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Little by Little・18
(18)



耳を塞ぎたくなるような大声で話すのは、ジェットの特徴である。
彼が”内緒話”ができるのかどうかを疑いたくなるけれど、周りに人がいる場所で彼と秘密を共有しようと考える者など、家族たちの中に誰1人としていない。

ジョーにしがみついて離れないピュンマの様子に、ジェットはからかい半分、呆れ半分で自室から持ってきたデジタルカメラを使い”証拠写真”を数枚納めながら、今の状況を説明しろ。と、ピュンマの下敷きになっているジョーの足を蹴った。


「見ての通りだよ、ジェット。・・・ピュンマに襲われ・・ている」


ピュンマのいがぐり頭を胸上にすり寄せられ、がっちり腕で首周りをホールドされながら、ジョーは苦笑混じりにジェットを見上げる。


「っだからよ、その、原因はなんだっつーんだよ!」
「・・・・ちゃんと、帰ってきたから?」
「んなのったりめーだろ?!ミッション中に報告なしに外泊しやがって、わかってんだろーな!?」


ゲストルームのドアとしての役目を終えた板の上に乗るジョーは、相変わらずの場に似合わない声量で話すジェットのドスの効いた声にたいして片眉を顰めつつ、ピュンマごと上半身を起こした。
その動きに合わせるかのように、ピュンマもジョーの首に巻き付けていた腕を離し、ゆっくりと彼から離れる。そのピュンマの瞳はグレートや最近邸内を行き交っている少女漫画の絵のように、きらっきらと輝き、まっすぐにジョーに向けられていたままだ。
悦びを噛み締める唇は一文字に引かれて、頬はこれでもかと言うほどに高くなっていた。ジェットは腰を下ろしてまじまじとピュンマを見た後、彼の顔をアップでシャッターを切った。









####

騒々しい3人が2階から降りてくる声が聞こえた。
正確に言えば、騒いでいるのはジェット1人。

リビングルームにいる海にもジェットの声が、他、2人の声も届き始めた頃合いに、フランソワーズはソファから立ち上がった。


「あの、私・・・用事が・・」
「?」


落ち着かない様子で、さっと海から離れて、急ぎ足でダイニングルームへと続くドアへと消えていったフランソワーズとほぼ同時に、ジェット、ピュンマそしてジョーがリビングルームに入ってきた。


「・・・・津田も、いたんだ」


普段はギルモアの定位置である安楽椅子にどっさりと腰を下ろしたジェットは、フランソワーズが用意したピュンマの分のアイスティーを手をのばして、ストローを使わずに飲んだ。


「おはようござい・・ま、す」


ピュンマが海に頼まれた義足用のサポーターを渡しながら彼の隣に座る。海は上目遣いにジョーに視線をむける。


「おはよう」


ジョーは頷くような仕草を加えつつ言った。


「よお、海。フランソワーズはどおしたよ?これ飲んだら戻るぜ?」
「ジェット、そんなに急いで戻らなくても大丈夫だよ!ジョー、なんか食べるだろ?ダイニングにいるんじゃないかなあ、フランソワーズ!ふふ・・っ」


ピュンマの顔は、誕生日とクリスマスとお正月を一度に迎えたような、嬉しくて嬉しくて仕方がない。と、顔に書かれた表情でソファに座る事なく突っ立っているジョーにむかう。


「・・・・」


目は口ほどに物を言う。を、訂正してピュンマの顔は・・に変えた方がいい。と、ジョーは胸の中でため息をついた。
ピュンマの頭に花が咲いてるぜ!と、そ感想を抱くジェット。
ジョーから聞き出す必要もなく、ピュンマの様子で何かしらの進展があったことをジェットは知る事となったが、詳細については、ミッション中の無断外泊のペナルティを下すであろうメンバーたちに便乗しようと、今からその作戦を練り始める。

会話が途切れた合間に、海が義足を取り付け始めた。


「何か、用事があるっていって向こうに行ったんだけど・・・」
「用事!用事かあ!用事なら、ジョー、きっと君の珈琲だよっ、用意してるんだ!!」


いったん腰をおろしたソファから勢い良く立ち上がったピュンマ。その勢いに海がバランスを崩してソファの上でよろけた。


「さーさーっ!」
「ピュンマ!?」


ピュンマは素早くジョーの後ろへ回り込むと、ぐうううっと腕を伸ばしダイニングルームへと続くドアへとジョーの背を押していく。


「ほらほらほら」
「え。ちょっ」
「遠慮しない、遠慮しない!、遠慮なんか今更いらないから!」
「・・・っ」


ピュンマの浮かれ具合は異様だった。
敢えて止める必要がないジェットは、傍観に徹し、海は何がなんだかわからないままに、装具の取り付けていた手を止めて2人を見ている。


