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Little by Little・19
(19)



あやめ祭2日目途中、ジョーとフランソワーズの二人の行方が判らなくなり、連絡も途絶えたまま一夜が明けた。
すでに時は昼を過ぎて、ムードメーカーな人類の夢と言うべき能力を足に持つ仲間の数字を指していた。




家族たちは、任務を放り出した2人に対して口では厳しいことを言いつつも、いつかこの日が来ることを予測していた。いや、予測というよりも、訪れることを期待していたと言った態度だった。

けれど、彼らが、”彼ら”であるために。
けじめは必要だった。





2人の消息を追おうと思えば、様々な方法で彼らは簡単に2人を見つけだしただろう。
そこまでの労力をかけて2人を追跡しようとする者はいなかったが、その中で唯一、擁護者の願い出を受けて2人を追跡することになった006こと、張大人。

007であるグレートは、003/フランソワーズが行方を絶った当時に一緒にいたため、その責任感から2人を追跡したい気持ちが強かった1人であったけれど、今回のミッションの擁護者の篠原当麻の申し出とギルモアからの命を受けた張大人に任せて、ギルモアと一晩を過ごした。

ジョーとフランソワーズを追い、見つけることが006こと張々湖の”任務”となったけれど、追跡しながらも自分がジョーとフランソワーズを見つけることをあまり良いようには考えていなかった。


根拠のない理由からだけれども、家族の誰もが2人が2人の意志で”自分のために”動くことを望んでいたからだ。

1人1人がそれぞれに、2人について思うことがあると同じように、張大人にも彼なりに2人にたいしての思いがある。
最終的には、2人がギルモア邸にいることを知り、夏になってせっかちな太陽が早い時間に空から月の姿を隠し始めたころに、運転する車を数日帰っていない邸に停めた。
連絡を入れてはいなかったにも関わらず、自分と擁護者が邸に帰ってくることを知っていたかのように、張大人の運転する車を出迎えた家族の1人によって、一晩かけて追いかけたにも関わらず、2人に会わないままホテルに戻るように指示された。

ホテルに帰りつき、擁護者である篠原当麻に彼が泊まるホテルの部屋に戻って休むように言ったけれども、彼は頑なにそれを拒否して、00ナンバーサイボーグの父とも言うべき人が泊まるホテル・ロビーの端、壁に寄せられた、椅子に腰を下ろした。
006として命を受けている以上、その任が解けるまでは彼から目を離す訳にはいかず、張大人は、仕方なく彼のとなりに腰をおろした。

篠原当麻は、遠慮がちに自分につき合わなくて言いと申し出た。
ホテル内から出ることない、ただ、ここで待っているだけだからとも付け加えて。
張大人は、その申し出ににっこりと微笑んで、まだまだ若いもんより体力、気力共に劣ってはいないと、鼻息を荒くしておどけてみせる。

そんな中でそっと盗み見る篠原当麻の横顔から、彼が今、何を感じ、何を想い、部屋に戻ることなくホテルロビーにいるのかを読みとろうと試みる。
しかし、張大人の頭の中では別のことが浮かんだ。
ジョーの申し出を素直に喜べない。と、003のメンテナンス前に、ギルモアが張大人にこぼしたことがある。


「限りある時間のウチに、ジョーなら。と、思う・・・。じゃが、儂はそこまでジョーを縛りつけとおない。儂の亡き後のことはすでに001と話し合っておる。それ相応の準備を始めるつもりじゃし、すでに・・・」


言葉を途中で切ったギルモアは、張大人がそっと置いたショウガ湯の甘くて鼻奥をじんわりと刺激する湯気を深く吸い込みながら、両手で湯飲みを包み込んだ。


「ジョーが・・・・な・・・。正直に言えば、命令したい思いもあった。009、お前は誰よりも・・・だから、そうしろ、と。な・・・・じゃから、ジョー自身から申し出てくれたことに、儂は・・・・、儂は、じゃ。・・・儂は、これ以上ジョーをどうしようというんじゃろうなあ・・・・」


