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可愛い人
short storyにあるお話しを
「プロローグ(?)」にしてみました!
お話はこちらを読んで頂けると嬉しいです。

=======

気温は春らしく暖かくなりつつ、日もつられて長くなりはじめた今日この頃。
昼間はジャケットを着ていても少し汗ばむようになったが、
さすがに日が落ちてしまうと、まだ寒い。
気を許してしまえば、簡単に風邪をひいてしまいそうだ。

一日もあと1時間24分ほどで終わる。
・・・今日はallでカフェに入っていたので・・・もう疲れた。
身内の店なだけに、ある程度のワガママは効くものの、
それに見合っただけの働きを要求されるのも事実だ。

義姉さんはきっちりしてるからなあ・・・。

店内は平日なせいか、もうテーブル席に着く客はいなかった。
時折、店のチャイムを軽やかに鳴らす客も、自宅用に包んで足早に自宅へと帰っていく。
義姉さんはオープンカフェのスペースをいつもより早めに片づけ始めた。
さすがに今日は少し冷え込んでいる。外で茶を飲みたいやつなんて、いないだろう。

ああ、足が棒だよ!
まったく・・・。
オレ、扁平足気味なんだよな~・・・。


ドアのチャイムが ちりり~んっと鳴る。
いつもより間延びした音は・・・1人客ではないことを知らせてくれる。

多分、今日はこれが最後のお客様。

「いらっしゃいませ・・・」

疲れているオレの声は、こころなしか覇気がない。
客の顔を見ずに、つい客の足下を観てしまった。
履き込んでいるが、綺麗に手入れをされた靴。

最後は男の客かよ!


「随分、疲れてるな?」

聞き慣れた・・・スッキリとしたテノールの声にオレは驚いた。
よく知るその人物は、この店を訪れる時間がだいたい決まっている、
お得意様中のお得意様・・・の彼氏だ。
オレはもう、営業用のオレでいる必要がなくなった。

「~~~んだよ、ジョーかよ・・・」

面倒だけど、奴のパーフェクトなモテ顔を観なければならない。

ん?

「フランソワーズ、ちゃんと中に入れよ、ドアを閉める」

あああああ!フランソワーズさんもご一緒ですか~~(喜)

オレは勢いよく顔を上げると、ジョーが身をよじってドアを支えている姿が目に入った。
オレの方へ向けられた背中がは広く、一見しただけでは解らないが・・・
着ている服の下に隠された肢体は、きっと彫刻にでもなってしまうかのように完璧なのかもしれない。
・・・こいつの弱点は「泣き虫」と「フランソワーズさん」意外にないのか?!

フランソワーズさんが店内に入ったことを確認してから、ジョーはドアを閉めた。

ドアのチャイムが ちりんっっと跳ねた。

オレの心臓は・・・口の中から飛び出した!



フランソワーズさんの細く麗しい白い腕に抱かれた、その物体はなんすっか?!

彼女はその華奢な線に不似合いな豊かな胸元に、大切そうに抱きかかえるのは・・・
黄色のタオルケットの中から、薄いアイスブルーに近い、少し癖っ毛のある銀髪のような髪がのぞく。
小さな、小さな、生まれたばかりの・・・人間?!


絶対に嘘だ!

絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、
絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、


絶対に!

これは夢だ!!

そんな華奢で、細くて、美しいフランソワーズさんの体から出てくるはずがない!



「っっく・・・っっっっっははははははh!!! 大地、なんて顔してんだよ!」

ジョーがの笑い声オレの耳に響く。

うるさい!ジョー!オレはそれどこじゃないんだ!
てんめ~~~!純粋無垢な白き光の可憐な天使になにしやがったあああああああああああ!


・・・・ん? 

ジョーお前でもそんな風に笑うんだ・・・へえ~。
って、感心してる場合じゃあねぇぇぇ!


ジョーは、ひ~、ひ~、っと苦しそうに笑い、肩を揺らして前屈みに体を折る。
珍しいって言うか、なんかお前・・・ガキみてぇ・・・だぞ?

「も!!ジョー、失礼よ!! そんなに笑ったらいけないのよっ」
「っっっく、っっく・・・はは・・はっはははっっは。・・・ご、ご、ごめん、くっくっっく!
ダメ。俺・・・とま、とまらない・・よ・・・は・・はははっっっ」


そんなに俺の顔は面白いのかっっ!


