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Day by Day・74
(74)


何ガ ソンナニ 怖イノ?
怖ガッテイタラ 何モ始マラナイヨ。








ソノ手ハ、誰ノタメニ、アルノ?







怖く、ない・・・・。
その逆で・・・・。





安心した・・・
安心したよ、ね・・・?



N.B.Gが存在を知って、嬉しかった・・・?


また、戦える。
また、必要とされる。


もう、無理しなくていいんだ。
平和を望んでいる”ふり”をしなくて、いいんだ。

また、あの戦いの日々が始まれば、いいんだ。




そうすれば・・・・。



護れる。
そばに、一緒にいられる。

ずっと彼女を独り占めできるよ?
だって、彼女は同じサイボーグだから。



戦い続く先に、訪れる事がない平和を夢みながら、明日を待つことができる。




霧のような、夢は・・現実になる必要なんかなかった。

平和なんていらない。
平和の中で生きる事なんて許さない。






我が侭勝手な主張。
個の叫び/俺の願い。









---B.Gが築き上げたかった世界は、B.Gが滅んでこそ、動き出したんだねえ。いや、滅んだのではないねえ、花が散ったことにより種を撒いた---


そうだ。


風となって、B.G(花)を散らし、その種を巻いたのは、この手・・・で・・・・・・
この手は、この腕は・・・。






---ニヤリ、と。篠原秀顕は009にむかって皺の深い、薄い唇で微笑み、手が、009の前髪を押さえていた手が、重力に従い落ちた。---





スーパーガンのトリガーを引く感触が、甦る。
何度も、何度も、何度も、何度も・・・・。


笑っている。
満足げに、笑っている。



繋がった、と言いたげに。
次の、新しい・・・・。








「ちっっっg・・・・」







戦うんだ。
必要とされいるから。


戦うんだ。
求められているから。



戦うんだ。
戦わないと・・・・誰にも、何にも、どこにも、・・・・・。




終わっては駄目だ。
終わらせてはいけない。

悪は滅びたらいけない。
悪が続くかぎり、僕/俺は、必要とされ続ける。

誰にも捨てられない。
誰にも置いて行かれない。


戦っているかぎり、居場所がある。
戦っているかぎり、俺は存在する価値がある。
戦っているかぎり、1人じゃない。





サイボーグになったから。
俺という人間に、生きている価値がうまれた。





「うあっs・・g・・・う」
「・・島村?」






完全体の、サイボーグ009に成り損ねた。
サイボーグになってさえも!?











「・・島村っ、しま・・?」













中途半端。
人であっても、サイボーグになってさえも?







人にもなれない。
サイボーグにもなれない。




「っぐ・・・・・・ああっっ・・・・・・」





半分の体。
半分の血。






「・・島村?・・・島村っっ?!」




---そこは人の欲だけだと思うねえ。善悪じゃないんだ。私利私欲の”個”が放つ”願望”が同じものを望むものを引きつけて、輪になり、目的達成後は、散っていく。まるで、餌に群がるハイエナのように。そこに”肉”があるから寄り付き、”骨”になれば散っていく。我が身可愛さに身を隠しながらも虎視眈々と個の欲を狙っている。---





そうやって生きてきた。
そうしなければ、生きていられなかった。




独りで生きていくために。
同じ孤独を共有する人間と、夜の闇を体をすり寄せて耐えた。
時に、その孤独が重く、苦しく、辛く、悔しく、悲しく、・・・・・・。
同種の個が集まり輪になり、凍えた体を温めるため、現実を忘れるため、刺激と興奮に酔うことに夢中になった。
それは、闇の中に瞬く幻影。

朝がくれば、儚く散り、跡形も無く消えてしまう。





「うぁ・・ああm。。。。あ、あ、ああ・・・・・・っっ」





裏切りは許さない。
誰一人として、幸せになってはいけない。

黎明の中に身を焼きながら、夜を待つ。
同じ肉を食い荒らした仲間だからこそ、闇に産まれて闇に生きて、闇に暮らした者が。


今更、だ。






幸せになってはいけない。
そんな権利はない。





---覚えておきなさい、私、が・・・篠原秀顕だ---



君のために用意されていた。
君のために生かされていた。

君のせいで忘れ去られた。
君のせいで私は殺された。






俺が殺した。
俺の手が伸ばす先には、必ず・・・・・。


必ずっっ!








ソノ手ハ、誰ノタメニ、アルノ?

ソノ手ハ、何ヲ、シテイルノ?







