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その日、両想い。
週刊雑誌は、興味のある特集記事があるときのみ購入。
月刊雑誌は、興味あるない関係なく、決まった数を決まった日に購入する。

毎月12日。

ジョーは朝食をすませると、邸をふらりと出て行く。
そのふらり。に、フランソワーズがついて来るようになったのは、いつ頃からだろうか。

ギルモア邸の最寄り駅から券売機の上に掲げられている路面図を見上げたジョーは、往復30分内で行けそうな駅を選び切符を買うが、自分の分だけではなくフランソワーズの分も購入する。
いつの間にか彼女が毎月の買い物についてくるようになり、その度にいちいち「どこまで行くの?」と「どうしてその駅を選んだの?」と訪ねてくる質問を省くためジョーがフランソワーズの分も購入する。
ジョーから渡されたキッブを受け取ったフランソワーズは、駅名を声に出して確認する姿も、毎月同じ。

「ここは初めてね」

彼女が切符を確認している間を待つことなく、ジョーはさっさと改札口を通り駅構内へと入っていく。
通勤通学ラッシュを過ぎた時間なので、自分を見失うことなどないだろうと言う態度だ。
もちろん、フランソワーズがフランソワーズである故に、見失ったとしても簡単に見つけ出すだろうから放っておけた。けれど、改札口を抜けてホームへ続く階段を上がりきったとき、ジョーは振り返る。

「フランソワーズ、電車が来るから急いで」

耳をすませて聞こえてくる音に、電車とホームまでの距離を勝手に算出してくれる補助コンピュータが備えられた、脳。

「はーい」

軽いステップで階段を駆け上がってくるフランソワーズを確認する。
ばあああっと、ホームへと入ってくる前に鳴らされたクラクションと同時に、フランソワーズが、ジョーの隣に立った。

「質問があるの」

構内アナウンスが響く。

「何?」

電車から降りてくる人の邪魔にならないように、一歩引いて躯を進行方向とは逆によける。
隣に立っていたフランソワーズもジョーに倣うが、降りてきた人の勢いにぶるかりそうになるのを、ジョーが彼女の腕をつかんで、自分の胸に寄せた。

「ジョーは何型?」
「新型」
「・・・そうじゃなくって」
「プロトタイプ・地上戦闘型」
「違うの、私が聞きたいのは」

引き寄せたフランソワーズの腕を押して、電車に乗ることを促す、ジョー。

「新型インフルエンザはAだったよね」
「予防用の点滴、あれ嫌いだわ」
「キミの場合は特に注意しないいけないから、仕方ないよ」

二人は電車に乗り込み、さほど込んでいない車内でジョーはフランソワーズに空いている席へと誘導して座らせて、自分は右手をつり革にのばし、フランソワーズの正面に立った。

フランソワーズはそんなジョーを見上げて、微笑む。

「それじゃなくって、血液型を聞いてるの」
「血液型?」
「そう、血液型」
「そんなの聞いてどうするわけ?」
「占いをするの」
「占いって・・・また?」

電車が動き出す。
窓枠がとらえる風景が左から右へと流れ始めて、そのスピードが上がっていく。

「そうよ、駄目かしら?」
「別に・・」

ジョーは興味ない会話だと、そのまま口をつぐみ、フランソワーズから視線を外して窓の風景を眺めた。

ありふれた、日本の、どこにでもみられる空と街並み。
ジョーが会話を続ける様子がないことを悟ったフランソワーズは、ジョーを見上げたままニコニコと笑っているだけ。

そっと、窓から視線をおろすと、フランソワーズのカチューシャが飾られた髪が窓からの陽光にきらきらと光っている。


各駅停車の5つ目が今日の目的地。

「次で降りるよ」

4つ目の駅を発車した電車。

「ねえ、何型なの?」
「さあ、・・・検査をした記憶はあるけど、何型だったかな」

ゆるやかなカーブを描き、路線を滑る電車内の中は静かだった。

「思い出せない?」
「・・・思い出したら言うよ」

ジョーとフランソワーズの声が響く。
予想以上に響いたので、ジョーはボリュームを落とした。

がたん、ごとん、と電車が電車らしい音を踏みながら進む。

「そういうフランソワーズは何型なわけ?」

つり革から手を離したジョーは躯を進行方向へと向ける。
フランソワーズは速度を落とし始めた電車の揺れに捕まることなく、すっくと座席から立ち上がった。

「私?」

少し驚いたように瞬きを3回繰り返した、フランソワーズ。

「そう」

フランソワーズをドア口に立たせて、電車の揺れに流れてフランソワーズが転けないように、銀色の棒をつかむことを、口ではなく視線だけで告げる。
フランソワーズの腕がジョーの指示通りに動くと同時に、彼女の背後に立ったジョーは、電車がホームに滑り込んでいくのをフランソワーズの肩越しから眺めた。

