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Little by Little・17
(17)



ジョーの部屋を後にして、自室で身支度を整えて階下に降りたフランソワーズは、リビングルームのドアを開ける前に、深呼吸を繰り返した。
未だに躯の芯に残る熱を外へ追い出そうとするけれど、頭の中は、熱いシャワーを浴びてすっきりした感覚とはまったくかけ離れた、飽和状態。

どうしよう。と、考えれば考えるほど平常心から離れていく。けれど、たまにはムラのある気分のときが、あったりするのは当然なのだから。と、自分勝手な都合で解釈した後に、ドアの取っ手を強く握りしめた。

リビングルームのドアをゆっくりと開ける。すると、リビングルームに置かれているソファに、のびのびと体を横たえて眠る、海の健やかな寝息が、邸近くの波の満ち引きよりも少し遅れたタイミングでフランソワーズの耳に響いた。
そのなんとも長閑な寝息に、フランソワーズの胸はすっと落ち着いていく。と、ずっと昨夜からの色々なことに、緊張していた躯の強張りが抜けていった。
くす。と、微笑み、ソファで眠る海の寝顔を観て「merci」と呟き、続くライニングルームのドアノブに手をかけたとき、聞こえてきたピュンマの声。


「僕だって、そろそろ胃痛から解放されたいんだよ」


驚いているジェロニモに対して、にっこりと笑ったピュンマの目は本気だった。


「ピュンマ、いつからなの?・・大丈夫なの?」


聞こえた言葉にフランソワーズは驚きながら、ドアを開けた。
話題の人の突然の登場に、さらにジェロニモは驚き、ピュンマは勢いで飲み込んだ唾液が器官の変な場所へと入って咳き込んだ。


「よっ!不良娘っ!!噂をすればなんとやらだな!」


げほげほ咳き込むピュンマにかまうことなく、ちょうど空になった珈琲マグを、当たり前のようにフランソワーズにむけて差し出した。


「なんか飲むんだろ?ついでに、珈琲入れ直してくれよ、ジェロニモのは、薄くってな!」
「ジェット好みだろ。」


苦しそうに咽せるかえる、ピュンマの背を撫でてやりながらジェロニモが言い、フランソワーズはジェットを無視して、ピュンマのそばに駆け寄った。


「おっさんのせ-で、舌が変わっちまったんだよ、最近は」


毎朝ドイツ人のいれる、濃い目の珈琲を飲み続けていたために、”アメリカン”では、満足しない、アメリカンになったんだ。と、面白くもないジョークを言った。


「フランソワーズ、おはよう」


はあーっと、ため息をつき、目のふちにのった涙を拭いながら、傍らに立ち、心配そうに覗き込んでくるフランソワーズにむかって、ピュンマは言った。


「だいじょうぶ?」
「うん、大丈夫だよ・・はは。びっくりしちゃった」
「本当に?」
「うん、本当に・・・胃痛も心配しないで。ジェットと一緒にいたら、誰でもなっちゃうもんだからね」


<オレじゃなくて、”ジョー”だろ、”ジョー”!>と、脳波通信が飛んでくるが、ピュンマは無視する。
ジェロニモが”気になること”を訊く役目を負わないことは、明白であるため、どっちが先に、”その話題”を出すか、お互いの動きをお互いに分析し合う、2人。

ジェットとピュンマは相手がフランソワーズであるため、慎重になっていた。
ジョーだったら遠慮なく雁字搦めにして、ミッション中にも関わらず、報告もないままに行方知れずとなったことを、リーダーという立場を強調して追求し、昨夜からの詳細を、事細かく聞き出していたことだろう。

009の全力の抵抗があったとしても、002,008、そして005の3人に、いざとなれば、それぞれが”隠し持つ”切り札(交換条件用物品/ネタ)を出してでも。


「それよりよ、珈琲!」


昨夜から今までジョーとフランソワーズは2人きりだった。しかも、今まで一切の報告もなく、行方知れず。ミッション中に、だ。


<なあ・・>


さくらの”失恋の傷”を軽くするために訊いていた愚痴の中に含まれた、ジョーの台詞が、ジェット、ピュンマの期待を無意識に煽る。
実際に、さくらとジョーのやり取りの一部始終を訊いていたジェットは、ピュンマ以上に気持ちが急くが、フランソワーズが泣いたかもしれない、赤みがかった瞳を観れば、安易に踏み込んではいけない気分にさせられて、滅多にかけないブレーキをかけている。


