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My sweet pumpkin
木漏れ日落ちた路面に重なる陰が、秋風に揺れた。
淡く風と戯れる木の葉が、衣替えの途中であることに気づいた。
夏の照りつける太陽から肌を守ってくれた風が、長袖で肌を守る布地をすり抜けて、ほらね。と、ばかりに北の息吹を教えてくれた。




街が西洋の風習を少しずつ取り入れて、オレンジと紫におどけたかぼちゃのお化けたち。
9月がすぎて、10月へと月が変わる。
透き通った空気にこうこうと輝きをましてゆき丸みを帯びていく月が、日本の秋の象徴だったはず。ススキを飾り、月見団子を頬張った日がどこか遠い。

流行は和風の物と云われているけれど、”和風”がはやると云うことにいまいち不可思議さを感じて仕方がない。

和風って、日本風っていうことで。
ここは日本と云う国で。

和風ブームが再ブームに再ブームを重ねてるらしい、いったいここは、どこの国?
ちゃっかり便乗したAudreyで使用するリボンも、和風チックなのが加わってます。
兄貴がるんるんで買ってかえってきた、和紙をひねって7色カラーのリボンが視界にはいり、今、自分が箱に詰めている物をしみじみと眺めた。


「はい、・・・これらは和ブームに貢献している和菓子のライバル、洋菓子です」
「・・・大地?」

オレは名前をよバレエショー・ウィンドウ越しに立つお客様へと振り返る。



朝っぱらからなんで、



そんなにっ、



色気ふんわりさわやかさん(ハート)!

なんだよっ!





島村ジョーっ
去年デビューしたF1パイロットがシーズン中に何のんびりとっ。



「・・・独り言多いけど、大丈夫か?」
「うっせー、ジョーっ!日本人なら和菓子を食え!」


スプリンクラー噴射機フェロモンを放射して、つい予定もないのにふらっと(ジョーについて)お嬢さんたちを店に誘いこんでんだっ!!


「別に和菓子でもいいけど・・」
「じゃあなんで店に来たんだよっ?!」
「・・・フランソワーズが指名したから」
「だーっ!それならなんでフランソワーズさんが買い来ないにこないんだよっ」


少し戸惑いがちに視線を泳がしたが、オレと視線が合った瞬間にふっと余裕の笑みをみせた、ジョー。
オレンジ色の光が眩しい季節に染まって、ジョーの瞳の色がメープルシロップカラーに潤んでいた。彼は人なつっこそうな笑顔を作るくせに、態度や雰囲気はまったく逆で、そのアンバランスさが、目を離せなくさせる。


「まだ、朝の10時・・20分だ、・・・夜まで待てないか?・・待ってくれても時間とれるかわからないけど」


西洋人とも東洋人ともその神秘的な顔立ちとルックスから判断つきかねる、ジョーは国籍不明。日本人?と言われれば頷ける部分もあるが、トータル的にヤツは”島村ジョー”意外の何者でもない。
そんな日本国籍のプライベート一切合切非公開なF1パイロットが、なぜに小さな街のカフェで店の開店と同時にケーキを買っているのか。




---ジョーの正体を掴もうと、どっかに記者が潜んでいたりしないかな?




ちょっとドキドキな、オレ。だけど。


「っつーか!お前っ2週間後には鈴鹿じゃねえのかよっ!こんなところをウロウロしてていいのかよっ!」
「自宅出勤・・・日本国内だから・・・」


ジョーはふと視線を上に上げて何やら頭に浮かんだ文字にむかって納得するように、うん。と一人うなずいた。


「意外と通勤には問題ないんだ、・・・・(俺の場合)」
「新幹線は日々素晴らしく進化しているけど!・・・毎日あっち方面へ通ってるのかよ?大変じゃね?往復どれくらい時間かかんだよ」


