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Little by Little・15
(15)






「・・・ごめん」と、ジョーは言い、涙をこぼす。

どうして泣くの?と、フランソワーズは問い、そして、どうして、キスをするの?と、尋ねた。
返ってきた返事は、ただ、涙と「・・・ごめん」

ジョーの頬を濡らす涙ごと、包んだ、フランソワーズの手。を、ジョーは痛いくらいに握った。


---キスにたいして?それとも・・・・・。



「ジョー・・・、いいの、気にしないで・・人にはそういうことが必要なときがある、くらい、わからないほど、私は子どもじゃ、ないわ」


フランソワーズの言葉に、ぐしゃ。不気味な音と共に、何かがひしゃげて、醜く潰れた。
激しく震えた膝に、ジョーは自分を支えることなどできず、泣き崩れた。


「違うっ!!フランソワーズっ!!・・ちがっ・・・そうじゃないっ。俺はっ・・・t」


その場にうずくまるように、ジョーは泣いた。
彼を追いかけるように、草も何もない、さらさらとした砂地にフランソワーズは座り込む。



「ごめん」
「ちがう」


の、3つの音を、繰り返し、耐えられなくなった嗚咽と一緒に、喉から絞り出す。


「・・・ジョー・・」


フランソワーズは、地をはうような姿勢で涙にむせて揺れるジョーを、自分の膝に抱きよせ、その背を守るように、おおった。

フランソワーズの膝の上で、ジョーは声を上げて、泣いた。
彼女にすがりつくようにウェスト部分に腕をまわし、きつく、きつく、きつく、抱きしめる。







「違うっ・・・・・・そうじゃないっ・・・・・・・」










小さな男の子が、泣く。

全身で。
こころの底から。


ただ1つだけを求めて。





泣くことでしか、訴えることができないために。









そうやって泣いても、求めても、与えられないことを、知ったのは、物心がつく前。


肌で知っていた。
ああ、この人は違う、と。




だから、泣き続けた。
喉が枯れて、躯中の水分が涙となって消えてしまうくらいに。


泣いても、泣いても、求めてる手はやってこなかった。


母の手は、泣く自分を見つけてもくれず、探してもくれず、抱きしめてもくれず。






伸ばされた手はすべて、母の手じゃないから、いらない。
いらない。



いらない。


誰の手もいらないっ。

















「一緒に来て・・・009、私たちと、一緒に・・・・」



いらない・・?









ずっと、ずっと、ずっと、ずっと・・・







「ごめんっ・・・・ごめっ・・・んっ・・・・・・ふr・・っ」






ずっと、ずっと、ずうっと・・・・。

いらない。と、意地を張って。
誰の手も必要とせずに生きている。と、言ってきた。

そうやって生きていかなければ、立っていられなかった。
その手を拒むことが、生きる支えだった。



「ジョー・・・・・・」




伸ばしてくれた手を、初めてあった、あのときから、ずっと、何度も再生している。




初めて、拒むことなく、とった手の、人。


「ごめっ・・・・・・フランソワーズっ・・f・・らん・・ズっ」
「ジョー・・・」


その手が、今、自分の背を撫でてくれている。


「なっ・・・こんな俺がっ・・・・・違うっ、違うからっ・・・ふrnっs」








<待ッテルダケジャ、だめダヨ。・・・伸バサレタ手ヲ掴ム勇気モ大切ダケレド、今ハ、君自身ガソノ手ヲ伸バス番ナンダ>










大きく震えた躯を、ジョーはさらに腕に力を入れてフランソワーズにしがみついた。





「ジョー・・・」


柔らかな癖のある、ジョーの髪に触れる。
泣き濡れたジョーの表情(かお)は、とても、とても、幼かった。


初めて知る彼の頬を、両手に包み込み、上向かせて言った。


「・・・泣かないで・・・・・」


フランソワーズはその唇にそっとキスを1つ置いた。
彼女自身、なぞそうしたのか、解らない。けれど、それが今、一番正しい行動であると、ジョーを思う気持ちが彼女を支配する。