「ごゆっくり~♪」


ピュンマの浮かれ具合にどう対応すればいいのか解らないまま、ジョーは彼に背を押されてダイニングルームのドア前まで足を進めた。
ジョーの背後からにゅ。っとのびたピュンマの手がダイニングルームのドアを開け、どん!と彼の背を強く押してダイニングルームへと押し込んだ。
すぐ後ろでばたん。と、ドアが閉しまったが、10を数え終えたタイミングで、そろり。とそのドアが細く開く。

3人の野次馬の目を縦に並べて。











「・・・・ええっと・・」


それが、ダイニングルームに入ったときのジョーの第一声だった。

ギルモア邸の定番になりつつある香ばしい、滝れたての珈琲の香りに満ちたダイニングルームは、キッチンからささやかに聴こえる物音以外何もなかった。
その音から、ピュンマの予想通りにフランソワーズはキッチン内にいることがうかがえる。もしかしたらジェロニモかもしれない、などとはジョーの頭には浮かばない。


「・・・・・んん・・と・・」


ピュンマのピュンマらしくない興奮しきった態度と反応に、彼になら昨夜から今朝にかけてのコトをかいつまんで話してもいいかもしれない。などと思ったことは、星のまたたきよりも早く闇へと葬り去った。


---ジェットの方がマシなのかもしれない。


そんな風にジョーに思わせてしまうほどのピュンマの浮かれ具合に、全身に変な汗を掻いてしまったジョーは、もう一度シャワーを浴び直したい気分にさせられた。
けれど、そのおかげで自分は普段とかわらない顔でいられたと思えば、感謝するべきなのか?と頭をひねりながら、キッチン内にいる人に声をかけるべく喉を鳴らすように、生唾を飲み込んで気持ちを整える。


「・・・・ジョー?」


彼よりも、早く、彼女が声をかけた。
キッチンの奥から。


「あ・・・hi」


今、彼らの家となっている人目から忍ぶように海沿いに立つ洋館に越してくる前に、ダイニングルームとキッチンはひと続きになるように改装された。
元々独立した部屋となっていた内部を張大人の希望に壁を取り払い、横に5人がゆったりとすわれるほどの、収納棚式のキッチンカウンター・テーブルで仕切った。


”キッチンから食事をするみんなの顔が見られるようにしてネ!何かと便利アルからして。どう便利かあるか?それは使ってみての、リフォーム後のお楽しみネ!”


今では、たまにキッチンカウンターが即席のバー・カウンターに姿を変える工夫までされてしまっていた。


「・・・あの・・軽く、食べます、か?」


その、キッチンカウンターの奥から聴こえる声に、ジョーは胸をドギマギさせて反射的にびし!と直立姿勢をとる。

フランソワーズがジョーの部屋を出てから、どれくらいの時間が経ったのだろうか。
今朝方、お互いの胸の奥底にひた隠していた気持ちを打ち明けた、ジョーの部屋での出来事から。


「食べます・・」


2人ともか細い声で、なぜか他人行儀なですます口調で会話を始めた。


<なんなんだよっアイツらの会話はっ!確実になんかあったな!!ぜってーなんかあった!>
<しーっ!笑っちゃダメ!声出しちゃダメだよっ!!>


フランソワーズがジョーの部屋を出るきっかけになったのが、野次馬3人が乗り付けたタクシー。再びダイニングルームで2人になったのも、野次馬(二号)のせい。

ダニングルームのドア前に立ちっぱなしのまま動けないでいるジョーのため、そんな野次馬たちの目には、彼の背ばかりをうつしていた。
彼らの気配に簡単に気づきそうなものの、今のジョーに、海が笑ったときにでくる左えくぼほどの大きさの余裕さえ、ない。


「・・ホットサンドを用意したんです、けど・・」
「・・・お願いします..」
「・・はい」


吹き出しそうになる野次馬1号の口を押さえる野次馬二号。三号は大人しく誘われたままにドアからダイニングルーム内部の様子を見守っていた。


<ピュンマ、お前の浮かれっぷりといいっ、2人のこれといいっ!!>
<”確実”に決定的な現場を押さえたいんだっ!この眼でしっかりと見たいんだよっ!!僕はこころの底から本気で安心したいんだから!>
<決定現場か?!よっしゃっカメラ!・・いやっ、これならビデオだな、動画だっ!動画!!>


