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素敵な偶然?
注意)239です。
2→3←9なのか、どうか・・・は、どうなんでしょう。
でも、完全なる93です。
すみません、わからないです。なので、地雷な方は避けてください。

「今日のおやつだったのよ?」 ジェットの腕の時計へと視線を向けて、ため息まじりに呟いたのは、フランソワーズ。 「予想を超えて・・・の、この列だぜ」 「さっき、テレビ・クルーもいたわ」 「マジか?」 「ええ」 ジェットが気づいていなかったことに不思議に思いながら、真剣にフランソワーズは うなづいた。 「映ったのか、オレら?」 「いいえ、私たちが並ぶころには引き上げていったわ」 フランソワーズが目撃したときにはすでに引き上げようと、カメラなどを店の 端っこに寄せ付けた大きなバンに片付けていることろだった。 「すっげ-な、ドーナツ屋1つで、ニュースになるたあ・・・」 「地元ニュースならあるんじゃなくて?」 「ここは世界のTOKYOだぜ?ローカル局に入らねえって」 「ジェットはどうして、このお店を知ったの?」 「新聞」 「テレビと変わらないじゃない」 「そっかー?」 フランソワーズの視線が、ジェットの手首に再び絡まった。 デジタル表示の数字が気に食わない。予定としたおやつの時間はとっくに過ぎて、 夕食の支度にキッチンに立っているはずの数字だったからだ。 「ねえ、もう帰りましょうよ」 「は?!」 「また、騒ぎが落ち着いてからくればいいわ、ミスタードーナツも 美味しいもの」 「1時間以上も並んだんだぜ?もう少しじゃねーかよ!」 「でも、ちっとも動いてないんですもの、お夕飯の支度だってあるし・・」 フランソワーズはため息をつき、前に続く列へと視線を移した。 長い、長い列が、1つのお店のドアへと吸い込まれる事なくただ、そこにある。 「そんなの、張大人に任せとけって!」 「でも・・・」 「ここまで並んで、そりゃないだろ?」 珍しく男らしい凛々しい眉を提げてみせるジェットの表情(かお)に、フランソワーズは 深呼吸に近い深いため息をついて、彼の申し出を受け入れた。 ジェットとフランソワーズの2人は今、日本に上陸したばかりのドーナツ・ショップの前(?)にいる。 ジェットが言うには、アメリカではとっても有名で定番のドーナツ・ショップらしいが、 アメリカと言えば「Dunkin' Donuts」だと思っていたのは、フランソワーズ。 「Krispy Kremeの方が古いんだぜ?」 「あの時、ジョーってば、ドーナツは一生食べなくていいって言ったくらいよ? 案内してくださったメーガンがいつも待ち合わせ場所にDunkin' Donutsを 指定してくるから、朝食がどうしても、そこになっちゃって・・・」 Dunkin' Donutsは、博士のお供で行ったアメリカのMA州で、朝食として毎日の ように食べた。 先に音を上げたのは日本人のジョーで、彼はベーグルにクリームチーズさえ塗ら なくなってしまったほどだ。 Dunkin' Donutsは訪れた先のMA州が発祥の地だったらしく、それを知ったのは 日本に上陸したKrispy Kremeのドーナツを買うための列に並んで間もなく。 ジェットはフンっ!と、彼自慢の鼻で笑う。 「解ってねーなー、アイツは!まあ。日本はよ、朝っぱらから塩辛いからな・・ まったく」 「そうよね・・白ご飯はいいのよ、はじめは黒くってびっくりしたけど、ご飯に のせる海苔の瓶は甘いし♪ジョーがネットで取り寄せてくれた四万十川の 海苔も、緑色でなんで?と、思ったけどとっても美味しいわ」 「おお、あれは上手いな」 うん、うん。と、フランソワーズに深く同意する意思を表すように首を縦に振った。 「ピンクの粉(桜田麩)も可愛いし、好きよ!