違う焼き菓子を手に、左から右へ移動しながら、ちらり。
右から左へ、移動して、ショーウィンドウのケーキを覗き込む不利をして、視線はジョーへと、ちらり。


「毎日ってわけじゃない。・・あと2、3日したらチームと合流するために向こうだけど、
・・・な」


ジョーの背後でちらろ、ちらりと、様子をうかがいながら彷徨う、恋に恋するお嬢さんたち。が気になって、俺の視線はジョーに定まらない。


うーん、ジョーがかのF1レーサーっていうのは、知らない(気づかない?)みたいだなあ。


「あ・・ごめん、邪魔だったね」


ジョーにつられて店内に入ってきた三人のうち一人が、ケーキのショーウィンドウの前にたったとき、ジョーはその彼女にむかって微笑み、2歩ほど左に移動した。


「あ、いえ、その、そんな!・・あの、ええっと、あ、あり、ありが・・すみません!」


声をかけられるなんて思ってなかった青リンゴが、今、まさに食べごろな真っ赤なリンゴに早変わり。


「ケーキ、とても美味しいよ」
「あ・・は、はい・・・・・」





ジョー・・・それやめろ。


それ以上罪を重ねるな!!

無駄に笑うなっ。
必要以上にフェロモン噴射するな!

その甘い声をなんとかしろ!
日本人らしいスタイル(胴長オレより足短い!)になれ!
髪型のスタイリングは毎朝自分でやってんのか、ただのくせ毛なのかはっきりしろ!


フランソワーズさんに言いつけてやるからな!
ジョー、お前のそれは親切でもなんでもなあああい!



立派なナンパだ!
100発100中しとめます。
オリンピック選手以上、ギネス協会に連絡しなきゃ!


僕は恋のハンターさ!なんて、レース前になにやってんだよ!







---ああ、フランソワーズさん。いいんですか、こんな浮気者で!!



「おまたせして申し訳ありませんっもう少々お待ちください!」


オレは大きな声でジョーとお客様のお嬢さんの間に割り込むように声を出した後、ふん!と鼻息あらく、背をむけてオーダーを受けた品を入れた箱を閉じた。
店名をプリントしたテープをびーーーーーーーっと引っぱり、それを張りつけた。





そのとき。


「大地、・・何、おこ・・って。・・・・・あ」
「何も怒ってないっすーぅぅぅぅxっお客様!」
「・・・・・電話、だ。・・いいか?」


携帯電話が振動したらしい。
取り出した携帯に表示されている相手の名前を確かめる動きを背後で感じた。


「フランソワーズさんなら、オッケー」


俺は背をむけたまま、答えた。


---フランソワーズさん意外なら、そのままとっとと店の外に放りだしてやる!



ジョーが携帯電話に応答したタイミング同じく、厨房の奥にいた義姉さんが店に出て来た。


「いらっしゃいませー!」


その声に、ジョーのフェロモンにあてられて、ふらふら店内を漂っていたお嬢さん方があたふたする。


「お決まりですかー?カフェのメニュー、ご覧になります?」


商売上手な義姉さんに捕まったら、最後、逃げられません。


「え?・・・」


---ん?


「・・・意味ないよ、それじゃあ」


ジョーが拗ねたような声で電話の相手に答えながら、俺を睨んだ。


店内で通話しているってことは、相手はやっぱりフランソワーズさん。


ああ!オレが話したい!
電話をかけてきて欲しいっす!



聞いてくださいっ。
おまけにケーキを1つ、フランソワーズさんのためにつけました!


「・・・わかった」


ジョーはオレを睨むような視線を投げて、電話を切った。

なんなんだよ!
オレがなんかしたかよ?!


「大地・・・ホット・・」
「へ?」
「・・・・それ、帰るときまで預かっておいて」
「あら、フランちゃんがくるの?島村っちさんお使いじゃなかったの?」


義姉さん!?・・どんだけ地獄耳なんですかっ・・・て、



「フランソワーズさん!?」
「・・・お使い中止」
「フランソワーズさんっ!ジョー、フランソワーズさんっ!?」


カフェ・スペース内にむかって歩いていくジョーは、フランソワーズさんがこちらにむかっていることを、こころなしか面白く思っていないことをその背(なんで嫌そうなんだよっ!)にありありとのせていた。


「ジョーっ!フランソワーズさんが来るってっ!?」


そんなジョーの背中に向かってオレは興奮気味に叫んだ。


「・・ああ」
「フランソワーズさん!ふらんすぁあーずさんっっがっ!!」


ジョーが帰国しているせいでっ、最近なかなか寄ってくれないフランソワーズさん!


