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ギルモア邸は今日も平和です。
「ワタシは別に気にしないアルヨ~」
「吾輩も、役者たるもの、どんな役柄でも完璧に演じてみせる!」
「グレート、役じゃないって・・ただのさ・・・・でも、フランソワーズがせっかくね?」
「うっせ!こんなのほほんとした生っちろいのをなんで着なきゃいけねんだよ!!」
「・・・・・悪いが、今回ばかりは、ジェットと同意見だ」
「アルベルトがか?珍しいのお・・・」
<僕なんて、全身な上に、耳と尻尾もついているんだよ?>
「特注だ。着なければ、礼に反する」
「ジョー、けっこう似合うよね!」
「ピュンマ・・・・もう、着てるの?」
「これいいよ!温かいし、可愛いじゃないか!」



12月31日、夕食後。
邸に集まった家族たちは、もらったクリスマスプレゼントを手に、地下の会議室にいた。



「どこがだよっ!どこの世界にっ牛さん耳つきフード・牛柄パーカーっをっっペアルックならぬっ!!イレブンルック!!(お揃い)でっ除夜の鐘叩きに行くサイボーグがいんだよっっ!!」
<ここにいるじゃない♪>


クーファンの中から、上半身起き上がらせたイワンは、すごく可愛かった。


「・・・・ジョー」


それは、アルベルトも認めている。
赤ん坊の、仮装系衣装は、凍てついた冷たいこころを持つ男でも、一瞬弛んでしまう不思議な力がある。


「なにかな?」


イワンににっこりと微笑み、可愛いね。似合ってる♪と声をかけながら、ジョーはアルベルトに返事する。


「すべて、お前の責任だ」
「え?」




***

時は、クリスマス前にさかのぼる。
クリスマス・プレゼントを買いにでかけた先で、新しいベビー用品店を見つけた。
輸入ものが多く、それらはフランソワーズを多いに喜ばせ、同伴していたジョーは、その小さな服や手袋、靴下・・・などを手にしてフランソワーズと一緒になって楽しんでいた。


「赤ちゃんのって、なんでこんなに小さいのかな・・・、可愛いね」
「ジョーも赤ちゃんのころは、これくらいのサイズだったのよ!」
「信じられないなあ・・・、フランソワーズが赤ちゃんだったころは、想像できるけどね♪」
「どうして?」
「ん?可愛いって想像できるから、いいんだよ」

---フランソワーズそっくりな女の子の赤ちゃんが欲しいなあ、なんて、口が裂けても言えない。想像しているなど、絶対に言えないよお。


「きっとジョーも可愛かったわ、赤ちゃんのころのジョーに会ってみたいなあ♪」


---ジョーそっくりな可愛い赤ちゃんが・・・なんてね!きゃあああああああああああああああっ!!



顔を真っ赤に染めたまま店内をウロウロとしていた2人の前に、アニマル・パジャマシリーズ。と、書かれたワゴンが現れた。
ジョーとフランソワーズは、そのワゴンに釘付けになる。


「みて!猫ちゃん!!」
「ライオンだよ、ふわふわの毛がいっぱい」
「イワン・ベアなんて、可愛いわよ~!!」
「フラン、うさぎがあるよ!うさぎ!!!」


勢いもついていた(?)ために、キャッキャと興奮気味に盛り上がる2人にすすすっと近づいて来た店員が一言、言い添えた。


「可愛いでしょう?去年はネズミさんだったんですけど、今年は牛さんだから、こちらがとっても人気なんですよ?」
「?」


フランソワーズは顔に?マークを描く。
それを観て、ジョーが、ああ。と、納得しながら、脳波通信で、さっと”干支”について簡単に説明した。


その日。
ジョーが持つ買い物袋のひとつに”牛さん”アニマル・パジャマが含まれていた。







***

「別に、ジョーのせいじゃ、ないじゃろう?フランソワーズが買ったんじゃし・・・」


ギルモアは自分の分のそれに袖を通した。
内側がモヘア素材のために、ふわふわと包まれる感触で温かく、意外にしっかりと作られている。
内ポケットも2つ。外に2つ。黒い柄部分と白い柄部分に、左右つけられていて、お洒落な感じ。

ちょっぴり、気に入った様子のギルモア。
しっかりと着て、胸前のチャックもきちっと首もとまで引き上げる。付属のフードも冠って、イワンを抱っこしたピュンマは幸せそうな牛さん親子と化していた。
張大人も袖を通し、ギルモアと並べば、何かの組合イベントにみえる。
グレートも着てみると、ふざけて、牛が、牛柄パーカーを着た姿に変身し、どこから取り出したのか、牛乳瓶でミルクを一気のみしても見せる。

