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君に振り回される自分がいる/5




春の終わりごろ。
暖かさを手に入れた世界は新緑の色に満ちあふれ、風が運んで来る生命力の香りは誰もが深呼吸せずにはいられないほどに、清々しさを届けてくれた。今朝方に降ったと思われる雨露玉が、夏前の柔らかい陽光をじんわりと弾いて輝いている。
園内に溢れる彩り豊かな花たちが、くすくすと笑うように、温もりをました風に揺らされた。

今月頭になった国をあげての連休が過ぎて、園内の忙しさは一段落したものの、裏では引き続き、これから本格的な夏に向けて様々なイベント企画業務に忙しさがピークを迎えようとしている。

ここ、園内にあるイベント用野外特設ステージも例に漏れることなく含まれる。
GWから続く特別公演、仮面ライダー・アクション/ヒーロー着ぐるみショーは、野外ステージの天敵とも言える梅雨時期前が一番忙しい。
役者や関係者たちは、春の麗らかな様子とは180度違った心境で日々を過ごし、そのストレスのピークが限界に近かった。

まして、仕事をスムーズに運ぶための人間関係に少しばかりの摩擦があれば、気分的にその疲れはいつもより重く体を支配する。










***


舞台では仮面ライダーが敵のボス怪人に危機的状態に陥っていたが、ちびっ子たちの声援にみるみる逆転していくクライマックスへと突入していた。

司会者の女性が人質役として舞台に立つ栗色の髪の青年ににマイクを向けようとしたけれど、先ほどの彼の台詞が司会者の頭をよぎり、無意識にジョーにではなく、フランソワーズにマイクを差し出した。
フランソワーズの方へとむけられようとしたマイクは、人質役のフランソワーズのいる舞台下手側からひょっこり顔を出した、司会者女性のバイト仲間、短髪の青年の顔によって動きを止めた。
上演中は常に舞台に立ち続ける進行役の司会者。たまに、舞台裏で進行に関する変更事があると連絡係としてバイトの誰かが突然ひょっこり顔を出すのである。
大手アミューズメント・パークでは、緊急連絡事項はだいたい無線インカムを通して伝えられるのだけれど、未だ、それらしきものが配給される様子がみられない、ここは地元に愛されるローカル遊園地。

連絡伝達係と思われる短髪青年(野外ステージ関係者はみな短髪なのだけれど)のその手が招き猫のように、おいで。おいで。と、振られたことからフランソワーズから仮面ライダーへの応援スピーチをマイクに通すことができなくなった。


観客に背を向けることなく、つつつ、と、手招きされる方へと移動しながらも、マイクで一生懸命に舞台を盛り上げる。
女性司会者はマイクのスイッチを瞬時にオフにして、バイト仲間の青年からさっと耳打ちされた内容に、彼女は「ええ?!」っと、舞台上で素の声を出して驚いた。


「夏美ちゃん、これが僕たちにできる精一杯のことだからさ!今がチャンスなんだよっ」


マイクのスイッチを入れると同時に、夏美と呼ばれた女性司会者は力強く短髪青年に向かって頷いた。
彼が何を言わんとしているのか、夏美には説明などいらない。

仮面ライダー(濱田)のセクハラに一番の被害を被っているのは、彼女、粟田夏美かもしれない。
声優学校へ通い始めたが、いまいち画面に見る映像と決められた台詞を読み上げる中に、自分の感情を入れてキャラクタ-になりきることが出来ず、この道は向いていないのかと迷っていたころ、オフレコのときにかいま見せるアドリブの良さから紹介された司会業。

自分は声優業よりも、司会業のの方が向いている。と、園内特設ステージの司会進行役は天職に巡り会えたような幸せな職場だった。
今はバイトだけれど、プロダクションからの派遣俳優たちの手助けもあり、遊園地の専属イベント司会者として、声優学校を卒業する今年、就職が内定していた。そんな夢のような職場に唯一水を差す、男が1人。


「みんなー!仮面ライダーの必殺技をっ!!」


クライマックスに向けて、決め技を観客に促す夏美。
すでに連絡係の青年の姿はなく、彼女の元いた位置へと移動していた。

観客の声を味方につけて、オーバーリアクションと言われる言葉が似合うほどに腕を伸ばして観客席の方へとマイクを向けながら、人質役のジョーへと近付く。
フランソワーズは夏美がジョーに近付いたことを知って、なぜか無意識に2歩半、ジョーから距離を取った。それでも彼女がジョーに何を言ったか聞こえてしまう性能良く改造された耳。


