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ちゅ。   (002編)

秋の香りを感じるのは、色づいた木々の葉。
木漏れ日の色が、紅葉する葉に負けないほどに朱みが帯びたころ、別行動していた”ヤツ”らと落ち合うために、向かう指定の場所へ。

目的地まで、舗装された道を使うと、大きく迂回しなければならない。


「おい、チビ。通るんだよっ」


近道のために、猫の額のような公園を通り抜けようとした。


「っ!外人がっ日本語、話してはるわっ!」


コンクリートで固められた、ジェットの腰の位置にさえ届かない柱が、大人2人が並んでギリギリ通ることができる幅で立っている。


「・・・・悪ぃかよっ」


ジェットが通ってきた入り口は、彼の背後にあり、ここを抜ければ、目の前に約束のバス停がある。


「すっげえ!あたま!」


ずいっ!と指を指したのは、ショートカットヘアに、白と黒のボーダー柄のシャツ。
赤のオーバーオールを着た子ども。



「フンっ、オレの自慢の髪だぜ?」
「・・・別にカッコいいとは思わへんねんけどな」


子どもに、ふんっ。と、鼻で笑われた。


「っ・・・!あああああああああっうるせえっチビっどけやっ!!」


子どもを無視して公園から出ようと、ジェットは足を一歩踏み出す。が・・・・。


「チビチビ言うなやっチビ言うヤツの方がチビやねんえ!」


出入り口の柱の間に、ばん!っと、腕を組んで仁王立ちになる、子ども。


「うっせえっ!!変な日本語使いやがって」
「変やないわっ!関西弁やっアホっ」
「?!アホだとおっアホ言うヤツがバカなんだぞっバカチビ!」
「?!っっなんやて!アホやてゆうよりバカのほうがっあかんねんっ!」
「・・・あかん???」


ジェットは聞き慣れない日本語に、目を白黒させる。



「ウチより、でっかいクセにっ!大人はなあっ!もっと子どもを大切にせなあかんねんでっ!少子化で子どもは貴重やねんからなっ」
「へえへえ」


手をひらひらと、”あっちへ行け”とでも、言うように動かし、足を再び前へ出そうとする。が・・・。



「ああっ!お前は鼻ばっかり大人になった、ピーターパンしょうこうくん(症候群)やなあっ!!」
「????」


ジェットの足が止まる。



「鼻と髪の毛ばっかり成長しはったからっ!それやから、子どもにたいしてケンカ売れるんやっ!!」


びしいいっっ!と、人差し指をさされた。


「チビっ!どけっ」


ぐしゃぐしゃっと、自慢の赤毛をかきむしり、面倒臭そうに、足を前へ出そうとした。が・・・。


「イヤやっ」
「ああ?!」
「ここはウチのキチやねんからっ」


子どもは、両手両足をのばして、道を塞ぐ。


「そこを通らねえと、行けねえんだよっ!」
「うるさいわっ!ここはウチのキチって言うてんのがわからへんのかっ!頭いってんちゃう?」
「あたま・・いく?」

再び、ジェットは”翻訳”に苦労する言葉に、戸惑いながら、「オレは基地から出ようとしてんだけど?」っと、胸の中で呟いた。


「さてはっ!お前っアクのてーおー、スカルモンの手先やなっ!!」
「はあ?!」


---スカルモン?!


微妙に、こころ当たりがあるような、ないような、名前が出てきたために、呆然と子どもを見下ろした。



「ウチのキチをはかいしに来はったんやろっ!そんなんさせへんねんからっ」
「・・・おお、させんな、させんな」


ジーンズに手を突っ込んで、大きく足を持ち上げた。が・・・・・・。


「とおっ!!」


子どもが、その足をめがけて、思い切りキック!


