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切なくて息苦しい/アタシは平気、なの。

街から離れた、海沿いの。

最寄りの駅からバスで27分。

右へ左へとカーブする、路の途中。

誰がいったい何の目的で建てたのか、見当し難い場所に隠れるようにひっそりと建てられた洋館。






平日であるにもかかわらず、バスは1時間に2本のみ。
週末など、2時間に1本となり、海水浴に訪れる人々のために、臨時バスが出る季節にならない限りは本数は増えない。


不便きわまりない場所に立つ、邸の交通手段は専ら”車”である。
だいたいは、グレートと張大人はそれぞれに車を持ち、免許のない、ギルモア、フランソワーズは運転手役を快く引き受けるジョーによって、様々な用事を済ます。
そのために、90%の確立でジョーとフランソワーズは、一緒に邸を出て、帰って来るのである。





今日はその10%の日だった。




「ええ、そうよ?」

「いつものデパートなの」

「心配ないわ!もう、平気よ。ちゃんとここまで来れたんですものっ、帰りだって・・・」

「・・・わかるけど・・・・、でも、ジョー・・・」

「本当に?・・・じゃあ、そこで待ち合わせね?」

「も!それくらいわかるわよっ、心配性なんだからっ!!ギルモア博士のこと、言えないわよ、ジョー!」

「じゃあ、4時に」


「あとでね」









携帯電話を切って、ふふ。っと、愛らしく形よいくちびるが左右に引っ張られて、頬が上がり、携帯電話の液晶画面が表示する、通話時間と、そこに乗っている、通話相手の名前に、胸が軽く弾む。

たまに。
ごくたまに。

フランソワーズは1人で、ふらり。と街に出る。
行き先は同じ。
そして、同じコースを辿る。


お昼前にギルモア邸を出て、お昼頃に、目的地の駅につく。
フルーツとメープルシロップたっぷりの、ボリュームあるフレンチトーストを出してくれる、カフェでお腹を満たして、デパートへ。

さすがに、男の人。とは一緒には行きづらく、待っていてもらうこともできるが、それでは気になってゆっくりと見ていられない、選べない、女の子の女の子な買い物。

週末に行く、大型スーパーでも事足りるのだが、それはそれ。
やはり、色々と”好み”もある。

チョイスも多い方がいい。



フランソワーズお気に入りの店から、”秋物入荷”のメールが届いたのがきっかけで、今、彼女は1人で街に出てきていた。


ジョーはコズミの紹介で、火曜日と木曜日のみ、大学へ雑用アルバイトに出かける。
そのときが、フランソワーズが1人で出かけられるチャンスなのである。


が、しかし。

昼間にジョーがギルモア邸に電話を入れたことがきっかけで、フランソワーズが1人で街に出ていることを知ったジョーは、すぐに彼女へと電話を入れて、帰りは自分が、彼女のいる場所まで迎えにいく、と言うのであった。


「あと、2時間しかないわ・・・もう。少しだけデパート以外の場所へも足を伸ばしたかったのにな・・」


ジョーが迎えにきてくれる、嬉しさ半分、正直、残念な気もする。



子泣きじじいストラップが揺れる携帯電話。を、ギルモアが出先で可愛いから衝動買いしたと言い、フランソワーズにプレゼントした、パリの街のスケッチ風の絵がプリントされた、ショルダーバックにしまい、歩き出す。