「敵ボスが倒されましたら仮面ライダーが2人を呼びます。舞台の赤い×印のところまで行ってください」


ジョーは夏美の言葉に素直に頷き、舞台中央ど真ん中にある、×印に貼られた赤いテープを司会の端で確認した。
フランソワーズの視線も、自然とそのテープに向かう。

普段なら、敵ボスがやられた段階で、人質を仮面ライダーの元へと誘導するのが司会者の役目だけれど、それを変更しなければいけない理由ができてしまった。

成功するかどうかは、すべて彼の手にかかっている。



夏美はジョーのすぐ隣にいたはずのフランソワーズが少し離れていることに気づいて、彼女に向かってにっこりと笑いながら、軽く3歩ほど離れているフランソワーズにむけてマイクを差し出した。


「仮面ライダーの応援、よろしく!!」


フランソワーズが差し向けられたマイクにむかって「負けないでー!」と叫ぶのと同時に、ジョーの耳へ夏美ははっきりと告げた。


「お聞きになったと思いますが、あの仮面ライダーは偽物と言う設定なんです。人質役の方がそれを見抜くと言う事で、力いっぱい思いっきり殴って大丈夫ですから。お願いしますっ!!」
「・・思いっきりで、いいんですか?」
「はい!」
「わかりました!」


ジョーは夏美にむかって爽やかににっこりと笑った。
その笑顔を間近で見た夏美は顔を赤くしてマイクを強く握りしめてジョーから離れた。


---相手は彼女持ちなんだからっ!!





彼氏居ない歴3年の彼女に久々に仕事以外のときめきが胸をくすぐった。





***


敵ボスは、観客の声援とともに仮面ライダーの必殺技で見事に倒された。舞台左右に取り付けられている巨大スピーカーから、司会者の声ではなく、予め吹き込まれていたアナウンスが流れ、ストーリーの最後の締めをくくろうと、ナレーションが入る。

舞台中央で大歓声の中、数種類あるポーズを順に決めて行く、仮面ライダー。
重い仮面(ヘルメット)の中で、それらのナレーションを聞きながら、人質役のゲストへと大げさな動きで舞台中央へと呼び寄せた。すると、よどみなく流れていたナレーションが止まった。


「?」


スピーカーの故障か?と、疑問に思ったライダー役の濱田だが、司会者は何もフォローの声が入らない。
GWから耳にタコができるほど聞いている、エンディングのナレーション。そのために、すっかりナレーション内容は一字一句間違えることなく頭に入っている。
何度もショーを見に来ている一部の”着ぐるみ・マニア””アクション・ヒーロー・マニア”の大人たちがざわついたが、ほとんどの観客は気にしていないようだった。


「ジョー、呼ばれてるわ」
「そうみたいだね」


ショーの終わりを促すナレーションも流れて、何度も決めポーズを決め続けながら観客の声援に答える仮面ライダーの姿を見るジョーは、どうも”殴っていい”様子ではないように思えて仕方がない。
偽物なら何か、それらしいアクションをしてくれるはずでは?と、思わず進行役の司会者へと視線をむけたけれど、司会者はマイクを握り、ニコニコと笑ってジョーにむかって微笑んでいるだけだ。
彼の視線に気がついた夏美(司会者)は、どうぞ。と、小さく手を差し出すような仕草で舞台中央へ行く事をすすめる。

仮面ライダーの姿に扮し手舞台上手で控えている元敵兵師Cの南川が、そして、彼の案に賛同した仕事仲間たちが、舞台裏の控え室に固唾を飲んで控えている。
もしもゲスト(ジョー)がアクションを起こさなかったとき、偽物からゲストを救い出すべく、飛び出す予定だ。


---頼むっ殴ってくれ!!

<僕モ少シバカリ協力スルネ♪>


半円形、扇状に広がっている観客席やや中央より左、再後部席に座るジェロニモの腕に抱かれているイワンの、いつもはくるりとした白銀色の前髪に隠れたつぶら瞳が楽しげに輝いた。








「あ、フランソワーズっ!」


偽物です。と聞かされても、それとは別にして、フランソワーズは仮面ライダーに呼ばれたことが嬉しいらしい。
愛らしい微笑みをたたえながら、舞台中央で自分たちを呼ぶ仮面ライダーへと駆け寄って行く。その後ろを追いかけるようにジョーが続いた。


