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Day by Day・73
(73)






朝、5時19分。

ギルモア邸から月見里(やまなし)学院まで、バスと電車を乗り次いで、およそ3時間はかかる。
昨夜のうちに”飛んで”戻ったジェットに対して、朝早くからちょっと腹を立てているのはピュンマ。


「昨日ちゃんと言ったんだよっ”今日”から学院に戻るって。結局あの後だってずるずる邸にいたんだし、数時間くらいの差なんだから、僕も一緒に連れて行ってくれたらいいのに!気が利かないやつだよねっ」


キッチンに立つフランソワーズにむかってプリプリと文句を言い、彼女が用意した朝食を口へと運ぶ。


「ジェットだもの・・・・。ピュンマ、カフェオレのお代わりは?」
「あ!もらうよっまた、週末に戻って来るからね」
「ええ、待っているわ」


キッチンからピュンマの2杯目のカフェオレをトレーに乗せて、キッチンから出てきたフランソワーズは、ジョーが壊し、イワンが直した、ダイニングテーブルに近づく。と、そこでドアが開いた。


「用意できた?」


ダイニングルームのドアを開けたのは、ジョー。


「もう少し!」
「車を表に出しておく、よ」


ジョーはダイニングルームへと躯を覗くようにして傾けた姿勢で、ピュンマに言った。


「うん!5分後にっ」


学院へ戻るピュンマを駅まで送るのは、ジョー。
2杯目のカフェオレを飲み干したピュンマは、フランソワーズに見送られてギルモア邸を後にした。

明日は、当麻とジョーが学院に戻る。


ピュンマを見送り、玄関の扉を閉めたフランソワーズを見ている人物がいた。


「お早う・・フラン」


2階から階段を降りて来る当麻。


「お早うございます、当麻さん」


フランソワーズは早足で扉から離れ、吹き抜けの広間を通りすぎ、当麻の前で足を止めることなく、リビングルームのドアへと消えて行く。






はっきりと音にして伝えた気持ち。



”ぼくは、フランソワーズ、あなたが好きです”






当麻にとって、告白した日の事を、遠い昔の出来事のように感じているが、告白した日から実際は、片手で指を折ることができる日数しか過ぎていない。

この数日の間、ギルモア邸で過ごし、フランソワーズの様子から、彼女が誰を想っているのか、だいたいの予想がついていた。
しかし、彼女の想い人である、自分のルームメイトの気持ちは、彼女ほどはっきりと読み取ることができないでいた。
それは、彼が”島村ジョー”でない、サイボーグ009で自分の前にいるためだろうか?と、考える、当麻。


サイボーグ。







この邸の主、ギルモアを覗いた全員が、その躯の90%以上を機械化されている。



---それが、どうしたと言うのだろう?



自分を拒む理由が、”他の誰か”が好きだから。なら、わかる。
けれども、”サイボーグ”だから。を理由にする、フランソワ-ズの気持ちに納得することは、彼女を諦めることはできない。


「・・・ぼくは”サイボーグ003”を好きになったんじゃないんだ。留学生としてホームステイをした、普通の女の子、”マリー・フランソワーズ”を好きになったんだ・・・・」


















####

「ジョー、・・・駅までじゃ?」
「こっちのが、早く着くよ・・・学院近くまで送って行く」
「でも、それじゃ・・・」
「少し走りたいんだ・・理由に、なってくれないかな?」
「・・・わかった」


助手席に座っているピュンマは、座席にシートに力を抜いて背を預ける。
早朝のために、通り過ぎる車はどれも心持ち、法定速度よりも早いように思えた。


「話してくれるのかな・・・?」


邸から40分ほど車を走らせたころ、徐ろにピュンマが呟いた。


「・・・」
「ジョーは、何を考えているのか。あと、・・・・・」
「・・・別に、何も考えてない、よ・・」


ハンドルを切って、大きくカーブを曲がり高速へと入って行く。


「・・・訊いた?」
「?」
「篠原秀顕は、補助脳があったからこそ・・・」
「うん、補助脳をメインコンピュータに繋げるのを手伝ったのは、僕だよ?」


ああ、そうだった。と、言うように、ジョーは口元だけで笑った。


「補助脳があったから。と言っても、表向きには・・・あれだけの規模を1人で・・”伝説”的人物になるよ・・・名前、残るかも、な」
「言わないんだよね?」
「補助脳のことを篠原さえこ、に?・・・・言わないよ。言う必要もない・・これ以上、彼女に関わらせるのも、関わるのも・・・・・別の意味で危険だから」
「うん、でも・・・・・・、篠原先輩は?」
「彼は・・、”篠原”の人間じゃなくなるから、ね・・・、問題外だよ」
「え?」





爆破事件のために棚上げになってしまっていた、さえこが当麻に用意し、007が彼女の個人弁護士から手に入れた書類。
それは、篠原に関する全ての相続権放棄のサインだった。


