RSSリーダー
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2
君に振り回される自分がいる / 1
このお話の序章としまして・・・

03.何だか嫌な予感がする/アタシってばすごーい!(24a)
03.何だか嫌な予感がする/009の予感は常に正しい?(24b)

の同じ内容だけれど、アプローチの違う二つがありまして。

次に

特別になりたい/男って以外とこだわるんだよ(25)ー16日前夜の話し。

です。

けれど、前のお話を知らなくても大丈夫です。


☆長くなりますので、数回にわけます。
_____




フランソワーズはセットした目覚まし時計の時間よりも30分早く”飛び”起きた。
躯を起こした勢いにのせてベッドから離れると、小さなテラスがついた窓のレースと紗の二重になったカーテンを勢い良く開けた。

眠りが浅くなったフランソワーズの耳に届いた、さらさらとした音。
それが紛れもなく外から聞こえ、空から降るものの音だと、フランソワーズは一気に意識を浮上させたのだ。


「・・・・雨?」


夜明け前の、薄暗さは冬のそれとは違う。
全体に白が地上に線を引くように浮かび上がり、その白が青を押し上げて行く。
押し上げたられた青がまた白の下から同じ青でも違う蒼で顔を出す。

しっとりとした空気が昨日よりも湿気が濃いことを表している。
フランソワーズの耳に届く音が、フランソワーズの瞳に映らない。

それほどに、微かな霧のような雨。
落ちるというよりも、浮いて宙を舞っているかのように、窓をあけたフランソワーズの布に覆われていない肌の部分に吸い付いて来る。

陽が上ると、さらさらとした雨音は陽の温かさに消えてしまい、いつも見る朝よりもミクロの葉の産毛に雨の雫を弾いて、すべてがきらきらと輝く世界を作った。

じっと、きらきらの世界に見入ってしまっていたフランソワーズに届いた通信は張大人から。


<フランソワーズ、まだ寝てるアルか?そろそろランチボックスの用意しないと、予定の出発時刻に間に合わないアルヨ?>


「!」


慌ててフランソワーズは部屋にあるバスルームへと駆け込んだ。






***

「雨の匂いがする、・・・明け方にでも少し降ったのかな?」


一番最後に起きてきたのは、今日の主役。


ダイニングテーブルはランチに占領されていたために、リビングルームの低い楕円ローテーブルに用意されていた。
見るからに、”ランチボックスに入る予定だったけれど・・・”な品々。
テーブルに出ていたそれらを手にとって、くすっと笑う。

たくさん躯を動かして究極にお腹を空かせないとなあ。と、ひとりごちて、朝食を食べ始めた。


出発まであと30分。
邸内はそわそわとした雰囲気に包まれていた。

その”そわそわ”は、ミッションに出る前の緊迫した”そわそわ”したのとは全く違う。
なんだかくすぐったくて、気恥ずかしい、そわそわ。


「・・そわそわって、なんなんだろ?」


保温ポットにいれられていた珈琲をマグカップについで。
庭に通じるリビングルームの壁一面に広がる景色を、昨夜、”雨が降る”ことを必死になって防ごうとした(防いだ)てるてる坊主たちが邪魔をする。


「こうやってみると・・・ホント・・すっごいなあ・・・・」


カーテンのようにぎっしりと吊るされた、てるてる坊主たち。


「てるてる坊主、ありがとう」
「ジョー。起きたのか?」
「うわあ!!」


突然、天井から降ってきた声にジョーは躯が飛び跳ねる。
いつの間にかダイニングルームとリビングルームを繋ぐ戸口にジェロニモが立っていた。


「すまん。驚かせたか?」
「え、あ、ううん。ううん。車、どれで行くの?」


ジェロニモがダイニングルームから持って出て来た物をちらりと見て、ジョーは自分が運転して行くものと思っているために、マグを置いて立ち上がったが、それをジェロニモが制した。


「張大人の業務用のバンで行く。今日はグレートが運転するから、ゆっくりしていろ。」
「え?」
「主役は何もしなくていい。ゆっくり食べていろ。」


ジェロニモが微笑み、「食べ過ぎるなよ?」と言う言葉を残して出て行く。
彼をきっかけにして、リビングルームを何度も通りすぎる家族たち。
けれども決まって、主役は何もしなくていい!のんびり朝食を食べていろ。と、言われる。