でも、朝からお味噌汁に、シャケに ・・ジョーが用意していくれる朝ご飯はとっても塩辛い献立なのよね」 「アルベルトもな・・」 「んー、でもパンとチーズに、たっぷりにのジャムで、ココアよ?」 「ココアは無糖じゃん」 「そうだけど・・・ジャム、は”塗る”じゃなくて、”乗せる”だもの」 「あの量はさすがに、なあ・・」 「でも、ジェットはチェリー(ジャム)ドーナツ好きでしょ?」 「おお、ジャムのドーナッツは好物だ」 家族の食の好みについての話題で幾分か、盛り上がりをみせて、ひとときをやり過ごす。 ロープで貼られた列に加わり、既に1時間が過ぎ、映画ならクライマックスにむけて 多いに盛り上がっているころだろう。 そんな長い時間を、気の短いジェットが黙々と自分の番がくるのを待っているのは、相当 食べたいのだ。と、そんなジェットが可愛い。と、フランソワーズは思う。 もしくは、たかだかドーナツ屋くらいで、お祭り騒ぎになる平和な日本の空気を 満喫したいのか。 お祭り好きな彼らしく、ちゃんとそのイベントに参加したかったのかもしれない。 けれど、1人ではこの列に加わる勇気がなかったらしく、偶然、今日のお茶の 時間の”おやつ”は何がいい?と、聴いてきたフランソワーズを連れて街に出て来たのだ。 ---ドーナツは、ジェットにとって故郷の味? ふと思い浮かんだが、どちらかと言えば、バーガーとか、ホットドックでは ないか?とも思う。 イタリア系アメリカンだ、とも言っていたので、ラザニア?とも浮かんだ。 「並んだの、後悔しないくらいに旨いからよ!な!」 「・・・」 人の列に加われば、自然とクリアに受信してしまう音たち。 前後のこそこそとした声だけでなく、最後尾についた学生グループの笑い声。 店の中でのやり取り。 ジェットとの会話に集中していたが、さすがに疲れはじめたフランソワーズ。 正直、好奇心もあってジェットについてきたけれど、ドーナツなら、日本のでも 十分にフランソワーズは楽しめる。 「みんなとは別に、好きなの買ってやるって!!」 「もう・・・、今日はこれで1日が終わっちゃうのね」 『いらっしゃいませー』 聞き飽きてしまった、甲高い、独特なイントネーションをつけた接客用の声が、 フランソワーズが立ち続けている間に、少し枯れてしまったように思えた。 買う方も大変なら、それの倍、売る方も大変なのね。と、感想を持った フランソワーズの耳に飛び込んで来た声。 『あの・・・オリジナルのを11個と、あとてきとーに・・・』 ---?! 聞き逃すはずのない、声。 絶対に、間違うはずのない、声。 今日、昼食の後、邸内で姿をみかけなかった、人の声。 じいっと、数メートルほど距離のある店を睨むフランソワーズに、ジェットは焦る。 なんとかフランソワーズの機嫌を取ろうと、あれやこれや、彼女が興味ありそうな ことを口にするけれど、フランソワーズは乗ってこない。 フランソワーズではなく、今度はジェットが深くため息をついた。 「わーったよ!なんでもフランソワーズが・・・」 お前がしたいこと、好きなのに、つきあってやっから・・・。の、言葉は舌に載せる事は なく、飲み下された。 「ふふ♪素敵な偶然ね!」 長い列から出てしまった、フランソワーズ。 それを舌打ちしながら追いかけるジェットの視線の先に、大きな箱3つを 特大の紙袋に入れ、それを手に提げて出て来た、栗色の髪の青年がびっくり眼のまま 足を止めた。 「・・・明日、僕が朝食当番だから、・・・・・ほら、前にさ、日本の朝食は塩辛いって 言ってたし、MA州に行ったとき、キミ、朝にドーナツでもいいみたいだったから、 その・・・さ。こういうの、の、方がいいのかなあ。って、思って・・・」 良く知る2人を前にして、ジョーは何も聞かれてもいないのに、自分がココにいる 理由を説明し、はい。と、特大の紙袋の中の、箱詰めにされた物とは別の、小さな 紙袋を取り出して、フランソワーズに渡した。 「なあに?」 