ジョーの躯がドア向こうの野次馬たちの視線から離れていく。
そのぎこちない動きに、右手右足が同時に出てしまっているようなジョーの動きを、ジェットは携帯電話内蔵のビデオカメラで撮影を開始した。


<見ろよっ!ジョーのあの壊れたロボコップみてーな歩き方っ!!>


ジョーはダイニングテーブールに手をついたとき、自分の手の平の汗に滑り驚いた。
彼のこころの狼狽え具合を表すように、がたがたと音を立てて椅子をひき、ダイニングテーブルに着く。

普段の彼ならキッチンカウンターに座り、フランソワーズが用意する様を眺めていただろう。家族が揃わないとき、各個人で食事をとるときなどは、みなカウンター・テーブルを愛用している。


「・・・」


そのカウンターの向こう側からこぽこぽと、彼の珈琲が注がれる音が聴こえた。
ジョーは落ち着かないままに、キッチンがある方向には背をむけて、ジェロニモが早朝届けられた新聞をダイニングテーブルに置いたままにしていたようで、躯を伸ばしてさっとそれを手に取った。すると、ジョーが手に持った部分が湿っていく。
一度テーブル前に新聞を置いてから、汗を振り払うかのように力任せに両手をぶるぶると振ったあと、再び新聞紙を取りあげて広げ、紙と印刷用インクの匂いを思い切り吸い込んだ。


「・・・用意、できました」


フランソワーズの履くスリッパの音が妙に大きく、ダイニングルームに響き、その音がジョーに近付いて来た。その音に合わせるかのように、ジョーの心臓の音も大きくなる。


「・・・うん」


ジョーは新聞の規則正しく並べられた字を読むのではなく、小さく隅っこにプリントされた天気予想図を意味もなく凝視した。
トレーがテーブルの上に置かれる音と同時に、彼女の香りが珈琲の香りに紛れてジョーに届く。新聞の紙と印刷用インクの匂いなど、遥か彼方へと吹っ飛んで、彼女の届けてくれた香りだけがジョーの躯の中を満たしていく。


「・・・・・」


置かれたトレーの上にある、ハムとチーズを挟んだホットサンドにちらり。と視線を動かすと、そのお皿を持ち上げたフランソワーズの手が視界に入った。お皿の縁にのる親指の爪がつるつるとした感触を想像させるように光沢を放つ。


「・・・・・」


無言で、フランソワーズはホットサンドのお皿をトレーからテーブルに移し、次に、ことり。と、珈琲が注がれたマグがテーブルに置いた。


「ありが、と、・・う」
「・・・他に、なにか・・・いるかしら?」


ジョーのブランチを運んだトレーがテーブルから離れて、ダイニングルームの端に座るジョーの、すぐ傍らに立つフランソワーズが、ジョーに尋ねた。


「・・・・・いや、十分・・だよ」
「・・・・・本当に?」


その、なんとも言えない、言葉に表現しようのない、甘く痺れたような緊張感がダイニングルームを包み込み、野次馬たちにも感染していく。3人の頬がにんまりと高くなっていき、その笑いを我慢するかのようにくちびるに力が入っていった。


「・・うん」


ばさり。と、ジョーは態とらしく大きな音を立てて広げた新聞を畳む。そのジョーの手元を胸元にぎゅうううっと使ったトレーを抱き締めながら見ている、フランソワーズ。
ジョーが畳み終えた新聞紙を彼の右隣にある開いた椅子の上に置くと、偶然にもそれが、2人にとって合図となったようだ。


「「・・・・・あの」」


ジョーとフランソワーズ、2人が同時に口を開いた。
その声が見事にはもったので、ジョーは反射的に新聞紙からダイレクトに顔をフランソワーズへと移動させると、フランソワーズの瞳がジョーの視線に捉えられた。