「当麻には、私が別で贅沢しなければ一生食べて暮らしていけるだけの資産を用意しているわ・・・。私で終わりにするのよ、篠原なんかに指一本関わらせるつもりはない・・・・、彼がサインをするのと交換条件で全てを話すつもり。まあ、サインしなくても、・・・・勝手にそれ相応の手段を使う予定ではいるけど」


小石川美凉。
それが、当麻の生みの母の名前。


「・・・・ちゃんと美凉の忘れ形見がここにいますって、向こう(小石川)にお返ししないとね。そういう気持ちになるまで、時間が必要だったのよ・・・だって、当麻だけだもの・・。私のそばに、家族と呼べるのは、当麻だけだったから、本当なら、生まれてすぐに美凉の両親に預けることもできた、そうすべきだったけど、できなかった・・・から・・・」


当麻が20歳になったのを機に、篠原の籍から外し、彼を小石川へと養子に出す事をさえこは考えていた。








「今日の昼前に、篠原さえこが邸へ繰る予定なのは、言ったよね?そのときにでも、篠原に言うか何かするだろう」
「そうだね・・・」
「石川の事は・・・父親の事は一生言わないらしい、よ」
「どうして・・・?」
「さあ・・・、そこまでは知らない」


迷いなく、アクセルを踏む。
ハンドルを正確にコントロールしていく。


「怖いなあ・・・女の人って」
「?」
「だってさ・・・僕らが”サイボーグ”って知ったとき、生まれたての子猫みたいにブルブル震えて、怖がっていたのにさ・・・あっという間に・・・・」
「ああいう人だから、いいんだよ・・・。どんなに小さな事でも、”きっかけ”さえあれば、自分を立て直すことができる。さっぱりとね。”切り替え”が上手いんだ」
「へえ・・・」


”女性”としては、どうだろう?と、ピュンマは思う。
あまりにも逞し過ぎるのではないか、と。


「篠原さえこの方が・・・・・・、彼女には補助脳なんてないから、ね」
「・・・うん」



ピュンマは運転するジョーの横顔を、ちらり。と、盗み見て、彼の様子や態度、そのハンドルさばきから、いつもの彼であることを確認し、口を開いた。


「人工知能(AI)は・・・、その機能の43%バグってた」
「・・詳しく教えてくれ」


ピュンマはギルモア博士に口止めされている事を、言った上で、ジョーに説明し始めた。
その間、ジョーはずっと黙ったままフロントガラスの先にある、整えられた道を見つめ続けていた。



「・・・・・人の中にアイツらは隠したんだっ。彼自身は”普通”に生活していたんだっ見つけられっこないじゃないかっ・・・、最低だよっ」


吐き捨てた言葉とともに、ピュンマは視線を膝に落とした。
握りしめた拳が、震える。


「人工知能(AI)は・・・予想を遥かに超えた働きを・・・長い間の”秀顕”自身の影響で、かな」
「・・・その辺は、わからない・・・・。彼の脳内で何があったのか、もう、彼自身が、彼の”脳”と繋がってはいないから・・・・」
「・・・・・人工知能チップだけじゃ、ね・・・・。008は、彼の”役割”と僕との・・」
「うん・・・・、じゃないと進められなかった部分もあったし・・・。他のみんなは知らない。僕だけだよ。でもさ、009・・。僕たちが裏切った次点で、その計画は無効化されている。無効化した次点で、なぜ秀顕は」
「・・・処分されなかったか?」


ピュンマは、微かに頷いて、シートベルトを引っ張るようにして、少しばかりそれを緩めた。


「不明虜な事が多すぎるんだよ・・・」
「そうだね」
「おかしいことが多過ぎる・・・彼がしたことは、意味があったの?何が目的だったの?」
「・・・・・それは・・・・・・・・、」


それは。と、口に出したものの、ジョーには言葉を続ける事が出来なかった。
同じ事を何度も、あの夜に訊ねた言葉。


”あなたの目的は?”と。






「ごめんね・・・009、こんな話しになって。でも、みんな感じていることだと、思う・・・。彼は自分がサイボーグになりたかったんだったら、補助脳のデータで十分にできたはずだよ。だって”四友”を手に入れていたんだよ?ボグートとも関係があったし・・トーマス・マクガーの資料に、交流会の・・・。彼らは結局、なんだったの?」


言葉を止めてしまった、ジョーの口から、その続きが流れる様子が見受けられない。
スムーズに走り続ける車は、まもなく高速を降りる。


「謎は、謎のままでいいんじゃない、かな・・・・。必ずしも、答えを出す必要なんかないと、思うよ・・・それが、人である、証拠なような気がする」
「・・・・・答えがないこと、が、答え?」


