンデレラ、白雪姫・・・・幸せに王子様と出会うのがいいかねえ」


嘲る嗤いを口元に含む、秀顕。


「いいえ、私が聞きたいのは、あなたが幸せな時の、あなたが、毎日をどのように生きて、どのように感じて、春を夏を秋を、・・冬を・・・巡る季節に、あなたが、あなたらしく感じてきたことを、お聞きしたいわ」
「・・・・なんだ、それは?」
「あなた自身のお話がお聞きしたいのです。霧の中に立つあなたではなく、晴れ渡る青空の下に立つ、あなたの本来のお話を”篠原秀顕”のお話をしてくださいますか?」
「・・・・私の話しかね・・・・、今までずっと語ってきたんだがねえ・・・お嬢ちゃんには難しすぎたかな?」
「いいえ、あなたは一切、あなたのお話をなさってません」
「・・・おや、そうかね?」
「ええ。そうですわ・・・・・B.Gでもなく、N.B.Gでもない、スカールも、ボグートも、・・・他の方のことについては、たくさんお話くださったのですけれど、肝心のあなた。を、お話しくださってません。だから、私からあなたを知るために、あなたが”今回の目的”をお話されるきっかけをさしあげたんですのよ?」
「それが、お嬢ちゃんの・・・日記かね?」
「・・・霧の中に隠れておしまいになったままでは、話しになりません」
「・・・・・・どういう意味かな?」
「夢想されるのは、もうお止めになって。・・・他人の夢や希望、願望、欲、”目的”を自分のこととすり替えてしまうことは、お止めになってください」
「うぬ・・・確かに少しばかり”調子に”乗ってしまったかねえ」
「あなたは、あなた自身がわからないのだわ・・・あなたは、生きているのに、生きていないように見える・・・何も感じていない。あなたがおっしゃる言葉で言えば、あなた自身が人としての”個”を放棄したように感じます、だから・・」


003は言葉をきり、ひと呼吸置いた間に、自分を見守ってくれている009へと視線をむける。
すると、彼女に言葉を続けるように。と、言う意味をこめた仕種で、力強く、頷いた。
003が再び、秀顕に話しかける。

その間、彼は001の能力を通して、各地で動いている仲間達と脳波通信で連絡を取り合う。



「あなたは幸せですか?」
「お嬢ちゃんは幸せかね?」
「あなたは、何を求め、誰のために・・・、ここに、いるの、ですか?」
「お嬢ちゃんは何を求め、何を目的に、誰のために、そんな躯になってまで生き続けているんだね?」


オウムのように、フランソワーズの質問を聞き返してくる秀顕。

腕に抱いている、イワンを抱きなおし、そっと頬をすり寄せると、イワンはそれに答えるように、小さな白い手をのばし、フランソワーズの顎先に触れた。


「あなたは誰ですか?」
「お嬢ちゃんは誰だね?」
「・・・・私は、フランソワーズ・アルヌール。プロトタイプ・サイボーグ、コードナンバー003」


篠原グループ本社にある、秀顕の私室に姿を現した、奇妙な紅の服、緋色のマフラー。
見慣れないデザインに、膝を覆う黒のブーツが、大きく一歩前に出た。

落ち着いた濃紺色の空に星はなく、代わりに地上の人口の星が眩しいほどの溢れている。
秀顕の私室のウィンドウには、空と地上が逆さまに映っていた。



「・・・・・あなたは誰、なの?」

















####

ギルモア邸のリビングルームで、4つのカップが珈琲の芳しい香りで包む。


当麻は落ち着きなく、何度も壁時計と、大型液晶薄型TVが移しだす臨時ニュースへと視線を彷徨わす。
さえこは携帯電話を手に、様々な方面からかかってくる電話に対応しているが、1個の携帯電話では間に合わず、ギルモア邸にある電話の子機、当麻の携帯電話を使い指示を出していく。

テロの可能性を報告され、警察が、政府が、本格的に動き出す前に、ある筋を使って”圧力”をかける。と、ギルモアに告げたのは、数時間前。


「君のお母さんはすごいねえ・・・」
「・・・・仕事している姿は、初めてみます」
「なに、見た事なかったのかね?」
「・・・・・さえこさんは、僕の前では年に一度の、パーティの場以外、絶対に仕事をしている姿をみせませんでした、から」