好き。
















少し前の体験を2人の瞬きした瞼にフラッシュバック。
一瞬の映像が瞳に映った相手との続きを探す。

















キス。



















スキだからキスして、キスしたいほどにスキで。
キスをして、スキと言って。
スキとキスを繰り返した。





「「・・・・・・・・・・・・・・」」







吸い寄せられそうになる感覚に、耐えられそうにない2人の視線。


<おおおおおっ?!やっぱりかっ!とうとうこの日が来たのかああ?!>
<うわ、うわ、うわ、うわあああ!!>
「・・・・」


お互いの中の熱が、不足する燃料を感じてフラッシュバックした中の出来事を要求し暴れる。が、その想いをのせた舌が作り出したジョーの言葉は。



「・・・・今日の天気は良いみたい、だ、よ」
「・・・・それは良かったわ」



<<はあああああ?!!!>>
「・・・・っ重い~~~~っs


拍子抜けした野次馬一号、二号は縦に身を重ねるようにしてドアにはりついているために、三号の上に乗るように脱力した。



食い入るように見つめ合う2人のうち、琥珀色の瞳が意を決したように言った言葉の選択は、凝視していた新聞の内容が反映されてしまい、巧くいかなかった。
なんとか伝えるべきことをジョーに伝えなければという義務感から、会話をつなげようと、胸にトレーを抱きしめるフランソワーズが、次に口を開いた。


「・・・ジョー、私・・・博士と、話しました」


フランソワーズの口から出た、”博士”の単語にジョーの眉間がぴくり。と反応した。


「博士と・・・?」
「その・・・連絡、・・・昨日から、誰にも、どこにいるか、とか・・・報告してない・・・・」


ダイニングテーブルの上に置かれた珈琲がたたさせる湯気が、ジョーの頬にかかる。


「・・・あ、ああ・・・」


不意に胸が詰まったように息苦しくなり、慌てて、フランソワーズはジョーの視線から瞳をそらし、胸に抱えていたトレーに顔を埋めるように隠した。


「・・・・・・・反省、しなくちゃいけないことなのに、ミッション中で、みんなに、とっても迷惑をかけてしまったのに、私、・・・できない・・の・・・」


ホットサンドのチーズと、トーストの焼けた香りが珈琲に混じる。


「ジョー・・私、・・・・・003、失格です・・・・・」








がた。と、ジョーが立ち上がる反動に押された椅子。



<おっ!!>
「・・・・」
<今度こそ!?>


ジョーが立ち上がった勢いに野次馬たちが息をのむ。



「・・・・・。ごめんなさい」
「謝らないで・・・。俺の携帯は、使えなかったから・・仕方ないと思うし・・・。気にしなくて、いいよ。それに・・・・」


トレーに隠したフランソワーズの顔を覗き込む、ジョー。


「でも」
「責任は、俺にあるから」


その彼の手がそっとフランソワーズの肩に触れた。


「ジョー、・・違うわ」


否定するようにフランソワーズの髪が左右に揺れる。


「いや・・」
「私にあるのよ、だって・・」
























・・・・だって。





あのとき、私はすべてを忘れていたもの。















ジョー、あなたのことでいっぱいだったから・・・・・。
ミッション中で、003でいなければいけないときに、私は、私/フランソワーズだったから。



本当は、こんなことはあってはいけないこと。
いけない、こと。

許されてはいけない、こと。

















「俺の勝手な行動に、キミを巻き込んだんだ・・・それで、・・・」


ジョーの言葉に、フランソワーズはトレーから顔をあげて、彼を見た。


「それで、その・・・」
「でも、それは・・・」


お互いの目元が、まるで鏡に映した自分をみているかのように、同じ色でほんのり赤みをさしている。
それが2人に、あの告白が夢ではなく現実にあったことだと示し、海水のようなキスが唇によみがえ らせる。
フランソワーズの右肩に触れているジョーの手に力が入り、無意識に互いの視線が互いの瞳から下がっていく動き。が、同時にリビングルームへと通じるドアへと投げられた。













『ウオアーっっチャチャチャチャチャチャチャーっっ!!!!!!!!メッセージを受信した。お前はもう、読まずにはいられない。』














「あ、悪ぃっ!!メールだ、メールっ!!」


フランソワーズの右肩にあった手が、はい!と挙手するかのごとく天井へと伸び、フランソワーズはジョーから離れて、キッチンへと足早に向かった。





録画中だった携帯電話からのけたたましい、有名な格闘アニメの主人公役の声優が発する、決め台詞を少しかえた着信音は、場の雰囲気をがらり。とかえてしまい、それを機にジョーとフランソワーズは普段通りに近い態度を取り戻して、接する事ができるようになった。
逆に、恐ろしいほどにご機嫌だったピュンマの機嫌が地の底へと落ち、彼らしくなく、ぞんざいな舌打ちを鳴らし、ジェットの携帯電話を奪い取るようにしてグレートからのメールを読んだ。