構えたスーパーガンが、その胸にあてがわれた。
スーパーガンのトリガーを引く、慣れてしまった、感触。

愛らしくふっくらとした形良いくちびるが、微笑みを形作りながら、最後の言葉を音にして、手が、009の手と重ねられていた彼女の手が、重力に従い落ちた。



---・・・・・ジョー・・・?







「うああああああああああああああああああああああああああああああっっっs」
「島村っs?!」





当麻がベッドから飛び起きると、同時に、その手にもった携帯電話を、交換したばかりのアルタイル寮にいる、彼らにコールする。


「島村っ、おいっ?!島村っっ!!!」
「うあああああああっっイヤだっっいやだああああああああああああああああ」
「!!っっ」
「あぶねえっっ!」


駆け寄った当麻の腕を振り払ったその力は、まるでホコリでも払ったかのように、当麻を彼のベッドが置いてある壁際へと吹っ飛ばした。瞬間、加速装置を使い、壁と当麻の間に躯を滑り込ませたジェット、続いて部屋に飛び込んで来たピュンマはジョーの躯をベッドに押さえつけた。


「落ち着いてっっジョーっs!!!!!ジョーっっ!!」
「っああああっっ・・・あ・・・・・・は・・・」
「ジョー・・・・」














時間は前日の午後にさかのぼる。






####

学院の正門前に立つ、3人の生徒。


「車?」


平穏に学生生活を送る、篠原当麻と島村ジョー。
2人が月見里(やまなし)学院へ戻ったのは4日前。


「電車は使わないから・・・タクシーを呼んでもらった」
「っだよ、用意いいじゃんか!」
「・・・で?」


ジョーはジェットを問う。


「で?って何だよ?」
「・・・・・・ジェットがなんでここにいる?」


篠原秀顕の密葬が身内で行われる、今日。
当麻はさえこに言われたように、家にも戻り、葬儀に参加する。それに付き添うのは009。と、予定外の002。


「センパイの家で葬儀だろ?つき合うぜっ!」
「・・別に、つき合うようなことじゃないよ?」
「っだよ、大勢の方がいいんだぜっ!こういうのはよっ!!」
「お祭りじゃないんだけど・・・」
「何事もよおっ経験だぜ!経験っ!!」
「・・・頼むから、さ」
「ああ?」
「制服のまま、吸うな、よ?」


ジョーの言葉に、にやっと笑ったジェットは、胸元を軽く叩いた。
その位置はブレザーの内ポケットのあたり。


「け!外人だからいいんだぜ?」
「理由にならない・・、ヘンな言い訳に”外人”を使うなよ」
「んじゃよっ!いつ使うっつんだよっ」
「永遠に使う必要ないと思うけど?」


2人のやり取りを黙って聴いていた当麻に、ジェットが話しかけた。


「でよ、センパイは、そのまま制服で参加かよ?」
「うん、学生だしね・・・。君達もだろ?」
「知らねっけど?」


ジェットはジョーを観る。


「制服でいい、と言われている。004と007は用意したみたいだけどね」
「003は?」
「・・・彼女も、だろうね」
「フランも来るの?!」
「・・・・ああ」


当麻はフランソワーズが参加することは、ジョーから聴かされていなかったために、驚く。
その態度に、ジェットは、ふん。と、ジョーに向かって意味ありげな視線を送る。


「知らせてなかったのかよ?」


フランソワーズは、003として、訪問者を”視る”予定である。


「必要ない、報告義務もない」


ジョーの突き放した言い方に、ジェットが口を開こうとしたとき、連絡していたタクシーが学院正門前に停まった。



「でも、それじゃあ・・・ピュンマは?」


タクシーに乗り込みながら、ふと、当麻が呟いた。


「んあ?彼奴は居残り。海の見舞いもあるしよ!」
「・・・津田は」
「来週末には学院へ戻って来るだろう」


ジェットの代わりに、ジョーが答えた。


津田海は、篠原総合病院に滞在している。
来週始めに、一度彼の実家へと戻り、あやめ祭前には学院へ戻って来る予定である。















####

ごく内々に、との事で、密葬と言う形にしたと聴いていた。が、アルベルトが予想していた以上に質素で慎ましいものだった。
あやめ祭後に、大々的に社葬を行うことが決まっているとしても、日本で5本の指に入るほどの大企業を作り上げた、一国の主。と言うべき、人間の葬儀とは思えない。