湯飲みを口に運び、熱いショウガ湯を音を立てて啜る。
張大人はジョーの口から報告される以前から、ギルモアの夜食の合間からこぼれた愚痴よりも前から、気づいていた。
00ナンバー・サイボーグのリーダーとして、いついかなるときも万全の体制で戦うためには、そして、全員が必ず”生き延びる”ための戦いのためにはと、最前を尽くす彼が、思いつかないはずがない。


ジョーは常に今ではなく、明日を見据えて動く男だ。
過去に拘りながらも、ひたすらまっすぐに、明日だけを見つめている。




常にキッチンに立ち、メンバーの心理的健康管理状態に心配る張大人。
ドルフィン号の中でも、引っ越した邸でも、食料貯蔵庫から冷蔵庫、おやつ缶に至るまで、食に関する全てが彼のテリトリーだ。
なんだかんだと、必ず足が向く先はサイボーグとなっても腹が減り、喉が乾く躯のため。

その先の主である張大人のため、家族達の大体の生活行動は把握済み。



ジョーは大体珈琲を求めてキッチンにやってくる。
そんな彼が小脇抱える専門書のタイトルが否応なく目に入り、彼が好んで使うボールペンはいつも同じメーカーのものであると気づいたときには、いつの間に購入したのか、専門書と一緒にラップトップを持ち歩く姿に気が付き、張大人はこころに留めて置いた。

たまにその書物がカバーのかかった小さな単行本のときもあり、そういうときは大抵家族の誰かが買ってきた本を借りているときであることは、短い日本の生活中ですぐに発見できた。

見張りを交替でしなければならない戦いが、夢であったかのように感じ始める中、彼が小脇に抱えて歩く書籍類やデータファイルは浮いていたために、張大人はすぐにジョーが何を考えているのか気づくことになったが、それを敢えて口に出してジョーに尋ねたりはしない。


「ジョーが、したいことをさせたらいいネ」


張大人は、好奇心から一度だけジョーが持っていた専門書のタイトルを口に出して読み上げたことがある。


「そんな難しい本、補助脳があっても読みたいなんて思わないアル」


すると、ジョーは張大人がいれた珈琲マグを手にして、恥ずかしそうに、けれどいたずらっ子のようにきらり。と、その年令に似合った輝きを持った瞳で笑った。


「うん。すっごく難しいんだけどね。面白いんだ・・・博士を驚かせることが、さ」


タイミング良く、「ジョー、悪いが手伝ってくれんか」と、キッチン・カウンターテーブルから顔を出したギルモアにむかって、はい。と、彼らしい返事を返し、キッチンから出ていくジョーにむかって張大人は言った。


「あんまり博士をビックリさせたらダメね、博士の歳を考えるアルヨ」


了解。と、ジョーは張大人の声にたいして、笑ったまま軽く頷いた。
戦いが続いていたら、きっと観ることが叶わなかっただろう、ジョーの、年令相応な素直な笑顔。


ジョーは自分が必要とされることを望み、その望みを叶える自分でいることが嬉しいようだった。
ギルモアは結婚していない独身貴族だけれど、ジョーに対しての接し方は、優秀な生徒や助手と言うよりも息子に対するようなものだった。

口で厳しいことを言いつつも、態度ではかなり甘やかしている。
そんな様子を見ては、こっそり影で、博士はジョーに甘すぎる!と、ぼやく家族を知っているだろうか。











いい子アルヨ。
とっても素直で、いい子アルヨ。


ジョーは、本当に本当に、素晴らしい男の子ネ。
だから、いっぱい、いっぱい幸せになって欲しいネ。









「・・・・喉とか、乾かないアルか?」
「いいえ・・・大丈夫です」


実年齢は違うが、同年代と考えておかしくない、篠原当麻の横顔と、リーダーである009、島村ジョーの横顔を重ねた。
生まれ育った環境も、何もかも違う2人であるけれど、張大人は根本的な部分で2人はよく似ていると思っている。