フランソワーズさんは笑い転げるジョーの傍らに立ち、彼に触れたいという
思いがあるのだろうが、その両腕には赤ん坊を抱いているために
叶わないらしく、それならと、彼女は自分の二の腕を
ジョーが笑い揺らす腕に押し当てた。

「笑いすぎよ、もう!」

ぷうっと膨らました紅い頬に、少し尖らせた抗議の唇。
フランソワーズさんが抱く赤ん坊の手が、ジョーに向かって伸ばされたのが見えた。
その白く小さな、小さな、小さな爪と動いているのが不思議だ・・・。

ジョーは体制を整えようと、フランソワーズさんに背を向けた。が、それを
追いかけるように彼女はジョーの顔のぞき込むように動いた。

「・・・もう・・・笑い上戸なんだから!普段めったに声を上げて笑わないから、
一回笑い始めたら、とまらなくなっちゃうのよ?」

それって・・・いやあ、違うんじゃないっすか・・・?
フランソワーズさんってたまに・・・不思議なことをおっしゃいますね?

「いったい何の騒ぎ~?」

オープンカフェ・スペースの片づけから店内に戻ってきた義姉さんは、
ジョーの声に誘われるかのように戻ってきた。
その義姉さんの声をきっかけに、やっと笑いを抑えていつもの彼に戻ろうとしていた。

「あらあらあら、いらっしゃいませ!フランちゃんに島村っちさん・・・に?」

義姉さんの視線はしっかりフランソワーズさんが胸に抱く、
その黄色いタオルケットに包まれた・・・赤ん坊に目が・・・とまったかと思えば、
猛ダッシュで彼女にぶつからんばかりにフランソワーズさんに近づき、
その腕の中に居る赤ん坊をみた。

「イワンくん!ね?!」


イワン?


フランソワーズさんはいつもの笑顔なのに、いつもと違う・・・笑みで
義姉さんに向かって言った。

「そうなの!私の可愛い寝ぼスケ王子様のイワンよ」

彼女は義姉さんによく赤ん坊の顔が見えるように体をよじった。

「イワン、ほら。ご挨拶」

いつの間にか”いつもの”ジョーに戻った彼が、フランソワーズさんの背後から、
彼女の腕の中の赤ん坊をのぞき込むように、イワンと言う名の赤ん坊に話しかけた。
ジョーの手は、そっとフランソワーズさんの肩に添えられている。

「はじめまして~♪イワンくん、ようこそ!カフェ"Audrey”へ♪」

義姉さんが赤ん坊の ぶくり とした頬を つんっとつつくと、
イワンは、手を伸ばしてその指を きゅう っと握った。

「可愛い!」

きらりっと瞳を輝かせて、義姉さんはフランソワーズさんを観る。

「んふふふ~。うちの王子様はハンサムさんでしょ?」

そう言って、フランソワーズさんはジョーを見上げた。

いつもと同じ、いつもの2人。
同じ人。同じ顔。

でも、今日はイワンくんが一緒のせいなのか、
2人の雰囲気が違う気がするのは・・・オレの錯覚だろうか?

フランソワーズさんの少女のような きらり と光る、朝の媚薬と言われた
薔薇の花びらで生まれる朝露のように神聖な雰囲気は、ときどき人を寄せ付けない
厳しさがある。隙がない・・・っと言えばいいのかもしれない、けれど。
カフェで働くようになってから、色々な人と出会うことで、今まで見えなかった彼女が
見えてきた。フランソワーズさんと親しくなったせいかもしれないけれど。

彼女には人の波にとけ込んで消えてしまうときと、
この世界は自分に似合わないとばかりに、この世のものではない衣を身に纏うときがある。

ジョーも・・・似ていた。
2人が纏うこの世ではない衣は、オレが・・・・・・・・・いや。
オレの周りの人間すべてから身を隠し、彼らは生きているような気にさせた。

強さ。

それは特別な強さ。

でも今日は・・・

今日の2人は’いつもより”すごく身近に感じる。
どこでも居そうな・・・カップルだ(夫婦とは言いたくない!)
通りすがりに、彼女の抱くイワンに「可愛い赤ちゃん」と声をかけられれば、
たちまちに立ち話が始まって、きっとジョーは彼女の背中をつつきながら、
早く行こう。と催促をする。そんな2人の姿がオレの脳裏を駆け抜けた。


