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Little by Little ・14
(14)






「フランソワーズとジョーは、両思い。愛し合ってるネ・・・・・」


月見里学院で一年に一度行われる、学院祭。
卒業式も、入学式もない、イベントらしいことを一切排除した学院にあって、この3日間は特別なものである。


シニア(高校3年生)となり、学院生活最後の学院祭、”あやめ祭”。
それは当麻にとって特別なものとなっていた。


あやめ祭前に巻き込まれた、事件。
巻き込まれたと言うが、彼自身、その詳細は全く知らない。
知りたいとも思わない。

知ったところで、その事件はすでに片付いているために、今更、当麻自身にどのような影響があるのか?と、問えば、帰ってくる答えは、決まっている。

それは、当麻が篠原である限り、必ずついてまわる決まり文句だ。




けれど、その詳細のわからない事件は、まるで小説か映画のような、夢にも思わなかった出会いを当麻にもたらせた。





サイボーグとの出会い。




003/フランソワーズ・アルヌール




日付が変わろうというのにも関わらず、ホテルに戻ってこない、2人。
家族の誰もが心配しつつも、信用していた。


ジョーが一緒なら、と。












009/島村ジョー








車の中で室内灯に伸ばした手をおろし、張大人から受け取ったフランソワーズの携帯電話を両手で握りしめながら当麻はふうっと深いため息をつき、助手席のシートに深々と身を預けた。


「運命の相手だとしても、・・・かならず幸せになる、ハッピーエンドで終わる恋なんて、現実問題、なかなかないと思うんです。・・・人は生きて行く上で、生まれた時代で・・・妥協しなければいけないことだってあるんですから、たとえ、神さまが認めてなさっても」
「・・・」


オレンジ色の室内灯に視線を固定する当麻を張大人はあまり好きになれないシートベルトを外して聞く。


「・・・・・本当に好きな人とは結ばれないって言う、言葉。があるんです。どういう意味か、わかりますか?」
「・・・」
「人間、100%幸せだって言う人の方が現状の不満にたいして的確に答える事ができて、80%、ほどほどに幸せだって言う人の方が、現状の不満がなんなのか、はっきり言えないらしいですよ」
「そう、アルか・・・」


シートベルトに押さえられていた、いい具合に出ているお腹をさする。


「アンさんは、やっぱり・・・さえこさんの息子さんやねえ・・・」


張大人の言葉に、当麻はふっと笑った。


「もちろんです、さえこさんにきっちりと教育されましたからね」
「ワタシらは、悪いけど・・応援してあげられないアルよ?」


当麻にむかって申し訳なさそうに、けれどもはっきりと言い切る、張大人。


「わかってます・・・もちろんですよ。島村は・・・みなさんの家族だし」
「フランソワーズの家族でもアルよ」
「はい・・」
「ジョーの方がたくさんリードしてるネ・・・、それでもいいアルか?」
「・・・・諦められないですから」
「叶ったとしても、たくさん、たくさん、障害があるアルヨ・・?ジョーはものすごく、ものすごおおおおおおっく、ああ見えて、ものすごおおおおおっく、根に持つタイプ・・・ワタシが蛙の肉を鶏肉言うて食べさせた事を、未だに恨んでるアル(いい加減忘れて欲しいネ)・・・、もう赤ちゃんがランドセル背負えるくらい前のことアルに。あっさりしているように見えて、実は一番物事に執着するネ・・・・フランソワーズに対してなら、尚更ネ。」
「・・・」
「フランソワーズは頑固ネ」
「それは、意外でした・・・あと、すっごく食べることも・・ホームステイの間は、ごく普通だったんですけれど」
「あのときは、・・・まあ、今だから言うアルけれど、とある目的があってホームステイしていたアルし・・・(他にも色々理由はアルけれど)緊張していて食欲なかったと思うネ。・・料理人としては、フランソワーズの食べっぷりは嬉しいアルねえ」


張大人は少しずつ、当麻の知らないフランソワーズについて、ジョーについて、話し始めた。


もちろん、”規則(ルール)”として、機密厳守な情報を省き。
終わりなんてないのではないかと、思われた戦いの日々に訪れた、平穏な日々の出来事を。








2人の出会い。

003と009の初めての喧嘩。



いつの間にか、名前で呼び合っていることに気づいた日。


大怪我を負ったとき、なかなか食欲が戻らないジョーに何が食べたいかと、尋ねたら”日本食が食べたい”と言った。(day5)

日本風のお米の炊き方が解らないと、泣き出しそうになり、お味噌汁の具になるのが、ないと、唇を噛み締めて、何かないかとドルフィン号の冷蔵庫に首を突っ込みながら、必死だった。

(太平洋のど真ん中にいたために、002、008に無理矢理に頼んで買い物へ行かせた・・・003の涙の威力)


003と009の2人、マンツーマンのチームが当たり前になったころ、みんなが2人を冷やかし始めた。



そのあたりから、2人は互いに、ある一定の距離を置き始めた。







お互いが、お互いに抱く気持ちに気づいたために。
それは、仲間と家族とは、別のものであるために。











サイボーグであるために。





きっと、彼/彼女には、自分よりもずっと素晴らしい人が・・・と、考えて。










「当麻くんが、もう少し早くフランソワーズと出会ってれば、物語は違っていたかもネ・・・」


張大人は再びシートベルトを付け直すと、キーをまわして、エンジンをかけた。


当麻はただただ、黙って張大人の話を聞いていた。


「だから、ジョーとフランソワーズは、そういう風になるように、なっているって事だと、言いたいネ」
「・・・」
「サイボーグにされた可哀相な少女は、同じ苦しみを耐え、過ごし、戦い抜いた仲間である青年と、末永く幸せに暮らしました。・・アル」