わざとなのか?
それとも、これが”篠原秀顕の本当の姿、なのか。

長く病院の霊安室に安置されていたことを理由に、すでに遺体は荼毘に付され、骨壺を入れた白い箱に納められて、篠原邸のリビングルームに、白菊だけで統一された花の香りが漂う、祭壇飾りに置かれていた。
祭壇には、木位牌、遺影写真を入れた黒の額縁、家名・家紋入り提灯飾り、盛物一対、焼香台が置かれている。
道路案内板も、近くのバス停にのみ、遠慮がちに出ていた。


「ジョーたちよりも早く着いてしまったようなだあ」
「そのようだ・・・」


住み込みのハウス・キーパーである、メイ子に案内されて、リビングルームに通されたアルベルト。そして、彼女とはホームステイをしていたために、面識がある、フランソワーズ。そのフランソワーズはメイ子とともに、キッチンへと向かい、今、リビングルームにはアルベルト、さえこの護衛役として行動するグレートがいた。


「日本風ってやつだ、初めて見る・・・が、これは”仏式”らしい。浄土宗だってよ」
「法然上人か?」
「南無阿弥陀仏だってきいたぞ」
「西山派か鎮西派、どっちだ?」


リビングルームのドアが空き、和装に身を包んだ、喪主であるさえこが現れた。


「西山よ」
「光明寺が総本山になるのか・・・」
「ねえ、あなたたち本当に外国の人?その辺の日本人より詳しいわよ?」


呆れたような、おもしろがるような、不思議な笑みを浮かべながら、2人に近づき、フローリングの床に業者が敷いた紺のカーペットの上に座布団が置かれた、その一つに腰をおろした。
グレートはアルベルトの正面に、彼と同じようにして、座布団の上で胡座をかいて座っている。


「当麻も、すぐに着くわ。学院を出る前にリーダーさんから電話をもらったから」


そこに、人数分のお茶を入れたフランソワーズが姿を現した。


「社葬で身内の恥は晒したくないもの、いったいこの男のために誰が来るのか知らないけど、私が雇った探偵と父が個人的に雇っていた弁護士を通して、今日のことは報せておいたのだけど・・・」
「その中に、今回のことを知る人間がいるのかどうか、探らないといけないんでね」
「大変ね」
「几帳面な奴なんで・・・」
「あてにはしない方がいいわ、この通り、未だあなたたちだけだもの」


祭壇にある、遺影に視線をむけたさえこ。


「やっぱりね・・・・、こういう男だったのよ。人は死んで初めてその人間の生きた跡を知るっていうけれどね、この通りよ、何もないわ」
「・・・・」


アルベルトの隣に座ったフランソワーズは、静かに急須から湯のみに緑茶を注ぐ。
喪服を所持していない、アルベルトとフランソワーズは前日車を走らせてデパートで規正のものを適当に購入したのだが、フランソワーズは見事に、そのツーピースを仕立てたかのように着こなし、トレードマークのカチューシャも、黒のサテン生地で作られた幅があるものをつけていた。

場にそぐわない言葉だが、喪服を着たフランソワーズは普段にはない、女性としての色気を感じる。永遠に変わらない容姿だが、アルベルトの目には、少しずつイワンのように”成長”してるかのように見えた。





「それとも、ルリ子さんの家での方が、よかったのかしらね?」


自嘲気味に嗤ったさえこ。
愛人たちの中でも、最も長く篠原秀顕と連れ添った、本命と言われる女性であり、その付き合いは、さえこの母よりも長いと言った。しかし、さえこは一度も”ルリ子”と言う女性と面識がなく、どんな女性であるか、知らない。

その”ルリ子”には、他の愛人たちと同じように秀顕の弁護士を通して今日の日を伝えてある。


「自分の夫の葬儀にさえも帰ってこない妻、だし。・・・愛人達も、どうだかね。ケチではなかったから、それなりに満足しているのかしら?こんなところまで足を運ぶ必要が無い程度に」
「そのときは、申し訳ないが・・・、リストを譲ってもらいますよ」
「今日が済めば用済みになるわ、勝手にどうぞ」


フランソワーズがさえこに出したお茶を、彼女はそっと両手に包んだ。










####

当麻、ジョー、ジェットを乗せたタクシーが、篠原邸に着いたのは、それから20分ほど経った頃。


誰も00サイボーグ、住み込みのハウスキーパーをのぞいた関係者意外の訪問者はなく、時間通りに訪れた僧侶の読経が始まり、形ばかりのそれは、1時間ほどで終わった。


「ジョーは・・・・経験あるのかあ?」
「教会でなら、ね。仏式は初めて」


ジョーは1度も、遺影と、祭壇におかれた白い箱を、見なかった。
じっと視線を下に下げたまま、あるいは、誰かへとその視線を定めた状態で、過ごした。


「このまま戻るのか?」
「・・ああ、リストはアルベルト、ギルモア邸に持って帰ってくれ」
「わかった」
「ジェットだけでも、よかったんじゃ・・・と、吾輩は思うのだがなあ?」
「タクシーを呼ぶ、よ。もう、ここに居ても仕方ない」
「そうかもしれんな」