義姉さんはケーキを買いにきたジョーとフランソワーズさんを
無理矢理(?)にテーブル席に座らせて、
さっさと入り口のドアに「CLOSED」のプレートを下げてしまった。

オレは2人分の珈琲に、アップルティとアイス珈琲を淹れた。
テーブルに運び、ジョーの隣に座った。
フランソワーズさんの隣には義姉さんが陣取ってイワンくんと遊ぶのに熱中している。
オレが席に着くと義姉さんはオレに意見をきくように話しかけた。

「外国の赤ちゃんって日本の赤ちゃんより可愛いって思うのなんでかしらね~?
赤ちゃんはみんな一緒で可愛いのに、不思議よね~、ほら大地!」

フランソワーズさんから抱かせてもらっているイワンくんをオレに見せようと、
テーブルに身を乗り出す義姉さん、ああ!アイス珈琲がアブねえよ!
オレがそう思ったときには、ジョーの手がすでに義姉さんの前からそれを移動させた。

ちっ!隙がねえ!

オレは横目でそんなジョーを観ながら、イワンくんをみる。

っひゃ~・・・可愛いなあ・・・。

まるまる と ふくふく とした 白い頬を 紅くして、
まぐ もぐ まぐ もぐ と揺らす黄色いプラスティックのおしゃぶりが動く。

オレには妹弟がいないし、身内の中ではオレが一番年が若い。
その所為で滅多に子どもや赤ん坊に関わることがなかったから、こうやって間近に
じっくりと観るのは、初めてだ。
本当にちっちゃい手だな・・・。動くのか?

オレのそんな考えを読んだように、イワンくんの手が ぐー・ばー っと動いた。

「?!」
「あら、上手におててを動かすのね~♪」

気のせいか?
イワンくんがこちらを観て・・・ちょっと自慢げに微笑んだのは?

「大地も抱っこしてみる?」
「ええ?!」

コーヒーカップを手に、面白いおもちゃを見つけた子どもみたいに、
嬉々とした瞳でオレの顔を見るジョーは、いつもより少しだけ・・・幼い感じ?

「お、お、オレは、いいよ!怖い・・し、壊しちゃいそーだし!」
「っはh!大丈夫だよ、フランソワーズだって抱っこできるんだし」
「なあに、それ・・・!」
「スーパーで、すごく危なかった。・・・落としたじゃないか・・・」
「!! 落としたのはティッシュの箱ですっ」
「ティッシュの箱でよかったよ、ほんと」
「ま!」
「危なかった」
「危なくないです」
「危ないよ?」
「大丈夫です。毎日ちゃんと私がお世話してるもの」
「・・・イワンは大変だな」

ふっと口の端をあげて笑うジョー。
こいつ・・・なんか今日はやっぱりいつもと違う。
フランソワーズさんよりも、こいつの方が・・・。

「イワンがなんで大変なの?」

ぷうっと拗ねた表情が、可愛いです!フランソワーズさん!
少し怒ってるいる仕草に、今日は一段と澄んだ幸せな光が鮮明に輝く淡い瞳。

「フランソワーズのお世話」
「私がイワンのお世話をしてるのよ」
「いや、逆だよ。きっと」

2人のやりとりに きょろきょろ と視線を泳がすイワンくんと、
そんなイワンくんをしっかり抱いた義姉さんは、ジョーとフランソワーズさんを
楽しそうに眺めている。

義姉さんは、意外とこういう2人のやりとりをあまり見たことがないかも。
ジョーと一緒にいるときは、あまりこの2人のテーブルには近づかない。
っていうか、だいたいオレがサーブするから、自然とそうなるのか・・・・・・。

「萌・・・!」

厨房から兄貴の声。

オレたちは声の方へ振り返ると、レジ近くに料理人らしい、あの白い仕事着から
日常着に着替えた兄貴と、高田さん(兄貴の後輩。この店のもう一人の料理人)が立っていた。

「おう、兄貴、仕事終わったのか?」
「あらあら、お疲れさまでした!」

兄貴と高田さんは自分たち用に入れたコーヒーを手に、俺たちがいたテーブルの
隣の席に座った。

「こんばんは・・・えっとフランちゃんと島村っちさん・・・だよね?」

兄貴・・・
何度も会ってますよ・・・あんまり交流なかったかもしれないけど。

「こんばんは」

フランソワーズさんが微笑んで兄貴と高田さんに丁寧に挨拶をする。
高田さんはフランソワーズさんの、その花が咲いたような輝く笑顔に、
顔を赤らめて「いや~・・・・・・こんばんはデス」なんて照れている。

気持ち、わかります!

