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タイミング
隣に座っている、ジョーの左の肘が、ダイニングテーブルの上に乗せられていた、フランソワーズの右の肘に、触れている。
広げていたファイルの上に、とん。とん。と、先ほどから同じリズムでシャーペンの先を叩き、左手でばらり。と、ページをめくる。


めくった後に、また、同じ位置に手を戻すので、触れ合ってしまう肘。




触れられた瞬間に。は。っと、息が止まる。
触れ続けられる時間に、ぐっと。息をつめて、走り出す心臓の音がジョーに聞こえてしまうのではないかと、焦る。


聞こえるわけなんかない。と、解っているけれど、常人よりもすぐれた性能を持つ彼だから、油断できない。



肘が、離れて。
ぱら。っと、ファイルのページがめくられる。

とん、とん。と、叩いていた、シャーペンの端っこが、宙に浮く。


どきどきと、走り出したままの心臓の音だけが、ダイニングルームに響いた。
ぎゅっと、固く瞼を閉じて、フランソワーズは自分の心臓にむかって文句を言う。


---もう!集中できないわっ!黙ってっ!!







「そっちはどう?何か見つかった?」


びくん!っと、全身で驚く。


「あのっ」


がたん!っと、イスを蹴飛ばすように立ち上がった。



「の、の、喉が渇かない?!」
「・・・・」
「おあ、お茶にしましょうっ、す、す、少し、休憩っ、ね、そうしましょうっ」


逃げるように、キッチンへと飛び込む、フランソワーズを見つめて。
シャーペンのしんが、ファイルの上の髪にぐちゃぐちゃとした、線を描く。


「何回お茶、すればいいのかなあ・・・」


ふうっとため息をついて。
シャーペンをファイルの上に投げた。


頬杖をついて、キッチンへと視線を向ける。

フランソワーズの変な緊張が伝わってきて、落ち着かない。
さっきから眼を通しているファイルの内容が、全然頭に入ってこない。


「そんなに嫌なのかな・・・」


話しかけるたびにお茶をいれ直すと言い、キッチンへ駆け込む、フランソワーズ。


ばさ。っとファイルを閉じて、立ち上がったジョーはダイニングルームとキッチンを仕切るカウンター・テーブルからキッチン内にいる、コンロの上にポットを乗せたフランソワーズへ向って言った。


「今日は、この辺で止めておこうか。・・・天気もいいし、邸で資料と睨めっこばっかりだと、ね。・・・気分転換に外へ行ってくる」
「そ、そお?」
「うん、だからお茶はいい」
「あ、ええ、わかったわ・・」


ジョーに背をむけたまま、答える。
そんなフランソワーズの背を見ながらジョーはため息を吐きつつ言った。


「・・・そんなにボクと一緒は嫌?」
「?!」
「一応、・・・・事件じゃなくても、これも大切なミッションだから。だけど・・・。誰か手の空いてる人に頼むね、手伝ってくれてありがとう」
「!!」


遠ざかって行く、ジョーの足音。
ごくん。と、大きく喉を鳴らして、フランソワーズはキッチンから飛び出した。


「ま、ちがっ!違うわっジョーっ!!違うのっ」








追いかける、足音。
立ち止まった、足音。












「あのっ・・・嫌じゃないのっ!違うのっ、そうじゃなくって」
「無理しなくていいよ」


追いかけて来たフランソワーズと向き合い、悲しそうに、けれど穏やかに笑う、ジョー。


「別に、フランソワーズを責めてるわけじゃないよ、・・・ただ・・・」
「だから、っそうじゃないのっ、嫌じゃないのっ嫌なんかじゃなくてっどっちかって言うとっ」
「?」
「どっちかって言う・・・とっ・・・・」
「フランソワーズ?」
「あのっ・・・・・」
「?」
「嫌とかじゃなくてっ、だからっ。そのっ」


---好きだからっ。



全身に力が入った瞬間。








ぐぅぅぅぅぅ・・・。

















ジョーはにっこりと満面の笑顔で言った。


「お腹が空いてたの?・・・・それならそうだって言ってくれたらよかったのに・・・、ボクに言いにくかった?」
「・・・」
「ごめんね。そういうことに気がつかなくて、そういえば・・お昼ご飯の事忘れてたよ」
「・・・」
「仲間なんだから、そういうことは遠慮しなくて言ってよ、今度から」
「・・・」
「張大人がいないから、つい忘れがちなるね・・・。散歩ついでに、何か買ってくるから、待っていて」
「・・・」
「すぐ、戻るよ」



とにかく、ジョーを嫌がってない。と、言う事だけは伝わった。と、言うことで、良し。とする・・・・しかない。
ギルモア邸の玄関のドアが、ばたん。と、閉まったとき、フランソワーズはヘナヘナと床に崩れ落ちた。


「わたしって、どうして、いつも、いつも・・・もおおおおおおおおおおっ!!」








end.





*なんて言うか、純粋などっきどきラブロマンスな少女漫画展開なんてもん、無理かなあ・・・。



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