「っイテっっっ!!!っ何しやがんだよっチビっ」
「アクはほろびなっいくでっ!!」


何かのヒーローモノのポーズを、ばっちり決めて、戦闘態勢に入った。


「っ!おおっ来いっ!!」
「いやああっっ!」


正義をかけた戦いの火ぶたが切って落とされた。








待ち合わせしている、バス停で。
フランソワーズがなかなか姿を表さないジェットに、痺れを切らしたころ、不意に、耳に届いた小さな子どもの声と、聞き慣れた、声。

初めは、近くの公園で親子でも遊んでいるのだろうと思っていたフランソワーズだったが、”親”だと思っていた声が、どうしても、自分のよく知る、待ち合わせの相手だとしか思えず、声のする方へと躯を動かした。


「・・・ねえ、ジョー」
「ん?」


バス停のベンチで、単行本を開いていたジョーは、立ち上がったフランソワーズに声をかけられて、視線を単行本から外し、彼女の傍らに立った。

「あれ、あそこ・・・」
「え?」


フランソワーズの指差す方向へと視線を向ける、ジョー。


「ほら・・・」

バス停前の大通りを挟んだ、雑貨ビルの隣に、木々が寄り添うように立っている。
点滅信号前の、その場所が”公園”であることに気づく。


「あ、・・・ジェット?と・・・」


樫の木だろうか?
公園の入り口と思われる場所に大きく立つ木は、自然の強さを主張するように、舗装されているアスファルトを盛り上げて、雄々しく立っているために、ジョーとフランソワーズの視界には、ちらり。ちらり。と、赤いつんつん髪の長身の男が見えて、その下に、同じ赤の・・・・服を着た子どもが見え隠れする。


「・・・いつまで・・・・遊んでるのかな?」
「どうしましょう?」


白熱する戦いの声が、聞こえ始めてきた。
どうやら、かなりの苦戦を強いられている002。


「・・・・・喉、渇かない?」
「え?」
「あっちにさ、カフェがあったよ。そこからでも見えると思う」


さきほど歩いてきた先にあった、店を思い出して、ジョーはフランソワーズを誘う。


「んふふ♪ケーキも食べていいかしら?」
「いいと思うよ。・・待たせるジェットが悪いんだしね」
「ジョーは、食べないの?」
「フランソワーズの一口もらう」
「だめ。だってジョーの一口は大きいもの!」
「でも、食べるよ?」
「も!」


抗議するように、ジョーの腕を捕らえる。
そのままジョーは歩き出したので、腕を絡めたまま、2人はカフェへと向かった。







「なあ、名前教えてくれはる?」


夕闇の色が、汗ばんだ躯に心地よい風をジェットに届けた。
子どもがオーバーオールの胸ポケットにいれていた携帯が鳴り、どうやら”帰ってこい”と、言われたようだ。


「???」
「名前や、名前!アクのてーおーの手先や言うても一戦まじえたから覚えておいてあげるさかいに、言ってみいや」
「・・・・・何語やねん、それ?」
「あ、うつってんで?」


けらけらけらっ、ジェットに向かって笑った。


「っ!ジェットだ、ジェット!」
「変な名前やなあ、あんた、苦労するで?」


同情するように、眉を悲しげに下げてみせる。


「っチビのくせにっ」


ジェットは、その子どもの頭を両手でわしゃわしゃっ!!っとシャンプーでもするように、かきまわす。と、子どもの体がぐいんぐいん揺れた。


「まあ、ええわっ!!ウチそろそろ行かなあかんねん、この辺で堪忍してな、遊びとおても、ききわけのええ大人にならへんとあかんで?」


乱れた髪を、小さな手で撫で付けながら言う。


「だああっ!!誰が遊びたいって言ったっ誰ガッ!」
「顔に書いてあるやんっ!」
「行けやっとっとと!誰か待ってんだろっ!!」
「せやっ!しんかんせん乗ってかえるよてえやねん、時間ゲンシュや言ってはったんや!ま、そういう訳やさかいに、泣かんでなあ?」


ジェットを気遣う子どもに、舌打ちしながら答える。


「誰が泣くかっ!」
「最後や、ちょっとかがんでみいや」


子どもは、おいでおいでと、ジェットにかがむ事をせがんだ。


「ああ?」
「ほらあ、はよせえへんと、時間がなくなるやろお!」


ジェットのジーンズを掴んでぐいぐいっと引っ張る。


「ったく、なんなんだよっお前はっ」


嫌々ながらも、ちゃんと子どもと同じ目線にまで、膝を折ったジェット。







ちゅっ。






「ウチ、きよかって言うねん!またこっち来れたら遊んであげるわあっジェット!!」


触れた頬に手を当てて、走り去る”きよか”を見送った。


「・・・・・・女の子だったのか」









街頭に灯が点る。


「へへ・・・、ま。ええ女になってまた、来いやっ!!」














*ベタ。だ・・・でも、ベタ。が似合う気が・・す、る・・・。
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