フランソワーズは知らないフリをした。 「ん・・まあ・・・、その、もしもフランソワーズに見つかったら、朝まで待てない だろうと思って・・」 カスタードクリームの入ったドーナツが、好きなフランソワーズのために、その 1つだけを別に包んでもらった、ジョー。 『あの、フランソワーズ用にチョコレートカスタードを、箱に入れず、1つ別で・・。』 店内で、自分の名前がジョーの口から出て来るとは思わなかった。 しかも”フランソワーズ用”。 店員は気にする様子もなく、手慣れたようにチョコレートカスタードドーナツを1つ、 紙袋にいれた。その間、ジョーは口にしてしまった言葉に、1人焦る。 そんな彼を、視ていた、聴いていた、ことは、フランソワーズだけの秘密。 嬉しそうに微笑んだフランソワーズが、それを受け取ろうとしたとき。 ジェットの手が伸びて、紙袋を横から奪うと、その中のチョコレートカスタードを 取り出してばくん!と食べた。 「ちょっと!ジェット!!!ひどいっ」 「ジョー、なんで”ラズベリー・ジャム”じゃね-んだよ!」 「・・・ジェット、だって・・その、それは・・」 ばくん、ばくん!っと、あっと言う間に3口で、”フランソワーズ用のそれを食べきって しまった。 ぶうううっと膨れッ面のフランソワーズなど、放っておく。 ついでに、ジョーの手にある特大の紙袋を奪い、「オレが持って帰ってやるから」と、 さっさと駅へと早足で向かうジェット。 「ダメよ!朝ご飯にってジョーが!!」 紙袋にごぞごそと手を突っ込むジェットの背に向かって、フランソワーズが叫んだが、 ジェットは無視して、ドーナツを持った手のまま、高く掲げて、バイバイ。 「・・・・フランソワーズ」 「ジョーっ、なんでジェットに取られて、怒らないの?!」 小さくなっていくジェットの背中にむかって指を指し、今度はジョーにむかってフラン ソワーズはぶう。と、膨れてみせた。 「怒るって言うか・・・僕てきには、その・・」 「絶対に、邸に帰るまでになくなっちゃうわよ!」 「・・・キミがジェットと2人で、ここに並んでいたのが、・・・・」 「え?・・・・・ジェットと?・・だって、ジョー、誘ってくれなかったじゃない」 「う、うん・・そうだけど・・」 「私たちも帰りましょ、ジェットから取り返さなくちゃ!」 「・・・・あの」 「?」 ジョーは、ジェットの後を追おうとする、フランソワーズの手を取って引き止めると、 うつむき加減に呟いた。 「・・もう一回、今度は、ええっと、疲れてなかったら、だけど、・・イヤじゃなかったら、 なんだけど、僕と・・・並ばない?・・また、買い直せば、いいし、その・・・・・さ、あの、 ジェットに食べられちゃったし、キミのを」 ***** 駅に向かって歩くジェットは、遠く離れた位置から、振り返った。 派手なグリーン色の看板の下に並ぶ、人の列の最後尾についた、見慣れた 髪色の2人。 けれど、その列の中では一際目立つ、2人。 「帰ろーっつったの、どこのドイツだよ・・・って、アイツはフランス人だけど」 特大紙袋の中に手を突っ込み、セロハンテープで止められた蓋を変な折目を つけつつ、中からもう1個、ドーナツを取り出す。 ばくん、と、口に放り込んだ。 「お。今度はグレーズドレモン!」 口の周りをシュガー・バウダーで汚しつつ、甘酸っぱい、それに満足した。 「日本じゃ、恋はレモン味だったな」 end. *らぶらぶな時って、目的の物や場所よりも、並んでいる間の時間が楽しかったり しませんかー?  日本の朝食はしょっぱい!は、よく言われるのです・・・。  アメリカンもしょっぱいと思うんだけど・・・。ベーコンとか。  でも、ホットケーキのサイドに、ベーコンとスクランブルエッグが乗せられた、 学食にはびっくりしましたよ。甘辛い!? 写真by長靴猫
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