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涙を禁じえない/ジョー、フランソワーズはお前じゃないとダメだ・・


珍しくミッションの遂行のためのOperational estimate(作戦見積)で、意見が対立した。
009が起てたOPLAN(作戦計画)に対して一応全員が賛成したものの、不満を口にしたのは002だった。

彼は今回、作戦実行チームに参加せず、作戦実行プランAに予期せぬハプニングが起きたときのプランB、攻勢作戦へと切り替えるための主要要員としてドルフィン号に残ることになっていた。が、002はBG研究施設への特攻は、自分の役目だと言って聞かない。
Ground Operationsをメインに進めてきた今までのプランの中で、はじめの”撹乱”はミッションが成功するかどうかのキー・ポイントとなることは誰もが解っていた。
今回、002に変わって、そのキー・ポイントを勤めることになっているのは005と007の2人。


敵方に自分たちのassault(突撃)パターンを分析され始めたことによって、前回の戦いで辛酸を嘗める思いにさらされた00メンバーたち。
そのために、今回はまったく違う戦術を組んだと説明したが、それでも納得できないと、002はミーティングルームから出て行った。

彼が出て行ったことで、誰しもが今日はミーティングを続けることができないと判断し、気まずい雰囲気から逃れるようにして、出て行くメンバー。その場には009と003だけが残ったが、009はもう一度Operational estimate(作戦見積)を見直すから、少しの間独りにしてくれと、003に部屋から出る事を促した。

003は促されたままにミーティングルームを出て、002の様子を見に行ったが、そこには既に、006と004がいた。
彼らに任せておけば大丈夫だとほっと安心して、再び009のいるミーティングルームへと戻るが、ミーティングルームのドアを開くためのボタンに触れることなく宙を漂う。

ドア前からでも、感じられてしまう重い空気が、003がその部屋へと踏み込むことを戸惑わせていた。


いけないことかもしれない。と、フランソワーズは迷うが、彼の様子が知りたい。
部屋に入る勇気がなく、そんな自分を情けなく思いながら、眼と耳のスイッチを入れた。



OPLANを映し出しているプロジェクターはそのままだった。
数回の潜入調査によって綿密にBGの実験施設内部の設計図を作り上げた。
侵入経路が赤く点滅している中、009はモニターを観る事なく、手に持つファイルを睨んでいる。




フランソワーズの耳に深いため息が聞こえた。
そのため息に、フランソワーズの胸が曇り淀む。


「・・・ジョー」


ボタンに伸ばした手を一度固く握りしめた。
親友と言って良いほど仲の良い002に反対されたことは、かなり彼にとって辛いはずだ。


自分に何ができるかわからないけれど、彼のそばにいたい、と。





薄く開いた唇からすっと深く空気を吸い込んだとき、聞こえてきた声。


『・・・今日は・・そっか、6月6日・・』


フランソワーズはジョーの独り言に耳を澄ませた。


『日本は梅雨入りの時期・・か・・・・・・』


フランソワーズの眼に、ジョーの手にあるファイルの中の1枚の紙が引き出されて、裏返しにされたのが視えた。
カチっと、ボールペンのキャップが外される。


『・・・・葉っぱかな?』


フランソワーズはジョーの手元に集中した。


『葉っぱじゃないよー・・カエルだよ』


横に棒線が引かれて、その上下に半円が描かれると、彼の言葉通りに葉っぱの絵。・・・に目玉がついた。


『カエルじゃなくて・・アヒルなんです』


---・・カエルさんじゃなかったなんてっ!すごいわっ。


ジョーの描いた絵に、フランソワーズは感動する。


『ろっくがつむっいかに♪』


---あら、手・・・ができちゃった!


『雨ざーざーふってきてー♪三角定規にひびいってー』


---雨と三角定規になんの接点があるのかしら???


『あんぱん二つー♪ 豆みっつー♪』


---あんばん?・・と豆?まあ、餡はレドビーンズだからいいのよね?


『コッペパン二つーくださいな・・っと』


---こっぺばんって何かしら?


