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君に振り回される自分がいる / 2
「意外に楽しいもんじゃなあ」


ギルモアたちが訪れている遊園地の売りの1つでもある、世界最大級メリーゴーランドを終え、園内中心にある室内遊戯施設にコインロッカールームと荷物預かり所をみつけたので、ショーの観劇の間手荷物を預けることに決めてた。

ショーが行われるのは野外にある、イベント用の特設ステージ。

荷物を預け、フランソワーズがイワンのおむつを換えにナーシング・ルームへと向かった。
その間、室内遊戯上を興味深く眺めている。

フランソワーズがいない間に、言っておきたい事があったけれど、なんとなくもう、それはいいような気がしたジョーは、ただ黙ってパンフレットを見ていた。


「絶叫マシーン系ってフランソワーズ大丈夫なのかな?」
「どうしたアルか?」


5人は案内所前のベンチ2つを占領してフランソワーズとイワンを待っていた。


「ん?ああ・・・フランソワーズって、乗り物どこまで大丈夫なのかなあ?って・・・ランチの後なら、少し間をあけて乗った方がいいんだろうけど・・・」
「平均的な女の子が大丈夫なものは心配ないじゃろう・・・」
「003だしなあ」
「そうアルねえ」
「そうかもしれない。」
「加速に耐えてるだろお?」


グレートの言葉にジョーは苦笑した。


「ほとんど周りが”止まってる”ようにしか感じないから、全然違うよ」
「そおかあ?」
「そうだよ。なんなら乗ってみる?」


ジョーは隣に座るグレートに向かって、手のひらを上にむけて”おいで”と言わんばかりに、両手を差し出した。


「いやいや、そこは姫君の特等席なので」
「アンタは姫になれるアル」


続いてグレートの右隣に、グレートたちが座る場所から少しスペースを開けておかれたベンチをジェロニモと2人で占領している張大人が言った。


「じゃあ本物の姫が心地よく腕に抱かれるためにも、ジョー、我が輩が練習台となっておくか!」
「いらないよっ・・・こんなところで変身されても困るっ」


ヘソのボタンに指を置いたグレートの仕草にジョーは慌てた。


「フランソワーズだ。」


イワンを抱いたフランソワーズが賑やかな家族たちの元へと、ナーチングルームから小走りにやってくる姿をとらえたジェロニモが、視線でジョーにそれを報告しつつ、口にした。
ジョーはさっとベンチから立ち上がる。


「危ないよっ!」


GWを過ぎたばかりなので、今日はそんなに混んではいないだろう。と、考えていたジョーの予想を裏切った入園者数に、彼は少しだけ気を引き締めた。


「あ、ごめんなさい!」


イワンを抱いて、彼の荷物が入ったキャリーバックを肩から下げているフランソワーズは、そのバックを彼女の進行方向を遮るように歩いて来た青年グループの1人にぶつけてしまった。


「すみませんっ」


軽いフットワークで素早くフランソワーズのそばに駆け寄り、彼女の隣に立つと、キャリーバックをぶつけた青年にジョーも謝った。


「い、いえ・・・」


ぶつけられた青年は目を驚きに白黒させて、ぶつけられたことよりも、目の前にいる亜麻色の髪の、自分よりも年下に思われる日本人ではない女性が腕に抱く、赤ん坊と、素早く駆け寄って来た、栗色の日本人離れした顔の青年を交互に見た。

お互いに頭を下げて、その場をやりすごした後に、青年は一緒にいた友人たちに向って言った。


「すっげー、外人のヤンママ!」


その声が、フランソワーズの、ジョーの、2人の耳に聞こえてしまった。


「いくつだと思う?」
「十代確実・・16.7っぽいよなあ?」
「あれ、犯罪じゃねえの?」
「結婚してんだから、平気なんじゃん?女は16で結婚できんの」
「男だってオレらとかわんなくね?」
「若いのになー」
「一家の主ってやつ?」
「家族サービスだぜ、家族サービス!」
「赤ちゃん連れて遊園地ってのが、オレらと年変わんねー証拠だよな!」
「気をつけよ!っと、ああはまだなりたくないからさ、オレ」
「彼女いねーくせに!!」
「うるせーっ、今日できんだよっ、今日!」


