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『兄と妹で五題』で3誕/2010



1.大事な妹に手を出すな。


「・・・最強のサイボーグさんとやら」
「は・・い・・・?」

ここは、国際空港@フランス。

「小学生にしかみえない”童顔”の男でも、拳で諦めさせようなんて思ってないさ」
「・・はぁ・・・」

車をまわしてくるから、待ってて!と久しぶりに会った最愛の彼女に言われた。

「けど、」
「・・・けど、なんでしょう?」


その、彼女1人が迎えに来てくれると思ったのに。

「どんな男だろうと、オレ以上の存在になんてなれっこないからな?」

それでホテルへ直行してさ・・

「・・はい・・、わかってます」

それで、まあ、夕食くらいの時間までに彼女の家に帰せばいいって思ってたのに。
(今は朝の7時・・)

「フランソワーズにとってオレ以上の男なんて一生現れないし、ましてそんなヤツなんていないし・・・」
「・・・・・・」

なぜ、今、僕は初対面の彼女のお兄さんと2人きりで、・・・この寒さ吹きすさぶ1月の空の下、並んで立っているんだろう。

「・・・それで、ええっと」
「ジョー、です」

車でくるま(な)・・あ、だじゃれ?

「ああ、そうそう。ジョー、ジョーだったな」
「はい・・(わざとだろ?名前覚える気ないだろ?)
「・・・妹がとっても世話になっているらしいが」
「とんでもないです、・・僕の方が」

うー・・早く来ないかなあ、フランソワーズ。

「世話ってどういう類いの”世話”なんだ?」
「え・・・・」

え”・・・・。そりゃ、もちろんあっちこっちも、そっちどっちも・・。
なんて、言えません・・(涙)

「もちろん、”仲間”でリーダーの君だから、ええっと・・」
「ジョー、です(わざと、だな)
「ああ、それそれ」
「・・・」
「その最強のサイボーグの、ジョーさんがてっとり早く仲間の女の子に手を出した。なんて事、ないですよね?」
「ありません!」

てっとり早くなんて、失礼な! 彼女が仲間じゃなくたって、サイボーグじゃなくったって、僕は絶対にフランソワーズを好きになってたさ!・・・・なっs、なってたっ!!考えるな!

「・・・・妹を心配するオレの、勝手な妄想ですよねえ?もちろん!あはは、そうですよえ!世界を救ったという方が、」
「そんな言い方、やめてください・・、お願いします」

フランソワーズのお兄さんは、煙草をふかして歩いていくビジネスマンらしき団体を目にして、おもむろに自分もポケットから煙草を取り出した。

「まさかリーダー様が、オレなんかの妹にあ~んなことや、こ~んなことしてるなんて!・・・・ないですよね」

声の気迫に思わず大きく縦に頷いた。
・・・ごめんね、フランソワーズ。僕は君のお兄さんに会ったその日に、・・・嘘をついてしまった。



「もちろんだ。ああ、ほんとオレは馬鹿ですね!!あははは、仲が良いだけで、それも”仲間”だからこそ、・・・・なんですよねえ?」

フランソワーズのお兄さんが僕に微笑みながら一本すすめてくる。

「・・・・はい」

眼が怖いです、お兄さん。
こんなことを考えてはいけないのかもしれないけれど、こころの底から003がお兄さんじゃなくてよかったと思いました。

「お、やっときたな下手っぴめ!」

僕は吸えもしない煙草を一本手に取ったとき、フランソワーズが運転する車がきいっと眼の前に止まった。




ああ、フランソワーズ、(もう手遅れであるけれど)キミに手を出すなって釘を刺され続け、流血中の僕を早く手当てして欲しいんだけど。 そんな時間と暇(逢瀬)は、このフランス滞在中にあるのかなあ・・・。










2.そんな××は断固認めん。


「ええっと、・・・サイボーグさん」
「ジョー、です」
「ああ、はいはい。・・・フランソワーズが、キミとパリ市内に行くって張りきってるみたいだけど」
「あ、はい・・。午後から彼女と一緒に出ます・・ジャンさんはお仕事と訊いてたんですけれど・・」

ホテルに部屋をとってあったのに(そこが僕とフランソワーズが唯一2人きりで、むふむふ♪できるところだったのに・・)
この、フランソワーズの兄貴にキャンセルを命じられて、24時間監視つきの、・・嬉しいような哀しいような、複雑な環境に身をおくことになって2日目。

「休んだから、オレ」
「は?」
「すべての有給を君が滞在中の期間にぶちあてたから♪」
「え?!」


マジかよっ!