<うん・・・泣いたみたいだね>
<・・訊くなら、ジョーにしろ。>


ピュンマも、ジェットに倣うように、すでに空になっていたマグを手に、フランソワーズのカフェオレが飲みたいな。と、お願いした。
いつもと違った、ぎこちない笑顔をみせならがフランソワーズは、ジェットとピュンマの2つのマグを持って、キッチンへ向かう。
その彼女に向け、付け足すように「フランソワーズ、緑茶も頼めるか?」ジェロニモが声をかけた。
フランソワーズは振り返って頷き、ジェロニモの緑茶も入れる事を快く引き受けてキッチンへと入っていった。


「っだよ、じゃ珈琲じゃなくって緑茶を自分でいれりゃーいーじゃん、始めっから!」


瞳のふちをうっすらと染めている色は、心配するような意味ではないと、笑顔をみせるフランソワーズにたいして。ダイニングルームに残った3人は考えた。


「自分でいれたら、なぜか薄くなる。」


泣いた形跡の色は、何を意味しているのか。
謎を解く鍵を握る、彼が姿を現すまでは、お預けとなった。


「ねえ、3人とも、・・・朝ご飯はまだなのかしら?」


キッチンカウンターテーブル越しのフランソワーズの声に、「」これ以上は食えねえよ!と、言ったジェット。
「胃薬がいるかも。」と眉尾を下げて額に八の字を描いたピュンマ。
2人から、”さくら、失恋自棄食い大会”の話を聞いていたジェロニモは、笑いながら、自分は「まだだ。」と、フランソワーズに伝えた。








####

寝返りうった体の、ソファから落ちかけてバランスを崩した感覚が、海の目覚めを促した。


「・・・?!」


腕を振って、慌ててソファの背の方へと体を移動させ、”墜落”を免れることを確認する頭は、すっかり眠りから覚めてしまい、海は、のろのろとその体を起こす。
両手を天井にむかって伸ばし、意識して空気を吸い、顎が外れてしまわないか心配なほどに大口を開けてしっかりと眠気を払う、あくびを1つ。
腕をおろして、体の向きを変えると、足をソファからおろして、ガラス作りのロー・テーブルと向かいあった。
テーブルの上に、自分の携帯電話が置かれていたので、それを手にとり、登録したばかりの名前とメールアドレスへと短いメッセージを送った。


「ピュンマー・・・」


メッセージを送った後、携帯電話をテーブルに置き、親友を呼ぶ。

義足を付けっぱなしで寝てしまったので、固定していた部分が、痛痒く、海はごそごそと、それを外して、フローリングの床に置く。切断した足の部分にかぶせている専用の布も取り、空気に触れさせた。
義足を取り付けるために、接続させる皮膚部分は布に覆われて固定された状態になる。そのためこれから本格的に訪れる季節には、衛生的な面でいろいろと面倒なケアが必要になることを、ぼんやりと思い返した。


「ピュンマー・・・?」


義足を外したために、松葉杖がないと歩行が困難になる。また、カバーを付けて義足を取り付ければいいが、汗が染みているカバーを再び付けるのは、少し抵抗がある。別のものでも代用が効くので、ホテルに戻る間くらいなら、問題ないだろう。と、考えながら、ピュンマを呼んだ。
この邸のどこかにいるだろうし、彼なら、邸内に居る限り、聞こえないことはないだろう。


「ねえ、ピュンマー、どこおお?」


寝起きのかすれた声で、親友を呼ぶ。と、ダイニングルームへと繋がっているドアが開いた。


「おはよう、海、起きた?」
「ごめんー・・ぼく、寝ちゃったんだね・・・いつギルモア邸についたのか、わかんない」
「あはは、タクシーに乗ってすぐ寝ちゃったからね!起きれる?」
「うん・・・あのさ」