ひそひそとした声は人ごみの雑踏に紛れ、離れた本人たちに聞こえるはずはない。
そう、聞こえるはずのない、会話が聞こえてしまうのが、003であり、003ほどれはなくても、性能上、3、4mほどの距離くらいのひそひそとした声など軽く聞こえてしまう、009。


2人は、なんとなく視線を合わせた。
足の指先から一気に上昇してくる赤が、彼らの顔に到達するまでの時間は瞬きするよりも短い時間。

ベンチから様子を観ていた家族たちは、なんとも迷惑な場所に突っ立ち、真っ赤な顔でお互いに何を言えばいいのかわらかないまま、見つめ合っている2人に笑い合った。

2人に何があったのか、その場に居合わせたイワンがテレパスを使い報告していたせいで。









***


仮面ライダー着ぐるみショーが行われる野外特設ステージは、園内の東側にあると地図が示していた。


「まだ早いよ?」


微かに赤が残る顔でジョーが特設ステージに行こうと言い出したフランソワーズを止めた。


「早め早めが肝心なの!」


こちらも、少し頬にジョーと同じ色が残っている。


室内遊戯場を兼ねる、中央案内施設には入園者に向けて、色々なサービスが揃っていた。

移動式(持ち手がついているだけ)のクーファンをジェロニモが持ち歩いていたが、ベビーカーのレンタルができることを教えてもらい、クーファンをこっそりイワンの念動力(テレキネシス)で駐車した車の中に移動させた後。


「それにね、今日は応募者が多かったの!」
「「「「「?」」」」」
「だから、良い席をちゃんと確保しないと、選んでもらえないわ!」
「「「「「?」」」」」


いったい、フランソワーズが何を言っているのか、家族たちはまったく理解できなかったが、どうしても!っと言うフランソワーズに誰も反対する理由もなく、園内を散歩するように、のんびりと、東側にある野外特設ステージへとむかった。

入園者の数は、時間が進むにれて増える一方の上、東へと足を進めていくと自然と、人の流れに乗る形になっていった。


「みんな・・・特設ステージの方に、むかってる?」


ジョーがふと呟くと、フランソワーズは、ほらね!っとばかりに、胸を張った。


グレート、張大人が、きょろきょろと辺りを見回す。
自分たちの腰の位置あたりに頭がくる、子ども連れのグループ、親子、などが目立った。
先ほど、フランソワーズがイワンの荷物が入ったキャリーバックをぶつけた青年のようなグループは見当たらない。
しかし、子どもを連れた若い母親ばかり集まったグループが多く目についた。

そんな人々の隙間を縫うように、学生らしき人の輪もみかけられたが、彼らが特設ステージにむかっているのか、近くにあるお化け屋敷に向かっているのかは、判断がつかない。


「アイヤイヤイー・・並んでるネ」
「まだ入場できないようだな。」
「!!」


見えて来た特設ステージ入り口に列が出来ていた。
フランソワーズは早く列に加わろうと走り出そうとする。


「危ないからっ!!またぶつかるよっ」


そんなフランソワーズの腕を素早く掴んで引き止める、ジョー。


「だって!だって!!!」
「入場券はあるんだから・・・ね?」
「ダメよっ、座る場所が肝心なのよっ!ちゃんと”選ばれ”ないといけないんですもの!」
「フランソワーズ、さっきから選ばれる、どうのこうの・・・いったいなんなの?」
「参加希望者のことよ?」


あら、言ってなかったかしら?と、首をひねったフランソワーズ。


「・・・・参加?」
「入場が始まったようじゃなあ」
「当たり前でしょ!だってジョーのお誕生日ですものっ!スペシャルにしなくちゃ♪」
「まさかっボクが・・・参加する、の?!」
「もちろん♪ジョー以外の誰が参加するの???」


---フランソワーズ・・・・・以外、誰も・・・。



ジョーのこころの声と同調する4人(イワン除く)。


「ちゃあんっとね、事前にネットで申し込んだの!でもね、参加希望者が多いから、希望した人専用の指定エリアに座って、ショーの中で、選ばれるんですって、だから、急ぎましょ!!」
「・・・・」


フランソワーズが嬉しそうに笑う。
にんまり笑ってグレートが、任せなさい!っと走り出し、さっと列に加わった。



「・・・」

野外特設ステージ入場入り口でチケットを係員にわたすとき、フランソワーズは「参加希望者です!」と、嬉しそうに、肩にかけていた、手のひらに乗るサイズの小さな皮作りのポシェットから、細かく折り畳んだA4サイズの紙を取り出し、差し出した。

