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銀色の。
鏡台に置いていた、銀色の、はがきサイズのフォトフレームを、そっと手に取った。
去年のクリスマスにもらったフォトフレームだったけれど、そこに、どんな写真を入れていいかわからずに、フレームだけを、写真のない、銀色のフレームだけを飾っていた。




銀色が触れた指先がひんやりと熱を失う。
吸い取られた体温が、銀色に映る。



傷のない、ガラスの面に映った自分の姿。
左手の人差し指の指紋がひとつ。






真っ白な、台紙だけを飾る銀色のフォトフレーム。



ここに、どんな写真を入れておくべきだったのだろうか、と。
考えを巡らせた。






それだけで、たくさんの思い出が色鮮やかに脳裏をかける。

瞳を閉じて。

胸に抱いた、写真のない銀色のフォトフレーム。





部屋をノックされる音が聞こえたけれど、答えたくはなかった。
ゆっくりと、再びノックされる、音。


返事を返さなかったのにも関わらず、部屋のドアが開いた。









「時間だ、・・・・・・・・003」


呼ばれても、振り向くことなく、鏡台前で。
写真のない、銀色のフォトフレームを胸に抱いて。



「約束、する・・・」



鏡越しに、彼女をみつめて。


「かならず、ここへ、戻ってくる。帰ってくる」



赤の服。



「キミを・・・必ず」


緋色のマフラー。


「・・・誓うよ」


抱いていた、銀色のフォトフレームを、元の位置に戻して、009へと振り返る。



「・・・・・・・・・・・・・写真、が、欲しいわ」
「写真?」


足音もなく、009へと近づいて。
ドア口に立つ彼の前に立つ。


「・・・帰ってきたら、一緒に・・・・・・ね?」
「・・・・・・一緒に?」


壁の、ルームライトのスイッチへと手を伸ばした。


「そう、一緒に・・」


ぱちん。と、ライトが消える。
009の背後の廊下の明かりが、部屋に差し込む。


「・・・・・・約束するよ」
「逃げないでね?」
「・・・・・・・・逃げないよ、写真くらい」
「そういって、一枚も取らせてくれなかったわ」
「・・・・帰ってきたら、二人の写真・・だね」
「ええ・・・欲しいの」
「うん」
















この部屋に、二人で写した写真を残しておこう。












帰ってこられなかったとき。
もしものとき。










誰かが見つけてくれるかもしれないから。













僕がキミを愛していたことを。
私があなたを愛していたことを。





幸せな日々がここにあったことを。














誰かが、見つけてくれるだろうから。
















フランソワーズの部屋のドアが、彼女の手によって静かに閉められた。
写真のない銀色のフォトフレームが、つるりと、細くなった月の光を弾いた。














































「すみません、あの・・・写真撮っていただけますか?」


亜麻色の髪を揺らして、近づいてきたこぼれ落ちそうな大きな青が印象的な、少女。
その背後に、恥ずかしさにこちらから、そっぽを向いた、栗色の髪の青年。


「いいですよ」


輝く、クリスマス・ツリーの下で。





「いいですか!3・2・・・1!!」








銀色のフォトフレームに、幸せなイブを過ごす二人がいた。


「ジョー、ありがとう」
「約束だからね・・・」


静かに流れるクリスマス・ソング。
聞き飽きたはずのBGMだけれど、妙にこころ浮かれてしまうのはなぜだろう?


誰がコントロールしているのか、誰もが同じ歩調。
そんな人ごみに埋もれた、2人。




この時間を過ごすために、帰ってきた。








「ねえ、今度はもっと大きなフレームをプレゼントしてね?もっとたくさん写真が飾れるのを」
「一枚でいいよ」
「駄目!もっと、たくさん写真を撮って・・・・飾るの」
「・・・・・飾るの?」
「ええ・・・たくさん、たくさん・・・飾るのよ」



永遠に、あなたと私と・・・。








ジョーが突然、足をとめた。




「フォトフレームもいいけど、同じ銀色のなら・・・さ、別のが欲しくない?」



人の流れが止まる。
迷惑そうに、2人を避けて追い越していく、波。

「ジョー?」

ごそごそと、ポケットから取り出した小さな箱は、クリスマスには”定番”すぎる、優しいターコイスグリーンと白のリボンが有名なお店のもの。


「・・・・・・・・・同じ、銀色の、ものだよ」



---あの、フォトフレームと同じ店の。



フランソワーズの手に、その箱を握らせて、光舞う幻想のイルミネーションの中。


「・・・・・毎年、一緒に・・・写真を増やしていこう・・・その前に・・・・新しいフォトフレームには、まず、・・・雪よりも白い、ドレス・・着て欲しいな」







end.












*・・・切ない?あれ?・・・ぷ、プロポーズ!? 直しいれたら、勝手にプロポーズっ?!!9!!
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