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彼氏彼女


まあるく、マシュマロみたいな頬がピンクに染まって、きゅううっとミルクを吸い込むたびに、膨らんだり、しぼんだり。

慌てて飲んじゃ駄目よ。っと、注意をしつつ、ミルクの白がどんどんボトルのメモリを小さくしていく。


たまに外で取る、太陽の下でいただくご飯がとっても美味しいように、外での”ミルク”も家の中よりも、気持ちのいいものなのかもしれないわ。と、心の中で呟いてみた。


お散歩はいつも邸の近くを30分ほど歩くくらいで、ミルクや替えのおむつなんて持ち歩かない。

けれど、今日は。


彼の一言で。



「今日はすごく温かいよ、外でランチってどおかな?」
「外で?」






ギルモア邸最寄り駅に、小さなカフェができた。
夫婦で経営するそのカフェは、古い日本家屋を改装した和洋折衷の雰囲気の、ジョーが言うには、”レトロ”な感じがとってもオシャレで落ち着く、らしい。


店前からは解らないが、店内の奥に庭があり、そこがオープンカフェスペースとなっているらしく、そこへ行こうと誘ってくれた。

res_var02.jpg


「お外でのミルクは美味しいかしら?」


お店の奥さんが、私とジョーが頼んだランチセットを、大きなトレーにのせてサーブしてくれる。


んっく!っと、力強く最後の1口を飲みきったイワンは満足げにため息をついた。
その仕草に、奥さんが笑う。
テーブルに並べられたランチの美味しさな香り、たっぷりボリュームあるそれに、私は思わず歓声をあげてしまう。


「ごゆっくり」



奥さんがテーブルを離れていく。
平日のランチには少し早めの時間。
店内は、私たちともう2組のお客様のみ。

外にいるのは、私たちだけ。



「さ。食べよう!イワンを、ベビーカーに・・」


目の前に座っていたジョーが椅子から立ち上がってテーブルの側に置かせてもらったベビーカーを押して、私の側に寄せた。

肩にタオルをおいて、イワンを盾抱きに抱き彼の背中をぽん、ぽん、と叩く。
勢い良く胃から吐き出された空気の音に苦笑したジョーが、イワンを私の腕から抱き上げた。


「今度はボクたちの番だからさ」


イワンに”高い、高い”をするようにして彼はウィンクをひとつ。


<邪魔ってわけ?>
「そんな風に言うなって。・・・フランソワーズが食べづらいだろ?」
<食べづらいような状態じゃなければいいんだよね?>
「ったく、・・・フランソワーズ、イワンがベビーカーに座るの嫌らしいよ」


ふうっとわざとらしくついたため息が、長い前髪を吹き上げた。
ジョーの腕に抱き直されたイワンの位置から、彼の両目が見える。


せっかくの”2人”きり。のランチなのに!と、言っている。



<忙しいジョーが悪いんだよ>
「うるさいなあ、連れてきてあげたのは誰?」


むっとしたジョーが唇を突き出すようにして、赤ん坊のイワンを睨む。


「もう・・2人とも喧嘩しないでちょうだい」


私は腕を伸ばして、ジョーからイワンを抱き受ける。


「だって、さ。食べづらいだろ?せっかくのランチなのに・・・」
<ぶつぶつ文句を言ってると、その”せっかくのランチ”が冷めちゃうよ?>
「はいはい」


あきらめて席に戻り、イワンを抱く私を観る、ジョー。


「ボクは、フランソワーズ(だけ)を誘ったんだけど・・・」
<フランソワーズを誘った=僕も誘っただよ、ジョー>


なんだよそれ!っと、文句をいいながら、フォークを掴んだジョー。


「そうね、ジョーはいっつも忙しい、忙しいって私を放っておくんだもの、ね?」
「放ってなんかないよ!忙しいのは・・・ごめん。けど!それとこれが、どうして、今日のランチにイワンもなの?」


私とイワンは視線を合わせる。

言葉にしなくても、ちょっとした”力”を使わなくても、私たちはそれだけで通じ合う。
ミルクを飲んで体温が少しあがった、イワンのまあるいマシュマロの頬がリンゴ色に染まる。


「イワン、ジョーはまだ知らないのね?」
<みたいだね、とっくの昔に僕と君の関係を知ってると思ったんだけど?>
「?」


にいっと、笑った彼の頬が高くなり、くるん。と、癖のある前髪に隠れたつぶらな両目が細くなった。


<”彼氏”の僕の許可なく”彼女”に食事に誘うなんていい度胸だよね、009>
「?!」
「そうよ、私はイワンの”彼女”なの。だから、彼氏の”イワン”と一緒じゃないと、いくら009からのお誘いでも・・・勝手にでかけるなんて出来ないわ」





笑い合う私たちに、ジョーは目を白黒させて、時を止める。










大好き!フランソワーズ。
大好きよ、イワン。










「え?え?えええ?ど、どういう、どういうことだよっ?!」
「だって、イワンはちゃんと告白してくれたもの!」
<そうだよ。僕はフランソワーズが大好きで、その気持ちを毎日ちゃんと彼女に伝えてるんだからね。そして、フランソワーズも僕が大好きだってさ!」



「だから両想いなのよ、私たち。彼氏彼女の関係なの♪」










ボクたちは別にー・・・な。
いつまでもフランソワーズを待たせているから、こういう目にあうんだよ。









今さら、遅いからね!
譲る気なんてないよ、009。



僕を誰だと思っているの?


僕は、001。
イワン・ウィンスキー。







フランソワーズが大好きな僕に、勝つつもり?
受けて立つよ!さあ来い!







「・・・・・こ・・くは・・く・・・・って・・・・」


ああ、駄目だ・・・固まったまんま。
せっかくのランチが冷めるから、この話は食後にしよう。




ね、フランソワーズ。






end.








*3/1なのでがんばってみた。
・・・でも、続けられないと思います、なので、ショートに置いておきます。





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