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8月20日19時53分

ドアのチャイムがちりりん。と、鳴る。

最後のお客様をお見送りした後。
ドアにかけてあるのは、兄貴お気に入りの手芸屋で開かれる、月2回のアート・ステンシル教室で兄貴が作ってきたプレートを”closed”と、ひっくり返して、オレの今日1日のバイトが終わる。



盆休みを過ぎて、浮かれていた世間が、何事もなかったかのように、規則正しい生活に戻る。


無遠慮に最高気温の記録を更新しまくった後、カレンダーの暦に合わせるかのように立秋を詠んだ日から、涼風至る。と、言う言葉の通りに涼しい風が吹くので、両手を広げてウェルカム!なんだけど、もう、涼しいって言うか、寒いって言うか!

空の調子が今ひとつなのか、熱帯夜が続かないことに感謝しながらも、夏が夏らしくない肌寒さに、不満がない、わけではない。


オレの”夏”に対する不満に、気をつかってくれたのか?
再び、ギネスブックに申請したくなる暑さが突然やってきた!

なんて我が侭な空なんだっ!
おいっ!!


ジョーより我が侭だぞおおおおおおおおおおおおおおおおっ!






「なあに?そこでぶちぶち言ってるの?!大地っそうじ!」


アイアイサ~・・・。

義姉さんには逆らえない・・・。


ん?!



カフェのドアに人の気配を感じて振り返る。
そこに・・・。

あ、が~いじ~んさ~んっっ!?


”CLOSED”の文字をじいいっと睨む、ぎょろん。とした、白目が浮かび上がって怖いです・・・・。
その眼が店の中を覗き込んだとき、視線がばっちりあってしまったオレ。



コツ、コツ。と、ドアをノックされてしまった。


オレではなくて、義姉さんがそのドアを開けた。











カフェのドアがちりりんっとなる。
どちらさまですか?と、優しく訊ねるように。


「あの・・閉店なさっていることは重々承知の上でお願い申し上げます」


オレも、義姉さんも、あまりにも丁寧な日本語を話す、精悍な青年の、物腰柔らかく、腰の低い物言いに驚いた。

オレ、日本人ですけど、そんな日本語を使ったことは・・ございませんでありまする!


「はあ・・・い?」
「ホールケーキを一つ・・・売っていただけませんか?」
「ホールケーキを、ですか?」
「はい、お願いします」


青年は困ったような表情を浮かべたまま、深々と頭を下げた。


「あの、あ、どうぞ、どうぞ、お入りなってください。閉店は8時ですから、まだ大丈夫ですよ、どのケーキがよろしいですか?」


義姉さんの言葉に、顔を上げた青年がぱああああああっと華やいだ。
嬉しげに、きらりん。と、光った白い歯のさわやかさに、義姉さんはたっぷりサービスをするんだろうなあ。っと、思う。


「ありがとうございます!!よかったああ・・・これで、フランソワーズが大人しくなる・・」
「?!」
「え?」


義姉さんに進められるままに店内に入ってきた、熱帯気候の国生まれを象徴する、太陽の香りが漂ってきそうな、艶のあるダークチョコレートカラーの肌の、青年が口にした名前に、オレも義姉さんもびっくりして固まった。


「フランソワーズがお世話になっています」


そういって、彼は再び深々と頭を下げた。


「ふ、ふ、ふ。フランソワーズさんっのっ・・・・・?」
「家の者です」
「やだあ、それならそうと、言ってくだされば良いのに!」


急に馴れ馴れしいっすよ、義姉さんっ!!


「いえ・・・彼女の名前を出してお願いする事は、違うと思いましたので・・・・」


苦笑する、青年は・・・よくよく見るとオレとそんなに代わらない年齢にも見えた。
ってことは・・・


「それじゃあ、島村っちさんとも・・?」
「島村っち…?ああ、ジョー!ええ、ジョーもそうですよ」


聞き慣れないジョーのニックネームに、きょとん。と、何度か瞬きを繰り返してから、にっこりと微笑んだ。

きら~ん☆と、光る、白い歯・・・は、さ、さわやかですね。



「ジョーも、フランソワーズも、僕にとって、大切な、大切な弟、妹なんです。2人が本当にお世話になってます・・・・。彼らから話しを聴いていて、近くご挨拶にうかがわなければ、と”兄弟”たちと話してはいたんです・・・けれど、なかなか、みなそれぞれに忙しく・・・。あ、ご挨拶が遅れて申し訳有りません。僕はピュンマと申します」