玄関から庭に出て、煙草を吸うグレートとアルベルトといたジョーは、グレートの言葉には返事せずに、携帯電話を取り出した。


「・・・煙、こっちに流さないでくれる?・・・匂いがうつる」


ふうっと、アルベルトが吐き出した煙に、眉間に皺をよせ、立ち位置を2、3歩ばかりずらした、ジョー。


「お、優等生なお言葉ですな!」
「我慢してるんだ、これでも・・・、石川に入った寮監が厳しくてね・・・」
「な~るほど!それでジェットはこっちに羽伸ばしかあ!」
「目をつけられつつあるからね・・大人しくしていて欲しいんだけどさ」
「話しを変えるが・・・」


ジョーが携帯電話に登録している、タクシー会社の番号を液晶画面に出すよりも早く、アルベルトは彼に話しかけた。


「お前さんは、あれを放っておくのか?」


”あれ”と、さした言葉の意味を、ジョーは訊きかえしはしない。


「ジェットと、篠原を呼んでくれるかな?グレート・・・」
「ん..?あ、ああ、うむ・・・いいが、・・・」


煙草を地面に落として、それを踏みつけながら、グレートはアルベルトを見上げるようにして視線を送る。と、アルベルトは、短くなった、それを咥内に吸い込んでいた。
グレートは、髪のない頭をさするようにしながら、くるり。と2人に背を向けて玄関へと歩き出す。
その背が、アルベルトの吐き出した煙によって、ジョーの視界から薄く消された。


「お前はどうしt」
<009、004、007、こちらに女性が向かってくるわ・・・・>


グレートが玄関に入って靴を脱いだとき、003からの脳波通信。


<やっと1人かあ・・・>
<・・・初老の女性が・・・、正門前まであと、26m>













####

「・・・・お焼香だけさせていただければと思いまして、このような場所へ訪れることができるような人間ではないのですけれど」
「香田ルリ子さん、ですか?」
「・・・・・はい」


さえこは、玄関先で穴があくほどに、目の前にいる女性をみつめた。
初老の女性は、ただただ視線を足下にさげ、じっとさえこの視線を受け止めている。

喪服に身を包んだその手には、紫水晶の数珠が握られており、品良くカットされた髪は、前髪のあたりに白が目立つが、それはわざとそうしたように見える。

一連のパールが、薄暗くなった室内で清らかな光を放っていた。


<009、人間よ・・・>
<わかった>
<・・・・>
<どうかしたか?003>
<い、いいえ・・・・・004、なんでもないわ>


さえこの背後に立つ、フランソワーズと当麻。
グレートはその2人のさらに後ろにいた。

アルベルトは玄関入り口前から、ジョーととにも様子を窺っている。


「・・・・・どうぞお上がりください」


薄く、低く、細く、けれど芯のある声で、さえこはルリ子を祭壇のある、リビングルームへと通した。
フランソワーズ、当麻、そしてグレートの前を通り過ぎるとき、ルリ子は、深く、3人にむかって頭を下げた。
項垂れるような状態のまま、さえこの背について行ったために、その顔を見ることはできない。

ジョーはすぐに2人の後を追うその途中、指示を出す。


「007観て来てくれ、他の人間がいないかどうか」
「了解」


009の命令に、007は玄関から出て行った。
入れ違いに004は邸内に入り、009のそばに立つ。


「003は004と・・・002は、どうした?」


足を止めて周りを見回した。
そこにトレードマクーのつんつんとした赤毛がない。


「メイ子さんと一緒にキッチンだと思うわ・・・・夕食を店屋物にするから、それを決めるのに・・」
「・・・夕食って・・・・・ジェット・・」


フランソワーズからの返事に、ジョーは眉間に皺を寄せつつも、その声は穏やかに、”ジョー”であった。


「それなら、我々はそっちへ参加しよう、外周りは007で十分だ。それに003がいるから邸周りもいいだろう、009」
「・・・・・・遊びにきたんじゃないんだけど?」
「訪問者がたった1人じゃな・・・、009は?」
「全ての話しに加わる事にしているから、リビングルーム」
「そうか、わかった」