「私の血液型に興味ある?」
「・・・・・・聞かれたから、聞いただけ」

フランソワーズの左耳後方の方が、右耳寄りもボリュームが大きかった。

「さて、私は何型でしょうか?」

ご乗車ありがとうございました。と、運転手のアナウンスと重なった声。
ドアが開く。

目の前に、きちんと列を作って電車を待っていた人々が、突然現れた異国の少女に目を見開いて、フランソワーズの動きに注目する。

その注目の視線を彼女はものともせずに、逆にその注目に答えるかのように軽やかにホームへと降り立ち、くるり。と、ジョーへと振り返った。

フランソワーズがきているフレアスカートが彼女の動きを、ドラマティックに演出する。

「わかんないよ、そんなの」

ジョーの返答を予想していたかのような余裕の笑みが、その場にいた学生らしき男を魅了した。

「ジョーと一番相性が良い血液型だと思うの」
「・・・なんだよ、それ」

ホームを降り、改札口を抜けていくフランソワーズを追いかけるように歩くジョーは、ときおり自分と同性の視線がフランソワーズにまとわりつくのを、優越感に近い感情で眺めていることに気づいて、舌打ちをつく。


「ジョー、思い出せた?」

駅を出て左右を見渡せば、98%の確率でみつけられる24時間営業の店。

「・・・わからないよ」

コンビニエンス・ストアの雑誌を並べた棚から迷うことなく目的のものを腕に抱えたジョーの隣で、フランソワーズは手には新商品のお菓子の箱。

「それじゃ、占いできないわ」
「占う必要があるわけ?」
「だって、ジョーの血液型が解らないと、一番相性の良い血液型が解らないもの」

フランソワーズの手にあるお菓子の箱を、見る。

「お菓子だけ?」
「自分で買うわ」
「・・いいって、ついでだし」

フランソワーズの手から、それらを奪うようにしてジョーはレジに並んだ。

「それで、占いなんてのをまだ信じてるわけ?」
「信じる者は救われる!」
「救われたいの?」
「救われたいよりも、叶えたい、かしら?」

いらっしゃいませ。と、短く野太い声に、ジョーはジーンズの知りポケットに突っ込んでいた財布を取り出した。

「叶えたい?」
「そうよ」

レジを打つ店員がちらちらとフランソワーズへと視線を投げる。
その様子をジョーは伺いつつ、2枚の札をレジカウンターに置いた。

「何を叶えたいの?」

袋にひとまとめにされた品物を手に、レジを離れていくジョーの背を追いかける、フランソワーズ、その二人に向かって、ありがとうございました。と、短い声で見送った店員。

「何って・・・決まってるじゃない」
「何が決まってるわけ?」
「嫌な人ね」
「・・・僕が?」
「そうよ、・・・・わかってるでしょ?」

15分ほど前に降り立った駅から去るために、券売機の前に立ったジョーは、行きと同じく2枚の乗車券を購入し、その1枚をフランソワーズ渡した。

「わかってないのは、フランソワーズだろ?」

改札口前に立ち尽くす二人を気に留める事なく、流れていく人々。導線が二人に触れる事がないように湾曲して描かれる。

「・・・?」
「僕よりもわかってないよ。占いとか気にしてるくらいだから」

フランソワーズと手を取り、ジョーは改札口へと飲み込まれる流れに乗った。

「一度でも、ついてくるなとか言った事ある?キミを拒んだことあったっけ?」

ジョーの手に引っ張られるように改札口を抜けて、ホームへと出るフランソワーズは、ジョーの癖のある跳ね方をする後ろ髪を見つめた。

「でも、・・・ジョー」
「・・・次の電車まで少し間があるね」

左手にフランソワーズ、右手に、目的の雑誌とフランソワーズのお菓子。

「ジョー・・・私」
「僕はそのつもりだったんだけど、キミは違ったんだ?」
「そのつもりって・・?」

ジョーは大げさに全身でため息をつく。
二人の背後に滑り込んできた電車が作り出した風邪になびかれた髪を、フランソワーズはジョーの手と繋いでいない方の手で押さえた。
そんなフランソワーズの横顔を見ながら、ジョーはむっつりと唇を尖らせた。

「わからないならわかるまで、血液型でも、星占いでもなんでもしたらいいよ」
「・・・・」
「どの占いも結果は一緒なはずだしね」
「どんな、内容・・・・なの?」
「・・・・・決まってるだろ」
「決まって、る・・・の?」

不安気な声を出すフランソワーズに、ジョーは苛立ってくる。
ぜんぜん解ってないのか、と。腹立たしさを深呼吸することで納めた。

「003と相性が一番良い相手はこの世に009しかいない。って内容以外、他にあるわけ?」

フランソワーズの瞳が揺れる。
ジョーは意識的にフランソワーズを見ないように、ホームを離れていく電車の進行方向へと顔を動かした。

「僕の勘違いだったわけ?今まで・・・僕は・・」

繋いでいる手にぎゅ。っと力を入れる。

「ジョー、痛い・・・」

その力加減に文句を言う声が涙まじりの、フランソワーズ。

「いいよ、痛いくらいで。僕のことをわかってなかった罰」





end.







*・・・消えた妄想種では甘甘なネタ話だったのになあ。
タイトル、問題はタイトル・・・。タイトル考えるの大変です!

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