昨日から一睡もしていないと思われるピュンマだけれど、普段と変わりない爽やかな満面の笑顔で、海の座るソファに近付き、彼の隣に座った。


「何か飲みたい?冷たいものがいいかな?」
「冷たいの」


ピュンマに訊かれて、海は自分の喉の乾きに気づき、頷きながら、カバーの代用になるタオルか何かを借りられないか、頼んだ。


「代用じゃなくて、僕の部屋にカバーの予備があると思うんだけど?」
「え?そうだっけ?」
「うん、週末用の、あれ全部ホテルに持って行ってないだろ?」
「あー・・・そうだあ」


あやめ祭が終わるまで、サイボーグメンバーたちの監視下にいることを指示されている海は、常にピュンマと行動していた。
週末、ピュンマ(サイボーグメンバー)が月見里学院の寮を出てギルモア邸に戻るとき、当然海も一緒にギルモア邸に戻る。それは、篠原当麻も同じだった。

ピュンマは脳波通信を使い、朝食の後片付けをしているフランソワーズへと飲み物を頼みながら、にやあ、と、ジェットを彷彿とさせる笑みを作った。


「な、なに?・・・p、ピュンマ・・」


ぼんやりしていた海の頭の霧がさあっと引いて行く。


「起きて速攻、さくらにメール?」


ソファとセットになっているテーブルの上に置かれた海の携帯電話を手にピュンマは、ずい!っと、それを海の目の前にまるで”印籠”でもつきつけるかのように、持った。


「みてたのっ?!」
「えっ!?本当にさくらにメールしたんだっ!!?」


冗談だったのに!と、大げさに驚いてみせる、ピュンマ。


「!?」
「いつの間にメルアド交換したの?僕知らないよっ訊いてないよっ?」


海が起きたようだと、ピュンマに教えたフランソワーズ。
その海が、起きてすぐに携帯電話を持ったことから、何かあったのかと警戒したのも、彼女。通話ではなく、メールであることを、ピュンマに報告した。

海が事件に深く関わってはいない。不運にも篠原当麻の誘拐に遭遇し、友人を助けたい正義感からの行動で失ってしまった左足を、サイボーグ実験モデルとして補われただけだ。
それでも、総てがクリアされるまで、津田海の行動は”全て”、サイボーグメンバーの手によって様々な手段で記録されていた。
彼の日常でサイボーグメンバーたちが、知らない行動はない。それは、篠原当麻よりも徹底されて、完璧な”監視”であった。

あと、1日。
今日が終わり、何もなければ、それらの監視はなくなる。
完全に監視の手を解放するわけではないが、今までのようなプライバシーがない状態ではなくなる。

ピュンマは早くそうなればいいと、願い、今日1日、無事に何も起きる事がないように。と、祈った。


「ピュンマにいちいち言わなくてもいーだろ!」
「あ!ひどっ海っひどいよっ僕と海の仲なのにっ!!」
「たいしたことじゃないって!ただっ、おはようって・・・挨拶!挨拶だよっ!!」


ピュンマの手から携帯電話を奪い返した海の顔が、面白いように朱色に染まっていく。
泣いて、愚痴って、食べて、疲れはてて眠り込む寸前まで、さくらはジェット、ピュンマではなく、ずっと、うん。うん。と、さくらの言葉に聞き役に徹する海にべったりだった。


「僕より先に朝の挨拶ー?知り合ったばっかりのさくらにー?えー?」
「別に、メールだし!」


長期滞在経験のある、コズミ博士の屋敷の台所から、さくらの部屋に持ち込んだアルコールで、ほろ酔い加減のジェットが海とさくらの様子を観ながら言った言葉をピュンマは思い出す。


『恋で傷ついたら、それを治すのもまた”恋”だっ!・・失恋に効く薬は、新しい恋ってな!!いい感じじゃね?』
『そんな簡単にいくかなあ・・・』
『女ってのは、都合主義な部分があるかんな、男より逞しいぜ?』
『でも、違うと思うよ。・・・そんなに簡単に切り替えられなんじゃない・・さくら・・・』


どうやら、違っていたのはピュンマの方らしい。
そしてそれは”さくら”の方ではなく”海”の方に、芽生えが訪れた様子だ。


「アイスティでいいかしら?」


ダイニングルームへと続くドアが開くとトレーに2人分のアイスティーをのせた、フランソワーズが姿をみせると、海にむかってピュンマが人差し指で蟀谷(こめかみ)部分をとんとん。っと叩いた。
「ああ、通信ね」と、納得する海にむかって、驚かしちゃったかしら?と苦笑しながらフランソワーズがリビングルームに入って来る。