「大地っ!うるさい!!すみません、うるさくて、このあんぽんたんな店員が、・・・おまけで、”フェアリー・マジック/3つのトリュフ”入れておきますね」
「え、あ・・あっ・・・・すみませんっ」


オレは慌ててレジ前にいる、びっくりしている様子のお客様に頭を下げた。


--あらら。
ちゃっかりお買い上げいただいたんですね・・・。


「・・ありがとうございましたー、またお越し下さいね♪」


思わぬ買い物をした(させられた?!)お嬢さんたちは、至近距離ですれ違うジョーにぼうっと見惚れて、うっかり買った品物を忘れてかえりそうになられた。


「大地、島村っちさんにお水、おしぼり、メニューに珈琲!」


店を出て行くお嬢さんたちは、進行方向に向かって歩いていくけれど、首は名残惜しげに、ジョーに向かって固定されている。


「は、はい、はい!」
「返事は一回!」
「へい!」


カフェ・スペース内最奥の、4人様用のテーブル。



いつもジョーが好んで座る席だ。
一人でも、店が混んでいない限り、(って込んでるときは席をとらないけど)そこがジョーの指定席。


「・・・・・オレが出た後に・・、すぐに邸を出たのか・・」


どっかりと腰を下ろしたジョーを追いかけるようにトレーに乗せた水と、おしぼり、そして(必要ないとは思うが)一応メニューを用意。


「呼び戻してくれればいいのに、・・」


携帯電話を恨めし気に睨む、ジョーへと向かおうとしたオレは。


---ジョーだから別に適当でいいじゃん。

「お客様は誰であれ彼であれ、お金の神さまよ!」


義姉さんにどん!っと背中を叩かれた。



---エ、エスパー?!お、オレの心を受信!?



それよりもお金の神さまって・・・。えらくダイレクトな言い方っすね、義姉さん。
も、もしかして・・うち、ヤバい・・・の?

バイトを1人増やしたいって言ってたけど、そんな余裕ないんじゃ・・・(汗)



「・・・・おまたせいたしました、浮気野郎」
「お客様は神様じゃなかったっけ?」


テーブルに、コースターを置き、その上に水の入ったグラスをそっと置いたとき、ジョーは一つ、残念そうに肩の力を抜く感じでため息をついた。


「・・・・店で食べたくなった・・らしい。・・・・俺のせいでベッドから起き上がれないから、お使いしてって頼んだくせに」


ジョーの言葉の後半(下線部分)は、さっぱりきっばりすっきり秋風に乗せてさっさと吹き飛ばした。


「ご注文を繰り返します、珈琲をホットでよろしいですか♪」


とにかく、本日フランソワーズさんのご来店決定!
ああ!生きてるってすばらしいっすね!



スマイルマイル♪
とびっきりの笑顔で、ちょっと嫌な客相手の接客を快くこなす。

ウェイターとして、兄貴思いの弟として、店のため、好きな服のため、オレってがんばってるよ、うん!
合えない日に会えるなんてっ日頃のおこないがいいってことっすよ!

フランソワーズさんっ!


あああっ、フランソワーズさん!
こころから全身全霊でお待ちしております!

とびっきりのアップルティをオレ、井川大地、今学期の単位をすべて落としてしまうことになろうとも!人生をかけて、フランソワーズさんの喉を潤すためが、生きてきた宿命!とっ肝に命じ、ご用意させていただきまして、お待ちしております!!


「・・・・日本人は和菓子、だったよな、大地?」
「フランソワーズさんは、フランス人♪」
「・・・・・・・・そういえば、香奈恵さんのマンション近くに抹茶をメインにした和風カフェができたって・・。・・・フランソワーズが行きたがってたし、すでに箱に詰めてもらってるから、そっちに・・」
「だあああああああっ!何言ってんだよっ、お前はお得意様だろ!店を裏切るのかよっ」


どこの会社の機種か判断つきかねる、えらくシンプルな割に、多機能そうな携帯電話を手にしたままのジョーにオレは飛びついた。


---電話させるものかっ!!


「日本人は日本人らしく、和のこころを大切に・・」
「フランソワーズさんはフランス人だろ!ジョー、お前一人で嗜んでろ!」

反射神経が良いか、動体視力に地震があるのか。
オレの動きがわかっているかのように、ひょいひょいっと腕をよけるジョー。

こんなところで、身体能力の高さを証明するなって!!