出発時刻5分前。

リビングルームにあった朝食が手早く張大人の手に片付けられたころ、イワンを抱いたギルモアと一緒に張が道路沿いに停めたバンへとむかった。


「フランソワーズ、見ました?」


ジョーは起きてからまだフランソワーズに会っていない。どころ、その声すらも聞いていない。
邸にいる気配だけは、感じていたけれど。


「ランチの用意が済んで、部屋に駆け込んで行ったが、・・・・」


車内にフランソワーズを除いた全員がそろった、30秒後。


「ごめんなさい!」
「・・・・フラン」
「ほお」
「珍しいアルね!」
「いやあ、いいねえ、いいねえ、防護服以外のパンツルックも!」


運転席にいたグレートが振り返って、ジョーにむかって意味ありげなウィンクを飛ばした。









***

「ジョー、・・・どうかした?」
「あ、ううん、なんでもないよ」
「疲れたの?」
「ん?そんなことないよ」
「そお?」
「うん、大丈夫だよ・・・」


ジョーはちらっとフランソワーズから視線を下げた。


「・・・・変かしら・・?」


そのジョーの視線の動きに、フランソワーズは歩いていた足を止めて、不安げに大きな瞳をまたたかせた。


「へ、変じゃないっ変じゃないよっ!!!た・・だ・・・」
「ただ?」


可愛らしく、小首をかしげて、少し拗ねたように下唇を押し上げた、形が甘えているようにも見える。


---スタイルがよすぎるって話しで・・・。


”普段”のフランソワーズはひざ丈中心のスカートが多い。
多い。と言うのは間違っていて、毎日スカートだ。
躯のラインを出すことなく、ふんわりしたシルエットのものを好んで着ていた。
露出もあまり好まず、袖がない服をきているときなど、ジョーは見た記憶がないと思う。
(見ていたら、きっとぜったいに忘れないだろう)

露出しているフランソワーズと言って思い出すのは、いくつかのミッションの後に、気晴らしとばかりに仲間たちと海で過ごしたときの、水着姿くらいなもの。

邸から見下ろす海で泳いだこともある。
けれども、あれは、あれで、また健康的なスポーツのための。で、あり。
今日のような、虜出がないのに躯のラインがしっかりと解ってしまうような服装は、別の意味で水着よりも・・・。と、ジョーは唸った。


「ね、どうしたの?やっぱり、・・・おかしいのね?」
「違う、違うっ!!」


遊園地。と、言う事もあり、フランソワーズは着ぐるみショー以外でも楽しむつもりだったので、スカートでは楽しめないかもしれないと、今日この日のために考えたコーディネート。

ジョーに内緒で出掛けた、いつものデパートで店員さんが考え出してくれた。

白に近いグレーのウォッシュカラー・スキニージーンズ。
スパッツじゃないの?と、疑問を口にしたら定員さんに笑われたくらいに、それはピッタリとフランソワーズの躯のラインを浮き出していた。

そして、股下が浅い。浅すぎる。
フランソワーズの小指よりも短いファスナーに、下着まで買い足すことになってしまった。

不安を口にするフランソワーズにたいして、店員が進めたトップスは、丈の長い薄いブルーグレーのナナメストライプが可愛いキャミソール。裾が同じ生地で切り返しのフレアになっており、その部分がフランソワーズのウェストから下の気になる股下の浅い部分を上手く隠してくれていた。
上に重ねた 小さなドットの織り柄が入ったシフォン素材のふんわりブラウスは、ひらりと軽く広がるAライン、の長袖。
ボタンは留めずに羽織るだけにしてくださいね。と、アドヴァイスされた言葉を守る。
ピンク色のそれも可愛かったけれど、フランソワーズはターコイス・ブルーを選んだ。

上をブルー系で統一したので、足下をターコイス・ブルーとのコントラストのために違う色をと、濃いパッションピンクの先がつん!っと尖たパンプスをすすめれらたけれど、結局は持っていた、かかとのない白のバレエシューズを選んだ。
”ジーンズははき慣れてください”と言われたので、毎晩買ったトップス以外のものとファッション・ショーをしながら、屈伸したり、足をあげたり、ストレッチを繰り返し、はき慣れる努力をした日々。

