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自覚、はじまり/メンテナンス・ルームに通い始めたボク。
これは、『何だか芯がもやもやする/ハロウィンの呪い?(16)』・・・後、です。


_________






何をしているんだろう?






「・・・・」


真剣だった。
003は真剣に、何かを観ていた。


その003を、そっとドルフィン号のキッチンの入り口の壁に背を寄せて、息をつめてみていた。


003の緊張が勝手にボクにも伝わってくる。
ごくん。と、彼女の喉が鳴るのが聴こえてきた気がした。

ミッションを終えたばかりのドルフィン号の中は、ギルモア邸と変わらない穏やかな空気に包まれていると言うのにも関わらず、彼女は殺気立っていると言っていいほどに。

003のその気配につられて、ボクの喉が痛いくらいに引きつった。
持っていた空のマグカップを握る手に力が入ってしまって、慌ててその手をゆるめる。



「・・・・っ」





防護服を着た003の背中しか、見えない。
何かを真剣に・・観ている、ことしかわからない。

003の聞き手が、ゆっくり、ゆっくり、と、慎重に動き始めたことが、彼女の肘が開いていくのが見えてわかった。


「もおおおおおおおおおおおおおおおっ」
「003っ?!どうしたっ!」



びくんっ!!と003の躯が揺れて、弾かれたように身を引いたと同時に彼女の怒りを含んだ、悲鳴に近いような大声に、ボクはすぐさまキッチンへと飛び込んだ。


「お箸でグリンピースをお皿からお皿に移動させるなんて無理よっ!」
「・・・・・・・は?」


こぼれ落ちてしまいそうな碧が涙に濡れ、震える唇で訴えられた。


「お箸の持ち方がおかしいって言われたの!」
「003の?」
「正しいお箸の持ち方が出来るように、練習しないと恥ずかしい思いをするのはアタシだって!!」
「気にしなくていいよ、フランス人のキミがお箸を使えていること事態すごいんだから」
「一緒にいる相手にも恥をかかすって・・・ジョー、ごめんなさい・・」


今にも溢れてしまいそうなほどに、たまった雫がぽろ。と落ちる。と、留めなく、彼女の頬に線をひき始めて、ボクは慌てる。


「え?何がっ」
「アタシのせいで、嫌な想いをしたことがあったのでなくて?」


持っていたお箸を、ぎゅうっと胸前で両手に握りしめ、”お箸が上手く持てない”と泣く、003・・。


「・・ないよ、そんなの」
「ウソつかないで!」
「ウソをついて・・・って、つくほどのことじゃあ」


ボクはきょろきょろと、周りを見回して、持っていたマグを床に取り付けら得ているテーブルに置き、その上に放り出されていたハンドタオルを掴み、003にむかって渡そうと伸ばした。


「・・・こんなことくらいで、泣かないでよ」


---”こんなこと”くらいで、泣くなんて・・・。

ボクが泣き出してしまいたいときだって、003は「しっかりして!009」なんてボクを叱り飛ばして平気な顔で、ミッションをこなすのに。


「だってっ!だって、だって!!悔しいんですものっそれにっ、・・・ジョーに、みんなに、今まで恥をかかせていたと思うとっ」
「あー・・・・」


---いったい、どこの誰がそんなどうでもいいこと、言ったんだよ?


ひっく。と、肩を揺らし、今まで泣きたい気持ちだったのを我慢していたのか、幼い子のように、わんわん泣き始めた。
差し出した手にあるタオルは受け取ってもらえず、行き場をなくして注を漂う。

胸前にぎゅうっと握りしめたお箸がめきっと折れてしまいそうに、その力の入り具合に揺れている。


ドルフィン号の備品でも、お箸くらいはアルね!と、彼女用にピンク色の花がたくさん描かれたのを、買って来たのは、今回のミッション直前の買い出しに出掛けた、006と007。



「・・・・一緒に練習しようか?」


ボクは手に持っていたタオルを、半ばヤケ気味に、彼女の濡れた顔に押し付けるようにして、ごしごし、涙を拭った。
その、動きにフランソワーズの頭も一緒になって揺れる。


「一緒に、練習しよう。それに、こういうのは1日ですぐ出来るようになるものじゃないよ。毎日少しずつしないと。今日はもう部屋に戻って休むんだ、疲れているだろ?イライラしながらやっても意味がないと思うから。・・・明日から一緒に練習しよう、つき合うから」


フランソワーズの手が、タオルを持つボクの手の動きを止めるように重なった。
その感触に、どん!っと、心臓が大きく跳ねて、その跳ね方の異常さに、彼女の手を振り払うかのように、ボクはフランソワーズの顔からタオルを引き離した。

ボクの動きにびっくりしたような視線を、向けてくる。
けれど、それがすぐに、変わった。


「嬉しいっ!約束よっ、絶対よっ!!」
「・・・・う、ん」


涙で濡れた、フランソワーズ。の、花が咲くような、満面の笑顔に、ボクの全身が熱くなる。
どくん。どくん。っと、異様な早さで鼓動を刻み始めた心臓に、躯のどこかが壊れたのかと、博士の顔が浮かんだ。


「ありがとうっジョーっ!」







---メンテナンスの予定はないけど、一度観てもらった方がいいかも・・・。



「う、うん・・・」











end.



*と。言う事で。
 この後に『合鍵/ボクと彼女の関係は?(1)』のフランソワーズのキャラが掴めなくて・・・拗ねた?彼になって、
 『もじもじ京都・嵐山2泊3日旅行編』の、『1』の、「あ、それは大丈夫。それだけはボクでも教えられたからね」”になります。
 
 








*おまけ*

「どこも悪くないと、言っておるじゃろう・・・」
「でも、変なんですよ・・・・・・データにも出てます」
「そうじゃが、いいか009機械化されているといえど、完全ではないんじゃ、こころ一つ、気持ちの持ちようで、何も問題がなくても”不調”に感じることもある、病は気から。と、変わらんのじゃ・・・」
「でも!」
「データの誤差も、基準範囲内。心配することはない」
「博士!」


メンテナンス・ルームから出て行くギルモア博士を呼び止めようと、診察台から飛び降りる。


「そんなに気になるなら、日記をつけなさい」


ギルモア博士は、やれやれ。と、メンテナンス・ルームのドア前で振り返った。

「日記、ですか?」
「いつ、どういうときに、どんな風に、おかしかったかデータを記録しておきなさい。統合的に観てから、じゃ」
「はい・・・」





・・で。恋の病だったと(笑)





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