「ええっと、見ておかないといけないのわ、っと」


小さな金色のエッフェル塔をかたどったチャームがきらり。と光り、揺れた。









####

”夕食は、ジョーとどこかで食べてきなさい。G”と、フランソワーズの携帯電話にメールが届いたのは、ジョーと待ち合わせしている駅についたとき。


待ち合わせ時間2分と14秒前。
点滅する大通りの交差点を渡った向こう側に、彼は居た。




フランソワーズが知らない、表情で。
フランソワーズが知らない、人と。

フランソワーズが知らない、ジョーを、見つけた。






意識しただけで、会話が聞こえてくる。



聴きたくないっ!と、首を左右に激しくふると、微かな目眩に足下がふらついて、後ろからイヤホンを耳に音楽を聴く学生とぶつかる。

睨まれるような視線をぶつけられて、フランソワーズは慌てて頭を下げた。が、学生はフランソワーズが”外人”だったことに一瞬の動揺を見せて、無表情に歩き去った。


「・・・・」


視線を再び、ジョーが立つ方向へと、おどおどと向けた。


女の人。


ほんのりブラウンに染めた髪をふうわりと、ゆるいたて巻き風にまいて、薄いピンクのドルマンスリーブニットはV字に襟ぐりが広く、その隙間から白のレースがのぞいている。
上半身にボリュームが出るために、スカートはマーメイドタイプなぴっちりと、腰のラインが出た濃いデニム生地のスカート。同じ生地でひらひらとした飾りが裾を縁取っている。
かかとが低いけれども、華奢な、いまにも壊れてしまいそうな、そんな印象のミュール。


きちんとお化粧された・・・上向き加減の顎に添える指先は、キレイにネイルケアされていた。
ときおり、爪先が不自然に光るのは、なんだろう?と首を傾げる。

グロスに艶めく、くちびるは楽しそうに動く。


「・・・」





可愛い人。
お洒落な人。



ジョーと一緒にいる可愛くて、お洒落な人。

ごくごく自然に2人は街にとけ込んでいた。
駅を忙しく歩き人々の中で、時折、フランソワーズの視界から消える2人。

真剣に何かを話している。と、思ったら、次に2人は笑い合った。



可愛くて、お洒落な人の手がジョーの腕に伸びて、彼に触れた。








「ジョー・・・」


ミシン糸のような細くて頼りない声を、出して彼を呼ぶ。

キレイに舗装された、路面に響く人の足音、行き交う車。大型バスのアナウンス。電車が駅を去り、訪れる。がちゃん、がしゃん。と、自動改札口が休む事なく働き続けて。

どこからか、”いらっしゃいませ~””ありがとうございした~”と、リズムある声が聞こえた。




「ジョー・・・?」




クラクションの音。
ざわざわした、がやがやした、音。


人の声。





雨の匂い。
むっとした湿気。

無料駐輪場で、誰かが起こしたドミノ倒し。


何人かの人が、自転車を起こすのを手伝う。
ジョーも手伝うために、歩み寄る。
一緒にいた人も、同じように。




フランソワーズは駅西口の正面入り口を前にした大通りを挟んだ、点滅信号機の隣に立ちつくす。
青。
歩くマーク。
赤。
止まるマーク。

青。赤。青。赤。青。赤。青赤。青赤青。赤青赤。青赤青赤青。赤。青・・・・。









人々は、アスファルトの上に書かれた白と灰色のストライプを無視して踏みつけていく。





「何してるの?」


ジョーの声。


「だって、せっかくだから”白”の部分だけで渡りたいのよ」


アタシの声。


「なんだよ、それ?・・・別に’白”の部分以外を踏んでも何もおきないよ?」
「わかってるわ、でもなんだか、面白いの」
「ふうん。こんなの当たり前だし、そんな風に考えた事なかった」


ジョーは、アタシの真似をして、横断歩道を”白”の部分だけを踏んでいく」


「まねっこしないで!」
「いいだろ、別に」
「アタシが考えだしたんだから!」
「他の人もきっとしてるよ、ほら信号が代わるから、早く」


跳ねるように、スキップするように、いつもと違う歩幅で彼と手をつないで渡った横断歩道は、どこの?







どこの、横断歩道だったかしら?










思い出さなきゃ。
どこだったかしら?
どこ?


あの、橋はどこ?







探さなきゃ!









くるり。と踵を返したところで携帯電話が鳴った。
足を止めて、携帯電話を取ろうか、どうしようかに迷った。



JOEの文字。
待ち合わせの時間を18分ほど過ぎていることが、切れたコール音の後に光る、液晶に移しだされていた数字によって報らされた。

メールも、届いた。


読まない。


留守番電話にメッセージがお預かりしました。の、マークが出る。


聴かない。







---だって、アタシは別に・・ジョーのなんでもないもん。

  1人でバスにも、電車にも乗れるわ。
  お買い物だってできるわ。
  子供じゃないもの。
  日本にいるから、ギルモア博士とイワンと一緒にいるから、たまたま、そこにジョーがいるのよ。
  別に、・・・・・ジョーがいるからじゃないわ。