その効果もあり、かなりフランソワーズ的に満足のいく着心地となって、彼女はジーンズも悪くないかもしれない。と、思えるほどになっていた。

家族たちの評判は上々。けれど、肝心の”彼”の反応がおかしい。


「なんて言うか・・・見慣れてないから、ちょっと・・・だけ、気になるだけだよ」
「見慣れてないから?」
「う、うん」
「じゃあ、おかしくないのね?」


---おかしくないどころか、似合い過ぎなんだよ・・・。足、細長過ぎで・・その・・・。


歩くとゆれるトップスからみえるは、絵に描いたような理想の上向きくっきりヒップ。
華奢で細いフランソワーズは、普段の服装からだと、凹凸のないイメージしか浮かばない。

以前にジェットが「003って意外とあるよな?」と、両手で作ってみせたジェスチャーを思い出してしまった。それは水着姿の彼女を見たときの話しだ。

あまりじろじろ見てはフランソワーズに失礼だから!と、意識的にジョーはフランソワーズの首から下は見ないようにしていたために、何色のどんな水着をフランソワーズが着ていたか思い出せない。

それが、思い出せそうだった。
今、ジーンズと言う布地にぴっちりと、皮膚を覆われて。

くっきり。
しっかり。
はっきり。

ジョーの目の前にさらされているフランソワーズの腰・ヒップ・太もも・ひざ・ふくらはぎ・足首の”形”。


---・・・ボクって・・・。


コズミ博士の紹介で通う事になったアルバイト先で、たまに話題にあがる”同性同士だから”の話し。
盛り上がった、”フェチ”度。

自分はそんなのない。っと言ったが、今なら宣言できるとジョーは思った。





足。

フランソワーズの足。



後ろ太ももから脂肪の少ない、筋肉がある分、きゅっと引き締まったヒップのトップにかけてのまるみ(曲線)の角度。

横から見た、それだ。


フランソワーズのその部分だけを切り取った静止画像で、思い出せた。
あのときの水着の色は。と、サイドに結ばれたリボンで思い出す、ジョー。


「んふふ♪」


そんなジョーの思考は現実世界の時間にかえせば、ほんの数秒のことだった。
思わず緩んだ頬を、フランソワーズはジョーにとって都合の良い勘違いに受け取る。


「それならよかったわ!ね、早く行きましょ!みんなと離れちゃうわ」


フランソワーズがぐい!っとジョーの右手を両手で掴んでひっぱり、遊園地の入場ゲートをくぐってすでに十数メートルほど離れた位置にいる家族の元へと走る事をジョーに促す。


---遊園地、いいかも・・・・。







ジョーと手を繋ぎ、くるりと背を向けたフランソワーズ。
彼女の手に引っ張られて、後方少しナナメで走る。

きゅ。っと、引き締まった形の良いヒップが、左右に足が出されるごとに魅惑的に揺れる。




---ボクって・・・・・・こんな人間(キャラ)だったんだ。



自分再発見。
フランソワーズのペースに飲み込まれて(?)知らない自分が、出てくる、出てくる・・・。
良いのか悪いのか、判断しづらい内容ではあるけれど。





---って!そうじゃないっ!!そんな目でフランソワーズを見るのはやっぱりダメだっ!!ジェットと同じじゃないかっ!!






+++


「へーくっしょん!」
「ジェット風邪か?」


NY ダウンタウン/ブルックラインに向かってマンハッタンブリッジの上を走る列車の中。


「ん?ああ?・・・昨日の子がオレが忘れられないって噂してんだぜ、きっと。よお、グリフィス。それより見ろよ、いい胸してるよなあ、あの子」


ジェットが左斜め前のシートに座る子を顎で指した。


「でも、ま・・大きさで勝ってても、総合的にフランソワーズの勝ちだな、ありゃ」
「誰だよ、フランソワーズって?」
「いい躯をしてんのを出し惜しみして日本の萌えに貢献しているフランス女だ」
「?」
「そぅいや・・なんかメールが来てたよな・・・・」


+++





入園ゲートを抜けて立ち止まってしまったジョーとフランソワーズは、距離が開いてしまった家族たちに追いついた。


「好きに遊んでおいで、儂はゆっくり園内をイワンと散歩して、少し体を動かすかの」
「オレも博士と一緒します。」


そこでグレートが書いた寸劇が始まった。


「そうか、そうか。なら、一緒しよう。この園内には確か」


グレートが入園ゲートでもらったパンフレットをぱっと広げた。


「博士、この遊園地はもともと動物園と1つだったみたいですが、その動物園が移転した土地が、植物園になってますよ。そっちへ行ってみましょーか?」


さも、今発見したかのような言い方。


「ワタシは乗り物はあんまりネ。ジョーとフランソワーズは好きに乗って来るいいネ。荷物番は任せるアルヨ!」
「じゃあ、ライダー・ショーの行われるここで、待ち合わせはどうだろう。ねえ、博士?それぞれ行く場所が違うなら、分かれた方がいい」