静かに、ジョーは頷いた。


「彼自身が”人”であることを訴えたかったんだよ・・・」
「・・どういうこと?」


ジョーは、ちらり。と、ピュンマの方へ視線を送る。
ピュンマの視線とぶつかった。



「自分が人間だって、言いたかったんだよ・・・・”篠原秀顕”だって・・・言いたかったんだ。誰でもない”篠原秀顕”だって・・・。俺たちが、半分以上を機械化されている、俺たちが”人間”だと、主張するのと同じように・・・」


ジョーは独り言のように、囁く。


「ずっと1人で戦っていたんだ、きっと。1人で、自分と戦っていたんだ」
「・・・」
「俺たちに、会いたかったんだ・・・・。遊びだ、暇つぶしだなんて・・・言いながら・・・・。彼は待っていたんだ、ずっと。自分が、何者であるか・・・・を、知るために。”人間”であることを主張しながらも、B.Gから与えられた役目を忠実に守りながら・・・・・・変、だよね?矛盾しまくってる・・・。人工知能(AI)が秀顕氏を取り込んでいくプロセスの中のどこかで、狂っていたの、かな・・・。よく解らない・・・、想像しかできない」
「・・・・」
「43%が、”篠原秀顕”氏だったのかも、な・・・・・。確かめようがない、けど、ね」


ピュンマは時間をかけて、ふぅ・・っと、穏やかに息を吐いた。


「優しいなあ・・・ジョーは」
「・・・・優しい?」
「そういう風に、考えていたんだね」
「・・・・・」
「きっと、他のみんなだったら・・・。もっと単純に”面倒臭せえ訳わっかんねえ事件起こしやがってぇっ!で、ぶん殴って終わり。スッキリ、事件解決で宴会開いてるよ、とっくにね」
「・・・」


ピュンマが仲間の”誰か”ではなく、ある特定の人物の口まねしたので、ついジョーの頬が緩んだ。


「・・・善が人の中に存在するのと同じように、悪も存在するなら、その悪が成長する”理由”があると思う。その”理由”は、様々に・・・・有りすぎて、1つに絞るなんてできない。けれど、その”悪”が成長する前、一緒に共存していたはずの”善”に・・・俺は希望を持っている。・・・・・絶対悪なんて、ない。・・・甘い考えかもしれないけれど、ね」
「ジョーらしいね・・、うん。ジョーらしい・・・甘くなんかないよ、僕も、そう思いたいから」


ピュンマは体ごと捩って、カーウィンドウの外を見た。
いつの間にか、高速を降りて、街を走っている。



「・・・孤独だったと、思うよ・・・・・・・彼には俺のように、”仲間”も博士も・・・いなかったんだ。・・・”仲間”が欲しかったの、かな?」


---僕たちのような、仲間・・・・。






高速を走っていたときよりも、スピードが落ちた車。
走り過ぎ行く街の景色は、同じストロークで色を塗ったように、滲んで見えた。


「・・・・・それで、あんなに”愛人”作るわけ?」
「・・・・・・・・、それはっ・・」


ピュンマの言葉に驚く、ジョー。
話しがおかしな方向へと向かって行く気配に、ジョーは苦笑する。


「ねえ、さっきのだけど。その考えがどうして恋愛に活かされないのか、教えてくれないかな?」
「・・・さっきのって?」
「ジョーにだって”幸せ”だっ!って思えたときがある。それを知らないなんてことはない。どんなに辛く、苦しく、厳しい状態で、戦ってきた、暮らしてきた中でも”幸せ”だと思えた瞬間があるはず。胸の中にしまい込んでいる、その”幸せだと思えた”瞬間”をかき集めて、さ・・。ジョーがフランソワーズと一緒に幸せになる道が決してない、ことはない。僕は希望を持つよ、その幸せをジョーとフランソワーズが共有できる日が来るって!・・・甘い考えかな?」
「・・・p。ぴゅ、ピュンマ・・・・」
「甘い考え?・・・人の善悪云々よりも、とっても簡単なことだよ?」
「・・・・強引だよ、それ」
「そお?同じ事だよっ!・・・・・・・・そろそろ、その手をのばして、捕まえてもいいころじゃないかな?」
「・・・」


うん!っと、1人で頷き納得するピュンマ。






それ以後、2人に会話はなく、ジョーはピュンマを学院から少し離れた場所で降ろし、邸へと車を走らせた。
別れ際に、ピュンマは言った。


「ジョーはね、欲張りなんだよ。フランソワーズの”全部”を完璧に幸せにする必要なんてないんだ、そんなの神様だって無理だよ!1秒でも、それ以下でも、彼女が”幸せだわ”って思う瞬間を1つでも多く作る、それが大事なんだよ」















####


ギルモア邸の正門前に1度だけ、そのハンドルを握ったことのある車を見つけた。

2階の自室には行かず、そのまま、長方形の箱を手に、リビングルームへと足をむける。
邸の誰も使うことのない香りが、ドアをあけた瞬間にジョーの鼻孔へと届けられた。
強いムスクの香りによって篠原さえこがいることを、彼女の姿を捉える前に確認する。