  パリに帰らないのも・・・・。
  まだ、勇気がないから。
  帰ったら、突然日本へ呼び出されたり、メンテナンスへ通ったり、落ち着かないし。
  アタシがいなくなったら、誰が邸のお掃除に、お洗濯をするの?
  張大人もグレートもお店が軌道に乗って忙しいのよ?
  放っておくと、博士なんて地下に閉じこもっちゃうわ。
  誰も博士の健康やお体のことなんて、気にしないもの。
  それに、イワンのお世話だって、そうよ。
  同じお洋服ばっかりで、寝てるばっかりだからで汚れないだろ~、なんて、
  お風呂も滅多に入れてあげないわ。
  日光浴もしてあげないのよ、きっと。
  
  そうよ。

  今日は一人で来たのよ?
  もっといっぱい見たいものがあったのよ!




  なのに、2時間ちょっとしかショッピングできなくて、のぞきたいお店もあったけど、
  行きたい場所もあったけど、我慢して、必要なところだけまわって、きたのよ!



  なんで、ジョーの時間に合わせなきゃいけないの!








  アタシ、1人でも平気だもんっ










鳴り続ける携帯電話にぶら下がる子泣きじじいは、泣きそうな顔。
受信。のボタンを押した指先が、悲しかった。



「なに?」
ーああ、・・・・よかった・・・・・。フランソワーズ・・どうしたの?何かあった?今どこにいる?待ち合わせの駅、わからない?どうしたんだよ、約束の時間過ぎてるよ?キミらしくないじゃないか、どうして電話にでなかったんだい?何度も電話したし、メールも・・・。遅れるなら電話してくれよ、心配するだろ?




ほお、っとジョーが深い溜め息を吐いた後、フランソワーズの耳に、優しくも切なく、甘くも心細く、降り注ぐ彼の言葉。


黙ったまま、ジョーの声を聞く。


じいいん、と。

痺れる。

きゅううっと。

縮こまる。



吸った息を、肺が拒否する。

苦しいから、肩で息を吸う。

たっぷりと口に含むが、薄くしか喉を通らない。


吃逆するかのように、肩が揺れる。


お腹がひくひくと、肩にあわせたリズムで動く。


真一文字に引いたくちびるの線。
内側に入り込んだ舌くちびるを、噛む。



もう一度、大きく息を吸い込んだ。
今度は足先までしっかりと、吸い込めた。


「アタシ、1人でも平気なのっ」
ーフランソワーズ!?
「ジョーの、ジョーのっ・・・ジョーはジョーの予定があるでしょっ、アタシは1人でだってお夕飯食べて帰られるものっ!1人で邸まで帰れるわ!!」


ジョーの声が聞こえる、けれど、携帯の電話を切り、そのまま電源をOFFにした。









一緒に飛んで、跳ねて、渡った白の橋。


ふわふわした気持ち。

どきどきした気持ち。


渡った先に、何か”ちょっといいこと”へ繋がっている気がしたから。





探したい。
見つけたい。


あの白の橋のかかる横断歩道を渡れば、大丈夫っ。

















####

「・・・・最終バス、言っちゃったのね・・・」

駅からギルモア邸までバスで27分。
迎えに来てもらえば、15分ほど。


駅のバス停時刻表を、いくら睨んでもバスはやってこない。
ちらり。と構内の時計を確認する。


この時間なら、もう張大人もグレートも帰ってきているはず、と思う。
けれど・・・。




OFFにしたままの携帯電話の電源を、ONにするのが怖かったために、歩いて帰る事に決めた。




人気がなくなった駅は、眩しい白の蛍光灯のために昼間のような明るさ。
元々それほど利用者が多い駅じゃないために、終電2本前の電車で、駅を降りたのはフランソワーズを含めて片手で指を折っても、あまる。