「異文化交流は大切だと思う、日本に住むフランソワーズに、より日本についてを学んでもらわないと、な?」
「Audreyは立派な和洋折衷!まじめな農耕民族を祖先に持つ生粋の日本人の兄貴がつくったんだからっ立派に大和大国のこころを受け継いだお菓子”西洋風アレンジされた日本のお菓子”!」
「・・・ムキになるなって、また来るから、フランソワーズ以外が・・」
「うっきーっ!なんだよっ来させないつもりかよっ!!」
「かもね」


ジョーの手にある携帯電話が、スピードダイヤルの1を押そうと動く。


「やめろっ!!ジョーっ!!フランソワーズさんのご来店を阻む奴は何人たりともオレが許さねえ!!」


オレは全身でジョーの腕に飛びついた。
客が居ようが居まいが関係ない!今戦わないでいつ戦う!!

フランソワーズさんっ、オレはあなたのためにこの命を捧げる覚悟できてますっ。


「・・ちょ・・・、落ち着けよ・・水がこぼれるっ」
「こらっ!大地っ!」


---ひっ!やば!


「何やってるの!島村っちさんはレース前の大切な躯なのよっ!あんたが身を粉にして人生すべてを捧げて来世分のローンを組んで、ぼろぞうきんのように働いても一生稼げないお金を稼いで、たっぶりうちに落としていってくださる大切な大切な人なんだから!お客様は金様よっ」
「・・・・」
「・・・・」


---義姉さん・・今はジョー以外客いないからって・・。本音丸出しっすね。
・・・だ、大丈夫なのか、な・・・うち。兄貴に後で訊いてみよう・・・かな。うん。


オレの頭をいつでもクリティカルヒットできるように、使用予定のないトレーを脇には挟み、テーブルにやってきた義姉さんの声に、オレもジョーも目が点になる。


「ね、島村っちさん、だからたっぷりしっかり、ごゆっくり♪」


にっこり輝く笑顔で、営業用・萌子スマイル。
って、一応は客でもあるジョーに言っていいんっすか、そっちの方が問題なんじゃ・・義姉さん。


「・・はい、了解しました」


了解するのかよっ!


「いいのかよっ、それで!」
「フランソワーズのためになるなら、なんでもする」
「いや、なるっていうか、・・・なってるようで、微妙になってないような」
「繋がると思うから」
「そう、かあ・・・?」
「大地、珈琲出てないのはなんで?」


オレはジョーから離れた。

「うっ・・」
「ケーキを、頼もうとしてたんです。秋の新作、持ち帰り用とは別に、・・・フランソワーズが来たら、な。大地」


義姉さんのにっこりんこな営業スマイルの隣に立ったオレ。
ジョーはちらりとカフェスペース内に飾った壁時計へと視線をなげて、追加オーダーを申し出た。

「オッケー」
「ダメよ、そんなのじゃ!・・・はい、新作ですね。・・・で、どれになさいまか?”全部”は却下ですよ、島村っちさん」
「・・・・え・・・?」


義姉さん・・・。


「”ちゃんと”ご注文を承りたく存じます」


---かわいいっかわいいわっ困ってる!!やあああんっ島村っちさんが、困ってる!戸惑ってる!うーーーーっがんばって!島村っちさん!!かわいいっ、かわいいわーーっ!



ちょっとうきうきした弾んだ声に、オレは、個人的趣味が加わってるっすよ。っと、義姉さんに言いたい。

義姉さん、あなたは兄貴の奥さんってこと忘れないでくださいね・・。
(それにしても、さっきのお嬢さん(客)たちも、ジョーの声で聴きたかっただろうな・・)


ジョーは店のケーキの名前を面と向って言うのが今更ではあるけれど、改まって言ってくれと言われると意識しすぎてしまい、やっぱり恥ずかしいのか(人前でちゅっちゅっちゅしまくるくせに!)表情を前髪にかくして視線をオレと義姉さんからそらした。
さらっとなびいた栗色の髪が、ジョーの来ているシャツをなでると、ちょっと不思議な跳ね方をしている後ろ髪が、揺れた。

薄くジョーの唇が店内を色付ける甘い香りを吸い込んで。


「・・・『想いを伝えてムーンライト(洋梨のコンポートケーキ)』『アップル・アディクト/もう君しかいらない(リンゴの身が詰まったシナモン・パウンドケーキ』『ほんのりマロンなロマン物語(ストーリー)(オードリ・アレンジバージョン・モングラン』・・・」