ピュンマ。と、名乗った青年は姿勢をただして、深々と、ふかぶか~~~~~~~~~~~と、頭を下げるので、義姉さんとオレは慌ててしまった。


「そんなっ!こちらこそ、フランちゃんには御贔屓にしていただいて、それに島村っちさんには、この愚弟が大変、大変、た~~~~~~~~~~~~~~~~いへんっお世話になってるんです。あの、私こそ、名前も名乗らずに..井川萌子と申します。いつもフランちゃんが来て下って、私本当に嬉しくて、ありがとうございます」
「そういっていただけると、・・・・、今後も2人がご迷惑をおかけするかと、思いますが、弟妹とどうかよろしくおつきあい願います・・」
「こちらこそ・・・」


・・・・・・・・。




義姉さんと、ピュンマさんの2人は頭を下げ合って・・・浮かんできません。













「あの、ケーキは・・・どれにします、か?」


オレの呟きに、2人はやっと顔を上げた。





「・・・フランソワーズは夏風邪をこじらせてしまって大人しくしていないといけないのに、ケーキがないとお誕生日じゃない!って、キッチンに立とうとするから・・」


ピュンマさんはが選んだのは、うちの兄貴が留学した先で初めて”賞”を得たオリジナルケーキ、そして、この店の名を持つ”Audrey”。



「ここのケーキだったら、納得して大人しくベッドで寝ているだろうと思って、慌てて来たんです」
「フランちゃんのお加減、いかがですか?」
「ご心配していただくほどの、じゃないんです。・・・大事を取らせて、と。・・・ジョーがレースを放っぽりだして帰ってきそうな勢いだったので、彼女には、たとえ”風邪気味”と言えど、しっかり治して欲しいんです、けれど・・・。ケーキを作るって、意地になってしまって」
「そのケーキって、この間ウチの主人に色々訊ねていたことに、関係があるのかしら?」
「スペシャルなレシピを教わったの!って、張り切っていましたから、彼女」
「今日、どなたかの・・・お家の方のお誕生日ですか?」
「・・・・・はい」


ピュンマさんは、照れるような、可愛らしい微笑みを見せた。


義姉さんは、白箱にケーキを包み終えて、細い金のリボンで結び終える。
そして、ピュンマさんに訊ねた。

「フランちゃん、ピュンマさんにはいつもどのケーキを選んでいるのかしら?」
「”出会いはきっとレモンパイ”です」


さらり。と、彼は答えた。



似合いすぎて、オレは・・・・何も言えない。









すると、義姉さんは、1つ。それをショーウィンドからとり、同じように、いくつかレモンやキーライムを使った、ケーキと焼き菓子、・・・・と、フランソワーズさんのお気に入りの、”恋の始まりはアップルパイ””七つの恋のタルト・季節の予感”を箱に詰め始めた。


「あ、あの・・?」
「お誕生日おめでとうございます。ピュンマさん、これは当店からのお祝いですので、どうぞお持ち帰りください。あと、フランちゃんへのお見舞いですから」



え、ええ?!


誕生日って・・!

ピュンマさんっ?!





「でも、そんな・・・」
「フランちゃんと島村っちさんのお兄さんですもの!私たちもお祝いさせてくださいね」


義姉さんの言葉に、困惑しながらも・・・ピュンマさんはオレたちからのプレゼントを受け取った。









ドアのチャイムがちりりんっとなる。

HAPPY BIRTHDAY PUMMA!




今度はぜひ、フランソワーズさんと(ついでにジョーもつけて)いらしてくださいっ!
そして、その爽やかさの秘訣を教えてくださいっ!!



・・・・・・なんなら、ジョーの秘密でも・・こう、ジョーの弱み系をひとつ。
あ!それよりもっ!!


フランソワーズさんのっ何かっ!!





「何かってなんですか?」


きらり~ん☆と光る白い歯が・・・妙に怖い。
あれ???オレの頭の中の世界なのに・・・・・。






end.









・あとがき・

自分の誕生日ケーキを自分で買う男、それは8!

・・・8月21日だったんですね。

し、知りませんでしたあああああっ!!
遅れてのUPでごめんね。8!


しかも、お誕生日ケーキを買いに行かせて・・しまって。
ごめんね。

でも、ほらあ・・・ケーキをつくるううううう!ってフランちゃん、
げほげほしながらキッチンに立つから・・・兄としては、
そんな妹を放っておく事できないですからね!




大地くんのところには基本9、3以外は出さないルールなのに・・・。
いくつか設定したルールを破っていく私。

ここに出すときは、9と3とは関係ない、彼らと大地くん。も面白いかも。
あ!・・・妄想がっ
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