邸の前の車が、彼女のものであるとわかっていたが。





「こんにちは・・・」

リビングルームの、白い革製のソファに、篠原さえこ、当麻の2人だけ。
ジョーが怪訝に眉を寄せると、さえこが答えた。


「・・・席を外してもらったのよ、当麻と話しがしたかったから」


硝子作りの珈琲テーブルの上に広げられた書類を見て、2人だけの事情を把握する。
彼は頷いて、「隣にいます」と、一言残し、ダイニングルームのドアへと消えていく、その姿を、当麻は視線だけで追いかけた。


リビングルームにて、当麻は、母、さえこの提示した書類に、何も言わずにサインした後、小説でも朗読するかのようにまとめられた、さえこの話しを、自分の出生についての話しを聴かされた。


「祖父や祖母とは縁遠かったから、増えるのは大歓迎だから。だけど・・・・ぼくは永遠にあなたの息子なのは変わらないよ、お母さんは、さえこさん意外考えられないし・・・育ててくれたのは、さえこさんだから・・そうでしょう?」


弁護士を通して美凉の父母と連絡を取り合い、近々当麻は彼らに会うことになっている。
彼がその後、養子になるかどうかは、まだわからない。

そして、当麻は未だに、石川斗織が自分の父親とは知らされていない。





「生意気なことを言えるようになったのね?・・・あなたも」
「さえこさんに育てられたから・・・」


テーブルに広げられている書類を片付けながら、さえこは微笑んだ。


「思ったよりも・・・あなたが驚かないから、ショックも受けてないようだし・・・。そっちの方がなんだか淋しいわ」
「・・・なんとなく、なんとなくだけど・・・・気がついていたと、思う」
「いつから?」


書類をひとまとめにして、膝の上に乗せたそれらを、チェックするさえこ。
冷静なフリをしているが、動揺する手は微かに震えている。


「学院の寮に入ったときに、”今日からはもう、お母さんと呼ぶ必要は無い”って、言ったのは、さえこさんだから、・・・あのとき、なんとなく・・・」
「その割に、何も言わないし、訊いてこなかったわね?」
「・・・訊いても、さえこさんのことだから教えてくれないと思っていたんだ」
「あら、そう・・・、でも正解よ。いい感じに育ってくれてよかったわ」
「いい感じって・・・」


当麻は苦笑する。
さえこは膝の上で、書類の束を整えて、それらを再びアタッシュケースの中に仕舞い、ソファに座る足下へ置く。


「さて、おじいさまのことは、知っているわよね?」


姿勢を正して、話題を替えた、さえこ。


「はい」
「急だけど、お年だったのよ。いつでも”お迎えが来てもおかしくない状態だったわ。やっぱり”爆破”は、あのおじいさまでも・・・・ね。時期が時期だから”社葬”は、”あやめ祭”の後に行うわ、そっちにあなたは出席する必要ないわ、言わなくても解るわね?でも、その影響があなたにも及ぶかもしれない。当分、学院と、ここのお世話になりなさい」
「・・・はい、・・・・?」


当麻の視線がさえこから外れて、ドア口へと向かったので、さえこは振り返るようにして、吹き抜けの広間へと通じる方のドアを見た。


アルベルトは、片手を上げて「失礼」と短く言葉をかける。
さえこは、そんな彼に口の端だけで微笑んで、再び当麻の方へと向き直ると、気にすることなく話しを続けた。


「・・・だけど、死んだ人間を、いつまでも病院に放っておくわけにはいかないのよ、”篠原”秀顕だから。わかるわね?」
「・・・」
「内々に、簡単に済ますわ、それには本家の”孫”として出てちょうだい。愛人たちの処理に、あなたの顔があった方が便利なの。それが”篠原”でのあなたの最後のお勤めだと思ってくれていいわ」
「・・はい」
「あとは、自由よ。当麻は好きに生きてちょうだい。私が生きている限り、お金に不自由だけはさせないわ」
「ありがとう、ございます・・・・」


さえこの、さえこらしい、さえこだからこその、言い方に、当麻は微笑んだ。
以前よりも、より、さえこを母として慕う気持ちが強くなる。

それが、さえこ流の自分への愛情なのだと、感じるから。


「礼なんて余計よ、私がそうしたいから、するだけ」


2人の会話を耳にしながら、アルベルトはリビングルームを通り抜けて、ダイニングルームのドアへと向かう。


「これで、話しは終わり。次はあなたたちね?」



アルベルトを呼び止めるようにして、さえこは声をかけた。
当麻はソファから立ち上がる。

いまだに、彼は”事件”の全容を知らないまま。
そして、彼自身が知る必要はない。と、思っている。そのために、当麻は自らリビングルームを去ることを選んだ。


ダイニングルームへのドアを開けて、アルベルトはダイニングルームへ躯を傾ける。


「ジョー、オレたちの番、だそうだ」


庭で昼食後の一服を楽しんでいたジョーは、アルベルトの声に振り返り、手に持っていた煙草を、丸い銀色の携帯用灰皿に入れた。














####

ダイニングルームに姿を現した当麻の前に、”島村”がいる。


「明日の用意をしておいてくれる?・・・朝、早いから」


当麻は頷くだけで、その問いに答えた。


「珈琲を持っていくアルヨ!」


キッチンから顔を出した張大人に向かってジョーは頷き、リビングルームへと歩き出す。


当麻の横をジョーが通りすぎるとき、彼が喫煙していたGARAMに含まれる、インドネシア産の香辛料、クローブ(丁字/ちょうじ)の甘味ある独特な煙草の香りに、自分との違いを感じさせられる。