無言でジェロニモも羽織る。
意外と似合っていた。そして、自分でもそう思うらしく、妙に嬉しそうだった。


「残るは、ジェットとアルベルトだけだよ?」


ジョーは持っていた自分の分を、着ようとする。が、ば!っと牛さんパーカーを彼の手から奪い取った、ジェット。



「あ!」
「お前はそれでいいのかよっ!!!」
「別に、だって・・・何がそんなに嫌なわけ?」
「牛だぜ!牛!」
「だって・・・丑年だし・・・・」
「虎やヒョウや、ゼブラならまだしもなあ!オレさまに牛を着せるのかよっっっ!!!」
「・・・・・・・虎は来年だもん、来年まで我慢してよ・・」


むっと口を突き出すように文句を言い、ジェットから自分のパーカーを奪い返すと、その勢いのまま、着た。
その場にいた、全員がジョーを見る。


そして、一番似合っているのは、ジョーだ。っと、誰もが認めた。
イワン(赤ん坊)に勝った男、島村ジョー。


「・・・・・ジョー」
「諦めて着てよ・・・フランソワーズが帰ってくるよ?今日はバレエ団のニュー・イヤー(カウントダウン)パーティを断ってこっちに帰ってくるんだしさ。楽しみにしてるんだよ、・・・ペアルックじゃない・・・」


<「「「「「イレブン・ルック」」」」」>


牛さんチームが声を揃えた。


「野球チームか?サッカーチーム、アメフトチームのつもりか?!」


苛々とアルベルトが吐き捨てるように言い切った。
自分が座るテーブルの前に置いた、牛柄パーカーを苦々しく睨みながら。


「ボクたちがそんなの作ったら、フェアじゃないよ・・・サイボーグだし」
「真面目にに答えんでいいアルよ、ジョー・・」
「アルベルト、貰った時、ありがとうってフランソワーズに言ったんだから、受け取ったらちゃんと一度は袖を通さないと失礼だよ?」


イワンの牛さんコスチュームと言っていい、パジャマのチャックにつけられているベルが、可愛いと、ちりん。ちりん。鳴らしながらピュンマが言った。
彼は本当にこころから、喜んでいるようだった。


「虎ならいくらでも着てやらああああああああ!牛はオレのセンスにあわねえ!」
「牛肉好きなくせに!!!!」
「ああっ?!それとこれと、どう関係あんだってんだよっ!!!!!」
「感謝しなよ!」
「なんでだよっっ!!」

がたん!っと、ジョーが椅子から立上がった。


「フランソワーズが選んだんだよっ一生懸命探したんだからな!」


ジェットも勢い良く立上がり、ジョーに食いつく。


「てめえはなんでも、フランソワーズ、フランソワーズって!!それでも男かよっ!!女のケツに敷かれてやがって!!」
「五月蝿いっ、フランソワーズになら、いくらでも敷かれるしっ!!そっちの方が楽なんだ!」


ピュンマが、ぱ!っと、イワンの耳を塞いだ。


「「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」」


売り言葉に買い言葉と、この場合は言えるのだろうか?
眉間をぴくぴくと痙攣させながら、アルベルトの口元が歪む。


「ったく、そんなこっただからなあっ!フランソワーズにナメられんだよっ!」
「彼女がいないジェットに言われたくないっ!ナンパが成功しなくて溜まってるからって、さ!!」
「ああああ?!ウッセー、そっちこそ、週1なんて、そろそろやべえんじゃねえの?マンネリ化して、飽きてんだぜ!」
「ボクたちには、ボクたちのペースがあるんだ!なんでもヤって回数こなせばいいなんて、野蛮だよっ!!」
「それともっフランソワーズに飽きたってか?なんなら、何人か上手いダチ紹介してやろうか?」
「っっフランソワーズはっすごおおおおおおおっく上手いんだよっっっっs!週1くらいのペースじゃないとっお互いに日常生活に支障が出るからっ」