一歩駅構内を出ると、藍色の空が薄い膜を張って星をかくしていた。


耳を打つ音は、雨。










ああ、っと溜め息を吐く。

フランソアーズの髪は既に濡れている。
ぴたりと張り付く布が電車内の冷房に冷やされて、ぬるい自分の体温を気持ち悪く感じた。

すでに濡れてしまっているから、いくら濡れても関係ない。と、思いっきり路面にできた水たまりへジャンプ。


ばしゃん。っとあがる水しぶき。
波紋が慌ただしく広がり、狭まっていた間隔がすこしずつ長くなり、水たまりを覗き込んでいる、フランソワーズを鈍く写す。

素足に履いていたサンダルが、生温い雨水に浸る。









躯中に降り注ぐ、雨が。
薄く皮膚を切り裂くように、痛い。









「変な顔・・・」


雨雫が水たまりへと、落ちていく。


「帰りたくないな・・・」
「そのまま一晩、ここにいる?」
「?!」


振り返った先で、駅からの昼間のような光が浮かび上がらせたのは、傘をさし、腕を組んで憮然と立つ彼、だった。


「・・・・・あ・・」
「んだよ」





雨の音はさああっと響き、ぱちぱち。連続的に鳴る。


「1人で、帰れるんだろ?」
「・・・・」
「1人で、平気っていったよね?」
「・・・・」
「いったい、どういうつもりだよ?・・・待ちぼうけさせられて、連絡が取れたら、ドタキャン?それに、こんな時間まで・・・どれだけみんなを、博士を心配させたと思っているんだっ!」
「っ・・・」
「携帯電話は繋がらないっ!連絡しないっ!通信回線もオフっ!行き先も何も言ってないっ!!”もしかしたら”ってどんなに心配したと思ってんだよっ!!わかってんのかっ自分の立場っっ、みんなっ走り回って探しているんだぞっ今っ」
「・・・・・」
「何か事件に遭遇したのかっ!何かに巻き込まれたのかっ!!心配したんだぞっ」
「・・・・」
「なんとか言えよっフランソワーズっ」


雨の音が消える。
声を荒げ、怒りをぶつけてくるジョーのせいで。

痛いなあ。と、フランソワーズが思っていた雨の音が消える。



「・・・あのね・・・・・・邪魔したく、なかったの」
「っだよ、それっ!」
「邪魔したく、なかったのよ・・・・・アタシなんかのせいで。ジョーにだって、色々予定があるでしょ?」



視線は、ジョーの手が待つ傘の柄の部分。
彼を見る事ができない。





「約束したよ?・・・電話でっ!ちゃんと4時に駅で待っているって言ったよね?!・・・ボクの予定はっ、キミと駅で会うことだった!」
「でも・・・」
「でも、なんだよっ!」







一緒にいた人と楽しそうに、嬉しそうに話していたのを、邪魔したくなかったのよ。


だって、そうでしょう?












ーほんのりブラウンに染めた髪をふうわりと、ゆるいたて巻き風にまいている。





アタシなんかと一緒にいたって、いっつもジョーは・・・・面白くないでしょう?



ー薄いピンクのドルマンスリーブニットはV字に襟ぐりが広く、その隙間から白のレースがのぞいている。
上半身にボリュームが出るために、スカートはマーメイドタイプなぴっちりと、腰のラインが出た濃いデニム生地のスカート。同じ生地でひらひらとした飾りが裾を縁取っている。





知ってるの。



ーかかとが低いけれども、華奢な、いまにも壊れてしまいそうな、そんな印象のミュール。



ジョーは優しいから。




ーきちんとお化粧された・・・上向き加減の顎に添える指先は、キレイにネイルケアされていた。
ときおり、爪先が不自然に光るのは、なんだろう?