「昨夜から、何も食べてないネ。フランソワーズが悲しむアルヨ」
「・・・あとで、いただきますから」


愛されることよりも、人を愛したいと渇望しているとろこが、得に。
まだ未成熟なために、自分なりの”愛”という形ができあがっていない、当麻とジョー。




ジョーは、愛することに”資格”がいると思いこんでいる節がある。
人を愛するためには、人を愛することが許された人間じゃなければいけないと、自分を否定する。

当麻は、1度でもこころから愛したものは、絶対に手放してはいけないと思いこんでいるように思えた。
その愛を手放したら、二度と愛することも愛されることも、できなくなると、二度と手に入らないと怯えて必死になっている。




愛したいと、渇望し飢える相手が、同じ女性。
フランソワーズは生まれもって愛される才能があるのだろう。








張大人は、あくびをかみ殺すように目尻に浮かんだ涙をごまかした。


誰からも愛される才能は、奇しくも”B.G”をも魅了したのか。と、自分の至った考えに、息苦しさを覚えて、椅子に腰を下ろしていた姿勢を変えた。


「・・・今後も、フランソワーズは天から授かったその素晴らしい才能に、悩まされる事アルヨ」


張大人の呟きに、当麻はゆっくりと首だけを動かして彼を観る。
大きいとはいえない、つぶらな黒目勝ちの瞳が、真摯に当麻を見据えて、深く、深く、ホテル独特な空気を吸い込みながら、はっきりと当麻に自分の考えを告げた。


「ワタシは、このミッションの後、あんさんの我々に関する記憶を消すことを提案するアルヨ。海さんも同じね。ピュンマには悪いけれど、彼ならどこの学校へ通わせてもきっといいお友達できるネ。あんさんらは、我々らに深く関わり過ぎたから・・、我らにとって危険アルヨ」


本当を言えば、我々にとってではなく、当麻と海にとって危険なのであるが。
張大人は敢えて、そう言った。









####


当麻、張大人の2人とギルモアが泊まるホテルのロビーで合流し、ピュンマ、海はジョーに指示された用に部屋で時間がくるまでの間休むことにした。
当麻の顔色が優れないことを心配するフランソワーズと共に、半ば強制的にジェットが当麻を連れて、ギルモアが泊まるホテルとは別のホテルへと戻った。

フランソワーズはこころから当麻を心配しているが、途中で任務放棄するような行動に出た自分がギルモアに謝罪もしないままに自室で休むことはできないと言い張り、当麻が部屋で休むことを確認したらすぐに戻ってくると言った。
しかし、ジョーはフランソワーズの訴えを一蹴する。


「リーダーである、僕が君を巻き込んだ。が、事実だ。博士には個人的に話したいこともあるから。キミはすでに博士と電話で話したんだ、それでキミが取った今回の件は終わっている。003、時間まで休むこと、ここれは命令だ」


ジェット、当麻、フランソワーズ、と別れて、ジョーは海、ピュンマ、そして、超大人とエレベーターに乗り込んだ。
海とピュンマよりも先にエレベーターを降りたジョーと張大人は、そのまままっすぐにギルモアの部屋へと向かう。


「無事で何よりネ」
「・・・大人。心配をかけて、ごめん」


ロビーでは明るく会話をし、エレベーター内では海に話しかけていた張大人だったが、一歩エレベーターから降りると、和やかさは消えて、ぴりっと引き締まったジョーの空気に合わせた。
彼がそうしたいのであるなら、張大人それを崩すつもりはない。


「気にする事ないアルヨ」
「・・・」
「気にしない、気にしない・・。みんな解ってるネ」
「・・・・・ありがと」


エレベーターのある位置から一番離れた部屋は、緊急用非常口に一番近い。
何かと都合良く使えて便利であるために、ギルモアの部屋は一見不便そうに見える場所に部屋に取ってある。
その部屋前で、腕に赤ん坊を抱いた見慣れた人影を、ジョーは長い廊下を歩きながら捕らえた。