サイボーグ・メンバーとの暮らしに大分慣れて、その独自の通信機能を使ったコミュニケーションを、何度も目にするが、なかなか慣れないなあ。と、海は思い、自分に”それ(脳波通信)がないから、それを使った感覚と言うのが、わからないせいだ、と答えを出した。


「おはようございます、海さん。ピュンマの分も用意したの・・・だけど・・」
「あ、うん。ありがとう。僕ちょっと2階に用があるから、すぐ戻るけど、ジェットは?」
「ジェロニモの部屋よ」
「え?」
「アメリカ行きの、こと・・・で・・」
「・・そう」


海から観て、彼らが通信と言語を上手く使いわけているのも、とても興味深い。
ピュンマはソファから立ち上がると、「すぐに戻るから」と、言い、リビングルームを出て行く。
フランソワーズはアイスティーをビーズで作られた丸いコースターの上に置いて、海にすすめた。ピュンマの分のアイスティーも、その隣に、色違いのコースターの上に置く。


「おはよう、フランソワーズさん」
「おはようございます」


海が座る位置から少し距離をあけて、L字型ソファの2人がけ用部分。海からみて、右斜め前に座ったフランソワーズは、トレーを膝においた。


「邸にいたんですね」
「え?」


海はフランソワーズにたいして、出会ったときから変わらず、敬語で話す。ジョーにたいしても、微妙な敬語だったりもするが、それは月見里学院内の学年の差のせいかもしれない。けれど、怪我で留年している海にとって、ジョーは年齢的には同じ年。


「みんなすごく心配してたんですよ」
「・・・、え?」
「?」
「心配・・・?」
「そうですよ、だってどこへ行ったか連絡1つ寄越してこないって・・それd」
「!!」


フランソワーズは海の言葉に飛び上がらんばかりに驚き、立ち上がると、リビングルームに置かれたコードレスフォンに飛びついた。
すっかり慌ててしまったフランソワーズは、”イワン”の力によってギルモア邸に戻って来たことを忘れていた。

そのイワンからホテルにいる家族に、自分たちがギルモア邸にいることが伝わっているだろうし、ジェロニモがジョーの部屋で瞬間移動(テレポーテーション)されてくる自分とジョーを待っていたのだから、ジェロニモがホテルへ連絡していてもおかしくない。それに、ここには今、ジェット、ピュンマ。そして、海がいるのだ。

彼らが、ギルモア邸に来たことを自身の”能力”で知ったフランソワーズ。
その彼らの会話も聞いていたので、自分とジョーを迎えに来たと、知っていたはずの、彼女。だけれども、先ほどから顔を合わせていた3人から、一言も昨夜からのことを話題にはされず、その間にフランソワーズは、自分を含めてジェロニモとジョーの3人分の朝食を作り、片付けを済ませ、それらにこころ集中させ、”普段”と変わらない生活空間に身をおくことにより、すっかり落ち着きを取り戻してしまったばかりに、当たり前に気づきそうなことが抜け落ちてしまっていた。

そして、彼女は未だに、自分が”携帯電話”をギルモアが泊まるホテルの部屋に忘れている事に気づいていない。


「私ったら、私ったら・・・!」


フランソワーズの指先が迷いなく押す番号は、ギルモアの携帯電話。
泣き出しそうなほどに慌てふためくフランソワーズを観て、海は自分が何か悪いことでも言ったのかと、焦った。









####


リビングルームを出て2階へと階段を上がり、右手へ曲がる。
階段をあがってすぐに2階の開かれたコモンルームが目に入り、ローテーブルの上に置きっぱなしになっている、雑誌の表紙にプリントされた『F1 RACING』が目に入った。

誰のだろう?と疑問に思う。
乗り物関係なら、ジェットかジョーだね。と、ひとりごちて、そのまま自室へ向かうために足を進めた。

ちょうど、ゲストルームのドア前を通り過ぎようとしたとき、ごん!と、勢いのよい音と、うわあ!と、悲鳴に近いピュンマの声があがる。


「え?・・・ピュンマ?」
「ジョー・・・・」


ゲストルームのドアが固い何かにぶつかった衝撃を手に感じつつ、ぶつかった”何か”が家族の1人であることに驚いた、ジョー。


「ひどいよ・・・気をつけてよお・・」
「歩くなら、もう少し真ん中歩いたら・・ぶつからないと思うんだけど」
「僕のかってだろ、真ん中歩こうが、端っこ歩こうが!」
「・・・いや、一休さんは、端(橋)を歩かず、真ん中を歩いたから・・・・」


