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9月19日/ 嵐の予感


爽快感突き抜ける、青。
白い雲が、世界で一番輝くとき。
熱さで潤い無くした喉に、販売機で買った缶ジュースが、キン!と冷えて、痛いくらいに冷かった。

そんな季節が柔らかく、緩やかに下り坂になるころ、木々に揺らぐ陽の光がつくり出す、影がなんとなく、可愛らしい。
汗でぴたりと、シャツが肌にまとわりつくことなく、陽射しの眩しさに目を細める仕種をしなくなった、このごろ。

色なき風が韻かせるのは、季節が変わる足音。







カフェAudreyに、秋の新作ケーキが並んだのはもう、1週間以上前。

春の長雨ならぬ、秋の長雨。
バイト先に向かう途中に、空を見上げて、ああ、やばいかも?と、思いつつ。
また、部屋まで戻るのが面倒で、一駅ほどの距離の間は大丈夫だろう!なんて、天気予報なんて当らない。と、自分に言ったことを、後悔した。

お見事ですっ・・・・。
切れ目がない雨の糸は目の前の視界を、曇り硝子のように、幻想的な世界に変えていく。

アスファルトが弾く雨。
耳後心地良い?と、勢いある雨の音に、潔く、諦めてみた。



傘もさほど役には立たないだろう。




なんて、のんびりと。
通りなれた道だからこそ知っている非難場所は、ちょうど店と家との中間地点にある、市立図書館。
飛び込んだエントランス。に、飛び込んで来た”携帯電話禁止”のポスター。

オレは、ポケットから携帯電話を取りだしたついでに、義姉さんに素早くメールを送る。






”雨、やられた。バイト、遅れる。ごめんなさい、図書館にいる。大地”



送信を押した、その10秒後。
携帯電話が揺れた。



”オッケー”


早っ!

短っ!