「ほらね、やっぱり僕にとっては大切な妹で、しかも誘拐されて改造されたもんですから、リーダーさんを信頼してるのはもちろんだけど、眼が離せないっていうか・・・、今が一番眼を離してはいけない気がするんです、・・・兄の感と言うもんでしょうかねえ」

・・・・・・正解だったんだ!僕の判断は、うん。(大丈夫、まだ大丈夫だ!)

「キャンセルしてくださったと思っていたホテルがキャンセルされてない、みたいですし」

あ・・・(滝汗)・・・ば、バレてる(ナイアガラフォール汗)。

「いえ、それは・・・その、やっぱり滞在期間が長いから、・・ええっと。もしものときにやっぱり、ほら、あれですよ」
「そんな!気を使わないでください、オレ的には”ここ”に居てくれた方が、”とっても助かる”’んですからね!」

・・s、そんな・・の無理ですっ!僕たちどれくらい長い間・・・・。

「キャンセルしときましたから♪」

なにっ?!え?・・ちょ・・・。

「遠慮なく、自宅と変わらないように過ごしてください」

それができないからっホテル・・・。


ああああああああああっs・・・・フランソワーズゥゥゥッッッ・・どうするんだよおお(号泣)。











3.たとえ過保護と言われても。


「もお、兄さんったら・・・」
「なんだよ」
「言ったじゃない、彼は・・・私の特別な人って・・・」
「わかってるよ。だからほら、お前と寝食をともにしても、ちゃーんと大人なオレは受け入れてるだろ?こころが広いぞ!オレは」
「・・・そういうことじゃなくって・・ちゃんと彼を・・・、ねえ・・兄さん」
「・・そんなに好きなのか?」

僕は、兄妹のそんな会話を少し離れた場所で密かにきいていた。

「・・・・好き・・よ」」

ギルモア邸に送る絵はがきを選んでいるふりをして。

「そうか・・」
「・・・」
「・・・・・・・・・・たとえ、シスコンとか、過保護すぎるって言われても、お前はオレの妹なんだ、このジャン・アルヌールの妹に生まれて来たんだから、・・・残念だけど、諦めろ、な?」
「そんな風に言わないで、・・私はもう、子どもじゃないの・・。ねえ、兄さん、いい加減にしてちょうだいね?」
「うるさい・・。お前はオレにとってはまだまだぴーぴー泣いて手のかかる、手をかけなきゃやってられない・・ファンションなんだよっ」


ジャンさんは、腕をフランソワーズの肩にまわして、抱き締めた。


---わかってる。それくらい・・、わかってるさ。けど、そうさせてくれよ・・・。お前はオレのたった1人の妹なんだから、さ。



認めたくなんだよ・・・、まだもう少し、・・オレの生意気な妹でいろ。





ジャンさんの悪口を言うのは、こころの中でも止めようと思った。
僕には兄妹の関係なんて、わからない。けど・・もしも、僕にフランソワーズのような姉か妹かいたら、きっとジャンさん以上の態度になっていたかもしれないって思えた、から。










4.いつでも捨て身で護ってやる。

アルヌール家での滞在生活、2週間目。
フランソワーズとジャンさんの家での生活も大分慣れて来たころ、偶然バスルームでジャンさんと遭遇。


「あ・・」

自然と視線が、そこへと固定された。

「・・ああ、これか?」

彼は、バスローブを着て、緩くウェスト部分をとめていただけで、閉じきってないバスローブからひどい火傷がみえた。
それは、左の首元から鎖骨で大きく広がり左肩を覆って、腹部にまで達している、酷いものだった。

「・・・・・・事故、ですか?それとも」

ジャンさんはフランス軍所属。その訓練中におった傷?