004が話しをまとめた。


「・・・・・」
「まだ、一度も話してないだろう?」


009がリビングルームに向かい、その姿が消えたところで、アルベルトは廊下に当麻と並んで立つフランソワーズに声をかけた。


「・・・ケンカ中か?」
「違うわ、それに・・遊びにきたわけじゃないのよ?」


短く答えたフランソワーズを慰めるようにして、当麻は彼女の背に腕をまわし、フランソワーズに微笑みかける。


「ぼくのせいかな?」
「え?」


当麻を見上げるフランソワーズ。


「ずうっと、ぼくがフランのそばにいるからね・・・ヤキモチを焼いているのかも」
「・・・そんなことあり得ないわ」
「嫉妬されても、何があっても、フランのそばにいるから」
「ジェットに報告してくるわ」


”報告”することなど、ない。
けれども、それを言い訳にするようにしてフランソワーズは、当麻の腕から逃れ、逃げるようにしてキッチンへと早足に向かった。


「大胆だな・・・日本人だろ?」


玄関先の廊下に残されたアルベルトと、当麻。


「ヨーロピアンの血も混じってます」
「”彼ら”は、言葉にさえしてはいないが、ちゃんとお互いを認めている、・・・好きあっているんだが?」


フランソワーズが消えて行った方向へ視線を置いていた当麻が、アルベルトへと躯の向きをかえた。


「そういう風には、見えません・・・。フランの気持ちを知っても、ぼくの気持ちは変わりませんでした・・・いえ、知ったからこそ、なのかもしれない」
「サイボーグだぞ?」
「理由になりません」


きっぱりと、言い切った当麻の潔さに、アルベルトは溜め息を吐きながらも、当麻にむかって言葉を続けた。


「彼女を連れ出すのか?オレたちから・・・・」
「いいえ、それは無理なことですから・・・」
「無理?」
「彼女がサイボーグであると言う事実から、目を背けたりしません。そのままの彼女、全てを好きになったんです。仲間を家族だと言った彼女を、その家族から連れ出すなんてこと、しません。けれど・・・」



再び当麻は視線を廊下奥にある、フランソワーズがむかったキッチンの方角へとむけた。

当麻の胸にフランソワーズにたいする、気持ちが溢れ出す。
言葉にできない想いは、ギルモア邸滞在中に観た、フランソワーズの何も無い、何も無い部屋のイメージしか浮かばない。

当麻の表情が、瞳が、すべてをアルベルトに語る。


「島村ができないことを、ぼくはできると信じてますから・・サイボーグでない、ぼくだからこそ」
「・・・・」


当麻は廊下を歩き出し、アルベルトから離れてフランソワーズの元へと向かう。
アイスブルーの瞳はジョーと変わらない青年の背を見つめた。


「ま、お手並み拝見というところか・・・しかし、だ」



---ジョーは君が思っているよりも、かなり低年齢なガキで・・・・・。
  



<おい>
<・・・004?>
<放っておくのか?・・・すこしは褒めてやれ、いつもと雰囲気違って素敵だとか、黒が似合うとか、一言くらい綺麗だ、の言葉はないのか?>
<っっ!?何をっ。004までっ002もっ、007もっここへ何しに来てるんだよっっ!!それにっあれは喪服だっ不謹慎だっ>


ジョーの回答に、なんともいえない安堵の嗤いが込み上げてくる。


---やっぱりな・・・。
   ヤキモチではなく、滅多にみることがない黒に身を包んだ、
   いつもと違うフランソワーズに、
   言葉が見つからないだけか・・・。


同じ日本人でも、やはり人それぞれか。と、アルベルトは口の端を微かに上げて嗤った。


”本命には何もできない”


007が言っていた事を思い出す。


「やれやれ・・・2ndグレードのガキ以下のジョーに、太刀打ちできるのか?」



廊下を歩き出し、リビングルームのドア前を通るとき、少しばかりその中の様子を覗いた、アルベルト。
さえこ、ジョーはまるで親子のように並び、ルリ子と名乗った初老の女性と祭壇を前にして対峙するように座っていた。

003ほどではないにしろ、人以上に強化された聴力で簡単にその会話を聴くことができた。


「・・・息子の当麻です」










---なるほど、な。























====75へ続く


・ちょっと呟く・

え?
まだあやめ祭しないのって???
・・・スミマセン。
このイベントないと、恋糸絡まりません・・・。
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