さえことは距離を取り、ギルモアの座る安楽イス近くに座る当麻。


覚悟を決めて、さえこに聴くべき事を訊く覚悟で、さえこから提示さた書類に眼を通していたが、途中、ギルモアが慌ててTVの電源を入れたことから話しが中断したままの状態だった。


「すまんねえ・・・」
「え?・・・どうして謝るんですか?」
「うちの息子達は、どうやらこの騒ぎを事前に防ぐ事ができんかったようじゃ・・・」
「そんな・・・」
「今回はちと、色々と息子達のプライベートな気持ちも混じっておって、その上・・・・ここに定住することを決めた日から穏やかな日々が続いておってのう。・・・・儂のミスじゃ」
「でも・・・そんな、テロだって言ってますし、彼らが爆破したわけでもないんですよ?未然に防げなかったのが彼らの、ギルモア博士のせいだなんて・・・」


ギルモアは、当麻の言葉にふっと口元で微笑みながらも、その瞳は悲しみと後悔の色を漂わせながら、珈琲カップを手に取り、ふうっと息を吹きかけた。

ギルモアの作った風に、湯気が大きく傾いて、再びもとの位置へと戻って来る。


「・・・ギルモア博士、今回の事をすべて父に責任をとってもらいます。・・・もともと四友内には篠原の傘下に反対する勢力もありましたし、何かと小さな衝突も絶えず、”脅し”や”脅迫”のようなもの続いていました、それらを秀顕の横暴な方法でグループ拡大による摩擦が生んだ、と。四友が関係している”組織”のいきすぎた行動として扱います。はったりじゃなく、実際に彼らはそういう場所に出入りしていましたし、元々の社長が行方不眼になる前も、相当危険なことをしていたようですしね。これを全面に出して、篠原グループからの排除。けれど、”提携・協力”企業として和解。と、言うシナリオをたてます。学院の方ですがもともと、”解体”する予定だった旧校舎ということで・・・。学院自体、人家から離れていますし、まだ学院へはマスコミの手が届いていない今ですから、問題ないと思います。もしものときは、同じように、扱う予定ですが、そのときは関係ない”学生”たちを巻き込んだ。と、言う事で、世間を大きく見方につける事が出来るので、マイナスになるのは四友、篠原は表向き手を切るので、そうそう影響はないでしょう」


立ち上がり、子機を飾り棚の上にある充電器の上に戻して、再びソファに腰を下ろした。


「学院よりも”四友”の方が派手じゃからのう、学院よりもそちらの方が話題性もあるからして、しかし・・・大丈夫かのう?」
「そのための”繋がり”ですもの・・・。普段、それなりに楽しんでいただいているんです、ここでしっかり動いてもらわないと、今後”篠原”の援助が消えてしまうことでしょうね?」
「ふむ・・・して、でかけるのかのう?」


ギルモアは、リビングルームの端で、床に直接座り、彫り物をしていたジェロニモへ視線をむけた。


「会議を開かなければなりません・・・。父のこともありますから、これを機に、篠原内も大掃除します」
「・・・・答えが出たんじゃな?」
「そうしむけたのは、そちらのリーダーさんよ?・・・もしものときは、彼に責任をとってもらいますから」
「ジョーに?」
「ええ、しっかりと。・・・結婚を理由に引退って言うのが女性の逃げ道ですから」
「っ!?」
「さ、さえこさんっ?!」


2人の驚きなど気にも留めず、さえこはジェロニモを見た。


「あなたが私の護衛になるのかしら?」
「・・・1人の行動は危ない。・・・博士、息子、津田海も一緒に行く事になる」
「私1人でも平気だわ」
「009に訊く」


ジェロニモは、手に持っていた木彫りを広げていた新聞紙の上に置き、ナイフの刃を鞘にしまう。


「訊くって・・・」
「今の、彼らには001のサポートがあるからの、問題ない」


当麻はギルモアの言葉の意味が分からず、ジェロニモとギルモアへ交互に視線を向けた。
ジェロニモの大きな躯がフローリングの床から離れる。


「・・・今、篠原本社に行く事、進めない。会議を開くなら他に行けと言っている・・・次の爆破予定は本社だ」
「?!」
「なんと・・・」
「そんなっ!本社には夜も人がいるのよっ?!」
「・・・場所を変えるんだ。後は009たちに任せる」
「そんな・・・・」


