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複雑な心境/恋する証拠(あかし)




「駄目っ!ジョーっいやっ、いやよっアタシがとるのっ」


外見からは予想ができなほど、流暢な日本語を話す、可愛らしい、お人形のような西洋人。


「・・・はい、どうぞ、取ってください」


そんな女の子と同じテーブルに座る、日本人?


「どれ?ねえ、どれ???」
「・・その、赤いのっ・・・て、立ち上がらなくていいからっ!座って、座るんだよっフランソワーズっ・・・座って取ってよ・・・いちいち立ち上がらなくてもいいだろっ」


周りから聞こえてくる、自分たちにむけられている笑い声が気になって仕方がない、ジョー。
そんな周りの様子などおかまいなしに、フランソワーズは、そわそわと、運ばれて来るジョーの”マグロ”が乗った皿を見つめている。


「きたわ!」
「・・・・そうだね」
「取るわよ!」
「はい、がんばってください」


嬉々として、目の前にやってきた皿に、白い手を伸ばして持ち上げた。


「取ったわ!!ジョーの分♪」
「すごいね・・・ありがとう」


フランソワーズが、ジョーの前に手にとった皿を置いて、満足げに腰を下ろした、とたんに・・・。


「次は、ねえ?次っ!!」


躯を捻って、チェーンコンベアを見つめ、ジョーへ次のネタを催促する。


「・・・・フラン・・・・・・いや、まだ、これ食べてないし・・って、言うか。フランソワーズ、キミ、さっきから全然食べてないよ?」


ジョーはフランソワーズの前に置かれている、ハマチを観た。













####


「あのね!ぐるぐる回るのが食べたいのっ」


イワンを連れて、コズミ博士とアメリカのボストンで開かれる学会に出かけたギルモア博士。
そのために、邸には居残り組の、3、6、7、9。


オーナーの張大人は朝から晩まで元気に中華鍋を振り回し、そんなオーナーと漫才でもするかのように、グレートは張々湖飯店を手伝う。

大学にバイトで通うジョーだけれど、フランソワーズ一人になってしまうことが心配で、事前に今週いっぱいは休む事を伝えた。
それを知ったために、張大人とグレートは店を閉めることを止めて、いつも通りに店へと出かける。
そのために、(夜にはちゃんと張大人とグレートが帰って来るけれど)基本、ギルモア博士とイワンが帰ってくるまでの間は、ギルモア邸にいるのは2人だけ、となる。


そんな3日目。
2人きりの昼食を、いつものように用意しようとしたフランソワーズを、ジョーは外へと誘った。
そして、帰って来た答えが、”それ”だった。


「ぐるぐる?・・・ええっと・・・それって、何?」
「ぐるぐる回っているのよ!お皿にほらっフレッシュなお魚のがっベルトコンベアなのっ」
「・・・・回転寿司?」
「そうっ!それっぐるぐるしてる所で、お寿司しましょ!!」


とび跳ねるようにして、”外食”を喜ぶ、フランソワーズ。
ね?ね?と、おねだりする彼女を観る、ジョーの頬があがる。


「回転寿司より、ちゃんとした鮨屋へ行こうよ、そっちの方が美味しいよ?」


ジョーは、大学の研究室で可愛がってもらっている人たちに、何回か食事に連れて行ってもらった鮨屋を思い出した。


「いや!ぐるぐるしてるのを取るのっ」
「別に・・特別なことないよ?ただの寿司だし・・」
「いいのっ観たいの、取りたいのっ」


どこで、”回転寿司”など知ったのか。
フランソワーズのお願い、通りに、今ジョーは、フランソワーズとともに回転寿司のチェーン店に来ていた。











ジョーの、”食べてない”の言葉に、フランソワーズは、自分の前に置かれている皿へと視線を落とした。


「だって・・・」
「だって、何?ボクの分ばっかり取らないで、フランが食べたいの取りなよ」
「緑色が・・」


フランソワーズの目の前に置かれて、ぺろり。と、裏返ったハマチに鮮やかな緑色。


「あ、ワサビっっ!」
「・・・ここのは、・・・全部入っているのかしら?」
「ごめんっ、気づかなかったっ!!」
「あのね、除けてもね、つんつんしてね、鼻が痛いの・・・・アタシ・・・駄目だもん・・・ワサビ」