一息に言った。


「3つだけですか?」
「フランソワーズさんは新作を全部食べたいはずだ!なあ、ジョー!」


オレは意地悪くジョーに声をかけた。にひひ。


「・・・・・・・、『星のかけらを集めて』」
「「集めて?」」


おれと義姉さんの声が思わずはもる。
ジョーの口から軽く深呼吸の音。


「・・・フォーリン・ラブ・トゥ・ミー(メープルシロップゼリーを重ねた柿のケーキ)』」


メニューを見ることなく、声のボリューム落としてつぶやいた。


ぐふっ・・・・・ふふふふふふふふ


ね、ね、義姉さんっ?!
ああっ興奮し過ぎしすぎっ鼻息荒いっす!トレーが・・潰れてるっす(汗)
つ、潰れるもんだったかな、それって・・・。

と、とにかくっあんなぼーっとした兄貴だけど、兄弟2人きりで色々面倒見の良い兄貴でっ。
ケーキ作りくらいしか取り柄ないっすけど、そんな兄貴っすけど、捨てないでっ。義姉さんっ!


「ふふっふうっ・・・っ島村っちさん、もう一つ新作がございますが、どうなされます?」


ジョーは視線を壁に定めたままピクリとも動かない、オレと義姉さんとの空気の差がどんどん開いていく。





「フランちゃんがいないから、申し訳ないんですけどねえ」
「・・・」
「このケーキ、見た目よりも甘過ぎなくて、意外に大人な味でさっぱりとした仕上がりなんですよ」
「・・・」
「アメリカでは、恋人のニックネームらしいじゃないですか!普段、これくらいのことフランちゃんにむかっていってらっしゃるのでしょ?」
「・・・」


---ええっと、最後の一つって、なんだったっけ。









あ!
















「へへっ・・ジョーが言えないならオレが言うぜ、フランソワーズさんがいらしゃったら、オレ、言うぜ!きっとオーダーされてないってことで、フランソワーズさんが”オレ”にオーダーしてくれるんだろうしな!」
「・・・・」





---・・・んあっ?!




視線をそらしていたジョーがこっちを向いた。
その顔は不気味なほどににっこりと微笑んでいる。


---な、・・・・何を考えてる?



ちょっ・・・ジョーっ!!手を離せっり、両手で握り込むなっ。
うわっ義姉さん、携帯電話を出して・・そのランプの点滅は動画っすかっ!!





ジョーっ!おま、、何を雰囲気(ムード)をつくって?!




それはっs


その顔はフランソワーズさん用だろうっ!?


そんな顔したって、オレは絶対に、ぜえええええったいにっ
落とされないぞっ!








「・・・『君だから、君だけで、満たされたい・My sweet pumpkin』・・」
「・・・・・・・////////(ごくん)」
















ジョ・・・ーぅ・・・ぁぁぁあああああっ。ああああああああああっっっ・・・
「あああああああああっっっっっs!!何だよっおいっ?!手をはなせっ馬鹿野郎っ!」
「大地、今の間はなに?ねえ、何、なんなの?フランちゃんのライバルだったの?」


顔が痛いっ熱いっ。
全身が火にあぶられたみたいに火照る。


ジョーの手を振りほどき、テーブルにあった自分が用意したグラスの水を一気飲み。
何を慌てるっ?!


オレはっ

オレはっオレはっオレはっ
オレはっオレはっ

オレはっ

オレはっ



お、れ、はああああああああああっ!



オレはっノーマルだ!
フランソワーズさん一筋なんだああああ!!









オレ、パニック!






「・・・・大地、・・・・・冗談だから、な?」
「うわあっっうわあああっっ!!」
「・・本気にするなよ?俺にはフランソワーズがいるし、フランソワーズ以外、・・・それも男は、悪いが・・」


ジョーっ・・困るなっ。
本気で困るなっ!!





上目遣いに申し訳なさそうな顔でオレをみるなっ。






「どうしよう・・・。困ったな・・・これって、浮気になるのか?なあ、大地」
「ぎゃあああああっ」





うああっジョーっ頼むっ。馬鹿っ!
オレにむかってフェロモン大噴射しなくていいっっ!