「助けてくれてありがとうっ仮面ライダーっ!」


狭いヘッドマスクの視界に飛び込んで来る輝くハチミツ色の髪をきらきらとなびかせ、絵に描いたような大きすぎる蒼い瞳の少女を、仮面ライダーは両手を広げて迎えた。

濱田はこっそりと思う。

自分はそっち(ロリ)方面の趣味を持ち合わせてはいないが”美少女”だと、話しは別。
どうやらアクションヒーローファンのようだから、この後・・・。と、今回のゲストである美少女(フランソワーズ)をナンパする算段を整え始めた。
そうでもしなければ、分厚い着ぐるみの中、アクションシーンをこなした後の、呼吸困難に陥りそうなギリギリの状態を我慢することなんてできない。
今日はラッキーな日だと、いつもよりも多めにポーズを決めていた。


「とっても強かったわ!!」


人質ゲストの美少女は、広げられた両手に嬉々として飛び込んでいった。

ごつごつとしたヒーロの着ぐるみで強く抱き締め、ゲストに不快だったなど、セクハラだのなんだの、昨今何かクレームがつくようになったため、今では遊園地側が訴えられて訴訟などを起こされないために、年に一回スペシャリストが来て、指導をうける世の中だ。

子どもならそのまま腕にお尻をのっけるようにして、抱き上げる。大人なら、軽く背中に腕をまわして、ぱんぱん!と、軽いハグ、もしくは握手ですませるのが、野外特設ステージがもうけた観客とコミュニケーション規則(ルール)だった。

本当ならぐっと抱き締めて、美少女の背や腰辺りを楽しみたいのだけれども、分厚い手袋では初めから無理な話しだ。昔の着ぐるみならそれなりに楽しめたのだけれど、最近のヒーローは凝った作りに着ぐるみ製作の技術がハリウッド特殊コスチューム並に発達した今日この頃。

感触を楽しむどころか、アクションシーンに問題が出るほどに何も感じられない。


ーーー今回もこの手でいくか・・。


その時々のゲストの雰囲気に合わせて軽くハグを交わすときに、「特別に写真撮影の時間をつくってあげるよ。」などを言えば、”特別”と言う言葉に惹かれて、公演後、だいたいは指定した入場ゲート裏で待っている。
そこで上手く口説くことができれば合コンなり、なんなり次に会うチャンスを得ることができた。
成功率は今のところ50/50。GWなどはファミリー、カップルが多いので、成功率は自然と低くなってしまう。が、ステージから離れた園内でのナンパ率は逆に上がるので、不思議だ。


「ありがとう、仮面ライダーっ!!人質を無事に助ける事ができましたっ」


フランソワーズが仮面ライダーの広げた手に飛び込んだタイミングに合わせて、司会者(夏美)が観客に向かって言葉をかける。と、観客から感動のフィナーレにむけて拍手と歓声がわき起こった。

舞台は今日も無事に成功を収めたと、いうように。



仮面ライダー(濱田)は軽くフランソワーズの背に腕をまわした。


---華奢だなあ・・。


その線の細さに驚くと、同時に。


---ん???


確かに背中にまわした筈の手が、なにやらとても美しいカーブを描く柔らかい線をなでていた。


---んんん???


背中にこのような芸術的なカーブと柔らかさが”ある”はずなどない。
腕に軽く閉じ込めているフランソワーズの右肩を見下ろすように、狭い視界をなんとか自分の手が触れてカーブを確かめるように動かしている部位へと移動させたときだ。

ぴきん!と、腕の中の美少女の空気が氷りついて固まった。



















その瞬間に何が起ったのか、濱田は思い出せない。




気がつけば、園内の医務室にいた。


ヘッドマスクが半壊し、脱がせることができず解体した、元仮面ライダーのマスクが無惨な姿で濱田が眠るベッドの周りの床に散らばっていたのを、まるでまだ着ぐるみのヘッドマスクを付けているような視界の幅から見えた。







***

ぴきん!と、腕の中の美少女の空気が氷りついて固まっただけでなく、その差を計る単位がこの世にあるのかと疑問に思うほど、ほぼ同時に会場中が騒然となる。

存在するのは、ばこぉっっと、響いた破壊音の残響。
幾つもの死闘をくぐり抜けた経験のある、数人のみが、聞き分けることができる破裂音が混じる。


<イクラナンデモ コンナ場所デ 本気デ殴るナンテ モゥ! チョット(分厚イ布デ覆ワレタ)手ガふらんそわーずノオ尻ノ上ニ乗ッタクライデ。危ナイジャナイカ、009!!>