目に見えない違い。
サイボーグか人か、などではない。


男としての違いに、当麻はこだわる。

肌で感じる、経験の差のような、隔たり。
同性であるがために、意識する。

同じ異性に好意をもっている、かもしれない。
自分が好意を持つ女性のこころにいる、男。と、感じているがために、自分は雄として彼に接しようとしている。







「島村、・・・煙草って・・いつから吸いはじめた?」
「?・・・・・さあ、・・・気がついたら、吸っていたからね・・・覚えてないよ」


足を止める事なく、当麻をみることもせずに、ジョーは答えた。が、リビングルームのドアを押さえているアルベルトの隣に立ったところで、振り返った。


「興味ある?・・・損することばっかりで、特になるようなことは、ないけど?」
「じゃ、なんでお前さんは吸い始めたんだ?」


当麻に向かって言った言葉にたいし、アルベルトがジョーに訊ねた。


「だから、気がついたら、手にもって楽しんでたんだ、よ」
「いつ?」
「そういうアルベルトは?」
「彼くらいの年だな」


立ち止まって自分たちを見る当麻を、顎で指した。


「へえ・・意外と遅かったんだ」
「普通だろ?・・・で、お前はいくつでだ?」
「・・・ああ、吸ってるな。って思ったのは・・・ん・・・中学?」
「それは、いくつだ?」
「12、3、4、あたり?」
「・・・不良」


左の口角を上げて、にやり。と、嗤うアルベルト。


「・・・不良らしい不良、不良の代表でした。・・・せっかく買ってきたのに、いらないんだ?」
「買ってきた?」


ダイニングテーブルの上に置かれていた長方形の箱を、グレートが持ち上げてみせた。
それはピュンマを学院に送り届けた帰りに、ジョーが立ち寄った店で購入したものである。


「あれか?」
「あれ、だよ」
「例のか?」
「例の、だよ」
「よし、いい子だ」


アルベルトは小さい子どもにするように、ジョーの頭を撫でてやろうとする。が、それを、ジョーは大げさに躯を傾けてよける。しかし、アルベルトの手がおいかけて、ジョーの髪をぐしゃぐしゃにとかきまわした。


「やめろって・・」
「いい子だから、いい子してやっている」
「ちょっ・・・いい加減に・・」
「煙草の量が増えてるな?減らせ。前のほうがちょうど良い感じだったぞ」
「なにが、いい感じなのさ?」


そんな会話が遠ざかり、ドアが閉められたことによって、ダイニングルームから2人の声が消えた。
閉められたドアを見つめる当麻の背に向かって声をかけたのは、トレーに3人分の珈琲を乗せてキッチンから現れた張大人。


「当麻君、お昼にするアルヨ!今持ってくるから座るヨロシ!!」
「あ、はい・・」


張大人に促されて、当麻はダイニングテーブルに着き、ぐるりと、首をまわした。


「姫なら、イワンのママになってるんだが、呼ぼうか?」


その様子を見て、グレートが話しかける。


「い、いいえ、・・・」
「ま、そのウチ戻って来るさな」
「・・・はい」











####


ジョー、アルベルトの2人はリビングルームにて、さえこと”あやめ祭”の打ち合わせをおこなった。

あやめ祭を機に、月見里(やまなし)学院に集まる”秀顕”が裏で関わっていたと思われる人間たちと、”篠原”グループは完全に手を切る予定であり、00メンバーは、自分たちの”ミッション”をこなす上で、篠原さえこをサポート、協力する。

津田海は当初の予定通り、あやめ祭のオクーションに参加するが、それは”サイボーグ技術”によって作られた足ではなく、現在の篠原技研が可能である技術をつぎ込んだ義足。
篠原秀顕、石川斗織、両名の声に集まった人間達の間で、どのような反応が返ってくるのか、最悪の事態も想定して行動したとしても、招待されている人間だけが、会場に姿を現すとは限らない。


しかし、今回のプロジェクトを組んだ人間である、篠原秀顕は故人となり、片腕と思われた石川斗織は事故以来、意識が戻らない。この状況にたいして、漣のような裏での囁きが00サイボーグたちの耳に聞こえ始めていた。





