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名前を呼んで。
触れ合った柔らかさに、瞳を閉じることなんてできなかった。


「・・・・」


ついばむように、続けられるキス。
瞳を伏せた彼の瞼の二重のライン。
睫が長く、頬に影が落ちる男の人は、珍しいのかもしれないと、頭の中が妙に冷静に言葉を並べたとき、彼の唇が私の上唇を左右に撫でた。


薄く開いた瞳の揺れが、お土産にいただいたアイス・ワインのような甘さをとろりと含んで揺らめいた。
彼が作り出すキスのリズムの波のパターンがアナライズされても、つぎのキスが、強く唇を吸い上げてくる、アクションであることを予想が出来ても、壊れてしまった瞼は降りてこない。


「・・・瞳を閉じないんだ?」
「・・・・・・」
「別に、いいけど」


壁に押し付ける背の体温が、交換されていく。
温まる壁に、冷えてく背中。



彼の手のひらに、私の体温が。
彼の手のひらの体温が、触れられた頬に、顎に、髪に、交換されていく。



重なる唇に、混じり合う息。




「・・・・・003?」


どれくらい長く、どれくらいの時間を、そこで過ごしたのだろうか。
甘く囁かれたコードナンバーが、私でない気がした。


「ちが・・・・・」
「・・・・・?」
「・・・・・・・・・・Francoise」


瞼を閉じて、久しぶりに音にした自分の名前に震えた。


「Francoise・・・」


009の唇から音にされた名前を耳にして、固まっていた心臓が動き出す。
足の指先が熱く燃えていく。

寒い外から暖かい部屋へ戻って来た感覚。
耳が痛いほどに熱い。



忙しなく瞬いた瞼が、渇きかけていた碧を潤していく。


「そう・・・003、キミの名前はフランソワーズか・・・」










『FRANCOICE』


擦れた、音にならない空気の振動を作り出す唇が、重なる。










『FRANCOICE』


心地よく、彼の囁きに酔っていき、閉じられた瞼の暗いスクリーンが眩しくスパークする。










『FRANCOICE』


深さを増していく熱に答えるように、離れた唇を淋しく感じたために。










「009・・・あなたの、名前は?」

「ジョー・・・・島村、ジョー・・・」

「ジョー・・、ジョー・・・・ね・・」

「そうだよ」











私たちはもう、戦うためのサイボーグじゃない・・。

呼び合う名前は、音にする名前は、愛し合う、人である証。










忘れないで、私の名前を。


『FRANCOISE』


忘れないわ、貴方の名前。



『JOE』











この戦いが終わったあと、もう一度、聴かせて。
そしてキスして。



そして、人であることを思い出させて。



名前を呼んで。
私の名前を・・・・・。



end.










*いきなりですか、9・・・。
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