受け取った入場受付係の女性は、フランソワーズの容姿にほうっと見とれて、そしてその流暢な日本語に、少しびっくりしたように何度か瞬きする。

受け取ったプリントに仕事を思い出し、慣れた様子で少し高めのよそ行きの声を出し、プリントされている名前にさっと視線を流したあと、「島村ジョーくんですね~」と、読み上げると、フランソワーズから視線を下げた。


「ぼくが、ジョーくん?」


女性はひざを折って、フランソワーズの斜め後ろに張大人が押すベビーカーの中のまんまるい黄色のおしゃぶりを加えている”イワン”に話しかけた。


「いいえ!島村ジョーくんは、彼です」
「え?」


女性はひざを折ったまま、振り返り見上げた。


「・・・・・・ボクです」


フランソワーズの隣に立っていたジョーは、降参するように右手をあげて、参加希望者であることを静かに女性に伝える。
女性は手に持っているプリントされた紙にぱっと視線を移す。


名前、年齢、保護者名、参加希望理由を確認。


「・・・お誕生日、おめでとうござます」
「どうも」


参加希望の理由//16日の当日はジョーの誕生日です。


「参加希望者の方の指定エリアは、舞台最前列A席から、5列目までです・・・保護者の・・・アルヌールさま(?)は、一緒に指定エリアに入ってもらっても大丈夫ですので・・」


---保護者・・・?!フランソワーズが、ボクの保護者!?


ベビーカーから離れ、ジョーとフランソワーズの正面に立つと、女性は慣れたように、フランソワーズ、そしてジョーのチケットを切り、手に持っていた折り目のついたプリントに、赤ペンで指定エリアの席を書いた。


「それ以外はすべて自由となっています」


営業スマイルで、ジョーに笑いかける。
ジョーも反射的に、女性にむかって疲れ気味なはにかんだ微笑みでかえした。
その様子をフランソワーズは黙ってみている。


<009必殺技その1・優しさと孤独が同居した瞳、せつな甘い可愛い微笑み!>
<長い。>
<必殺技のネーミングセンスないネ>
<舌噛ムヨ。僕ハ噛マナイケド>


「どこかで見たことがあるような光景じゃなあ・・・」


ぼそり。と、呟いたギルモアの声。


「いつもの”パターンだ。」


ギルモアの声に、ジェロニモが答えた。
当2人以外が納得する。

ああ。003と一緒にいる009であるけれど惚れてしまう、ミッション関係者or救出者のトライアングル地帯か。と、納得する。
いつもは”防護服”で見られていた光景が”私服”だったために、少し違和感があったのだ。


「選ばれたらいいですね」


ジョーに微笑みかけられた係員の女性の頬が朱色に染まり、うつむき加減に変わった顔の位置から上目遣い。そして、もじもじとした様子でゲートをくぐって入場しようとしたジョーにむかって言った。


「・・・ありがとう」


フランソワーズが一番にゲートをくぐり、ジョーと入場し、張大人、イワン、ギルモア、グレート、そしてジェロニモと続いた。







***

最前列の上手に用意された指定エリアの最前列のベンチ中央にフランソワーズはジョーを座らせようとしたが、さすがに、それはダメだとフランソワーズを制した。


「ボクがここに座ったら、後ろの子が見えないよ」


何度かの押し問答があった末、なんとか最前列の一番端っこに座ったジョーは、はあ。っと、ため息をつく。

参加希望者の指定エリアには、早々に小学生低~中学年と思われる子どもたちが賑やかに座っていた。

最前列の端っこに静かに腰を下ろす青年と、今回のショーの関係者(女優)?と、勘違いされて、
特撮・ヒーロー好きな男性と思われる団体から入れ替わり立ち代わり、「写真を一緒に取ってください」「サインをください」と言われて、困ったように、「関係者じゃありません、ただの観客です」と、答える、フランソワーズがジョーの隣に子ども一人分のスペースを空けて座っていた。

ジョーはフランソワーズにむかって話しかけて来る彼らを鋭く睨み、それ以上の余計な言葉を言わせないように無言の圧力をかけつつ、「トイレはどこですか?」や、「一度入場したけれど、また外に出ても大丈夫ですか?」など、ジョーは指定席エリア内にいる”若い男”と言うことだけで、係員だろうと、勝手なイメージで判断され、同じ観客であるにも関わらず質問されながら、開演を待っていた。