義姉さんからのメールをチェックしたあと、マナーモードに切り替えた携帯電話をしまう。
そのまま、中に入ってしまえばいいのに、オレの足はエントランスに留まった。

もう1つ奥にある、自動ドアを通れば、そこは知識の世界。
今週初めに買い逃した雑誌も、きっとあると、思う。

オレは、知識の扉を開く事なく、振り返って外を眺めた。






そういえば、リーディングの宿題が出てたよな。
なんだっけかな?あの、本のタイトルは・・・。

・・・このままサボっちまおうかなあ、バイト。
確か、今日はフランソワーズさん(と、香奈恵さん)が通うバレエスクールはお休みのハズ。
雨だし。


来ないとだろうな。
ジョーの奴、・・・レースの合間を縫って帰って来てるしなあ・・・。







バイトしがいがないなあ・・ってことですね。











外の湿気に蒸した空気が、知識の世界から零れた、冷たいエアコンディショナーの空気に清められていく。













会える日を、カレンダーを見るたびに数えてしまう。

金曜日の午後。
土曜日のランチ+レッスン後の甘いモノ補給。
たまに火曜日か水曜日。




フランソワーズさんが来る日は常に店にいる、オレ。
未だに、未練たらしく片思い。

実りのない片思い。




講義のスケジュールも全て、フランソワーズさんが店に来る日に会わせている、オレ。



彼女に、彼がいると知っても。
彼女の、彼と知り合っても。

彼女が、彼にぞっこんで、分かれる気なんてさらさらないの、解っているけれど。
目の前で、ちゅっちゅっちゅっっちゅ!!・・・・見せつけられてるけど。


それでも、好きな気持ちは、止まらない。


止まらない、止められない。
彼女を知れば知るほど、彼を通して、彼女を知れば知るほど。



オレは、好きになる。
オレは、恋をする。

オレは・・・・・。















「・・・面白いな」
「!?」


背後の、”知識への世界”へと通じる方の自動ドアが開いた。
冷えきった、痛いと感じしまう空気が流れ出して来る。

オレは、人の声に振り返った。
その声が、オレに話しかけてきたからだ。






「雨宿り・・・か?・・・送って行ってやろうか?」
「え?あ、あの・・?!」



オレよりも背が高い。
冷たい、切れ長い、ウェッジウッドカラーの瞳。

一目で、その人が自分とは違う人種であることが、わかる。


「カフェのバイト、を、しているのだろう?・・今から行くのか?」


シルバーのような、少し・・変わった色の髪。
低く、落ち着いた声。

その声を作り出した唇が、ニヤリ、と左口角をあげる形で嗤う。


「えあ、う。は、は、はい、バイトですけど・・はあ・・あの?」


ウィンタースカイ・カラーの光沢あるシャツを彼のためのオーダーメイドのごとく、ぴたり、と着こなして、第一ボタンが開いた、首もとから、細いチェーンがきらり。と、光って見えた。

皺ひとつない黒のスラックス。

雨の街を歩くには上等そうな靴。

黒の手袋を、右手だけに。


外国の雑誌から抜け出したような・・男性に声をかけられた。



オレっ、そ。、spた。その気ないっすよ!?





「カフェ・Audrey、違うか?」
「!」


オレの正面までやってくると・・手袋をはめた手を顎にあてて、オレを見る。


「・・・写真で見るより、本人の方がいいな」


写真!?


「少し、ここの図書館は冷房がきつくてな・・・名前だけは知っているが・・カフェには行った事がない。ついでだ。寄っていこう」


独り言のように、呟いて、エントランスの端に置かれていた笠尾規模から黒のスティックのように細長い傘を手にした。








あ、あの、その、ええっと、オレ・・あなた、誰ですかあああああああ?!




「ん?・・・あ、ああ。すまん。いつも彼女から話しを訊いているから、つい・・・初めてだったんだな、そういえば」
「あの。ええっと、はい。スミマセン・・・」


オレはきっと、・・・迷子になった子どものように、かなりパニックになった情けない顔をしていたんだろう。
その人は、そんなオレを観て苦笑しながら、顎にあてていた手を差し出された。


「初めまして、井川君。井川、大地、だな?・・・アルベルト・ハインリヒ。だ。・・・写真はフランソワーズから見せてもらった」


”フランソワーズ”と、その美しい魔法の名前に、オレのこころが跳ねた。


「この間、ジョーがいけなかった彼女の舞台を観にいってくれたらしいな、礼を言う。家のもの全員、その日の都合がつかなくて、・・・・・ジョーも、スケジュールの調整をかなり無理したみたいだが、その日には間に合わなかったから、な。ありがとう」



”ジョー”は訊かなかったことにする!


「ふ、ふ、フランソワーズ、さんの・・・?」
「同居人、だ。・・まあ、兄と言ってもいいか?」


オレは、差し出された手と、アルベルト・ハインリヒと名乗ったその人を交互に見つめた。


「フランソワーズが、世話になっているそうだな?・・ありがとう」
「え?いえ、っっそんな。こちらこ、sこsksああp」


舌がもつれたのを誤摩化すように、差し出された手を、オレは握った。
・・・冷たい。

かなり、図書館内は寒いのだろう。
躯が冷えきっている、その人を観た。


「すまん。・・・低体温でな。冷房にやられたようだ・・・・」



一瞬だけ、辛そうな色が、瞳に浮かんだのは気のせいかな?
よっぽど、館内が寒かったんだろうな、きっと。














それが、アルベルトさんとの初めての出会い。


「じゃあ、あの、ジョーとも、その・・・?」
「そうなる。が、あのバカは知らん」
「!!」
「彼奴は・・・大切に可愛がっていた子を・・・。惚れたフランソワーズも、フランソワーズだが・・・・。なんでわざわざ、あんな甘ったれた、格好ばかりの、癖のあるロクデナシで、うじうじ、くよくよした、悲劇のヒーローぶった男を・・・まったく、人間は何かしら欠点があると言うが、”男の趣味が悪い”のが、フランソワーズの欠点だったとは・・・人生上手くいかんものだ」



お、おお、おおおおっ!!
ジョーをそんな風に言えるなんてっすごいっ!!



「それなりにまとまっているのが、気に入らん」


---ん?