宙に舞うヒーローをその能力を持って助ける001が叫んだ。


ほとんどモーションをつけずに繰り出された009の拳にイワンが張ったシールドが間に合ったこと事態、奇跡だと思いながら小さな胸に汗をかき、ため息にのせて拭う。
肝心の、背中にまわされるはずだった仮面ライダーの手を、ショーに協力するつもりでちょこっと悪戯に移動させたことは、イワンは自身の自らなかったことにした。

衝撃に気を失ってしまっているかもしれないけれど、命に関わるような重傷を負ったわけでもなし、怪我1つ負っていないことをさっと確認したイワンは、セクハラ・偽仮面ライダーを衝撃を受けさせないように床に寝かせたが、ちゃんと見た目は”吹っ飛ばされた”形にこだわった。



舞台上で見事に吹っ飛ばされた仮面ライダー(濱田)は意識を失った状態で、舞台袖に控えていた南川の足下で半壊されたヘッドマスクから、仮面ライダー(南川)を見上げていた。


「・・・う、あ・・・?」


見下ろす、仮面ライダー。
見上げる、仮面ライダー。


見つめ合う、仮面ライダーの視線をはずさせたのは、女性の声だった。


「いやあっんっ仮面ライダーがあっ!!」
「触ったっ!!あいつっフランソワーズのっ!!!にっ!!」
「でもっジョーっ!!」
「偽物仮面ライダーだからっ!あいつは偽物だっ!」


そんな会話が舞台上で交わされると、野外特設ステージ全体が動揺に揺れた。
目の前に起こったことに呆然としていた司会者(夏美)が司会業を天職として感じた、彼女の才能がこの危機を乗り越えるために、開花する。


「なんですって!?偽物っ!!みなさんっ聴いてくださいっ!!!!」


舞台左端の袖にいた夏美はバタバタと走り、舞台中央で声を張り上げた。



「私たちが応援していた仮面ライダーはなんと”未来からの敵!”偽・仮面ライダーでしたっ!それを見抜いた島村ジョー君っにっっっ拍手っ!!!」


夏美ジョーの腕をむんずと掴み、彼を今回の主役と言わんばかりに、自分の隣に立たせた。


何がなんだかわからないが、とにかく、司会者が拍手と言うのだから、拍手しなければいけない雰囲気を作り出し、強引にでも特設ステージ全体の雰囲気を一気に自分が発した言葉の方向へと引っ張る、夏美。


かなり無理矢理感ありありな感じだが、ここは遊園地、イベント用・野外特設ステージである。
子どもたちの夢と希望とあこがれを現実にさせる舞台、アクション・ヒーロー着ぐるみ・ショーだ。

多少のつじつまの合わないことでも、かっこよければ、ヒーローしていれば、子どもの夢を壊さなければそれでよし。


舞台中央後方から、熱心に拍手を送る赤ん坊のいるグループから次第に拍手の波となって舞台に届きはじめると、イベント参加希望の席から、舞台前列で首をしならせて見上げていた子どもたちから、すごーい!の歓声がわき始めた。


「島村ジョー君っ!彼に本物の仮面ライダーを呼んでもらいましょーっ!!きっと仮面ライダーは私たちのピンチを助けるために、近くにいるはずですっ!!!!」


拍手となんだか凄いパワーで偽・仮面ライダーを吹っ飛ばしたお兄さんにむけた子ども達の視線を一斉に集めることになったジョーだけれど、脳内は未だに目の前でぴっちりフランソワーズの躯にフィットしたジーンズを履いた彼女のヒップにのせられた手。に、胸はイライラとすっきりしないでいた。


観客の声に答えてくださいと、手を振るなりなんなりのジェスチャーを司会者(夏美)から要求される。
人前に出て何かするようなことに慣れていない、どちらかといえば、表だったパフォーマンスが苦手なジョーは、助けを求めるようにフランソワーズへと振り返った。


「フランソワーズ」


フランソワーズはジョーに吹っ飛ばされた仮面ライダーを気にしていたのか、ジョーの斜め後ろで視線を彼からそらせていた。


その、横顔が今には泣き出しそうで・・。
















さっきから、アタシ。
変。



ステージ入場ゲートでチケットを切った女性が、驚きに何かを含ませた顔で舞台にいるジョーへと熱い視線を向けている。
ジョーをステージ関係者と勘違いして話しかけてきた3人グループの女の子たちも、同じ視線だとすぐにわかる。