ぶつけられた後頭部をさすり、文句を言うピュンマに対して、ゲストルームに付属する、ユニットバスに置かれたフランソワーズ・チョイスのアメニティグッズの香りをまとうジョーは、ぶつけたピュンマではなく、ゲストルームのドアの方を気にしつつ、ピュンマに謝った。


「・・ごめん。考え事してたから・・・気づかなかったんだ」


ジョーはゲストルームから出て、ドアを閉めた。
家族(ギルモア除く)全員が”石頭”なので、ドアくらい軽くぶつけたくらいでは、怪我などしない。心配するのは、ぶつけられた人物よりも、ぶつけてしまった物になってしまうのは、仕方ない事かもしれない。が、普段の彼なら、ピュンマを心配していたことだろう。
彼のこころの準備が整わないままに出会ってしまったピュンマ(家族)にたいして、ジョーなりに精一杯、平常心を保とうとした結果の、行動だった。


「僕の気配に気づかないくらいに、考えてた事って、一休さんについて?庄屋さんがなぜいつも”悪者”で”意地悪”なのか?それとも」
「?」
「フランソワーズとの無断外泊。僕たちの知らない空白の一晩に”した”ことかな?」


ピュンマは後頭部に受けた衝撃がスイッチになって、いらない一言を口にしてしまった。が、自分の耳でその台詞を確認しながら、素早くジョーの反応に予想を立てる。


予想その1。
もしも2人が”両思い”になっていたら、ジョーはきっと狼狽えて、躯中を防護服よりも栄える色に全身を染める。

その2。
もしも何もなかったなら、ちょっと拗ねた感じで「”した”ってどういう意味?」とつっかかっりながら、ポーカーフェイスを装う”努力”が観られて、言い方を変えた”同じ内容”の台詞を効くはめになる。(そのときは、胃痛の薬の調合をかえてもらわう必要がある。)

その3。
自分たちから観たら、それは蟻一歩にも満たないことだろうけれど、2人にとってはものすごく進展した内容の、ものだったら。ジョーは普段通り。

その4。
フランソワーズの泣いた形跡かr・・・・・・?



「向こうで、話す・・・か、な。多分、・・・うん、多分・・・。でもまだ・・・もう少し時間がほしいから」


ジョーは、戸惑い気味に苦笑しつつ、答えた。
少し恥ずかしそうに、視線をピュンマから逸らし、中途半端にドライヤーで乾かした髪が、めんどくさそうに、首を左へと動かしたジョーを追いかけた。


「・・・時間が欲しい???」
「あ、・・・・うん。・・・まだ、ちょっと、色々・・・いや・・別にたいしたことじゃないのかもしれないんだけど、なんていうか、・・・うん。少し時間が欲しいな。できれば・・」


ピュンマはぽかん。と、間抜けな顔で、長い前髪に隠れて表情が読めないジョーを、食い入るように観る。彼の髪からのぞいている耳が、こころなしか朱い。
それは、シャワーを浴びた後だからなのか、どうか、判断しがたいほどの微妙な染まり具合。だけれど、次に。


「だから、その・・・頼むんだけど、”そのこと”には、触れないで欲しいんだ、py」


ピュンマから逸らしていた瞳を、まっすぐに彼へとむけ、視線を合わせたたとき、ピュンマは奇声とも、悲鳴とも、歓声とも、なんとも言えない叫び声をあげて、ジョーに思いっきり抱きついた。


「んまっっっっ!?」


ギルモア邸を揺るがす、ピュンマの雄叫び。
008の力で009を絞め殺さんばかりの遠慮のない腕が襲い、どおおおん!っと、勢い良く008から体当たり(抱きつき)をくらい、突然のことに、バランスを崩したジョーは、そのままゲストルームのドアに倒れ込む。