「彼奴のどこがいいのか、オレにはさっぱり理解できん」



アルバルトさんの溜め息が、雨に混じる。
幾分強さが弱まった雨の中。


アルベルトさんが手に持つ黒の傘に並んで、歩く道。
通い慣れた道が、知らない街に変わる。


何が、どうして、どうなって、初めてあった人と1つの傘をシェアしているのか・・・・。
”フランソワーズ”さん魔法(マジック)!




歩幅も、歩くペースも、少しオレの方に傾けられた傘からも、オレを気遣ってくれている空気を感じる。


「今日の天気のような男だからな。じめじめと、過去ばかり観て、自分のことばかりで、周りが見えてない。まず、自分ありきの、勝手な奴だ。彼奴が女性の母性を惹くようなパーソナリティなら、赤ん坊のまま、成長してない精神と言う事だ。男として、母性を目覚めさせるのは、夫婦になってからでいい。母親じゃない女に、母親役を求めるなど、それならフランソワーズじゃなく、熟年離婚を経験された女性とつき合えば良い。ジョーにはよく似合う」


ジョーをけちょん、けちょんに言う、アルベルトさん。
本気で言ってるんだろうけど、そこにはジョーへの、・・・愛情を感じる。


「ま、そういうことだ。・・・・応援するぞ?」


濡れた空気似合う人だと、思った。


「えあpがbdfbps・・・あ、ghお・・・’ぴrgjぱ・・・ば、バレて・・・ます?」


隣を歩く、その人を視線だけで見上げた。
ニヤリ、と。この人の独特な、ちょっと意地の悪い嗤い方。


「写真を観たら、すぐに解ったぞ。・・・素直でいい」


うっそおおおおおおおおっ!!


「ジョーも、それくらい・・・な」
「?・・・でも、ジョーは・・・フランソワーズさんのこと」
「わかっている。が、彼奴のそれは、見ていて痛い。・・・・・ああいう人の愛し方は、気に入らん」


ふう。と、溜め息を一つ。


---観ていて痛い、愛し方?










「だが、君のおかげで・・・・・・」
「?」
「・・・danke」




冷たい瞳の色が、まるで・・・フランソワーズさんの瞳の色のように一瞬だけ、優しくなったように見えた。




「店だ、そこだろう?」
「あ。はいっ、そうです」



雨は、降り続く。
白黒写真の世界に、少しばかりイタズラに色を塗って失敗した、そんな街。






ドアのチャイムがちりりん。と、なる。
初めてのお客様の名前は・・・・。







「いらっしゃいま・・・あら、大地!今日はもう来ないのかと思ったわ」


義姉さんの声。


ちらり。と、視線をアルベルトさんにむけた。


「こんにちは、アルベルトさん、いらっしゃいませ!いらしてくださったんですねっ」



あれ?




「こんにちは、お邪魔しますよ」
「!もしかしてっ愚弟をここまで、送ってくださったんですか?!」


義姉さんの声に、オレの視線はアルベルトさんの肩へ・・・・。


「偶然にあったんでね、・・・・・席、いいですか?」


っていうかっ!




「それと、・・・前はピュンマに、フランソワーズの・・・・、ありがとうございました」
「いいえ、いいえっっ、こちらこそっウチの愚弟がスミマセンっ!さ、お席にご案内させてください!」



あのっ!?







「大地っ!!ぼうっとしてないでっ来たなら働くっ!アルベルトさんにエスプレッソ!それとっ」
「”胸を焦がす言い訳”(ダークチョコレートとチェリーリキュールのケーキ)を、いいですか?」
「!!新作をご存知なんですね?嬉しいですわ」


テーブルに案内する義姉さんは、よそ行きの顔と声・・。
憧れの人がにあった女学生のような・・・。




それよりもっ!!



「フランソワーズから訊いてましてね、買って来るとか言いながら、結局こちらでいただいて、自分だけ満足して帰ってくるんですよ、あの子は・・・。オレ好みの味だ、と言いながら、買ってこなかったんです」
「あら、そうなんですかあ?・・・・大地っ!」
「はいっっっ!!」




義姉さんとアルベルトさんは面識があるっ?!