偽仮面ライダーをやっつけたジョーを、舞台中央前へと連れだった司会の女性の手は放れないまま、彼の腕に添えられていた。



偽仮面ライダーを吹っ飛ばしたジョーの一瞬殺気立ったオーラは、仲間のアタシが不快に感じたことを敏感に察知してくれたから。よね、009。


「大丈夫だから!!」
「・・・」


<ボクが居る限り絶対にもう二度と嫌な思いはさせないから!>


ジョーから名前を呼ばれるのと同時に、彼からの脳派通信。
フランソワーズは逸らしていた視線をジョーへと戻した。








ジョーの手がフランソワーズにむけて伸ばされた。









「島村ジョー君!偽仮面ライダーの正体を見破り!見事、愛する人を守りましたーっっっっ!!!では!ジョー君と彼女さんに本物の仮面ライダーを呼んでもらいましょー!!!」














ジョーは満員の観客の前で、フランソワーズの手をしっかりと握った。


「こんなすごい誕生日、一生忘れられないかも・・ありがとう」








冷やかし混じりの大歓声にジョーh恥ずかし気に、司会者に言われて歓声に応えるように手を振った。















竹岡は自宅に戻り、夕食ができていると声をかけられたが、その声に応えずに自室へと飛び込んでパソコンの電源を入れた。
バイト先で起こった今日のハプニングを、彼が通う道場の先輩であり、今回自分がバイトする遊園地のイベント用野外特設ステージで行われていたアクション・ヒーロー着ぐるみショーのチケットを頼まれた人へと報告するために。

どうやら、向こうも偶然メールをチェックしている時間だったらしく、メールを送信して5分も経たずして、先輩である、湯田みつるから電話があった。


それから3時間と少し。
男同士にしてはかなり長い会話が始まる。

ネタは他人事だから面白い。




司会をしている夏美は個人ブログで今日あったことを事細かく書いた。
ちゃんとゲストの2人から了解を得ている。
一緒に取った写真は顔が解らないように加工するならアップしてもかまわないと言ってもらったので、彼女は青年の顔に初代仮面ライダーのマスクをおいて、一緒にいたフランス人の彼女の顔にはそのときのヒロインの顔を重ねた。

何度も謝罪するジョーにむかって、よくやった!!と、盛り上がるバイトたち。
夏美とその他の女性スタッフにお願いされて”セクハラ”のクレームを申し出た、フランソワーズ。

そして、舞台の途中でどこへ消えたのか、行方知れずになっていた竹岡がなんと、イベント責任者を連れて姿を現し、その場の空気を凍り尽かせたが、その場でフランソワーズに深々と頭を下げて役者の不祥事を謝罪し、2人に遊園地の年間フリーバス・乗り放題のチケットをプレゼント。

ジョーはその対応に恐縮しまくっていたが、フランソワーズは素直にお気遣いありがとうございます。と、それを受け取って、その場を引き延ばすことなく納めた。
本当は、ジョーが殴った相手(濱田)に謝罪(見舞い)の申し出をすべきだろうけれど、責任者たちの様子をみると、連れてきた竹岡が彼らに今回の事以外の何かを吹き込んでいるらしく、そこは女の感というべきか、フランソワーズは何も言わずに、ジョーを促してその場を離れ、先にコインロッカーに預けた荷物を持って、閉鎖された動物園の後に敷地を縮小した植物園で2人を待っている家族。

遊園地内では、持ち込み飲食は許可されていないが、植物園内では可能だった。
若いグループやカップル、その他多くの客が遊園地へやって来た1つの楽しみとして、園内にあるレストランやフードコートを利用する姿を多くみかけた。買ったそれらを植物園に持ち込む姿もちらほらとあり、誰でものんびりと芝生の上でくつろげる、植物園内の”グリーン・フィールド”と名付けられた広場は、昼食には少し遅いと思われる時間であったが、多くの人で賑わっていた。


そんな中。
超特大レジャーシートを敷き、花見でも始めるつもりかと思うほど、重箱に詰めた、華々しい料理たちを囲う、日本人らしき人間がいない、中年グループ。・・・の、中に混じった、異国の赤ん坊。は、とても目立った。

クーラーボックスから次々に出て来る、品々に、まわりの視線が自然と集まり、あまりにたくさんの物が詰められていたので、ぼーっと視線を彼らの箱に注目していた、小さな女の子が、”魔法の箱がある!”と、母親に言う声が聞こえた。












に続く。

*今から昼食編・・(汗)短くして、目指せ観覧車!!・・・・(のんびり)好きなだけ続けさせてください(遠い目・・)
変な妄想が出てこなければ、次でend。を結びたいです。



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