”篠原”は終わった。と・・・。







それでも、安心することはできない。

”マクスウェルの悪魔”が運営していたゲームが、どこまで、どのように伝わっているかにもよる。
独特なゲーム参加方法によって、現時点ではゲームに参加していたプレイヤー、全員の身元を00メンバーは把握しているが、その参加者がどこへ繋がっているかは、未だ調査中であった。
001の能力により、プレイヤーとして関わっていた某国政府の動きを追うことができた。が、彼らは今回の事に関しては介入してこない。と言う、001の声に調査を打ち切った。


オンライン上から突然消えたゲームに、噂は耐えないが、それは放っておいてもいずれ薄れていくものと、判断する。



009の指示により、”マクスウェルの悪魔”が使用していたコンピュータは、専門業者によって破棄させ、使っていたハードディスク(HD)はすべて、さえこの護衛役である007により、ここ、ギルモア邸へと持ち出されていた。
篠原秀顕が使用していたコンピュータも、さえこの許可を得て、篠原グループの経営やプロジェクト関連のみ、別に保存させた上で、持ち出された。

月見里(やまなし)学院で使用されていた、今回のミッションに関係していたコンピュータ類はギルモア邸の地下にあるメインコンピュータと繋げていたために、すべてのデータが移行済みである。が、008の手によって今日、明日中に、それらのコンピュータのハードディスク(HD)を、取り出し、002が持ち帰って来る予定であり、もちろん、石川斗織が使用していたものも含まれる。


1粒の砂さえも、取りこぼすことがないように、徹底的にこの世から”サイボーグ技術”を、”トーマス・マクガー”の痕跡を消していく。


3人の話し合いはスムーズに行われ、2時間ほどでまとめられた。







篠原さえこは007を護衛役として邸から去り、004は遅い昼食を取った後に、夜間警備員として、四友工場へ向かった。
004、005は臨時で追加された警備員のために、1週間ほどで、その勤めを終える予定であるが、今のところ、それらしいものは見つかっていない。





イギリスの交流会に関しての情報は、コズミ博士を通してクラーク・リンツから情報を得ていたが、今のところ動きはない。













####


空の色が朱をさしはじめて、傾いた太陽が月を見上げるころ、イワンがひとつ、大きなあくびをして、口にくわえていたおしゃぶりを落としてしまった。


「ぼくが拾うよ」


さえこと、グレートを見送った後、ジョーに話しがあると言われ、ダイニングルームにいた当麻が、リビングルームに入ってくると、早足にフランソワーズに近づいて、彼女の足下に落ちた、黄色のおしゃぶりを拾い上げた。


「当麻さん、・・・あの、ジョーは?」


リビングルームには、今、ソファに座るフランソワーズと、その腕に抱かれたイワン。そして、彼女の隣に腰を下ろした当麻だけだった。


「呼ばれているからって・・・・ギルモアさんの部屋へ行ったみたいだけど・・・・」


当麻には、邸に住むギルモア以外の住人がサイボーグである。と、明かし、イワンの存在までも知らしたが、それ以外のことは、以前となんら変わりなく秘密で通している。


「ジョーのお話しは、・・・どうでしたの?」


当麻から、おしゃぶりを受け取る、フランソワーズ。


「今後のことを少し。ぼくはほら、何も知らないからね。・・・知ろうとも思わないし、知る必要ないと、思ってるけれど」


告白して以来、今までと変わらない態度の彼女にほっと、安堵の息を胸中吐きつつも、変化のない彼女にたいして、腹立たしさよりも、悲しみに肩が重くなる。

避けるなり、なんなりの反応があったほうが、逆に何かしらの期待が持てたような気もする。



矛盾した気持ち。














---サイボーグであることなんて、理由にならないんだよ。













フランソワーズは、腕の中にいるイワンに視線を落していた。
むずむずとくちびるを擦り合せるように動かしたイワンは、あくびをかみ殺しているように見える。


「今後のこと?・・・・でも、当麻さんは・・」
「祖父の葬儀がね・・・。そのこと。と、あやめ祭でのことを少し、なにかあるみたいだね?護衛?っていうのかな・・・、フランがついてくれるんだって?」
「え?」


続けられていた、当麻の言葉に、ぱっと視線を上げた。


「・・・・訊いてない?ええっと、オークションも、フランがぼくを、って形になると言われたんだけれど?」
「ジョーが・・・そう、言ったの?」
「島村から訊いてない?」


フランソワーズは、イワンを縦に抱き直して、その小さな肩を盾にするかのようにして顔を埋めて、当麻から視線を外す。


「ごめんなさい、私はまだそこまでのことは・・・でも、ジョーが当麻さんに言ったのなら、そうなのでしょうね。彼からはまだ指示が出てないだけなのだわ」
「島村、が・・・、全てを決めているんだね・・・」
「彼は・・リーダーですもの」
「リーダー・・・だね、確かに」