さすがグレート。と、今ジョーが広げたマップを指差すグレートの自然な演技を讃えても、彼は喜ばないと思う。



「うむ、確かショーは」
「午前、午後の部で、2回に分けてあるみたいですねえ」
「午前の部は11時30分からだ。」
「そうアル、そうアル」
「せっかくフランソワーズがたくさん用意したんだ。ランチはショーの後でゆっくりとがいいだろう。」
「じゃあ、午前の部じゃのう」
「あと1時間半は待つネ」


彼らの計画が手に取るようにわかる。
午前中からライダーショー、ランチまでの間、遅刻して入り口がしまっていた、道がわからなかった。うっかり時間を忘れてしまった、などなどの理由をつけて、ジョーとフランソワーズを2人きりにしようと言う考えなのだろう。


だが。


「あら、たったの1時間と24分よ、一緒にいましょ!ね?自由席だもの、みんなが離ればなれに座ったら楽しくないもの!!」


---想像できなかったのかなあ。フランソワーズがそういうの。


冷ややかにジョーが見ていた、寸劇にフランソワーズが参加する。
入園ゲートから歩いて5分ほどで現れた、大きなメリーゴーランドの前。


「んー、そうかあ。なら、まずこの遊園地の売り物、世界最大級規模のメリーゴーランドから。で、どおだあ?」
「メインは最後でしょう?」
「最後は観覧車って決まってるんじゃよ、フランソワーズ」


に。っと、笑ったギルモアと視線が合ってしまったジョーは、いつもとかわらない微笑み返すしつつ、心臓はぎく。と、跳ねていた。

自分のちょっとした”理想(観覧車でロマンチック告白・シチュエーション)”をギルモアが知っているはずはない。と、跳ねてしまった心臓を落ち着かせる。


ギルモアの言葉に、そうなの?っと、フランソワーズがジョーを見上げて首を傾げる。


「最後にゆっくりと観覧車に乗って、1日遊んだ遊園地を見下ろして、その日を締める。っていうのは、けっこう定番かも」
「そう、それなら!始まりはメリーゴーランドで正解ね」


フランソワーズから繋がれた手は、そのままの状態。その手にきゅ。っと”いいでしょ?”の確認のように力をいれらえた。


一瞬だけおりた沈黙の間に、繋がれた手に注がれた、注目の視線。


さっとフランソワーズ以外の家族に視線をめぐらせた、ジョー。

みな不自然に視線をジョーからそらす。手を繋いでいるのを、見てないよ。知らないよ。と、ばかりに。

最近になって2人が手を繋いで歩く。と、”超小型改良版虫型カメラISー2009.G5.”の映像から知っている、家族たち。
ジェロニモはまだ、その探索機(テストのために、外界との接触が多いジョー(フランソワーズを)追っているという名目になっている)のことは知らないが、邸に住み始めて、ジョーとフランソワーズが駅から歩いて邸に戻ってくるときに、手を繋いでいる姿を何度か目撃したことがあるため、知っている。





「・・・・じゃ。メリー・ゴーランド乗っておいでよ」


フランソワーズが乗っている間に、一言言っておこう。と、ジョーは決めた。


「え?!」
「ん?」
「・・・・ジョーは?」
「え。ボク?」
「そうよ!みんなで乗るのよ!!」
「オレもか?」
「もちろんよ、ジェロニモ!メリーゴーランドですものっ」
「いやいや、儂は遠慮しておくよ、目がまわりそうじゃ」