「・・・私」


触れた感触に、涙溢れるジョーの時間が止まる。
滲んだ先に見える人の顔を必死で凝視しる。


「ジョーがそれで少しでも、楽になれるなら・・・・」


フランソワーズの言葉に、ジョーの時間が戻る。
見上げるフランソワーズに躯を、腕を伸ばしてまっすぐに蒼を見つめて勢い良く否定を現すように頭をかぶり振って叫んだ。


「違うっ!そうじゃないっフランソワーズっ!!違うっ・・・俺はっ」


言葉を最後まで続けることができずに、フランソワーズの唇に、噛みついた。


「.........んっ....!」


何が起きたのか、瞬時には反応できなかった。

それがフランソワーズにとって初めてのキスだと気づいたのは、、唇を割られて、触れ合うことがないはずの感触に、混じり合う熱。
いったいどちらの口内で何が触れ合っているのか把握できないままに、流された。

受け止めるだけで精一杯のフランソワーズに関わらず、ジョーはフランソワーズに答えろ。と、責め立てる。

翻弄される感覚に、理性なんてものはいらない。
なにもかも、複雑にする思考なんてものはいらない。



したいから、する。
されたいから、受け止める。


単純に、キスをしたいから、する。
されたいから、キスを続ける。








好きだから、好きな人と感じ合いたくて。
触れ合いたくて、キスをしたくて、キスをする。






呼吸のために解放された刹那を上手く使いこなすことができずに、開け放されただけの唇を塞がれる。


なにもかもが初めてのことで。
フランソワーズにとって、初めてのことで。



挨拶のキスで驚き照れて、戸惑い、迷惑そうに眉間にしわを寄せた、遠い日のジョーからは予想できなかった。

今でも、邸の中でフランソワーズが挨拶のキスをしないのは、ジョーだけ。







ジョーだけ。











そのジョーに。
自分が知らない、キスをされている。

そういうキスがあることを、映画や遠い記憶にあるバレエスクールの友人たちが、初めての彼氏との出来事を語ったときに、聞き、知った。


<・・・ジョー・・・・・・・・・>


舌を絡めとられて、音を発するための唇は塞がれて。
フランソワーズは無意識に、頭の中にある通信システムを使っていた。


<・・・ジョー・・・・・・・ジョー・・>



何度、彼の名前を呼んだのか、わからない。
ジョーの勢いに押されて、その勢いに必死にしがみつくだけで、精一杯だった。



<フランソワーズっ・・・>


言葉にしたい言葉を直接、その言葉を紡ぐ場所で触れ合う唇が、離れる直前に流れてきた切れ切りの通信。


<suki.........dakara.....kiss sitai........>


と、重なった声。


「ki・・・だから、キス、した・・・・・キスしたんだっ・・、フランソワーズが、俺はっ・・・俺はっ・・・・・・」












『キミが好きだ』


























目の前がスパークする。
何もかもが真っ白に飛ぶ。




「え・・・・!!・・・・・ジョーっ?!」














キミが好きで。
キミを好きになって。



こんな俺が、キミを好きになって、ごめんね。



ごめん・・・・フランソワーズ・・・。








親もいない。
財産もない。


高校中退。
警察には、キミが驚くなようなデータが残っているくらい・・・だよ。


自慢にも何にもならない、ただの暇つぶしでしかなかった、ロクでもない遊びと、キミが一生知る必要のない経験と知識。



俺と言う人間は、何も、本当に・・何もないんだ。



何もない。

何も持たない。



”人間”としてすら不十分で。
もっているのは、改造された、温もりも何もない、冷たい躯。






ギルモア博士のような、自分の過ちに気づいたことを命をかけて正そうとする、こころの強さなんてない。

イワンのような、超能力もない。

ジェットのような、仲間想いで、侠気もない。

アルベルトのような、博識で、芸術を理解できる、大人でもない。

ジェロニモのような、自分を信じる誇りを持ってもいない。

張大人のように、人のために、気遣うこころなんてもっていない。

グレートのように、優しく、こころの底から笑うことなんてできない。