ダイニングルームでの彼は009と呼ばれる、サイボーグのリーダーだった。
会話の中で、当麻の前で、彼はフランソワーズとは呼ばずに、003と呼ぶ。

当麻はその度に、”フラン”と言い直す。
009であった彼は、その当麻の言葉にたいして、何も反応を示さなかったが、最後に。




「003、を。と考えているけれど、状況に応じては、変わってくる。・・・・003が篠原のそばにいるのは、1日目のオークションと、3日目の後夜祭の間だけ。あとは、・・・・・フランソワーズの、自由だ」







その009の言い方で、島村ジョーが近く感じた。












当麻は、深くしっかりと腹に空気を吸い込み、咥内にたまった唾液を飲み込み、胸にうずくまっていた言葉を口にした。


「・・・・ぼくの気持ちは、フランにとっては迷惑でしかないなら、ちゃんとそういって欲しい」
「あ、の・・・それは」


怖々と視線を当麻へとむけるが、当麻の瞳を見る事を、無意識に避けて、その視線は彼の首もとで止まった。


「ぼくは、ぼくなりに考えて、そして事実を受け止めた上で・・・。気持ちを伝えた」
「・・・」
「・・ギル・・・ピュンマが言っていたんだ。躯を改造されても、それは”躯”であって、こころまで、魂まで改造された訳じゃない。だから、”人”であることは変わらないって。色々な”人”がいる。自分たちも、その”色々”な人の一部分なんだってさ・・・。だから、理由にはならない。フランが”サイボーグ”だから、ぼくの気持ちを受け入れられない理由にはならないんだよ」
「だけど・・・、私、は・・・」


フランソワーズは言葉を音にしようとするが、はっきりとした形で単語を作りだすことができない。
頭の中に舞う言の葉は、イメージとして捕らえられて、それをどうのように、言葉に置き換えればいいのか分からなかった。


「フラン、・・・・・自分で自分の可能性を、”サイボーグ”だと言うことだけで、決めつけたら駄目だと思う。たとえ、生きる時間が分かれてしまう日が来ようとも、その日まで”幸せ”であれば、いいんじゃないかな?昨夜、そういう話しをしてたんじゃないの?君と、君の仲間たちは・・・。”今”を大切にしよう、と言う事、だよね?だから、ぼくは、ぼくの”今”を大切にするために、”今”の自分が選んだのは、フランソワーズ・・・君のことが好きだ。と、いう気持ち。そして、君もぼくに少しでも・・・違うな・・・。フランが、”今”からぼくと過ごしてくれるかもしれない時間に、”幸せ”を感じてくれることを望むよ。・・・・まだ出会って、日も浅いし、ぼくと言う人間がわからないよね?だから、いくらでも時間をかけてみて、ぼくをちゃんと観てくれないかな?」
「・・・・」


イワンの肩越しから、視線だけを当麻のシナモン・カラーの双眸へと動かした。


「好きなだけ、時間をかけてくれていいよ・・・。返事なんかに、こだわらない。ただ・・ぼくはぼくの気持ちをフランに知って欲しかっただけだから・・」


当麻の瞳は和やかに、そして温かくフランソワーズの、こぼれ落ちそうなほどに大きな碧い瞳に微笑みかける。


「・・・・私は、サイb・・」
「関係ないよ」
「いいえ、当麻さんっ・・私は」
「フランがサイボーグでも、なくても、ぼくにとってそれは問題になんてならない。ぼくは”サイボーグ003”を好きになったんじゃない。普通の女の子、”フランソワーズ”を好きになったんだから」


黄色の、イワンのおしゃぶりを当麻はフランソワーズへと差し出した。





---普通の、女の子・・・、私、が?











フランソワーズの心臓が、ぎゅうっと鷲掴みにされた。と、同時に、喉奥が焼け付くように痺れる。



「でも、・・・当麻さん・・・・私は・・」





「ぼくがサイボーグじゃないから、恋愛対象にならない?」
「っ・・!」


意外な言葉に、驚きに見開かれた碧空の瞳。
こぼれ落ちそうなほどにおおきな、その碧を覗き込み、当麻はおだやかに微笑み続ける。


「ごめん。変なことを言って・・・出会えたことが運命なら、この運命はぼくが選んだ運命なんだ」
「・・・」
「好きになる相手が、サイボーグである、ない、関係なく、フランソワーズと出会う運命だったんだよ。フランソワーズもぼくと出会うために、きっと・・・ね?」
「・・・・」
「サイボーグであることを理由に、自分で壁を作ったらだめだよ?」
「・・当麻さん・・・・・ちが・・」
「いくらでも、ぼくと島村と比べたら良いよ、・・・でも、”サイボーグ”と言う事を除いて、頼みたいな・・・・」
「私はっ」
「・・・フランが、島村に好意を持っていることくらい・・・それでもいいんだ。解っても、フランを好きだと言う気持ちは変わらなかったから」
「!」
「今、フランが島村のことを好きでも、明日はわからない・・・。日本ではね、こころって。ころころ変わるって言う意味があるから”こころ”って言うんだよ、知ってるかな?」