####


005が5人をギルモア邸にある車でホテルへ送ると言ったけれど、009はそれを断った。
石川斗織が入院している病院の面会時間となるために、005は時間通りそちらへ言ってく欲しいと頼んだ。あやめ祭が正式に終わる今日までは、一応目を離さないようにして欲しいと言う009として指示を出した。
病室内にはすでに盗聴マイクと小型カメラをしかけてあるけれど、見舞いの人間を確かめるくらいの機能しかない。
今日、もしも何かしらの動きがあると想定す中に、石川自身に関わることも考えられる。石川が事故に遭って以来、00メンバーたちが危惧しているような動きは何も見られなかったけれども、彼は今回の事件で唯一の”キー”となった重要人物である。そのために、必要最低限の警戒は必要と判断していた。

車の運転になんら問題のない実際年齢の4人のサイボーグたち。しかし、その内の3人は、月見里学院の学生という立場のために、もしも誰かに目撃されて面倒なことへの引き金を作ることは避けなければならなかったので、運転は却下。
そうなれば残りの1人、003が運転することになるはずだけれど、009ではなく、002と008がタクシーを訴え、005がさっさとタクシー会社に電話をして車を呼んだ。
理由は、フランソワーズの目元の色と、一睡もしていない状態だろうと言った005の助言。の上に、泣き疲れと緊張と、1日でおこった大きな変化によって、時間が経つにつれて彼女があくびをかみ殺す仕草を見せるよになったため。

そして、グレートからのメッセージ。


=我が愛しき姫が無事にそっちにいると聞いた!009に”また”連れ去られないように、しっかりホテルまでの姫の護衛を頼むぞ!!=


昨日、003が単独行動しようとしたときに007である自分の対応が、009と003の行方を追えない状況を作り出した。そのことにたいする負い目を拭えないでいた、007の心情が表れたメールだった。



「博士への報告は僕だけでいい。003は篠原とホテルに戻ってくれ・・・ジェット、篠原と同室の君にも頼む。学院へ向かう前に一度集まればいい」
「了解」


ジェットのメールの着信音が、ジョーとフランソワーズに完全なこころの切り替えを与えたようで、邸のリビングルームで野次馬たちが目にしたような雰囲気が漂う様子がない。


「いいえ、009・・・休むのはいつでもできるわ。博士への報告には私も行きます」
「いや、今は今夜のことを最優先に考えて欲しい。キミの力に頼らないといけないことも多くなるだろう。学院に行くまでは休んで」


<よお、003が徹夜っつーのは、なんでなんだよ?>
<009に聞きなよ>
<・・・いくらなんでも、まさかっ・・・まさかっっっっっっっっ!!!!???>
<・・・え・・・・・・・、ジェット、それは・・・ないと、・・・いや、それだったらフランソワーズもだけど、ジョーだって・・いくらなんでも、それは突飛すぎるよ>
<けどよー、なんか変じゃね?>


彼ら2人を良く知る側から見て、多少のぎこちなさと微妙は違和感を感じさせるけれども、タクシーに乗り込み、ホテルに到着するころには、いつもの009と003がいた。


<ないね。絶対にない。僕的には、それはないと判断するよ。ジェット、それはない>
<なんの根拠があってだよ!?>
<ジョーとフランソワーズだからだよ!そんな簡単に2人が・・そういう関係になるんだったら、僕の胃痛の歴史はいったいなんだったんだよ?>


脳波通信でジェットと2人の間に何があったのかを詮索するような会話をしながらも、タクシー内で気持ちを整えてしまった2人にたいして、ピュンマの胸が重く塞いでしまう。


「ジョーもフランソワーズも、もっともっと自分勝手に我が儘になってくれた方が、僕らはすごく楽なのにさ・・・。もっと甘えてくれないかなあ・・・・。僕らは家族なんだし。心配してなんぼなことってあるのにさ・・」


ホテルに到着し、003と同じく部屋で休むように指示を受けた海に付き合う、彼と同室のピュンマのぼやきを海は聞いた。
海はそんなピュンマのぼやきを聞きながら、ホテルのロビーにて自分たちを出迎えた当麻のことを思い出す。

彼の目の下の青みがかった色が、明らかに一晩中フランソワーズの帰りを待っていたことをあらわしていた。彼につき合い、同じくホテルロビーにいた張大人には、当麻のような疲労の色は見えなかった。


ジョーとフランソワーズの無事な姿を確認すると、躯をゴム鞠のように跳ねさせて喜んだ。















====19へと続く


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長い3日間だ・・・やっと最終日に突入です。
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