ピュンマのような、熱く、まっすぐに、強い信念を持ってもいない。

さくらのように、自分をしっかりと知っても、いない。

海のように、辛い運命を受け止めるた上で、今までと変わらない自分であり続ける強さなんて、もっていない。

恩田のような、たった1人の人のために、去る勇気もない。

クラークのように、明るく、社交的でもない。

篠原さえこのように、その場の状況に必要な自分。を、コントロールする力なんてない。



アランのように、情熱を持ってキミの才能を活かし、伸ばすこともできない。


当麻のように・・・




まっすぐにキミだけを見て、好きだと言う、勇気がなくて・・・。











出会った人たちの、ひとかけらの、良さも、俺は持ち合わせてなんかない。




与えられた人殺しの能力しかない、俺。
ただの、サイボーグである、009/島村ジョー・・・。



たくさん、この手は、多くのものを破壊してきた。


それだけしかできない、・・・俺。
何も変わらない、何も変えようとも、変わろうともしない。
ずっと、過去にされたことだけを抱えて、立ち止まっている。



そんな、俺が、キミのような女性を好きになって、ごめんね。



キミを好きになって、ごめん。
勝手に、想って、勝手に、好きになって・・・・。












「澄(ジョウ)」

---神父さま?





そこは教会の2階にある3つの部屋のうち、一番広い部屋だったことを、ジョーは覚えている。
木作りの窓枠は、立て付けの悪さに、すきま風が入り、夏は涼しく過ごしやすいが冬はなかなか部屋が暖まらないと、日曜学校の教室は教会の1階の神父の寝室となり、神父はその間、客室用の部屋で寝泊まりするらしかった。

小さなジョーが教会を訪れたのは、2枚しか持たないセーターを、1枚、施設を出るときに入れ替わりに入って来た子に譲ってやれと言われて置いて来たころだったので、その寒さがどれくらいの寒さなのか、想像することしか出来ない。

小さなジョーは、その部屋がどれほど寒くなるのか、知らないままに教会を出て行った。




ジョーが覚えているのは、日曜教室の部屋の、神父が経つ教卓の左端っこ最前列が、彼の席だったこと。
ミサの後、ランチを住ませた午後にその席に着くと、歌うような心地よい神父の聖書を朗読する声に、温かな日差しがカタカタと鳴る窓から差し込まれ、ジョーはうとうとと机に突っ伏して寝てしまう。



その教会にいたころは、一度たりとも日曜教室でうたた寝してしまったことに起られた記憶はない。
いつも気がつけば、おやつの時間を少しすぎたころに自室で目を覚ますのだ。



けれど、たった1度だけ、ジョーはその眠りを教室で起こされたことがある。
寝むたそうに目をこするジョーに、神父は頭を撫でてやりながら、
テーブルの上に、小さなジョーにはまだ読めない漢字を1字書いた、真っ白い紙を1枚置いた。


「?」


その紙をぼんやりと見つめて、一生懸命に学校で習った漢字かもしれないと、考えてみせるけれども、どうにも見た事のないそれに、首を傾げてから、隣の椅子に腰をおろした神父を見上げると、神父は、ジョーの頭を優しく撫でながら、ゆっくりと言った。


「澄、です」


頭を撫でた優しい手で、神父は小さなジョーを自分の膝の上に抱き上げた後、彼を背中から覆うような姿勢で、机の上に出してあったジョーの筆記用具を使って漢字の上に、”ジョー”とカタカナで書いた。


「寒流帯月澄如鏡(かんりゅうつきをおびてすむことかがみのごとし)」
「?」


神父が口にした、何かのおまじないのゆうな呪文を耳にしながら、じっ。と、ジョーは神父の書いた漢字を見つめた。


「唐の詩人・白居易(はくきょい)の楽天(らくてん)の詩のなかの一句からいただきました」


名前を書いた漢字の下に、神父はゆっくりと丁寧に1つ1つの書き順をジョーに見せるようにして、7つの漢字を並べた。


「あ!これはわかるよ、神父さま、”つき”!!」


小さなジョーは、自分が読める漢字の”月”に、嬉しかったのか、指差して神父に報告する。
神父はジョーの頭にキスをした後に、よくわかりましたね。と、毎日きちんと宿題をこなすジョーを褒めてやった。
ジョーは恥ずかしそうに頬を赤くしながら、嬉しそうに笑った。