「こんばんは。すみません・・・お邪魔しています。
いつもフランソワーズが大変よくしていただいて・・・ありがとうございます。
何も挨拶もせずに申し訳ありません。島村と申します。
以前は龍さん(香奈恵さんの名字)のパーティでお世話になりました。
いつも奥様の、萌子さんには大変お世話になっております、
ついつい甘えてしまって今晩もまた、このように長いしてしまって、
お疲れのところ・・・申し訳ないです。」

ジョーは姿勢を正して、きちんと大人の、社会人としての挨拶をこなす。
学生のオレにはまだわからない、っていえば逃げていることになるかもしれないが、
オレよりも社会人として生きているジョーは、自然にそれをこなしてしまう。
レーサーって人付き合いも大切らしい。
特にスポンサーには絶対的に逆らえない、と言っていた。

ここまで自然に振る舞えるようになるまで、
ジョーはどれくらいの時間を費やしたのだろう?

「あ、いやあ・・・そんな島村っちさん、あ、いえいえ、こちらこそお~
いつもあの!っ萌がいや~、妻がいろいろと、その、ねえ」

・・・・・・兄貴
オレ、今しっかりと兄貴と兄弟だって感じてるよ、情けないくらいに!

もじもじと頭を掻きながら、ジョーの言葉に恐縮する兄貴。
そんな兄貴を見る義姉さんは、はあああっと深いため息をつきつつも、
ちょっと幸せそうに微笑んでいる。
まあ、こんな兄貴のことが好きで嫁になったんだからねえ。

「こんばんは、えっとフランソワーズさんに、島村さん?高田です」

さらっと挨拶をする高田さんはパティシエのイメージからかけ離れた、
5分刈りの短い短髪に柔道選手のようながっしりとした、黒く日焼けした肌。
兄貴の後輩なのに、彼の方が先輩のように見える。
兄貴、しっかり~!!

兄貴はジョーのまっすぐな態度から逃げるように、助けてくれっと
ちらちら と隣の義姉さんを見る。

「ほら~!ダイ!噂のイワンくんを連れてきてくれたのよ」

義姉さんは視線を受けて、兄貴の方へ向き直してイワンくんをお披露目する。
ちなみにうちの兄貴の名前は「大輝」です。

「おお!君がか~」

兄貴は嬉しそうに、義姉さんの腕に抱かれたイワンくんに顔を近づけた。
高田さんものぞきこむ。

「うちの子もこんなときがあったんだよな~!」
「高田さん、お子様がいらっしゃるんですか?」

フランソワーズさんが興味深げに訪ねた。

「え、ええ!1人・・・娘が」
「舞子ちゃんって言うのよ~、可愛いわよ~!」
「今年で11歳になるんです」
「高田さんが17歳の時のお子さんなのよっ」
「まあ・・・すてきですね!そんなに早い時期にお子様をもたれたなんて、
高田さんはとてもしっかりなさった責任ある方なんですね」

そのコメントが素敵です!

「いやぁ、お恥ずかしい・・・」
「あの、話しの途中で申し訳ないが、その、萌、あの」
「ああ、はい、はい!フランちゃん、島村っちさん、お夕飯まだでしょ?」

義姉さんの言葉に2人は顔を見合わせて、フランソワーズさんが義姉さんの
問いに答えるように頷いた。

「よかったら一緒に近くにできた和食屋さんに行かない?
今日はそこで夕食の予定なのよ!一緒に行きましょ!」

義姉さんの言葉に、フランソワーズさんはさっとジョーをみる。
彼女はすべての判断を彼にゆだねるように・・・。

「すみません、そうとも知らずについ長居をしてしまい・・・
誘ってくださってありがとうございます、ぜひ。と、言いたいのですが、
イワンは午後からずっと外ですし・・・家の方にも何も言わずにここへ来たので
申し訳ないですが、今回は・・・」
「いいじゃない!ねえ、フランちゃん!こういう機会でもないと
一緒にご飯ってなかなかないもの~、もう少し私もイワンくんと遊びたいわ」
「いや、一緒してくださると、大勢の方が楽しいですから、是非!」

義姉さんを援護するように言い添える兄貴に、高田さんも頷きながらジョーに言う。

「おれの知り合いの店なんですよ、旨いんで行きませんか?ここから徒歩で10分も
かからんのですよ」
「ジョー、行こうぜ、飯一緒に食ったことねーじゃん」

ジョーは少し困ったようにフランソワーズさんを見る。
彼女はにっこりと微笑むだけだ。

・・・もしかして、瞳と瞳で会話してるっすか?