フランソワーズのはしゃぎぶりに、そんなフランソワーズを観る周りの視線に、彼女が小皿にワサビをよけているの事に気づかなかったジョーは、慌てた。


「気づかなかったボクが悪いっけど、言ってよっ!!・・すみませんっワサビ抜きで、ハマチと、甘エビ、あとっホタテをお願いしますっ」


ジョーはチェーンコンベアを挟んだ、内側にいる寿司職人に向かって、フランソワーズの好きなものを頼んだ。
「へい!かしこまりましたっ」と、寿司職人をイメージさせる、声が飛ぶ。


「ごめんなさい」


今までのはしゃぎぶりとは180度変わって、しゅん。と、ジョーのむかい合う席で小さくなる、フランソワーズ。


「別にっフランのせいじゃないし、謝らなくていいよっ!気づかなかったボクが悪いんだしっ」
「でも、・・・ワサビが食べられないなんて、やっぱりお寿司に失礼でしょ?」
「ええ?何それっ?」
「だって・・・お寿司にワサビは、その料理の大切な・・・スパイスだもの・・・・・・・。アタシ、ここを選んだの間違ってたわ」
「間違ってないっって、ワサビが食べられない日本人はたくさんいるからっ!」
「・・でも」
「ワサビなしを頼んだからっ、これ、食べなくていいからっ!!」


フランソワーズの前にある、”ワサビあり”の皿を自分の方へと移動させる。と、ジョーの目に飛び込んで来た、黄色のネタ。


「あっ!玉子っ。フランソワーズっ玉子が来るよっ、あれはワサビがないっ!!ほら、取らないとっ」
「玉子っ」


ぱっ!と、俯いていた顔を上げて、チェーンベルトの上を流れる皿に視線を戻す。
黄色く、黒の海苔のベルトを巻いた玉子巻きを見つけたフランソワーズは、備え付けのイスから立ち上がった。


「ジョーっ!あれをアタシ取るわっ」
「うん!がんばってっ」


周りの笑い声が大きくなった気がした。が、もうジョーは気にしない。
フランソワーズだけをみる。

ワサビ抜きは、チェーンコンベアに乗せられてはやってこない。
フランソワーズに好きなだけ、ぐるぐる回るチェーンコンベアから寿司を取らせて、一生懸命にジョーは食べる。


「いやあああああっんんっそれ、アタシが取るのにっ!!」


あまりにも楽しそうなフランソワーズを観ていると、胸がむず痒くなり、イジワル心でフランソワーズが食べられる数少ない”ワサビ”が必要としないお寿司。を、ジョーがチェーンコンベアからひょいっ!と取る。


「たまにはボクだって取りたいよ、で、これはフランのだから」
「自分のくらいっ自分で取るわっ」
「あ、そう?じゃあ、ボクも自分のは自分で取るから、フラン、もういいよ?」
「っっ?!・・・イジワルっっっ」
「あ、サーモンと、イクラがくる、取ってくれるかな?」
「イクラはアタシのっ!」
「だからっ立たなくても取れるだろうっ!」


本当は、フランソワーズが立ち上がって寿司をとっても、別にいいと思っている、けれど。
立ち上がったフランソワーズに、チェーンコンベア内の若い職人がある”意を含んだ”視線で彼女を観ていることに気がついた。
その視線に、ジョーは・・・なんとも言えない、口では言い表す事ができない、ごちゃごちゃした、気持ちになる。
ご機嫌のフランソワーズは、花が咲くように愛らしく微笑みかえすから余計に、ジョーの胸中で複雑に絡み合う、糸。