さすがに、ギルモアには乗れとは無理強いはできない。


「じゃあ、イワンは私と」


フランソワーズがギルモア博士からイワンを抱き受けようと前に出る。すると、張大人がさっとイワンをギルモアの腕から引き取った。


「イワンはワタシとグレートとゴンドラ乗るアルヨ。フランソワーズ、イワン抱いてたら馬には乗れないあるからネ!」


変に気を使われている。
ジョーはそれが、なんだかすごく重たく感じてしまう。




みんなと一緒なら、みんなで楽しみたい。
無理にフランソワーズと2人じゃなくていい。

フランソワーズも一緒なんだから。





ふうっと。無意識に吐き出したジョーのため息に、ジェロニモが気づく。


<・・わかった。>
「?!」


短い一瞬のジェロニモからの通信。
すると。


「みんなで乗ろう。博士、外を見ていなければ、酔ったり目をまわしたりしない。」


そういって、フランソワーズと繋がれている手とは反対のジョーの手を取って、メリーゴーランド乗り場受付口へと歩き出した。
手を取られて引きづられるように足をすすめたジョーに、自然とフランソワーズもひきづられる。


「博士!」


フランソワーズが博士の手を取った。
続いて、博士が笑ってグレートの手をとり、グレートが。参ったなあ。と言う顔で張大人に振り返る。
張大人は、イワンを抱いているために、手を取らなかったが、スキップするように家族の手に続いた。


<イワン、ちゃんと撮ってるアルか?>
<モチロン♪>


今日、カメラらしきもの一切持って来てない理由を、確認する。
種がわからない無数の虫たちが、園内にひっそりと生息していた。






1台のゴンドラにギルモア博士、イワン、張大人、グレートが乗り、ジェロニモは天井のない馬車に1人で占領する。
フランソワーズはどの馬がいいか、うろうろと彷徨い、前足を高くあげたシルバーのティアラを頭部につけた馬を選んだ。ちょうどゴンドラに乗った4人の斜め前にあった馬だ。

フランソワーズの馬の隣の馬にジョーが乗ろうとしたとき、係員が声をかけてきた。


「あの馬でしたら、1台に2人乗れますよ」


点検にやってきた係員の声に、ぱっとフランソワーズが乗った馬をみたジョーは、そのシート部分が確かに2人用になっていることを知る。


「あ・・ええっと・・・」


戸惑っているうちに、係員はジョーから離れ、いつの間にかにぎやかな声に包まれていたメリーゴーランド内を歩いていく。「まもなく、動きまーす!」と、言う声とともに。


「ジョー、どうしたの?」



---う。・・・さすがに、それは(別の意味で)危険です。



嬉しそうに馬に跨がっているフランソワーズがジョーを見つめる。
その姿勢の良さから背景を替えれば。と、想像してしまうが、その夢のような想像を、リアルに映る、馬に跨がって形が変わった部分にいく。


「な、なんでもないよっ!フランソワーズ、ちゃんと捕まってなよっ・・」


ジョーはひらりと、目の前にあった馬に跨がった。
メリーゴーランドのまわりにあるセーフガード用の柵前にいた女の子たちのグループから小さな黄色い声があがった。

その声が誰に向けられてなのか、本人は気づいていない。
黄色い声の女の子たちと同じ気持ちを抱く、隣の馬に跨がる異国の少女だけが、少しばかり、む。として頬を膨らませた・・・、ことにも、気づいていない、栗色の髪が明るい日差しを受けて、金茶色にちかい髪色になっている青年。


彼のこころはここにあらず。




---ある意味、すごく嬉しいんだけどね・・・。



フランソワーズ、(外出時)ぴっちり(スキニーという名前を知らない)ジーンズ禁止令が新たにギルモア邸のルールに加えられそうだった。

動き出したメリーゴーランドが作り出す、風。
ジョーは自分以外の、視線がフランソワーズに注がれ始めているのに、気づき始めた、ために。





世界最大級、巨大メリーゴーランドは1週するのに、かなりの時間がかかった。
きゃあ、きゃあ♪はしゃぐフランソワーズの馬が、ジョーの乗る馬と交互に高くなったり低くなったり。
たまに、馬が支えられている棒を中心にくるん。と、まわったりする。

こんな仕掛けがあるんだ。と、ジョーは自分が乗っていた馬が、くるん。とまわったとき、思わず満面の笑みでフランソワーズを見た。
ふたりが乗る馬の前にある天井のない馬車に乗るジェロニモは、ときおり振り返って2人の様子をうかがった。

笑い合って、はしゃぐ2人にたいして、いつも通りが一番だ。と、呟く。



今日は、ジョーの誕生日。
ジョーがのぞむのは、家族と過ごす遊園地だ、と。





5.23.09
2へ続く。


*・・・予定では3回。でも伸びる可能性大。
 カテゴリーの方は、また、それ用にまとめたいと思います。
web拍手 by FC2
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。