イワンに助けを求めるように、フランソワーズはイワンを強く抱きしめた。


「明日の用意・・・って言っても、突然ここに連れてこられたからね、別にないんだけど・・・」


ソファから当麻は立ち上がる。


「あなたが好きです。何度でも言うよ・・・ぼくはそういう人間なんだ・・・部屋で、明日の用意をしてるね、それと」
「・・・」
「今年であやめ祭は最後、フランと3日間一緒にまわれるなんて、嬉しいよ」



遠ざかる当麻の足音。
リビングルームのドアが閉まった後に、聞こえたイワンの声。


<・・・彼ハおーぷんダネ、僕ガイルノニ。彼ハ僕ノコトヲ ドウ捕エテイルンダロ、赤ン坊ニ 色恋沙汰ガ ワカラナイトデモ?>


イワンの言葉に、フランソワーズは躯の緊張を解いた。


「イワンの事は・・・同じサイボーグ。と、しか博士は説明されていなかったでしょう?」
<ソレデモ、昨夜ハ 僕ガ話シテイルノ、聴イテイタヨ?>
「信じられないのかもしれないわ、普通は疑うし、びっくりして、逃げちゃうかもしれないのよ?でも、当麻さんは、イワンの前でもごくごく普通に接していらっしゃるわ・・・」
<肝ガ据ワッタ男ダネ・・・サスガト言ウノカナ?・・・・ふらんそわーずノコト、チャント好キナンダネ>
「・・・・」
<最後ノ一言ハ 余計ダッタケド>


フランソワーズは、マシュマロのようなふくよかな肌触りの良いイワンの頬をつん。と、人差し指でさした。


「最後の一言?」
<ココロは コロコロ 変ワルカラ ッテサ>
「・・・・そう、ね」
<ハッキリ言ワナイ、ふらんそわーずモ悪イ>
「・・・ええ、でも言葉にするのが、怖い」
<さくらニハ言ッタ>
「あの時と、また・・・違う、の」


フランソワーズはイワンを抱き直した。


<じょーハじょーデシカナイシ。当麻ハ当麻ダカラ>
「え?」



あふぅ、と、大きくあくびを1つ。
眠たげに瞬きを繰り返し、小さな手で目をこする、イワン。


<僕ダッテ 誰ニモ負ケナイクライ、ふらんそわーずガ大好キダヨ>

イワンの夜が訪れようとしている。
眠たげに、重たくなった瞼を押し上げて懸命に、困惑する表情の大好きなフランソワーズを見上げる。
フランソワーズはイワンの躯をゆったりと揺すり始めた。
小さな背中をリズム良く、やさしくたたく。


「私も、イワンが大好きよ・・。大好き」
<僕ガ一番ダヨネ?>
「ええ・・・一番よ」



何度も、ちいさくあくびを繰り返し、テレパシスで、彼女へ何かを伝えようとするが、思念は眠りの森に漂う霧に混じって、フランソワーズには届かなかった。











デモ、愛シテイルノハ・・・・・
   

ドウシテ、ハッキリ言ワナイノ?



何ガソンナニ、怖イノ?











































<?>


明け方近くに、イワンは一度目を覚ました。
見上げる天井は、自分にあてがわれた1階のコモンスペースに置かれたベビーベッド。

寝入ったばかりの時間は眠りが浅いために、ごくたまに、誰かの強い”思い”に引きずられて、目が覚めてしまうことがある。

よくミッション前の緊張する空気によって、夜の時間への寝入りを不快なものにさせられて、イワンはその能力(ちから)を暴走させてしまうことがたびたびあった。


<・・・じょー?>


自分を目覚めさせた、”思い”を辿る。






地下の研究室。
メイン・コンピューターに繋げられた、人から切り離された欠片の前にいる。
ギルモアから拒まれてしまった009は、それと繋がる方法が、ない。


<・・・・・・起きて、たのかい?>
<・・・何シテルノ?>
<よかった、訊きたい事があったんだ・・・>
<何?>
<・・・・人工知能(AI)のことなんだけど>


009と、短い会話が終わろとしたとき、イワンは再び夜に呼ばれた。


<無駄ナ、コト・・・・・好キダネ・・>
<これで、終わる、かな・・・>
<・・・・ソレデ、満足スルナラ、・・・スレバ・・イイ・・・・>
<ありがとう、・・・おやすみ、イワン>
<・・じょー・・・>
<?>
<・・ーイ?・・・・・・・・・>
<?・・・おやすみ、イワン・・・いい夢を>






何ガ ソンナニ 怖イノ?
怖ガッテイタラ 何モ始マラナイヨ。








ソノ手ハ、誰ノタメニ、アルノ?
















====74へと続く。




・ちょっと呟く・

書き直しナンバーワンの座をゲットした73!
何度書き直したか(泣)

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