ギルモア邸の作りは、それほど柔にできてはいない。
けれど、さすがに改造されて強化された、人並みはずれた”力”は、ちょっとした隙をついて、日常に出てしまう。


「う・・ああっ・・・・・いっ・・・・・pう…・・」
「ジョーっ!!何も言わなくていいよっ!僕、わかったからッ!!!」



ゲストルームのドアが2人のサイボーグの、スキンシップによって壊された。




何事だ!と、駆けつけたのは、言うまでもなく邸内にいた002と005。
003は通話中の子機を持ったまま、リビングルームで海を守るように、眼と耳のスイッチを入れて待機。


「・・・ジェロニモっ、カメラ!」
「なぜだ。」
「オレが壊したんじゃなくって、ジョーとピュンマだっつー証拠がいんだよ!!」
「ジョーっ!!僕はっ僕はっ!!」
「く・・r、し・・ちょ・・・・ぴゅ・・んm」


眺めてないでなんとかしろ!と言う視線は、壊したドアの上に乗っかり、その上に抱きつくピュンマの腕に苦しめられているジョーの、珍しい姿を見下ろす、ジェットとジェロニモに向けられる。


「ジョー、風呂入ってたのか?つーか、ピュンマ!ちょっとそのまま、ジョーを締めてろ!デジカメ、デジカメっと!!」


ジェットは素早く、ゲストルームの斜め前の自室へと駈けていく。


「フランソワーズが、ブランチ(朝食)を用意している。」


ふ。っと微笑んだジェロニモは、ピュンマをジョーから引きはがすことをせず、のんびりとその場を離れて階下に降りていきながら、フランソワーズに通信を送る。


<心配ない。ピュンマがジョーを襲っただけだ。>
<お、襲・・・?ジェロニモ???>


眼で確認する限り、襲撃や、事件、などではないことに、ほっと安堵する、フランソワーズ。
ゲストルームのドアは破壊され、倒れているジョーの上に抱きつき、ぐりぐりといがぐり頭を押し付けているピュンマに、カメラを手に駆け寄って証拠写真だ!浮気現場だ!と、写真を撮るジェット。

海の視線はきょろきょろと、破壊音が聞こえた2階と、フランソワーズを往復する。


<ジョーの分の珈琲を入れて、まっていればいい。>
<・・・>


何が起ったのか理解できないが、とにかく、ゲストルームのドアが被害にあったことだけに納得して眼のスイッチを切った。


<ああ。それから。>


脳波通信を使っていたジェロニモは、言葉の途中で脳波通信を切る。
のこり、3段となった、階段を歩調を心持ち早めて降り、開けらたままのリビングルームのドアをくぐると、まっすぐにフランソワーズの座るソファの前に立つと、膝を折り、フランソワーズの視線に合わせた。


「アメリカへ行く。・・・ジェットも一緒に。・・・大丈夫だな?」


海は天井とフランソワーズから、一体何がどうなってるのか、理解できないままに、今度はジェロニモとフランソワーズを交互に見つめた。


「ジェロニモ・・」
「大丈夫だな、フランソワーズ」


フランソワーズの頬がうっすらと色づき、こくん。と、小さく縦に首を1度動かすと、ジェロニモの太陽の香りが近付き、ふわり。と、フランソワーズを抱きしめた。

フランソワーズの手にあった子機から、『おーい!何があったんじゃっ?!』と、ギルモアの声。
その声に、「あ、いけない!」と、会話の途中だったことを思い出した、フランソワーズの手から、子機をジェロニモが取った。
ジェロニモの大きな手のために、おもちゃのような存在になった子機を持ち、立ち上がりながらフランソワーズの代わって、電話の向こうにいるギルモアと話しはじめた。
話しながら彼は、リビングルームから出て行き、ダイニングルームを通りすぎて、自室へと向かう。


「博士、みんな、昼過ぎにそっちへ戻るだろう。」
『なんじゃ?いったい、何がどうしたんじゃ?』
「・・・なにが、どうなったか、楽しみにまっていてくれ。それと、1つ報告がある。」












====Little by Little 18へ続く。

・ちょっと呟く・

あれ、ここ89?
いえいえ29・・・違います93ですっ(笑)


さて、これからどうなりますやら・・・。
当麻くんがいますからねー。
そうすんなり幸せになれると思うなよー(←?!)
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