珈琲テーブルの上に置いていた、携帯電話を手に取ると、素早く記憶している番号を押した。


「どこへ電話している?」
「父よっ」
「なんのために?」
「こんな馬鹿げた事っ」


ジェロニモはその巨体からは考えられないような素早い動きで、さえこの手に、大きな手を重ねて彼女の手の中にある、携帯電話の通話ボタンを押す事を妨げた。


「無駄だ」
「離してっ!!」
「・・・もう、彼は人間じゃない。あなたの声は届かない・・・手遅れだ」

















####

「002、どうアルネ?」


月見里(やましな)学院に来ていたのは、002、006の2人。


「・・・人が集まってきやがった。ここから離れようぜ、爆破されたのが地下だけだったおかげだぜ、”地震”ってことでカタつけられんじゃねえか?建物自体、大分古lかったしよお、それらしい”言い訳”ができんじゃね?」
「爆破止められなかったのは、009に申し訳ないアルヨ・・・」
「仕方ねえだろ?こればっかりはよお。オレたちはただ”地下の確認”と、”サイボーグ関係の資料”の回収、廃棄”に来ただけだぜ?まさか向こうさんが”爆破”するなんて、誰が予測してたんだっつうの?オレたちだって爆破に巻き込まれなくてよかったぜ!んで、・・・・・・・ああ?火災ってことにすんのかよ?」
「まかせるアルヨ!・・・002は消防車を呼ぶアルネ」
「旧校舎自体を”老化した木造建築”の自然発火。で、なくしちまうってよお」


2人は001を通して遠方にいる、009と脳波通信でやりとりする。


「それがすんだら、・・・・ああ。わかった・・・」
「ギルモア邸に戻るアルカ?」
「あっちに人手がいるみてえだな!」


数分の後、爆破の余波で揺れた大地に表へ出てきた週末の学院内に残っていた関係者および生徒たちの目の前で、藍紺色の空にくっきりと浮かぶ下弦の月が、燃え上がる旧校舎の炎を冷たく見下ろしている。




















「002と006は、・・・ギルモア邸にむかったかあ・・・」


007は004、008と行動していたが、今は1人、その姿を変えて石川斗織が運ばれた救急病院の、手術室前にいた。


「今あっちへいっちまったら、絶対後悔するぞお?逃げるんじゃない。ちゃんとここに戻ってくるんだ」


無機質な白いドアの向こう。
007が唯一、眼にしているのは赤いランプが灯る”手術中”の文字。


「009、知らせなくて本当いいのか?・・・・婚約者なんだろ?」


口に出す必要はないのは分かっているが、つい自分の声を確認するように言葉を空気に触れさせた。


「確かに・・・そうだけどよお・・・・・。ここんとこ、ずっと見てきたからなあ・・・・、淋しい人間なんだなあ、この石川って男は・・・・・」


007は若い時代の自分と、石川の感じている”淋しさ”に似通った部分を見つけているために、同情的な感情が強くなる。


「・・・・・・天才とは、人に理解されにくいもんよ、受け入れられても、それを活かしきれない自分と、周りの歯痒さ・・・強い精神力がねえと、自分の才能に溺れて自分を見失っちまう」


全身の空気を吐き出して、廊下の壁に置かれたhか色のふかふかとしたベンチに座り込んだ。


「吾輩は、ここに居ていいのか?009」

















「004、・・・僕たち」
「ああ、間に合わなかったな」
「人が来るよ」


燃え盛る炎が生み出す熱風に顔を歪めながら、四友工場内に侵入した004,008は、爆破された場所とその損害規模を確認する。


「わかっている・・・起爆は」
「時限式じゃないよ。起爆装置は大分前からセットされていたみたいだけど」
「ここにあった物は全部、灰となる、か・・・・・」
「・・・この工場は、たしか・・」
「ああ、地下帝国へ行く前に009と003が偵察に来た場所だ」
「・・・・・・そしてジョーの」
「施設時代の友人が、改造された場所だったのかもしれんな」
「あのとき、どうして見つけられなかったんだろう?」
「・・・・オレたちも余裕がなかったんだろ?」


004は踵を返して歩き出した。


「もしかして」
「もしかして、なんだ?」


吹き荒れる炎を見つめる008へと振り返る。


「これが、本当の意味でB.Gとの最後じゃないのかな?・・・・日本へ来たのも、日本に定住する事を決めたのも」
「こうなることが予想された、オレたちの運命っていうのか?」
「偶然だとは、思えない」


