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Feel Me
弾丸を環状に並べた回転弾倉(シリンダー)が回転するときの金属の摩擦音さえ、まるで、カーラジオのチューニングを合わせるためにもたつく指先のように、見えて、聴こえた。

脳が目で見た情報を捉えるよりも、早く。
瞬きする瞬間よりも、短く。


人間が耳にする音の限は20~2万ヘルツ。
人間の聴力の6倍の猫。


私は、・・・・。







「女一人・・・軽いな」
「えらい別嬪さんで、可哀想な気がするが・・」
「何をやったか知らないが、・・・依頼された仕事だ」











湿気のないカラリと乾いた風に、少しだけ励まされて。




<2時の方向に3人>




亜麻色の髪が揺れて、振り返った。


「Miss」


栄えているとは言いがたい、繁華街。
滅多にやってこない観光人に向けて、法外な金額をふっかけてくる人力タクシー。


「Miss, cheep! cheep!! good car, faster !! faster! I am very good!」


ガラがよい。と、お世辞にも言えない視線にむかってにっこりと微笑む。


「No thanks」





男はさっと視線を下から上へと流し、亜麻色の髪の女性の身なりで、彼女が”どれくらい”かを判断する。

その視線が亜麻色の髪の女性と合った。


耳に、撃鉄(ハンマー)を親指で引き起こす、音。
経験上で知った”音”の違いを勝手に計算して予測する。

どの銃を使用しているかなんて、無駄な情報だけれど。と、ため息をつく。


目の前で、必死に勧誘している男は、そのため息を、自分に向けてのものだと、勘違いしたようだ。


「Miss, I am good! good guy! good driver!very very safe taxi!!」
「あ・・」


男は、女性の隣にあるスーツケースに手をかける。と、同時に、彼女の手首も掴み、ひっぱった。






風が通り抜ける。
昨晩の名残のある香りのせいで、思い出してしまった時間に緊張する。




「勝手に彼女に触んなよ」
「・・・ジョー」


日本語じゃ駄目よ。と、言葉を添えたけれども、彼には聞こえてない様子で、人力タクシーの運転手の手から、フランソワーズを、スーツケースを取り戻す。


「?????」


ジョーが乱暴に男を振り払う。
先ほどの、”事”の勢いが残っていたのか、力加減がいまいちのために、男はどん!っと尻餅をついた。


「二度と触るな」
「だから、ジョー、日本語・・」


尻餅をついた男は眼を驚きに見開き、ぽかん。と口を開け、魔法か手品か、突然目の前に現れた青年を見上げ言葉をなくしていた。






***


「まったく、ここの国の人はしつこい!」
「生きるために、一生懸命なのよ。そういう言い方はよくないと思うわ」


唇を尖らせて文句を言う姿は、一瞬で銃を持つ”プロ”を気絶させた人と同一人物とは思えない。

通りを歩く、現地女性の視線をさらっていく、青年の隣を歩く亜麻色の髪の女性。


「フランソワーズを狙うなんてさ!!」
「だって、ジョーは強いもの・・・、私は女だし、ね?」
「ボクより、フランソワーズを狙う方が命の保証ないのにさ」
「?」
「だって、キミにはボクがいるだろ?」
「・・・」
「ボクだけを狙うなら、”サイボーグ009”だし、いいんだけど」
「いいんだけど?」
「フランソワーズは、ボクの、・・・」
「ボクの?」



依頼された仕事を終えて、帰路につく。
国際線の空港へ向かうためにローカルの空港へと向かう。

”人力”タクシーじゃない、”タクシー”を捕まえるために、専用の乗り場で待つこと30分。タクシー内に料金をデジタルで計算するようなものはなく、”人力タクシー”と同じく交渉で決まる。





世界地図を縮小プリントすると省略されてしまうほどの小さな、小さな、国。



依頼のあった仕事は通称”運び屋”と呼ばれる内容のもの。
運ぶのは、”003が聞いた情報”。


秘密裏に行われた”会合”に居合わせることなく、小細工も何も、種も仕掛けもなく、手に入れる。


ただ、同じホテルに泊まっただけで。













聴こえ過ぎて、視え過ぎて。
勝手に聴いて、勝手に見える・・。


プライバシーと言うものを完全に無視した能力。

そのために、見えない、聞こえない、世界に憧れる。
完全な闇が、自分は、何も見ていない、聞いていない証とばかりに。


見たくない、聴きたくない。と、ミッションがある度に、特に、今回のような”依頼”のときは、それを強く痛感する。







「・・・ボクの、その・・・」



けれど。



今は、・・・ジョーを見ていたい、から、・・・見えなくなることを恐れる。



そして。







「・・・その、なあに?」



タクシーに乗り込み、道とは思えない道を走る。
今日は昨日に増してさらに気温は高く、暑い。

窓を全開にすれば、走る車の速度にあった砂埃が入り込む。




「そ、それより!さ、なんでボクたちが狙われたか・・バレてるって事だよね?」
「依頼されたって言っていたわ」
「・・・依頼か・・・・、ボクたちがこの国に居る事を知っているのは、ギルモア博士を通してきた、シュワルツ博士と秘書のケリーさん・・」
「ねえ、ジョー・・・」
「何?他に何か聴こえた?」











あなたからちゃんと、”言葉”で聞きたいから、聴こえなくなることが、怖い。









「聴こえないの」
「え?」
「・・・ちゃんと言ってくれないと、いくら私でも、聴こえないし、ジョーがどう思ってくれているか見えないわ」
「!!」



フランソワーズは、右側のドアについたバーをクルクルとまわして、窓を閉めた。
躯をジョーの膝上に乗るようにして、動かすと、彼の方の、左側のドアのバーも、同じようにまわして、窓を閉めた。


「さ!これで少しはマシになったわ」
「・・・な、」


躯を元の位置戻す。


「003でも、聴こえないときは、聴こえないの!・・・その、昨夜は・・・・・何も言ってくれないまま、で・・・・」
「だから、その・・・わかってる・・だろ?」


ジョーは俯きつつ、視線をフランソワーズへと向けたまま、言った。



「何でも、聴こえて、視えるけど、・・・ジョーのことは、ちゃんと私にむけて言ってくれた言葉じゃないと、嫌よ」
「・・・」
「聴こえてしまう、声、じゃなくて・・・、私のために、私にむかって・・・私にだけに言って欲しい、の」





文法がおかしい英語で、”熱い、窓を開けろ!”と、運転手が言い出した。





ジョーは黙って、自分の腕が触れる位置にある、バーをクルクルとまわし、躯を伸ばしてフランソワーズの膝を超えて、彼女の側にあるバーをまわして、両方の窓を再び全開にする。


ゆっくりと伸ばした躯を、フランソワーズの膝上から、彼女の耳元へと移動させた。





はっきりと。



フランソワーズにだけ、フランソワーズに向けて、フランソワーズのために。

その能力とは関係のない、位置で。














「キミを抱いたのは、キミを愛してるから・・・言葉なんかより、ボクがどれほど・・・、とにかく、感じてほしかったんだ・・ボクを・・・」




ボクを見る、じゃなく。
ボクを聴く、じゃなく。






ボクを、感じて欲しかった。










end.









*何が書きたかったかと言うと。
 いつも書く”パターン”の”その後”を目指してみたんです(汗)
 けど、結局変わんないですね・・・告白もので終わってしまいました。
 しかも、・・・後で、ですか(笑)

 あと、ミッションの、ドンパチものの練習したかった、時間がないと無理とわかりました。
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