驚いて、2人を観ていたオレ。
そのオレに向かって、アルベルトさんが嗤う。



「本当、話しに訊いていた通りの子、で・・・面白い」
「ええ、もう・・・話した通りの義弟(おとうと)で、お恥ずかしい・・・」


義姉さんも、オレの方へ向き直って・・・2人の嗤いが・・・・っ


怖いっ!!!!!!!!!!



義姉さんっいったい、いつ、どこで、アルベルトさんと?!
いやっ、それよりっいったい何を言ったんだっ?!!


「義弟さんのような子に、フランソワーズを任せられたら、どんなに安心か・・・」
「島村っちさんじゃないと、駄目ですよっ!」
「試してみたいな、フランソワーズが本当に駄目かどうか」


!?


「セッティングしてやろう、フランソワーズとどこか2人で行って来るといい」




えええええええええええええええええええええええええええ?!



「島村っちさんが怒りますよ?それに、大地じゃ、フランちゃんの相手にならないです!」
「いや、十分だ。最近、ジョーは面白くないからな、イギリスに行く前に、彼奴を少しイジメておきたい」


席に深く腰をおろした、アルベルトさんが、腕と足を組み、にやり。と嗤った。


「仕事が当分ないんでな・・いい暇つぶしができそうだ」


アルベルトさんの、その一言が今までの会話の全てを集約していた。
実は、アルベルトさんって・・・。


「オレたちが”手を出せない”ように、フランソワーズがジョーをがっちりガードしていて、なかなか彼奴で遊べなくてなって、退屈していたんだが・・・」


意地悪な嗤いを浮かべる、アイスブルーの瞳に、片方の口角があがった口元。


「・・・面白い」














フランソワーズさんっ
何やら嵐の予感ですうううううううううううううううううううううっ!




え?・・でも、あれ?え?あの、????


フランソワーズさんとっデートさせてくださりまするでございますんですか!?


「呼び出そうか、早速」


!!!!


「ああ、心配しなくてもジョーは省く。・・・お楽しみの最中だろうがな」
「まあ・・・それじゃ、無理じゃないですかあ?」


昼間っすよ!?


「何か・・・フランソワーズを釣れそうなの、ありますか?」
「・・・・主人の、ハロウィンのための試作ケーキが、使ってください、ふふ・・」


義姉さん?!


「それはよかった。電話、いいですか?」
「どーぞ、どーぞv」





アルベルトさんが電話をかけた先は、フランソワーズさんの携帯電話。
数分後、アルベルトさんの携帯電話の着信履歴がすべてJOEの名前でいっぱいになり、彼の携帯電話は揺れ続けた。
エスプレッソを楽しみながら、面倒臭そうにして、その1つのコールに出た、アルベルトさん。


「ま、オレの誕生日プレゼント、と言う事で許せ。フランソワーズを借りる」


ニヤリ。と、嗤いジョーに言った、一言に、オレはアルベルトさんを尊敬するとともに、ジョー撃退最終兵器。と、命名の後に師匠!と、こころの中で叫んだ。





ケーキに負けた男、島村ジョー!

ヘッへ~ん♪
オレにもやっと幸運の女神が微笑んでくれるときが来た!!














「・・・面白いな、当分日本で楽しめそうだ」



end.

















*あとがき*

おめでとうございます・・・アル様。
ジョーと大地君を使って、何やら悪だくみでございますね?

8がお誕生日ネタだったので、4も?と、思いつつ。
みんながみんな、自分のケーキを買いにくるの・・・変(嗤)ですからね!

萌子さんは面識ありです。
香奈恵さんとフランと3人でショッピングした帰り、ジョーの代わりに迎えに行ったとき、会ってます。(そういうプロットもあった)
香奈恵さんと気が合ったので、お茶しました。その時に(笑)

香奈恵さんとアルベルトは、何回かデートしてます。
はい、そういうプロットもありました。

アルベルトはヒルダさん一筋ですけれどね!
デートくらいしますよお!で、香奈恵さんだと、同種?で気が合う。と、言う感じです。
9ネタで意見が合うんです(笑)


ここ、39、93サイトなので・・・4と香奈恵さんのストーリーは・・まあ(悩)

そんなわけで、
お誕生日おめでとうございますっ 4! 
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