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あたたかな雨

注意)3がふらふらしてます。いえ、最後はばっちり93ですけれど。








珊瑚のピアスをいただいた。
その色が私らしいと言って。


こういう色のイメージなんだと、自分で不思議に思う。

その人は、こうも言った。



「・・・つき合って欲しい」



お友達だと、とても素敵なお友達になれたと、思っていたのに、そういう目でみていたのかと、少しだけショックだったと同時に、いただいたピアスの色くらいに、胸がときめいたことは、本当。


返事は、微笑む事で流す。





それは、彼が素敵な人だから。

それは、彼の中に”彼をみつけたから。

それは、私が探していた彼かもしれないから。




それは、答えが”NO”と決まっているから。







優しい彼との”未来”などあり得ないから。
私のこころは”彼”しか見ていないから。









出会いはごく自然に。

出会いはバレエ教室の帰り道。

出会いは同じ教室に通う友人の・・お兄さん。


お兄さん。と、言う響きにどうしても弱い。
その中に、ジャンを探す。



ジャンのように微笑んで。
ジャンのように甘えさせて。
ジャンのように。


私の最愛の人のように。







私を愛して。











「・・・また、出かけるのか?」
「何か問題でも?」
「いや・・別にいいが、最近頻繁に会ってるな?」
「・・・いけなくて?」
「何も言わないのか?・・アイツは」
「アイツって誰のことかしら?」
「アイツって言えば、決まっているだろう?」
「アイツじゃ解らなくてよ・・・」
「フランソワーズ・・・」


兄の”ように”私を心配してくれる、彼が言う。


「どうした、これは?」


手が伸びて来て、私の頬に触れたかと思うと、指先がふれたのは耳朶に飾ったピアス。


「いただいたの」


「そういう、関係か?」
「ただ、いただいただけ」
「・・・・いいのか?」
「私は子どもじゃなくてよ?」
「だから、心配している」


心地よい響き。


「ありがとう・・・アルベルト」










デートをする。
待ち合わせの場所は、いつものカフェ。
今日はどうしようか?と、アイデアを出し合う時間。
いつものカフェオレ。

時々ランチ。
時々ケーキ。




時々のキスを時々に拒む。














「今日は楽しかったわ、ありがとう」
「・・フランソワーズ」


いつもの駅で、いつもの言葉。
いつもの時間に、いつものように分かれる。



彼の車の中で、シートベルトを外そうとしたら、彼がアクセルを踏んだ。



「え?・・」
「もう少し、やっぱり、もう少しつきあって」
「でも・・電車が・・・・」
「なくならないよ」
「終電が・・・」
「・・・・・・・始発があるよ」













ジャンじゃない。


彼は兄さんじゃない。
















「始発なんて・・・怒られるわ」
「・・・怒られないよ」
「いや、降ろして」
「・・・・・・・ちゃんとした付き合いをしたい」
「ちゃんと?・・・どういう意味?」


彼の握るハンドル。
彼の踏み込むアクセル。


走る目的地。






そこは、彼がジャンでない、兄ではないと証明する場所。
男と女である場所。



「そんなつもりはないわ」
「じゃあ、どんなつもりで・・・会っていた?」
「・・・お願い・・・・」
「好きだから、こういうことを望むのは駄目なことかな?」


名もないシティホテルの駐車場に止まった車。


彼が私の膝に置いたキー。


部屋番号が書かれたカード。







「会いたかったの」
「・・・会ってるじゃないか」
「・・・・・・・ええ、そうよ・・会いたかったの」




兄さんに。










「ごめんなさい」
「・・・どういう意味のごめんなさい?」


シートベルトをはずした。
車のエンジンを切って、キーを外す。


ドアを開ける。
膝から滑り落ちたカード。



助手席のドアを乱暴に閉める。

車のキーだけを握りしめて、運転席を開け放したまま走る。






逃げる。
追いかけてくる。

捕まえる。
捕まえられる。









そして私は、兄を失う。




「ごめんなさいっ!!」
「フランソワーズ!」
「私っ・・・・あなたとは、そういう風には考えられないっ」
「・・・そんなっ」






また、失う。



私のジャンをまた、失う。




















珊瑚のピアスを外して。

「私はこんなのが似合うような、女じゃないのっ!」




あなたを見ていたんじゃない。
あなたの中のジャンをみていた。









タクシーを見つけるのに、とても時間がかかった。
邸に着く頃には、始発の電車が走り出した頃だった。













自室の電気がついていた。
明るくなりはじめた部屋に、その光は無駄に思えた。

一晩中いたの?




「・・・おかえり」
「ただいま」
「遅かったね?」
「・・・なかなかタクシーが捕まらなくて」
「デート、だったんだろう?」
「デート、だったかもしれないわ」
「それで?」
「・・・・・ジョーには関係ないわ」
「いい加減にしたら?」
「関係ないわ」
「誰も、ジャンの代わりなんてできないよ?」
「ジャンの代わりなんて探してないわ」


座っていた、ベッドから立上がる。
私は慌てて部屋から出て行こうとする。


「ジャンの”代わり”を探さずに、ボクの”代わり”を探せばいいんじゃない?」


ドアノブをまわす前に、ジョーが後ろから抱きしめる。
その腕を振りほどこうともがく。



「見つかる訳、ないか・・ボクの代わりなんて」



もがく私を追いつめる。








私の抵抗なんて、無意味。



キスの雨が降る。

その甘さに、私は甘える。


私が深くジョーのキスに答える。

彼が微笑む。







「我が侭だよ、・・・ボクだけで満足できないのはどうして?」









哀しみに微笑むあなたから、あたたかな雨が降る。












「あなたは”兄さん”じゃないわ」
「ボクはキミの”兄さん”になるつもりはない」
















あたたかな雨が、躯中に降り注ぐ。




「私はただ・・・」
「人であったころを思い出したい?」
「兄さんに会いたい」
「会ってどうするの?」
「甘えたい」
「ボクに甘えたらいい」
「愛されたい」
「ボクが愛してる」




あたたかな雨にさらされながら。




「ジョー・・・兄さんに、会いたいの」
「必要ない」
「忘れそうで、怖いの」
「忘れたらいい、ボクがいる」



深く、深く、あなたを躯の中で感じながら。
















「ボクはジャンを超える・・・キミの兄さんを超える・・・・ボク以外の誰も、ボク以上にキミを愛する事なんてできない!」














あたたかな雨が降る。















兄さん・・・・・・・。
もう、あなたを思い出すことも、見つけることも、出来ない私を・・許して。
















end.







*ずいぶん前に書いた掘り出しもの・・・人によっては地雷と思いアップを悩んでました。
 更新してないから、いっか~!と・・・切ないし(笑)
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