フランソワーズさんはイワンくんを義姉さんから受け取り、
その頬に愛おしそうにキスをした。
彼女の蜂蜜色した美味しそうな髪がイワンくんの顔にかかる。
イワンくんは美しいそれを、小さな指で そろっと触れた。

そんな二人の様子を黙って見ていたジョー。
やっぱり、今日のジョーはいつもと違う。
いつもより彼を身近に感じる。

その上なんと言うか、大きく何か・・・包み込むように暖かい。
そばにいると・・・変な表現だけど、守られてるんだって・・・思えてくる。
男のオレでもだ。いや、変な意味じゃないんだ!!けど・・・
安心する。なにもかもこいつに任せていれば怖くないって。

なんだろう、これ?


「フランソワーズ」

ジョーは優しく、愛する女性の名前を呼ぶ。
彼女はゆっくりと顔をあげて、微笑みを絶やさずに頷いた。

「イワンのために用意していたミルクはまだ2本あるわ、車の中に」
「・・・じゃあ、萌子さんのお誘いに甘えさせていただこうか・・・
ご一緒させていただいて、本当によろしいですか?」

ジョーは改めて、兄貴、義姉さん、高田さん、そしてオレの顔を順に
確認するようにみてから、魅力的な少し甘えた笑顔をみせた。

「もちろんよ!!!!お誘いしたのは、私たちですもの!」

義姉さんは兄貴がいるのにも関わらず、そんなジョーの笑顔で女子高生のように、
恥ずかしそうに顔を赤くしてから、飛び上がらんばかりに喜んだ。


ジョーは家に連絡を入れるついでに、イワンのミルクなどを持ってくる、と言う。
今から行く和食屋はジョーたちの停めている駐車場と反対方向にあるから、
彼は一度車に戻るために立ち上がった。

オレたち3人はテーブルからジョーを見送った。
フランソワーズさんはイワンを抱いて立ち上がり、カフェの入り口まで
ジョーを見送り、たった数分間だけの別離になぜ、「行ってきますのキス」が
必要なのか・・・。

・・・前のオレだったらわからなかった。

前に見せつけられた大人チューではなくて、チュッと軽く触れ合うような、
お菓子のおまけに描かれた、小さな女の子と男の子のイラストの、そんなキス。

ドアのチャイムが ちりりんっと鳴る。
夜の街に早足で去る、ジョーの後ろ姿を窓から見送った。

テーブル席に戻ってきたフランソワーズさんは、イワンくんを一度抱きなおす。
イワンくんは店に来てから大人しく、とてもいい子だ。

赤ちゃんって意外と聞き分けがいいんだな~。

「っっとに、フランちゃんて、すごいわね・・・」

それが義姉さんの第一声。
ジョーがいなくなったら、いつもの調子だ。
・・・義姉さん、いつからそんなにジョーを意識してんですか?

「どうして?」

イワンくんの背中を ぽん ぽん とリズムよくたたきながら
フランソワーズさんは不思議そうに義姉さんをみた。
義姉さんの顔は紅い。
ついでに兄貴も紅くて、高田さんなんて、面識がないこの「噂」の2人の
話しを聞かされてはいたが、・・・あまり信じていなかったようで、実際に目にして
ひどく動揺しているのが手に取るようにわかった。

そうっすよね!
驚くっすよね!普通!!
平気なんですよ、この2人は!

オレがまだフランソワーズさんに出会ったころの2人の方が
もう少し、常識があったと思われます!

原因は、
原因を・・・・!

・・・・・・・今のオレにはわかってしまう。

ジョーが日本を離れ、1年の半分以上を海外(向こう)で暮らすことが決まってから。
2人は、時間を惜しむように、少しでもその時間を2人のものであるように、
そういう意識が、こういう行動に繋がっているって、オレは知ってる。

だから。
別に。

好きなだけ、好きなだけ、なんでもすればいいと思う。
・・・2人がそれでいいんだったら!

ちょっとは、人の目も考えて欲しいかもしんないけど。
もう、オレはそういう覚悟ができてるから。

「義姉さん、これが普通なんだよ、フランソワーズさんとジョーには」
「・・・さすがフランスの方ですね!!」

兄貴が何か感動してるぞ?