「事故っていえば・・事故だけど、事故とは思ってないな。・・・・こいつは、戒められたってやつだ」
「?」
「フランソワーズが連れさられていくのを、数ブロック離れた場所から、オレは・・・みつけて」
「え・・!?・・その場所にいた・・んですかっ!」

ジャンさんは僕の驚き具合に、少しだけ苦笑しつつ僕の背後の廊下にフランソワーズの気配がないことを、確認して話しをすすめた。

「いたっていうより、・・バスの中から。あんときは訓練生だったから、寮生活でな。週末にしか家に帰られなくて、いつもの場所でオレを迎えに待っているフランソワーズをバスの窓から探すのが、習慣だったんだ。それで、偶然に、・・・・バスを飛び降りてフランソワーズが連れ込まれた車をおいかけたときに、ばーん!ってな」

”ばーん!”の声にあわせて、ジャンさんは手を叩いた。

「病院に担ぎ込まれて、意識不明の重体で、妹はその日から音信不通の行方不明で、・・・大変だった」

ジャンさんの瞳が、当時を思い出したのか、鈍く揺れた。
知らなかった・・、そんなこと、フランソワーズは一度も・・・・。



「・・・・ジョーも辛かったんだろう?色々と・・あるよな、大なり小なり、人にはさ」


瞳の揺れを誤摩化すように、いつもよりもぐっと口角を引き上げた笑みをみせた、ジャンさん。


「・・生まれたときから天涯孤独の身だったので、そういう気持ちは・・」
「あ、・・ああ・・・。きいてる、そうだったな。・・悪い」
「い、いえ・・ジャンさんが別謝ることじゃ、ないですよ」


ジャンさんは、ふうっと肩から息を吐き出し、バスルームを僕に譲ってくれた。

「フランソワーズには言うなよ?知らないから」

ああ、やっぱりそうなのか。

「はい、・・わかりました」
「ま、コレはそんときのってやつだよ。・・・妹を捨て身で護れなかったことを一生忘れないために、戒めるために、なくちゃならない大切なもんだ・・・、二度と、同じ事は繰り返さないってな。今度”何か”があったとき、・・護ってやりたい、・・いや、護ってやるんだ」


ぱんぱん!っと、バスルームからでていくときに、ジャンさんの手が僕の肩を強く叩いた。
同じ男として、その手の強さと大きさ、温かさに、・・・僕は少しだけ嫉妬した。






<・・・・ジョー・・>

バスルームからジャンさんを見送った後に、届いた通信。

<・・・・・聞こえてた?>

彼女の部屋は、バスルームの隣。
薄い壁が原因じゃない、・・彼女の性能の良さと、僕とジャンさんの関係を心配しての、せい。

<ジョー・・・そばにいて・・・私・・>

脳波通信を通した電子音なのに、彼女の声が涙に濡れていた。

<・・・・うん、じゃあ・・リビングにいくよ>
<・・・そのまま、バスルームに、いて。・・・・・私がそっちへ行くわ>
<でも>
<お願い・・ジョー・・、今すぐに・・愛して・・>









バスルームから一番遠い部屋でもシャワーの音が聞こえて来る。
オレはその音を聴きながら、自室のベッドで手足を投げ出して仰向けにねっこりがり、何もない天井を見上げていた。


フランソワーズが帰って来て3年が経った。
1年にそのうち3回、4月から6月の3ヶ月間ほど、日本に行った。理由は”体”のこともあったが、それだけじゃないことを知ったのは、・・・まあ、国際電話の数と届く手紙に小包を見れば、気づかない方がおかしい。




『彼に・・会ってみたい?』
『別に』
『・・・兄さん』
『なんだ?』
『彼に、・・・・会って・・くれないかしら?こちらへ遊びに来てもらいたいな・・・。・・・と、・・くべつな、人なの・・・だから、兄さんに紹介したい、な・・』