かちゃ。と、聞き慣れた音。
は!っとジョーとジェットを残して、みな床に伏せた瞬間に5つの銃口からぶっ放された・・・。


「いい加減にしろ・・・。話しがそれているぞ」


壁に、綺麗にジョーとジェットの姿を切り抜いた跡。


「「・・・・・・は、い・・・・・・・」」
「しかし、だ・・・ジョー」
「何?」


ぎぎぎ。と、オイルが切れたからくり人形のように、首を動かしたジョー。


「いいのか?」
「?」













####

バレエ団のニュー・イヤー(カウントダウン)・パーティを抜け出して帰って来たフランソワーズは、すぐに自室で着替えを済ませた。


「可愛いね、フランソワーズ」
「ジョーも、可愛い♪」


ほのぼのとした、カップルが1組。
リビングルームで牛さんたちに見送られた。







黒のハイネックセーターに、牛さん柄のフレアスカート。トレードマークのカチューシャも牛さん柄。
コートも黒で、ブーツも黒。
牛さん柄以外はシンプルに黒で統一。
ジョーも、ジーンズと牛さん柄のパーカー以外は、彼女に合わせて黒で揃えた。



「ゆっくり行っておいで、帰ってくるまで適当にしておるからのう」


フランソワーズの贈った牛さんの耳(よくみれば角もあった)つきフード・牛柄パーカーを着た、全員に見送られてご機嫌に邸を出て行くジョーとフランソワーズ。
ぶすっとソッポを向いたままのジェットは、パーカーの袖には遠さなかったが、牛さんパーカーを肩に羽織り、顔を隠すようにしてフードを目深にかぶってソファに座っている。


アルベルトは。
膝に”それ”をかけた状態で、ウィスキーをロックで楽しんでいた。
ジェットだけでなく、ピュンマは気に入った”牛さんルック”で出かけられず、機嫌が悪いことがしっかりとわかる。むっつりとシングルソファの肘掛けに肘をついて、顎をのせて、玄関の扉が閉まる音と同時に言った。。


「”009”に誰が口答えできるんだよ!」













アルベルトが言った一言。


「イレブン・ルックでもいいが・・・、それじゃ、誰が誰の”彼氏”かわからんな・・・・・悪いが、そういう風になっても文句言うなよ?」
「どういう・・意味?」
「・・・・お揃いだからな。そういうつもりかもしれん・・・・・・・変な意味はないが・・・。別にフランソワーズが最近・・・・・・いや、これは関係ないか」
「?!」


どうとでも取れる、意味深な言葉に、にやり。と、口角を上げて挑戦的に嗤いを浮かべた、だけ。






それだけで。
ジョーはさっさとフランソワーズの携帯電話に電話して、あれこれとフランソワーズと言葉を交わす(泣き落とす)事約41分。


2人きりで除夜の鐘を聞きにでかけることを成功させた。
そのかわり、邸で全員牛さんルックでお正月を過ごすのを条件に。
・・・毎年家族が集まれば撮る記念写真も、今年は牛さんルックと決まった。


「邸の中なら、”着なくても”なんとでもなるからな」
「はじめっから!そうしろやっ!」
「・・・・・・ジェット」
「んだよっ!」
「似合っているぞ、ある意味ジョーよりな」
「?!」


実はひっそりとみな、口には出さないでおたものの、ジョーとは別の意味で似合っていると、思っていたのだ。


「アメリカと言えば牛だろう、・・・一時期闘牛士のバイトしてたらしいじゃないか・・・牛の気持ちはお前が一番わかるんじゃないのか?」


おお!っと、膝をうつ一同。


「うるせえっうるっせっ!!うるせえええええええええええええええええええええっっ!!!」


ギルモア邸に響き渡る、ジェットの雄叫び。


硝子作りのローテーブルの上にあった缶ビールを握りつぶさんばかりの勢いで手に取ると、乱暴にプルトップをひき、一気に飲んだ、瞬間、ぶうううううううううううううううううううううううううううううううっ!っと吐き出した。


<牛さんのミルク♪>


一緒に出かけられずに、機嫌が悪かったのはどうやら、ピュンマだけではなかったらしい。
缶ビールの中身が牛乳に代えられているなど知りもせず、ビールだと思い込んでいたために(いや、ビールであるが)、口に含んだ予想外の味に驚いて霧噴射機のごとく吐き出したジェットの・・・を、しっかり頭から浴びた、アルベルトは無言でその場から去って行った。

きちんと、牛さん柄パーカーを手に・・・。










去年にさようなら、昨日にさようなら。
新しい今年に、よろしく。



相変わらず・・・・。
ギルモア邸は今日も平和です。



end.












*全員で着物より、牛さん柄パーカーってありかなあ?って、ふと・・・。
 アルコールっていいですね。
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