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雨の日/9.09.08'

さらさらとした、針のように細い、雨が、秋色に染まり始めた葉に、落ちる。
ささやかに震える葉を滑り落ちた、雫が、ぽたり。と、音を立てて、さしていた傘を奏でた。


見上げた空は、雨雲におおわれて。
陽の色を感じることはないが、あたりはきちんと”昼”である。

隠れてしまった太陽だけれど、その光はきちんと地上(ここ)に届いている。



見えなくても、届いている。


届いている。















「どこへ行こう・・・かな?」


ギルモア博士に頼まれた用事を済ませて、ボクは、なんとなく一度も訪れたことのない駅で降りた。


そこは雨の世界。
数駅離れただけなのに、ここの空の機嫌は悪かったらしい。


「どこに行こうか、な?」


駅から離れて、大道りに出た。なんとなく、人が歩く方向とは逆を行く。
途中、信号が青に変わったので、渡ってみた。

そのまま、いくつかの信号を、歩みを止めることなく進む。



駅から歩いてきた道から外れて、住宅街へと入って行く。






静かだった。














まるで、ジオラマの世界に紛れ込んでしまったみたいだ。
そんな感想を持つと、背後からオートバイの音。


振り返ると、郵便マークが目に入った。







雨の中の配達。



ボクの横を通りすぎて、少し先の家の前に止まる。
名前と住所を確認して、銀色の箱に手紙を差し込んだ。


手紙、かあ。











手紙なんて、書いてないし、最後に受け取ったのはいつだろう?











さらさらと降り続く雨が、駅構内の売店で買った傘をすべり落ちる。
郵便配達のバイクが去った方とは、別の道を進んだ。

どこからか、懐かしいチャイムの音が聞こえた。
近くに学校があるんだろう。

雨の日は、運動場に出て遊ぶことができないんだよね。

ドッジボールの場所取りのために。
1分1秒でも長く遊ぶために。
給食をかきこんで、クラス用の2個しかないボールを誰にも取れないように、抱いて。
走って運動場へと飛び出すんだ。






雨の日は、どうしてた?
雨の日は、どうやって過ごしていたんだろう?




「フランソワーズがいない日は、どうやって過ごしていたんだ?」






歩く足を止めた。

















「フランスは遠いよ?」




雨雲が覆う空に向かって呟いてみた。










聞こえる?

















「・・・雨の日は、キミは何をしていたんだろう?」


洗濯できないよ?
リビングルームのガラス戸も開けられない。


お気に入りの靴も、履けなかったよね?











「手紙、か・・・」


書いてくれるかな?
手紙よりも、電話かな?


・・・・いや、多分ない。



















何の理由があって、ボクなんかに・・・。
















躯を、くるりと反転させて、来た道を引き返した。
なんとなく、引き返す。





駅に着く頃には、さらさらとした雨が、ざあざあと、傘を五月蝿く叩き始めていた。
傘を購入した売店で、テレフォンカードを買った。

ギルモア邸に電話を入れる。




適当に選んだ絵柄は・・・・、有名な画家が描いたバレリーナの絵、の、カードだった。










電車を乗りついで、ギルモア邸もよりの駅に帰ってきた。
鉄紺色の空に、雨の音は聞こえない。

水たまりに浮かぶ、逆さまの空に、星はない。



「そっちの世界のボクのそばには、フランソワーズ、いる?」





覗き込んだ逆さまの、水たまりの世界に浮かぶ、ボクに訊ねてみた。












いるよ。



















亜麻色の髪が、水たまりの世界に浮かんだ。







「ジョー・・・・、ただいま」



水たまりに浮かぶ、彼女が、こちら側のボクに話しかけてきた。


「・・・・・・どうして、もどってきた?」
「もどってきたかったからよ」
「どうして、いるの?」
「だって・・・ジョーがいないんだもの」








水たまりの、世界にいる、フランソワーズが泣いた。








抱きしめてあげたくて。

抱きしめた。


水たまりの世界のボクも、キミを抱きしめていた。
ここにいる、ボクもキミを抱きしめている。







「聞こえたの、ジョーの、声が・・・」



















聞こえたんだ。














「なんて、聞こえた?」
「・・・・・・」
「聞こえたんだろ?」
「淋しい・・」
「・・・・・うん、思ったよ」
「そばに、いてほしい」
「それも、ちゃんと思ってた」
「・・・・好き?」
「うん、・・・・・・ずっと思っていたよ」
「ずるいわ、ジョー・・・」
「そうだね・・・ごめん」






抱きしめていた腕を緩めて、彼女の空を覗き込む。







「キミのいない日々が、こんなにつまらないなんて、知らなかった」



night_convert_20080901234621.jpg


























*9/9です。らぐびーさん、ありがとね!
イラストはまた別ページを作ってらびぐーさんのページに載せます~。
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