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恋愛対応機

ルームライトを落として、暖房さえも入っていない部屋に響く音は、10本の指が 忙しなく打ち続けるキーボードの音。 青白いモニターの光が浮かび上がらせるのは、それを使いこなす人。 警備員なんていない、雑居ビルの4階に1人。 校了前でもなんでもないのにも関わらず、その日はそこに居座った。 彼専用ではないデスクとチェア。 パートタイムの人間が共同で使うために用意されているそこに、彼の名前が書かれた 鍵付きの引き出しが一つ。 彼がこの雑居ビル内にかまえる出版社に関わる人間である、唯一の表記。 ラップトップの傍らに置いていた、マグに手をのばす。 とっくの昔に飲み干してしまった珈琲の薄シミだけが、目にはいる。 冷たいマグを片手に取って、立上がる。 編集長、・・・彼の上司のデスクの後ろにある、窓のブラインドを一気に引っ張る。 ざあああっとぶつかり合うプラスティックの音。 かち。と、金具が細く、薄汚れた紐をホールドする。 薄氷のように冷たくなった窓ガラスに、映りこむ彼の姿。 スクープを得るのに、一番簡単な方法が頭をよぎる。と、薄く口元だけが 引き攣った。 見下ろす車道は車の行き来も無く、信号機が誰のために点滅して色を 変えているのかわからない。 そこに”居ないはずの”人がいて、その人のために点滅しているのかもしれない。 と、想像してみる。 想像してみる。 こちらのビルに向かってくる人。 十字路になっている、その一つの信号機のボタンを押す指の先が 桜貝色につるりとしている。 柔らかに光りを弾きまとう、髪の色は、紅茶におとすハチミツのように、 ほんのりとした甘さを感じさせて胸をくすぐる。 華奢なラインを描くかかとがこつこつとアスファルトを叩く。。 信号が青になるのを待っている間、プレゼントした、腕時計を何度もチェックする。 腕時計から視線を離して、見上げるのは、信号機のちょうど真上にあたる ビルの4階の・・・この窓。 数回、瞬きを繰り返し。 眩しげに瞳を細めて。 声に出さない口の形だけで、呼ばれる。 わたした原稿を上司が読んでいる間、さりげなく窓によって見下ろしたそこに、 彼女が待ち合わせの時間よりも早く来たことを知り、嬉しい気持ちと、 焦る気持ちがまじりあい、奇妙な顔つきで、上司の言葉を受け取る事になる。 時計の針が昼を指す。 いくつかの手直しの指示を赤ペンで書きなぐられた、それを受け取って。 受け取ったにも関わらず、それを名が記されたデスクの引き出しに投げ入れる。 エレベーターを使用するよりも階段の方がはるかに早く、1階まで辿り着けることを 知っているから、ちょっとだけ人ではない力を使ってズルをして、急ぐ。 こつん。と、窓におでこを押し当てて。 その冷たさに背筋がすこし震えた。 持っていたマグに視線を落とす。 空っぽのマグのように、自分も空っぽであることを感じた。 打ち続けていたキーボードがモニターに表す言葉は、上司に見せるために 書いているものではない。 この窓を見上げてくれる瞳に映るためのもの。 窓に映る自分に聞いてみる。 「好きなくせに・・・」 言葉にできないなら、文字にしようとする単純な思考回路は、今現在を生きる 科学者たちが必死になって開発しようとしているものが詰まっている。 恋愛に関してまったく役立たずなそれは、先の未来には、少しはましな情報と 判断を下してくれるようになるのだろうか? 車が走る音が、時折、彼の耳に入ってくる。 パリに帰ると言った彼女を。 お兄さんがいるし、そうした方がいいよ。と、聞き分けよく見送った、彼。 彼女から送られてくるメールに、まだ1度も返信していなかった。 けれども、”下書き”のフォルダには、彼女が送ってくれたメールと 同じ数が記されている。 何度書いても、考えても、連ねた言葉の情けなさに、送信にカーソルを 合わせることなんてできなかった。 はあ。と、溜め息をついた、白が窓に張り付く。 じわじわと小さくなっていく白にまた、はあ、と息をふきかけて、 情けない自分の姿を消してから窓から離れた。 き。と、ブレーキを鳴らして、どこか、彼がいるビル近くで車が止まった。 耳にしたそれを気にもとめずに、彼は珈琲サーバーがおかれている2畳ほどの スペースもない給湯室へと入った。 ばたん。と、タクシーのドアが閉まり、走り去る。 邸に帰っても、まだ彼が仕事先から帰っていない事を聞かされて、 帰ってくるかどうかもわからない状況に業を煮やした。 ビルのエントランスが、閉まっているのはわかっている。 小さなそのビルに警備員なんて、便利な人はいない。 車が通らない真夜中の車道を、律儀に横断歩道の信号機が青に変わるの待つ彼女。 華奢なラインを描くかかとをこつこつと鳴らして、早く、早く!と睨む信号機。 そのまま視線を上に上げて、6階建ての雑居ビルの窓を数える。 ブラインドがあげられた、4階の窓に視線を固定させたところで、 瞳を細めて呼びかける、名前。 彼女はちょこっとだけ、人が持ち合わせていない”機能”を使ってズルをする。 唇が形作る音は、彼の脳に直接届けられる。 <ジョーっ!> 駆け下りる階段。 駆け降りるというよりも、飛び降りる。が、正しい。 <フランソワーズ!!!> 戦闘用マシーンとして作られた機能を、恋愛に役立たせようとするボクらは、 ずっと先の未来を生きていると思わない? それを使う人間の上手い、下手はあるかもしれないけれど、ね。 たった1人の人と向き合うことができなくて。 たった1人の人に自分の気持ちを伝えられなくて。 なにが最強? もっと上手くそれらを彼女のために使いこなせるようになったとき、ボクは本当に ’地上最強”のサイボーグになるのかもしれない。 送る事ができなかったメールは、彼女に読ませることなく、 ボクの補助能が勝手に記録する。 end. *ええっと、何が書きたかって言うと、わかりません。  おかしいな・・・、連載もののプロット中だったはずなのに(笑)   題名もおかしい...思いつかなかった。

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