嫌って言えないの、知ってるのよ。・・・・・・アタシ。








ーグロスに艶めく、くちびるは楽しそうに動く。










だから、・・・1人でも平気ってわかって欲しかったの。









グロスに艶めく、くちびるは楽しそうに動いてたもの。








あ。・・・・・傘が・・・・。







「無事で、・・・・・・・よかった・・・・・・・」







痛いのは雨じゃない。








「何も、・・・本当に、何もなくて・・・・・よかった・・・・・・」




痛いのは、きゅううっと締め付ける喉でも、胸でも、靴擦れした左足の小指でもなかった。







痛いの。
ジョー、痛い。


痛い。
ジョー、痛い・・・・。














痛いのは、ジョーを好きって想う気持ち。
痛いのは、力一杯に抱きしめられたから。




痛い。
痛い。







ジョー、痛い。
ジョー、いたい、イタイ、居たい。
ジョー、居たい。





ジョーと一緒に居たい。











「生きた心地しなかった・・・・どこに行ったか、見当がつかなくて、ボクはキミのことを何も知らないんだって、悔しかった」












「ジョー、風邪・・・ひいてしまうわ」






力任せに、ジョーの腕がアタシを閉じこめる。
苦しくて、嬉しくて、痛くて、甘くて、温かくて、恥ずかしくて、そして、悲しくて。







吸い込んだのは湿気。
空気じゃないから、息苦しい。














「無事で、よかった」










彼の言葉が息苦しい。












「・・・・・・ごめんなさい」









  
 

彼の優しさが、009の優しさが、息苦しい。
嬉しくて、だけど、切なくて、だけど、だけど、だけど・・・・・・。














「2度目はないよ。・・・・・いいね?」
「はい」
「・・・・・最低限のルールは守ってくれ」
「はい」
「報告義務があること、忘ちゃだめだ」
「はい」
「・・・・・それで、どうしてあんな風に電話を切ったんだい?」



腕を緩めて、覗き込んできた瞳は、もう、怒っていない。
そして、訊ねておきながら、アタシの答えなんて期待していない。




「傘、どっかで買いなよ・・・キミの方こそ、風邪ひいたらどうするの?」





いつもの彼の声に、優しさに。

切なくて、上手く息を吸えなかった。









「・・・ジョー」
「ん?」
「横断歩道」
「?」
「横断歩道、渡りたい」










白の橋のむこなら、きっとこんな気持ちも忘れさせてくれると、思うの。


アタシ平気なの、よ?
ジョーなんていなくても、平気なの。


・・・・・痛いけれど。
一緒に居たいけれど。

































*おまけ*


落とした傘を拾い上げて、閉じた。
雨は、もう気にしない。



「コンビに寄って帰ろうか?・・・・そこの、大通りの横断歩道だろ、渡りたいの」
「!」
「あれ・・・?違った・・・?」


ジョーはフランソワーズの手を取り、歩き始めた。



「・・・・お弁当も買ってくれる?」
「食べてないの?」
「お腹空いたの」
「食いしん坊だな・・・、いいよ。デザートもつける」
「じゃあ!」
「・・・集めてる、細胞クン・シリーズの食玩でもいいよ・・・・」
「やった!」
「・・・・・なにが可愛いの、アレの」
「赤血球チャンと白血球クンと、顆粒球さん、リンパどん、単球博士は、揃ったの!」
「全部、血液に含まれる細胞だね・・・」
「だって、まだ第一弾ですもの!」
「・・・いや、それ無理がある企画だと、思わない?」



横断歩道前の信号が、青で点滅している。


「あ!走ってっジョーっ」
「危ないからっ、次でいいよ」


ぐっと、繋いでいた手に力を入れて、今にも走り出しそうなフランソワーズを止めた。


「でも!」
「走ったら、踏み損なうかもしれないだろ?ゆっくり、白だけ踏んで渡ればいいよ」


ジョーが笑う。
ジョーは覚えてる。
ジョーが知ってる。



「ん?」


信号待ちの間、フランソワーズはジョーの横顔を見上げる。


「・・・・ジョー」
「なに?」
「・・・・・・・・・・・ぷっつん・プリンも食べたかったりして?」
「ああ、もう・・・好きなだけ買いなよ。キミが二度とドタキャンしない、行方不明にならないように、しっかり”餌付け”しておかないとね!」
「嬉しい!」


満面の笑みで答えた、フランソワーズ。


「・・・・・・・・意味わかってる?」
「え?いっぱい美味しいものを、ジョーが食べさせてくれるんでしょう?」
「当ってる・・けど、なんか、違うような・・・」
「そうでしょ?」
「・・・・・そうかな?」
「そうよ!あ、渡りましょっ」


跳ねるように、飛ぶように、ふわり、と。

白の橋を渡って。



「やっぱり、変だよ・・・?」



















*切ないので、終わらせるのが辛かった・・・、修行不足*
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