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A YEAR AFTER
二車線の大通り、左側の歩道を歩いていた。
寒さに身を縮ませていた日から、そんなに遠くないはずの今日。街路樹がうっすらと新緑の芽を飾り始めていることに、なんとなく目を留めた。

すれ違う人々の足取りも軽く、ついこの間、同じ道を、同じ時間帯に歩いたときと大分違う印象を持つ。

こころなしか、街の雑踏も軽やかに歌っているようだ。


そんな風に感じてしまう、自分自身が一番浮かれているのではないか。と、人をよけたときに大きく一歩近づいた、小さなビルのガラス窓に映り込んだ自分と視線が合った。
すると、ちょうどガラスの中にいた、煙草を吸っていた男性と目がばっちりと合ってしまい、大げさに首を振って視線を外し、早足にその場から離れた。


自意識過剰な人間に思われたかな?と、思う自分がすでに自意識過剰。




まだ、慣れない?っと、自問自答。
そして、苦く口の端で笑う。






サイボーグにされて何回目の春かなあ。と、視界の上1/5を空の青に染めながら考えた。


「まだ、ちょっと早いか・・・」


3ブロックほど歩いたところで、点滅信号にひっかかった。
チカチカと白い人が青緑色のライトに照らされる。

赤のライトを背負った棒立ちの白い人と入れ替わったので、自分も倣って立ち止まる。
せき止められた水のように、人が迂曲したガードレールの囲いの中に溜まる。




立ち止まった人を首を巡らせてさっと見る。
巡らせた視線を、右折した白の乗用車へと投げて追いかけた。





車に乗っていた人間は3人。










<そっち向かったぜ!>
<うん、今・・ちょうど目の前を通ったよ・・・>


赤が点滅する。
車が止まる。その後ろに列をつくる。

せっかちな人間が、人を押しのけるように、足を踏み出す。


青緑のライトが光る。
白い人が、車道を渡っていいですよ。と、全身で表現する。






一斉に歩き出す。
フライングした人間はすでに向こう側。


自分と同じ位置から、歩き出す人の、波に乗る。
正面から向かってくる”人”と、交差する。


「ジョー」


名前を呼ばれて。


「変更なし、そのまま追って」


返事を返した。


刹那の会話に誰も気づかない。



「了解」



それほど珍しくなくなった、国外からの訪問者。
けれど、やっぱり・・・彼女は目立つ。








車道を渡り終えて、振り返った。











数人の、男が、自分と同じように立ち止まって振り返り、彼女の後を雄の本能丸出しにした視線で追う。


<やっぱり行き先は予定通りの場所みたいよ>
<わかった・・・>


彼女も、ほぼ、自分と同じタイミングで振り返った。









信号機が点滅する。
排気ガスの臭いがきつくなった気がした。














「ジョーっ!お仕事が終わったらヒ○トンのイチゴ・フェアっ!バイキングに連れて行って!!」

「!?」


ぐんっ!っと躯をのばし、背伸びをしながら勢いよく走り出す車に視界を邪魔されながらも、大きく両腕を優雅に振る、その人の声に、ぎょっ。と、目を見開いて驚く。


「・・・・・は、い・・」


周りの視線が心地よく痛い中、自分の”彼女”にむかって軽く小さく、遠慮がちに手をあげて答えると、彼女はとびきりの笑顔をそこにおいて、去っていく。


一瞬に切り取られた、ハプニングは、走りゆく車が放つ排気ガスにまみれて消える。









流れる人波に紛れていく、彼女の背を瞼に残して。

頬がかすかに熱いのを、今日の気温のせいにして。





<作戦、開始>
<<<<<<<了解>>>>>>>





---イチゴ・フェアって、いつまでだったかな。








号令をかけた後、島村ジョーのままでいた自分は、ふと気がついた。
フランソワーズに自分の気持ちを伝えてから1年経ったんだ。と・・・・。









end.



*告白後の二人。

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