「イワン、アルベルト・・・」
「アイヤー・・」

2人の姿を、アルベルトが確認する。
彼はその場から一歩も動くことなく、近付いてくる2人に視線を投げて自分たちの前までくるのを待った。


「不良息子、無事に帰ってきたか」


1mほど近付いた、ジョーにアルベルトは挨拶抜きの言葉をかけた。


「・・・今回のことは」
「言い訳は聴きたくないな」


明らかにアルベルトの態度は、ジョーに対して不満を露わにしたものだった。
張大人は、ため息をこころの中で吐きつつも、彼の態度が本当の意味でジョーに対して不満を持っているわけでないことを、彼の口元から読み取ったので、張大人は身長差のあるアルベルトに向かって、注意を促すような睨みだけ投げて終わらせた。
アルベルトの腕の中にいたイワンが、周りに人気がないことを確認して、ふわりとその腕から躯を浮かせると、そんな張大人の腕に収まって、くすくすとした笑いを含んだような声を響かせた。


<博士ハ此処ニハイナイヨ>


004から、007はすでに篠原さえこの元へと向かったと報告を受けた。
海の姉である2人とはすでにアルベルトの方から海に頼んでメールで連絡を入れてもらい、ホテルのロビーで待ち合わせではなく、月見里学院のホール前で待ち合わせることとなっていると続けて報告される。


「篠原さえこは学院だ」
「わかった、005は病院」
「了解」
「008は津田と部屋にいる。002、003と篠原当麻は向こうのホテル、時間まで待機」
「ワタシは博士とイワンに一緒するアルヨ」


006の声に、004と009は同時に頷いた。


「了解した」
「それで、博士は?」


腕の中のイワンを、張大人は揺らすように抱き直した。
彼の腕にされるがまま、ただお気に入りのまんまるい黄色のおしゃぶりもごもごろ動かしているイワンは、自分が報告すべき事はもうないと言う態度で何も言わない。ジョーは張大人の腕の中にいるイワンをのぞき込んだ。


<博士ハ、ジョーヲ待ッテル>


告げられた場所は、ホテルから10分ほど歩いた場所にあるレストランだった。











####

ジェットは、当麻、フランソワーズを連れて部屋のあるホテルに戻って来た。
ギルモアが泊まるホテルのようにロビーに、そこそこの口うるさい人間を満足させる喫茶室はなく、代りにコンビニエンスストアのような店が入っていた。どちらかと言えば、サービスよりも利用客に気楽な便利さを提供することに長けた、ビジネスホテルと言う感じだ。
部屋の内装も必要最低限の清潔感以外の取り柄はない。


ホテルに戻る道中、当麻とフランソワーズの間に会話はなかった。
2人の雰囲気を察っするくらいの、気遣いができるジェットは、自分の性格からはあり得ないシチュエーションを作り出す人間関係図に、ほとほと呆れ返っていた。

グレートの言葉を借りれば、恋愛に神も仏もないらしい。
あるのは、愛で得られた平穏と、ぴったり釣り合った愛によって与えられた不安のみだと言う。

どちらの天秤が傾いても、文句をいえないのが恋愛だと言う。そして、そのどちらも経験しなければ、恋愛の素晴らしさを知ることはないと言った。


ジェットはそれらを理解できているようで、はっきりと言えば理解しなくてもいい問題だと思う。
好きな女が自分を見ないなら、その女を振り返らせる力と魅力がないのだと判断し、それっきりだ。

振り返らせる努力をしない訳ではない。
けれど、しつこく食い下がるような事はしない。

なぜなら、その女が自分を見ないなら、自分は女にとっては1人の雄としての価値が低いのだ。
自分の価値を低く観る女など、こちらから願い下げだ。



それが世界で経った独りの女だったとしても。
ジェットは、自分の価値を知らない女とどうこうなる選択はしない。




フロントの前を通るとき、チェックインをしたときに担当した男が、軽く会釈した。
ジェットは応えて、手を挙げずに、同じように会釈した。
自然に動いてしまった躯に苦笑しながら舌打ちする。