張大人はアクセルを踏み、ハンドルを右へと傾けた。


「サイボーグにされた可哀相な少女は、ある事件で出会った青年と恋に落ち、どんな障害をも乗り越えて、人である幸せを取り戻しました・・・でも、いいと思います」


当麻はフランソワーズの携帯電話のアドレスに登録してある名前を選び、通話ボタンを押した。


コール音が留守番電話サービスに切り替わるのを待つ。


「・・・・・島村?」


張大人は黙って運転し続ける。


「何度も言うよ・・・ぼくは、フランソワーズが好きです。・・・ぼくは君ができないことが、できる。島村が、ぼくができないことができるように、ぼくが、ぼくでしかできないことを、フランソワーズにしてあげられるんだ・・・。それだけ、言いたかったから」


通話を切った当麻は張大人にむかって言った。


「フランが、ぼくを通してみている先にあるものが、ある限り、・・・島村には負けません」


焦るな。と、何度も、何度も当麻は自身に言い聞かせながら、グレートとの会話や、今までのフランソワーズとのことを思い返した結果を、口にした。



当麻の言葉に張大人は、はっとする。







---ジャン・アルヌール・・・。












フランソワーズの当麻にたいする態度などを張大人はすべてを理解した。



「それは、恋うんぬんではない類いのものアルよ・・・」
「それが恋に変わらない、保証もありません」


張大人は当麻に気づかれないようにため息をついた。




---根性が座ってるネ。いい男アル・・・・




けれど。と、続く言葉を自ら飲み込む。

まだまだ若い彼は、これからの人。

色々な経験がさらに、彼を磨き、成長させていく。
その成長のためには・・・。



これもサイボーグ009(島村ジョー)に用意されたミッションだったということアルか。
B.Gには考えつかないミッション(戦い)あるネ。







そう簡単にお姫様は手に入らない、それは物語の常識。











####


お互いの想いを、お互いの腕に、こめる。
布越しに感じる、共有する機械の躯。




どれくらいの時間を、そのままでいたのだろうか。

会話が止まったときから、重ね合わせた躯だけがお互いの意思を確かめ合う手段となっていた。


不意に、彼女の眼のスイッチがはいったことにジョーは気づいた。
視なくていいよ。と、言う意思を伝えようと、言葉ではなく、フランソワーズの後頭部に手をあて、髪を撫でるようにし、彼女の視線が自分の腕の中だけに留まるように、固定する。が、フランソワーズは眼の透視強度をあげてジョーの躯を通り越し闇の向こうを探った。


微動だにしないフランソワーズのために、ジョーはフランソワーズが透視していることを知る。


ジョーの求めるもの(マリア像)を探すために。
彼の腕に抱かれて、その背に、しがみつくように抱きしめながら。

どんな動きも、言葉も、口からこぼれる微かな吐息さえも、すべてを共有しているかのように、ぴたりと、抱き合う状態の中で。



ジョーの腕の力が緩む。
それに伴い、フランソワーズの手がジョーの背から離れると、彼のTシャツの裾をにぎった。


「フランソワーズ・・・」


彼女は真剣だった。
そして、何よりも美しくフランソワーズの凛とした顔がジョーの瞳に映った。


「みなくて・・・いい」


神秘的な色を放つ青。
どの青にたとえていいのか、わからない、フランソワーズだけの青。

その瞳に自分はどのように映っているのだろうか。と、考えたとき、意味のわからない腹立たしさを覚えた。


ジョーの手が移動して、フランソワーズの頬に触れた。


「フランソワーズ」


003でいる彼女であってもいいと、フランソワーズがフランソワーズであるならば。と、思うことができるようになったにも関わらず、こんなプライベートなことに、彼女が”眼”のスイッチを入れてしまう状況を作り出してしまった自分に。


「視るな」


あてられたジョーの手がフランソワーズの顔を上向きに誘導する。それを拒むように、フランソワーズの首に力が入る。
ジョーはフランソワーズが動かないならと、自分が、彼女へと合わせた。


「!」


触れ合った唇にフランソワーズの眼のスイッチがオフになる。
全身が痺れたように震えた。


「・・視るなよ」


一度離れた唇が、フランソワーズに伝えると、再び重ねられた。






フランソワーズにとって、2度目のキス
ジョーにとって、3度目のキス。





相手に秘密にしなくていい、キス・・・・。









「どうして・・・キス・・する・・の・?」


離れた唇が三度重なろうしたとき、フランソワーズから、溢れた。

揺れ溢れた言葉に、涙が後を追う。



ずっと胸奥に仕舞われていた言葉。(day14)







フラソワーズの言葉に、ジョーの胸が切なく縮む。
悲鳴を上げたいほどに痛い。


「フランソワーズ・・・俺は・・・・・」


幾筋もの煌めきが頬を伝う。





---言葉にすればいい。この想いを音にすればいい。






「ジョー・・・泣かないで・・・・・」















言えっ!!
言ってしまえ!!





「泣かないで・・・・・・・」


フランソワーズは頬を包むジョーの手に自分の手を重ね、空いている手を伸ばし、ジョーの頬に、触れた。












「・・・ごめん」









==== 15へと続く



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ひねくれものがココに1人。
後先考えずに進んでいます。

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