「島村っちさん、これをにっこにこ動画に載せていいかしら?」
「・・・俺だとはっきりとわからない程度に囲うしてくれるなら、どうぞ」
「浮気の証拠動画になっちゃいますけど?」
「・・・・・・・・・あ、そうか。・・どうする、大地?」
「やめてくれーっ!」



載せないでええええええええええっっ!!
男に見惚れて顔がトマトなオレがっオレがっ・・・・映ってるんだからなっ。


「・・・大地、一応念を押してもう一度言うけれど、フランs・・」
「知らねーよっ!オレはお前なんか知らねーっ!」
「・・・・・・・・ふられたってこと?俺、大地なんかに?」
「島村っちさんを振るなんて、大地っ!100億光年早い!!ほらっ!もおうっ遊んでないで珈琲!」
「遊んでんのはっ義姉さんとジョーっdえ・・・」






ドアのチャイムがちりりん♪っと鳴る。


午前中の光は、まだ誰にも触れられていない真新しいシーツのように、清々しい。
カフェ内の証明を変えたわけでもないのに、彼女が、ドアをくぐっただけで、




彼女が放つ、光が満ちていく。







お菓子の甘い香りにまじったフローラルの香りが、ぶるかることなく調和して。
彼女がカフェにいるときだけ香る、特別なフレグランス。


すぐにわかった。




モーツァアルトを魅了したカナリアの鳴き声よりも美しく響き渡るソプラノ。
彼女が、偉大な作曲家と同じ時代に生まれなくて良かったと思う。
もしも彼女がいたならば、きっとモーツァアルトはこの世に名曲を残していなかったはず。


フランソワーズさんに夢中すぎて!
作曲してる暇なんてない!


は、もしや!






逆に、人類は偉大なる曲を生み出してもらうチャンスを逃した?!











「おはようございます、萌子さん、大地さん」
「あら、フランちゃんいらっしゃい」
「・・・フランソワーズ」


ジョーはフランソワーズさんを迎えるために席を立ち上がった。


「慰めて、・・・大地に振られたんだ」
「まあっ、大変!」




なあああああああああっ!ジョーっ!お前っ!!

って、フランソワーズすわあああっっんっ。
・・・・・何も疑問を持たずに、そのままジョーの言葉信じるんっすか!?


ことの経緯を尋ねてはくれないんっすか!?



「見て見て~フランちゃん、これはとっても売れるわよ!!」


義姉さん?!

どこでですか?!
何にですか?!


・・・本気でカフェ経営危ないんっすか、義姉さん・・・・。










って、見せないでくれーっっ!!








end.




***その日の夜***白文字です

「レース前のジョーって・・・とってもとっても我がままで、甘えん坊になっちゃうのね」
「・・・・少し、ナーバスになってるせい、かな」
「それで?」
「うん、それで・・・大地を使ってリラックスしようと、してみたけど」
「してみたけど?」
「・・・・・・・・・・フランソワーズじゃないと満たされない」


ジョーはデスクに置かれた、半分だけ食べたケーキに視線を投げる。
うっすらとぬくもりがのこっているだろう、2つの白いマグが、ルームライトではなく、部屋を染めるオレンジ色に染まっていた。


「明日のお夕食はかぼちゃの甘辛煮にしましょうね」
「・・・かぼちゃはもういいよ」
「好きでしょ?」
「好きだよ、フランソワーズが」
「ええ、知ってるわ。そうじゃなくって・・」



『君だから、君だけで、満たされたい・My sweet pumpkin』



「・・・・好きだから、食べたいな」
「デスクにあるわ、まだ半分残っていてよ」
「そっちじゃなくて、・・・」
「もう・・・・・」


シーツの波に沈んで行く、2人。









「ね」
「なに?」
「・・・・・呼んでみて?」
「呼ばれたいの?」
「聴いてみたいわ」
「・・・・・・・・・愛してるよ、My sweet pumpkin」
「ふふ♪」




end.













*あとがき*

お久しぶりです。
シーズンが秋、カフェ日和。
今回はジョーののりがよい(笑)

鈴鹿なので(汗)
日本だから。
レース前でちょっと興奮気味というか気持ちが高ぶっているのか。
そんなジョー。を、初めて見る大地くんが振り回されたのでしたー。


萌子さんはいつもレース前くらいのテンションを、ジョーに希望してます(笑)
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