神父は愛おしそうに彼を見つめながら、机の上の漢字を1つ1つ指さしながら、その意味を小さなジョーにでもわかるように説明を始めた。


「・・・いいですか?ジョー、これは、真冬の冷たい川に、映る月は、鏡のように、澄みきっている。と、言う意味です」
「・・ふーん」


小さなジョーの興味ない。と、ばかりの相づちに神父は苦笑し、ジョーの頭を大きく暖かいての平をいっぱいにつかって撫でてやった。


「ちゃんと、聞きなさい」
「はーい!」


小さなジョーは、神父にキスされることも、頭を撫でてもらう事も、膝の上の抱っこも、大好きだったことを、体いっぱいに表現するように、元気に神父の声に返事する。


「・・・ジョー・・」
「?」


撫でられていた手が、ジョーの頭から離すと、神父は膝の上のジョーを大切に、力一杯抱きしめて、その小さな方に顔を埋めるようにして、ジョーに語り始めた。


「月のように、感情豊かに満ちるこころを持ちなさい。人の見えない部分を照らし示す人でありなさい。・・・・いつかその、ジョーの心の中にある鏡のような月に映る人を、大切にして、愛し、愛される人になりなさい」
「?」
「澄みきったこころ(鏡)に、常に映るのは真実だけ。ジョー、真実だけをそのこころに、写しておきなさい。何があっても、起こっても、自分のこころに映ったことを信じなさい」


ジョーはいつもと違う、ぐっと力の入った強い包容に、されるがままに、されていた。
どれくらいの時間を、神父の腕に抱かれていたのか、よくは覚えていない。
けれど、今ジョーの眼の前にいる、小さな自分と、懐かしい、大好きだった神父は、永遠にそのままではないかと思ってしまうほど、長い時間、そのままだった。




---神父さま・・・・・。








神父は、何かを恐れているかのように、こわごわと抱きしめていた小さなジョーから腕を解き、テーブルの上にあった紙を、ジョーに渡した。



「島村澄(ジョウ)。これが、ジョーの漢字の名前です」




神父は、膝の上から小さなジョーを降ろした。小さなジョーは嬉しそうに、その紙を眺めて、自分の”漢字の名前”にはしゃぎ、みんなに見せて来る!と、教室を飛び出して行った。




その紙を、サイボーグにされるあの日まで、お守りのように肌身離さずに持っていた・・・。







---神父さま・・・!?



階段を駆け下りて行く、小さな自分の足音が消えると、イスから立ち上がった神父が微笑み、彼の正面に立った。
朗らかに、優しく微笑む神父は、ジョーの記憶にあるままの元気な姿の神父だった。

教会を出て行ったその年の冬に、体調を崩した神父は病院へ移り、何度もその病院へ見舞いへと足を運んだけれど、病室へは入る勇気がなく、廊下から、病室を出入りする誰かが開ける、ドアの隙間から盗み見るだけだった。

大学病院の5階。
4人部屋の病室、再奥のベッドに横たわる神父の顔は見えず、目を凝らせてやっと見て取ることができた、やせ細った手。
点滴に繋がれた腕に針を博すような真四角のガーゼ。
それが、ジョーの知る神父の最後の姿だ。






ちゃんと、聞きなさい、ジョー・・・。


病室のドアが開き、自分の姿を見られないように体を隠しながら、首を伸ばし、のぞく病室の景色に意識を取られていたジョーを、呼び戻す神父の声に、彼は、跳ねるように顔をあげた。





運命が、川。
映った月が、ジョーのこころ。

その月に映っている人を、大切にしなさい。
愛しているのなら、好きならば、何も言わず、何も語らず。
無駄に飾らず、ごまかさず、言い訳などせずに・・。



真に胸にある音だけを口にしなさい。



話し下手なジョーだから。
それが、一番いいのです。


照れ屋で、恥ずかしがりで、・・・・マイペースな上に頑固で、甘えん坊で、寂しがりやで・・・、独占欲が強くて、しつこくて、細かいことをずっと根に持ち、物事の執着心がすごくて・・・考えすぎに考えすぎてとんちんかんな・・・



---え、ええ?!し、神父さま・・っ!




初めて聞く、神父の自分に対する評価に、ジョーは慌てた。
その焦り慌てるジョーの様子を見て、神父は嬉しそうに、楽しそうに笑う。



変わらないですね、澄!
いくつになっても、サイボーグになっても、やっぱり、澄は、澄で、嬉しいですよ。





・・・変わることなく、誰よりも、優しいままの澄で嬉しい。





---・・・。







澄、ありがとう。


---神父様・・俺は・・・っ。




ジョーが言葉を発しようとしたけれど、神父はそれを、ゆっくりと首を左右に振って止め、代りに、もう小さくて自分の膝に抱いてやる事ができなくなった、青年のジョーをそっと腕に包んだ。


可愛い人ですね・・・・。
連れて来てくれて、ありがとう。




大切になさい。





背にまわされた、神父の大きくて暖かい手が、何度もジョーの背を撫でて往復する。
ジョーは神父の肩に顔を埋めて、されるがままに包容の中に包まれた。



ちゃんと、その手を伸ばして、守るもの得たのだから、もう、何も怖くないはずです・・・・。









---この、手を・・?