『あっと言う間にかわいいコックさんー・・・♪』


---まあ!ほんと可愛い♪


『・・・って、何やってだよ、ボクは・・』


描いた絵を見つめて、ジョーは自嘲気味に笑い、紙をくしゃっとまるめてモニターにむけて放ったときミーティングルームのドアが開いた。


「ジョーっ」
「フラン・・・」

ミーディングルームのドアに背を向けていたジョーはぱっと、そちらへ振り返った。
1人にしておいてくれと、自分が望んだことだけれど、彼女が戻って来てくれたことがすごく嬉しかった。
が、次の台詞にジョーの気持ちは沈んだ。


「せっかくジョーが描いた可愛いコックさんがっ!!」
「・・・あ。コックさん・・・・」


ジョーのそばではなく、その足は、モニター前へと早足に近付き、くしゃっと丸められた紙を拾い上げ、皺をのばす。


「も!可愛いのコックさんが可哀相よ!!ほんとに可愛いのにっ」
「・・・・・観てたの?」
「ね、描いて、もう一回!・・・ね、ね?ジョー、ね?」


紙の皺をのばしながら、フランソワーズはジョーの隣に座っておねだりする。


「あ、そういえば、あのね、ジョー、お歌もあるの?」
「・・・・聞いてたの?」
「どうして三角定規にヒビが入るの?雨が降ったのと関係があるのかしら?」


ふふふ。っと愛らしく笑って小首をかしげる、フランソワーズ。


「・・・・フラン」
「ね?教えて?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「教えて!ジョー、お願い、ね?」
「はい、はい・・」


ジョーはファイルの中からまた、作戦のためにまとめた紙を一枚取り出して、その裏をテーブルの上に乗せた。


「まずは・・・」
「可愛いコックさんなら、絶対にジェットを説得できると思うわ」
「・・・は?」
「だって、可愛いもの!」


ふふふ。っと笑って、ジョーに、早く、早く!っと描くようにせがむ、フランソワーズのままに、ジョーはその日1日可愛いコックさんを歌い続けて、書き続けた。


重要書類の紙の裏を使って。











***


イライラとした気持ちは沈まないままに、このままではどうにもならないから、とにかく009とゆっくり話せ、009の気持ちも考えろと、周りにいわれ、ジェットはミーティングルームのドアを開けた。




「あっひるだよー♪」
「あひるなあああのよー♪」

「?!」


「フラン・・・これくらい、ちゃんと歌ってよ」
「歌ってるわよ?」
「・・・本気で・・言ってる?」
「も、ちゃんと歌ってるわ!!」
「・・・じゃ、もう一回、始めから」
「「はっぱかなー?はっぱじゃないよー♪」」
「あっひるだよー♪
「あーひーるううううっ♪」
「フラーン、だから、違うって。”あっひるだよー♪”だって」
「もっ!!歌ってるのー!!だから、先、いきましょー、先!!」
「・・・じゃあ」
「ろっくがっつむっいかに♪」
「ろっくがああつううのっむいいかああぁああああぁああに♪」
「なんで演歌調?!なんで??なんでここで?」
「だって日本のお歌ですもの!」
「意味わかんないよ-・・・・フランー」


足下に落ちていた1枚の紙を拾った、ジェット。
その、重要書類裏に描かれた間抜けなアヒル(らしき)絵を観て、素直に009の起てたOPLAN(作戦計画)に全面的協力を誓ったのだった。









==ミッション後の2人===


「ジョー・・、悪かったな」
「いいよ。済んだことだしさ・・・それに、協力してくれたし」
「一言、言っていいか?」
「なに?」
「・・・・・フランソワーズには気をつけろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・どういう、意味?」
「よく、夫婦は似てくるっていうじゃんか?」
「ボっボクたちくはっ別にっ!!」
「・・・・・・・・・」


慌てふためくジョーに対して、ジェットの瞳は、何かを訴えているようであると同時に、慈愛にも満ちて、彼を見つめていた。


「・・・ジェット?」
「フランソワーズは・・・、お前じゃないとダメだ・・・から・・な・・」


ジョーは感動に言葉をなくした。
ジェットはもう、それ以上にかける言葉が見つからなかった。



そんなジェットの持つ、うすっぺらいスケジュール帳の端っこに”可愛いコックさん”の絵が描かれている事など、誰もしらない。





end.






*親友(ジョー)がどんどん遠い世界へ(笑)
 彼が出来ると、女友達が変わって行くように、男同士の友情にも多少の影響があるんだと・・・いうことで。

涙を禁じえないのは、ジェット(日本のファンシーグッツがちょっと気になる彼)なのでしたー。
でも、可愛いコックさんを歌い始めた時点でそうとう3の影響が・・とか思ったらダメですよ?
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