指定席内に、子どもの”保護者”と見るからに判断できる人。意外の大人は、ジョーとフランソワーズくらいなもの。その”保護者”たちは、指定席の後列に座っているために、異様に目立つ2人。



「フランソワーズ?」


居心地の悪さをどうにかしたい。
けれど、その前に。


「ね、フラン?」
「なあに?」


子ども一人分ほどのスペースを開けてジョーの隣に座る、フランソワーズに疑問を持つ。
野外特設ステージは半円形の扇方をした客席に、4~5人がけのベンチが並んでいる。


この、子ども一人分。あいているスペースが、どうにも微妙過ぎて、気になる。





「・・・どうしたの?」


どこか、なんとなく、フランソワーズの様子がおかしい。


「どうもしないわよ?」


フランソワーズは話しかけているジョーの方へは向かず、入場時にもらったチラシを読んでいた。それは、ショーのポスターの縮小版に、今日演じられるショーのあらすじが書かれていた。


「気分でも悪い?」
「いいえ」
「お腹空いた?」
「ぜんぜん」
「疲れた?」
「まーったく」
「みんなと離れちゃったから、イヤ?」
「仕方ないもの・・」


ジェロニモは進んで自分の後ろに誰も観客が座る事のない、最後部席に座った。
フランソワーズがロープで囲われた指定席のすぐ後ろの席を勧めたが、入場者の込み合い具合に、ジェロニモは自分が邪魔になると判断したのだ。

ジェロニモを独りを座らせておくのは・・・、と、イワン、ギルモア、グレート、張大人も続く。
イワンはフランソワーズが抱いて一緒に居ようと言ったが、<マタ、勘違イサレルヨ?>との彼の言葉に、フランソワーズは渋々イワンをギルモアたちと一緒にいることを承知した。


「みんなの所に行こうか?・・・別に参加しなくてもショーはきっと楽しいと思うし、それに、・・・ボクは選ばれないと思うから。こういうのは、やっぱり、子どもが優先だし・・・・」


開演15分前。

すでに、参加希望者エリア席内は、子どもたちで溢れ返っていた。
観客生も90%以上人で埋まっている。
がやがやとした開演前の雑踏に、左右の舞台そでに取り付けられている巨大スピーカーから、ショーに関係する極が流れ、その合間に録音された甲高い女性の声で開演中の注意事項が流れる。を、繰り返していた。


「や」


ジョーの言葉に、フランソワーズは一言。で、返す。


「・・・」


あんなに楽しみにしていたのに、何が彼女の機嫌を損ねてしまったのか。
どう考えても、みんなと離れて座っていること”だけ”が原因ではないような、気がしてならない。

それは、フランソワーズと一緒にギルモア邸で暮らし始めてから培ってきた感覚が、ジョーにそのように、告げていた。


「あの・・さ、フランソワーズ」


つん。っと、した様子で、フランソワーズは首を巡らせて特設ステージ全体を見回し、最後に家族たちの方へ視線をむけると、彼女にむかって大きく手を張大人とグレ-ト振ってくれる。

嬉しそうに躯を捻り、そちらに向かって手を振る、フランソワーズを見ながら、言おうと思っていた言葉を、並べる。


---ジーンズ、すごく似合ってるよ。


「ここの遊園地のイメージキャラクターは好きなのかなーって・・」
「好きっ!あのね、さっき室内遊戯場でねっ」


頭に浮かべていた台詞とは全く関係のない台詞が出て来た。
そして、一瞬にして彼女の機嫌が直り、嬉しい反面、フランソワーズに振り回されまくっている自分に苦笑しつつ、それがむずがゆい感覚で、幸せかも。と、頭に浮かべた言葉に、ジョーは照れた。









***

「・・・あ、本当に来てる・・・・・」


舞台上の袖に設置されているカメラが撮る、参加希望者の指定席エリアをモニターから見ていた、竹岡。


「よお、誰にする?」


ジョーがアルバイトで通う大学で知り合った、湯田が通っている極真空手道場の後輩である竹岡は、仮面ライダー・ショーの敵の兵士C役。


「あのさあ、お願いがあるんだけど」


おなじ敵の兵士役Aの南川に、竹岡は手を合わせた。


「道場の先輩の友人が来ててさ・・・」







に続く。

*もう・・連載と言っていいですね・・・・これ。
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