その糸は、フランソワーズにたいする”気持ち”。





フランソワーズが、どんなにはしゃいで、周りの視線を、注目を集めても気にしない。
立ち上がろうが、バレエを踊り出そうが、恥ずかしさに負けそうになっても、彼女の傍にいる。けれど・・・、フランソワーズに送られてくる異性からの視線を、気にしない。とは言えない。



気にしない、理由が無い。
気になる、理由はある。






もしも、彼女が・・・・だったら、気にしないだろう。逆に優越感に浸っていたかもしれない。
でも、彼女が・・・・なんかじゃないから、気になる。


気になる。




その視線を送る男たちと変わらない、同じ位置にいる自分だから、気になる。








「ジョーはサーモンね?アタシがいくらなの♪」


二つの皿をテーブルに置いた、フランソワーズ。
ジョーは複雑な気持ちで彼女を見つめた。





---ボクって・・・仲間、だけどさ・・・・。それだけ、なのかなあ・・・彼女にとって・・・。










「も!そんなにいくらがいいの?じゃあ、1個ずつね?」


イクラを一貫、器用にお箸で持ち上げる。と、それを醤油に入った小鉢にすこしだけ浸す。


「はい、どうぞ」
「?!」


イクラがフランソワーズの手に持つ箸で、ジョーの口元まで運ばれた。











ぱくり。と、一口で食べてしまう。
















イクラの味なんかわからない。
フランソワーズの行動もわからない。

チェーンベルトを回るネタの数よりも、悩みのネタはつきない。





---なんだかなあ・・・・。






「サーモン、もらうわね?」


フランソワーズは、ジョーの前にある皿からサーモンを一つ取ると、イクラの乗った皿に置いた。









視線が、痛い。
けれど、少しだけジョーはその視線に優越感を感じている。






言葉で表現できない、複雑な気持ちは恋する証拠(あかし)。


好きな子と一緒にいたいから。
喜んで、ずっと笑っていて欲しいから。




好きな子のためにがんばる、恋する青年の名は、島村ジョー。
または”サイボーグ009”。








*おまけ*


「ジョー、あのね、あの、・・・まぐろ、頼んでくれる?」


フランソワーズは自分でワサビ抜きを頼まず、必ずジョーにお願いする。


「いいよ、まぐろだけ?」


ジョーが、自分が頼んだものを注文している姿が、ちょこっと恥ずかしいけれど、嬉しくて、幸せな気分になる。



そのときだけ、彼の”特別”な感じがするから。
その瞬間だけ、彼の”恋人気分”でいられるから。







「ありがとう、ジョー」
「どういたしまして、まだ、大丈夫?食べる?」
「食べるわ!」
「・・・デザートもあるけど、ここで食べる?」
「ん~・・・どうしましょ?」
「少しだけ、余裕をもってくれるかな?」
「どうして?」
「ん?期間限定オキナワ特産物フェアが、やってるだろ?」
「?」
「デパートで、やってるんだってさ。そこにオキナワ名物のアイスクリームが売ってるらしいよ、行かない?」
「行くっ!!!」
「マンゴーとか紅イモのアイスがあるみたいだから、まあ、時間をあけて行くけどね」
「すぐでもいいわ!」
「駄目だよ、お腹壊すから・・・夕方にしよう、いいね?」



くすぐったい。
ジョーの優しい言葉が。
フランソワーズのこころを甘くくすぐる。


デートって、言いたい気持ち。
けれど、ジョーはきっと、違うって言う。



仲間だから。
仲間の中で、唯一の女の子だから、でしょう?


「ジョー、あの、ね?」
「なに?」
「・・・・いいの?」
「何が?」
「だって、・・・・アタシとずっと一緒だと、・・・」
「別に?大学の方は休みを取ってるし、心配ないよ?」
「・・・・そう」






















いつか、言えるかな?
いつか、言えるかしら?



キミが好きだって。
アナタが好きって。













*もじもじな心境?回転寿司店で?・・・・ムードもなにもないなあ・・・この2人(笑)
 まあ、少年誌目指すから(←わけがわからない!)
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