---変わったのか・・・も、なあ・・・。気づいてないだけでよ・・。





他人の問題を自分の事のように考えてしまい勝ちで、昔の記憶を引っ張り出せば、スイたハレたと騒ぐ、自分が統括していた地域の仲間の間で起るすったもんだには、自分の腕力(おせっかい)を振りかざしていた。その青さが、今はなかったことにしたいくらいに、恥ずかしい。
むしゃくしゃと、イライラさせる関係に、見て見ぬ振り(見守る)ことができる自分に、大人になったいう表現は使わず、年を取ったという感想を描いた。


「よお、フランソワーズ」
「?」
「ジョーに全部、任ちまえばいいからよ!なあ、篠原センパイ」


年齢は明らかにジェットの方が年上だけれど、ジェットは月見里学院に入学して以来、日本風に1学年上である当麻に対して一貫して”センパイ”を付けて、彼を呼ぶ。


「な、に?」


フランソワーズにむかって話しかけていたのに、急に自分に話題が自分に向けられたことに、当麻は素直に戸惑いを露にする。


「フランソワーズは、誰のもんでもねえよ。・・フランソワーズはフランソワーズだからな。フランソワーズがそうと決めたら、それがフランソワーズってことで、文句があんならジョーに言えよ!」


ジェットの言葉に驚いたのは、当麻ではなくフランソワーズだった。


「ジェット?」


すたすたと歩調を緩めることなく、ジェットはまっすぐに2台あるエレベーターの間にある、働き詰めの四角いボタンを押すと、力なくオレンジ色のライトがそこに点ると、正三角形のイラストが赤くオレンジ色に照り出された。

フランソワーズは背の高い、赤毛の彼を見上げる。
その瞳は驚きと微かな戸惑いに揺れて、瞬きを繰り返しながら、頬が少し色ついていた。
彼が何を言わんとしているのかを察した反応が、すべての応えのように思えて、左肩に顎を寄せるように首を動かしたジェットは、にやっと、その口元をひっぱりあげた。


「・・・島村に、か・・・・」
「当麻さん、あの・・」


数字を下ってきた四角い箱がチン♪と、フランソワーズの言葉を遮るように到着を報せるベルを鳴らし、同時に左右にすっとドアを開いて3人を迎える。
そのために、当麻へ言葉をかけようとしたけれど、タイミングを逃してしまったフランソワーズは黙ってしまった。

一番先に乗り込んだのは、ジェット。
そして、続いたフランソワーズに、少し間をあけて当麻が、エレベーターの中へとすすんだ。

ジェットがパネル前に立ち指定の階のボタンを押す指を見ていた、当麻。
狭いエレベーター内は5人乗り。

当麻はちらりと視線を投げて、自分とジェットの間に立つ口数少ないフランソワーズの様子を見る。

彼女は左手の手首を強く右手で握っているの自分の手元を見ていた。
その、力の入った握り方が、彼女に何かの決心を促しているように見えて、当麻のこころがぞくり。と、震えた。



再びドアが、チン♪と音を鳴らしてドアを閉じようとした瞬間(とき)。




「話しなら本人から聞く」
「!」


当麻はフランソワーズの手をとって力任せにひっぱり、箱のドアが外界を遮断しようとした隙間から素早く抜け出した。


「当麻っさっ!!
「なっおっっっ!!ふっ」


突然の当麻の行動とその素早さにあっけにとられて、慌ててジェットが押したボタンは”閉”を示すイラストだった。


「変わってねー・・・かも・・・」


取り残された箱の中で、長い脚を折って娑婆見込んだ姿勢は俗にいうヤンキー座り。
盛大なため息と一緒に、今目の前で起った事を連絡するべきかどうか悩んだジェットの前で、再びエレベーターのドアが開くと、腕を組んだカップルがヤンキー座りのジェットを無言で見つめ、乗り込まずに’”閉”のボタンを押す。







「当麻さんっ!!」


強く引っ張られた手を、取り戻すようにぐっと脚に力を入れて踏ん張ったフランソワーズは、瞳に写る、柔らかな少し癖のあるブラウン・ヘアから視線をそらしていった。


「ジョーが好きなのっ・・・ごめんなさいっ・・・」















====20へ続く




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・・・あーららら、ら・・・ら。
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