神父は力強く頷くと、包容を解いて、ジョーの左右の腕を、力を入れて掴んだ。そして、その手が彼の二の腕から撫でるように降りて、ジョーの手を固く握る。


「もう一度、今度は彼女の目を見て、言っておあげなさい」












####



「ここって・・・」
「ジョーとフランソワーズはここに居るアルヨ」
「でも、それなら・・」
「・・・。もしかしたら、ワタシらがここに着くことわかっていて連絡してこなかったかもしれないアル」
「ギルモア邸・・・」



街はずれの海岸沿いに隠れるように建てられた洋館には、小さくギルモア研究所、と表札が掲げられていた。
車は、道路沿いからぐるっとまわって洋館の裏へと向かい、公道から私道と思われる細い道を車が入っていった。


「逆に安心したアルヨ・・ギルモア邸ならネ」
「・・・」
「ジェロニモが起きてたらいいアルが・・」


張大人は車を進めて邸の車庫へと車を止めようとしたとき、車庫の前にジェロニモがまるで、張大人と当麻がやって来るのを知っていたかのように、待っていた。

車庫前でブレーキを踏み、エンジンを止めて、張大人は車窓を開けると、ジェロニモは当たり前のように腰をまげて、窓からにゅっと顔を差入れるのにちょうど良い高さになった。


「アイヤー・・・なんで解ったアル?」

開けられた運転席の窓を覗き込み、張大人と助手席に居る篠原当麻を確認すし、静かに言った。


「イワンだ」
「イワンあるかー・・」
「このままホテルに戻れ。と、伝えに来た」
「あのっ!!」


当麻が言葉を口にする前に、ジェロニモがそれを両目を閉じる、また滝の動きだけで制した。


「解っている・・・。だが、やっと、本当の意味でジョーに夜が来た。・・・そっとしてやって欲しい。」
「?」
「fっ」


ジェロニモの目に見つめられて、言葉を飲み込んでしまった当麻。


「フランソワーズの事は心配ない。悪いがここまでだ。」
「夜って・・・どういう意味あるか?」
「・・・・」


張大人の質問に、ジェロニモは何もかもを見通しているように、優しく微笑んでいる。


「これで、安心してアメリカへ帰られる」


ジェロニモは、折っていた膝を伸ばし、邸の一角を見上げた。





その方角にある部屋に。
意識を失って眠る、ジョーがいる。



その手に、しっかりとフランソワーズの手を握りしめて。










「・・・・ひどいわ、ジョー・・」


『キミが好きだ』







「告白して・・・それで、気を失ってしまうなんて・・・・」


フランソワーズの瞳から、涙がこぼれ落ちる。


「もう一度、言って・・・欲しいとお願いするのは、我が儘かしら・・・?」



---信じられないんですもの・・・。だから、夢じゃないって・・・教えて、ジョー。


ジョーの部屋に、夏の明るい月の光が窓から差し込んでいた。
彼が眠るベッドの傍らに、砂で汚れたスカートのまま両膝をつき、繋がった手の上にもう片方の手で包み、頬を寄せて、眠っているジョーを見つめていいる、フランソワーズ。








『キミが、フランソワーズが、好きだ・・・・から、キス、した・・・い、キスするんだよ・・っ』




ジョーの手の甲に、そっと唇を寄せて。
目覚めた彼に、”おはよう”のキスができますように。と、祈りながら。


「私も、好きよ、ジョー・・・・・愛してるわ・・」


あなたに、伝えられるかしら・・・。






「私も・・・なの、よ・・・」


ちゃんと、あなたに、伝えたい。















====16に続く。



・ちょっと呟く・

告白して、そのいろんなもんがプッスー抜けて、気絶(失神?)した人です。
それが、ここのジョーです。

夢落ちじゃないから、安心してください・・・。


ーーーー

”澄”で”ジョウ”なんですが。
音読みの呉音で、”ジョウ”と読む事ができます・・・。

名のりには入っていませんけれど。
仏教用語かも(汗)です/神父さまなのに・・・。

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