008は、自分たちの躯の中にある技術を燃やしていく炎を背に呟いた。
004と並び、歩き出す。


「008、偶然じゃない・・・・オレたちは、誰だい?」


008は足を止めずに、004を見た。







どおおおおおおおおおおおおおんっっと爆発音が背後で叫ぶ。
爆風の熱に背を押されながら、答えた。


「サイボーグ・・・・戦うために改造された、プロトタイプ」
「そうだ。ここが、オレたちの生きてきた世界だ。そしてこれからも・・・・・。だからこそ、どんなに小さな命でも、短い時間でも、誰よりも強く、誰よりも深く・・・平和を感じ、求め、生きて行けるんだろ?本当の意味で、知っているんだからな”平和”とは何か」


「004」


彼独特な左口角を上げて、嗤い、背後を振り返る。


「これ以上被害が広がらないようにする、手伝え」
「了解!!」














####





「これは、・・・これは・・・・・・・・・お嬢ちゃん、では・・・・・・、失礼だったねえ」


部屋の間接照明が置かれているのは、秀顕が座る、モダンなデザインのソファ近くの1つのみ。
天井に向かって装飾が施された、ツイストされた円柱のデザインは、朱のベネツィアングラスで作られている。薄くのばした、クレーブス・カラーの光に姿を浮かべる者の美しさに、秀顕は感嘆の声を上げた。


「・・・・・あなたは誰、なの?」
「いやはや・・・B.Gの美的センスを疑ってきた人生だったが、さすが、アイザック・ギルモア博士と言ったところかねえ?」


こぼれ落ちそうなほどに大きな瞳の碧が間接照明の色に染まりながら、瞳を潤わせる幕にきらり、きらりと光を放つさまは、宝石のようにみえる。その宝石を縁取っている睫は長く、しっとり規則正しく並び、頬に影を指し、ふっくらと色つやよい頬は芸術的なラインを描いて顎へと続く。
自分に語りかける言葉を紡ぎだす唇は、艶やかに形よく、彼女の真剣さを表すようにきりりと結ばれていたが、それがよけいに人らしさを遠ざけているように感じる。


「・・・あなたが手術を受けたのは”両足”だけではありませんのね?」
「話しが飛ぶねえ?サイボーグと言えど、やはり女性なのだねえ?」
「私には”視”ることができるんです・・・」
「何が見えたのかね?」


秀顕は足先からじっくりと値踏みするように、003を見る。



<009・・・彼の改造は”足”だけじゃない・・・。改造されていたのは・・・頭部も。躯は足以外生身だけれど、彼には補助脳があるわ・・・爆破の遠隔操作もできるのは、私たちのような脳派通信と類似した脳波によって。簡単な電子信号を、電話をかけるようにして送って・・・>


「・・・まあいい。それよりも、質問に答えてあげよう、美しい003、いや、フランソワーズかな?・・・私は誰か?・・・名前は”篠原秀顕”と言うのがあるが、それは”個”を識別するための”記号”でしかない。そう、君たちのコードナンバーと同じ物だねえ?」


秀顕の言葉を耳にしながら、フランソワーズは囁く。


「・・・009、彼はもう・・・・・」



<人ではないと、思うわ>


003の眼に見える、彼の頭部。
001はもう、きっと気づいている。

それを、なぜ009に報告しないのか、003は疑問に思っていた。
001には、001の考えがある。

腕に抱く小さな超能力者は、自分たちとは違う次元で物事を見ているのだ。


<・・・・人でない、か>
<私たちの物と、違う・・・ように見えるわ>
<僕たちのものとの違いは・・・”人工知能(Artificial Intelligence)チップが内蔵されていること・・・だ>
<・・・?!>


003は009へと振り向いた。
金糸のような髪が、彼女の動きにさらり。と、なびく。


彼女の瞳を見ながら、静かに頷く。


<・・・話しを訊きながら、001がチェックしていた・・・・キミとの会話で完全にそうであることがわかった・・・・>


ここにいるのは、夢想の霧が生み出した、幻影。







「・・・人口知能が過去の”篠原秀顕”氏をベースに作り上げた人格」






生身の躯に、人工脳。
人工の躯に、自然脳。






「彼が、N.B.Gのソースコードなんだ」










====71へと続く



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