「?ジョーは日本人ですよ?」
「え?そうなんですか?いや、名字は日本人ですけれど・・・って、
島村さんの話しでなくって、えっとあれ?」

混乱してます、高田さん。

「そうよね~、ちょっと色素薄いし、見ようによっては
日本人にはみえないわよね~、島村っちさん!テレビでスラスラと英語で
インタビューに答えてる時は特にそう思うわ!」
「ジョーのお父様は、日本の方ではないの」

フランソワーズさんは、少し困ったような微笑みを浮かべて静かに言った。

「あらら!じゃあハーフだったのね、そりゃー格好良いわ!」

ハーフならカッコいいて、誰が決めたよ?
そういうのをステレオタイプって言うんだよ・・・義姉さん。

「でも、内緒にしておいて下さいね、ジョーは・・・あまりそれをよく思ってませんから」
「私は憧れてたのよ~、ハーフとか!」

明るく言い切る義姉さんに、同意するかのように高田さんが頷いた。

「おれの家の近くにインターナショナル・スクールがあって、
よく見かけてたんだけど、本当に格好が良いやつが多かったよ?」
「島村っちさんも、なんて言うか、なあ。雰囲気がなあ、こう・・・ちょっと独特な雰囲気っていうかなあ・・・
男に奇麗とか絵になるとかって言うと失礼かなあ?って思うけど、さあ。
彼を見てると、どうしても、そういう言葉が似合うんだなあ・・・色気があるよ、うん。
それに・・・こう、1人にすると危ないって言うか、なんか面倒をみたくなるっていうか、
かまいたくなるっていうかあ・・・女の人の母性本能ってやつが
ちょっとわかる気がするんだよなあ。彼を見てるとお。
だから萌、お前大変だな。
構いたがり、世話好きのおせっかいなお前からみたら、もおおおお
手取り足とり、世話したくて、うずうずうううってするだろお?」

「まあ!さすが私の旦那ね、ダイ!その通り!」

・・・オレとまったく反対の。
そんな風にジョーのことが見えるなんて・・・信じられない!

「兄貴、や義姉さんには、そういう風に見えてんだ・・・」
「大地はどう見えてんだ?」
「オレとそんなに年かわんねぇのに、大人だなあ・・・ってよ」

オレの言葉を聞いて、兄貴に義姉さん、そして高田さんまで大声で笑った。

ええ?!

オレ、そんなに面白いこと言ったかよ!?

「まだまだお子様だなあ、大地、島村っちさんのどこが大人だよお」
「もうう!イワン君に負けないくらい、可愛いじゃなあい!」

可愛い!?
ジョーが?!

フランソワーズさんの顔がみるみる熟れたトマトのように紅くなっていく。
っと言うことは!フランソワーズさんも、そう思ってるんっすか?!

「ほおうら!フランちゃんだって、ねえ?」

隣の席に座るフランソワーズさんを見て、彼女の背中をなでながら、義姉さんは
彼女に同意を求めるように顔をのぞくが、フランソワーズさんは俯いてしまった。

そして一言、彼女の愛らしい唇から零れた。


「・・・j、・・・じ・・・ジョーはすごく可愛い人なの・・・」


ジョーは母性本能をくすぐるほどに、お子様で。
イワンくんに負けないくらい、可愛いだとお?!



どうなってんだよ~!

泣き虫で、可愛い人!?


ジョー!テメーは何者だ!!


<ハ~、オ腹空イタヨ・・・ジョー、早ku戻っテ来ナイト大変ダヨ?>





は!!今なんか声が聞こえたぞ?!



end?





・あとがき・


えっと、
short storyの「お出かけno.9 ~スーパーにて.5~」の
あとがきにもあります通りに、↑の話しに大地くんの名前を出したので、
こっちにひっつけてみたらどうなるの?大作戦(!?)でございました。

調子に乗って何も考えずに書いていたら、あらあらあらあら!
予定よりも長くなる、長くなる!
和食屋風景まで書いていたら、本編より確実に長くなる!!!

ので、

ここで一旦切ってみました(汗)


続きを書くか、また別の方法で大地くんファミリーとご飯へgo!を
書くかは、未定ですm(。。)m(スミマセン)

はった複線もぜんぜん解決してない・・・申し訳ないです・・・。
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