オレが護ってやれなかった間。代わって彼が護ってくれていた、と教えてもらった。 今、こうやってフランスに帰って来られて、またオレと一緒に暮らせるようになったのも、全部、彼のおかげだと。

その、彼に会って欲しいと、言われて、nonとは言えない。

礼も言いたかった。
奪われた妹をオレの手に帰してくれてありがとう、と。


改造されたと言うけれど、妹は前も後も変わりなく、オレの妹のままだった。
歳をとる事ができないと言うけれど、あくまでもそれは見かけだけの話で、オレにはちっとも関係のないことだ。

本当は、オレに会うことも、フランスに帰ってくる事も怖くて、諦めていたらしい、
その妹を、説得したのが、彼。




『君の一番の幸せを叶える事が、僕の幸せ。・・・だから、僕のことが好きなら、まず、フランソワーズが一番幸せな形を築いてくれなくちゃ、駄目なんだよ』




アムールを歌うように口にする国の男でも、そんな台詞は滅多に吐かない。
好きな女と離れて暮らす事を勧めるなんておかしいじゃないか。
そんな幸せなんかを追い掛けさせるよりも、自分の手で女にそれ以上の幸せを与えるのが本当の男ってもんだろう?

本当にフランソワーズを愛しているのか?他に好きな女が出来たからの、厄介払いじゃないのか?






「日本人は風呂好きだと言うが・・・」


不自然にバスタブを打つ水音が、かれこれ一時間以上続いている。
ここでの滞在期間一番長い風呂だ。
ときおり女の短い悲鳴のような声が混じるのも、滞在期間中、初めてのことだ。



しかも、その声は自分の全く知らない女、の声・・だ。








妹とは結びつかないことに、感謝した。
たとえ、妹自らがバスルームに足を運んだとわかっていても。


「きかれたのかもな・・しまったなあ・・・。アイツの力ってのは一応教えてもらってたけど」


1月8日の木曜日にこっちに来て。と、オレはデスクのカレンダーへと首を動かして数えた。
15日で1週間。明後日の24日の後、・・・・26日に彼は日本へ帰る。


今日まで彼は一度も妹に触れなかった(朝の挨拶のハグとキスだけは黙認したけれど)。
もしも、オレがバスルームであんな話を彼にしなければ、初日のオレの願い通りに、彼は妹に触れることなく日本へ帰っていたことだろう。


「男として、どうよ、それは・・・(自分で釘を刺しておきながら、言うべきじゃないかもしれんが)


イマイチ頼りない地上最強の戦士だ・・・・・が・・・。



バスルームの水音が止んだ。
おもわずベッドから飛び起きて、ドアを薄く開けた室内で、聞き耳をたてて息をひそめた。





何をやってんだ、オレは・・・。






「・・・・ジョー」


予想できない物音が数分続いてから、バスルームのドアが開いた。
せまいアパルトマンのために、あっと言う間にシャワー後の独特な香りが、廊下をつたって、薄くあけたドアから入って来る。



「今夜は、・・一緒に・・」






妹だとわかっていながら、それが妹の声には聞こえなかった・・・・。






「部屋に戻らないと・・フランソワーズ、駄目だよ・・さすがに」
「気づいていても放っておいてくれているのか、眠ってるか・・よ。お願い・・」

廊下に出れば、どんなに声を潜めてもドアさえ開いていれば聞こえてくる。
フランソワーズの改造云々よりも、耳がいいのはアルヌール家の遺伝なような気がした。

「・・、知らないふりをしていてくれたってことだろ?明日が怖いなあ・・それって」
「今夜は、・・・1人でいたくないの、ちゃんと明日、いつもの私でいられるように・・兄さんには私が言うわよ・・ね?」
「なんて言うんだよ?」
「・・・・抱かれたかった?」
「フランソワーズ・・・ストレートすぎる、それは却下。僕が殺されるよジャンさんに・・」
「大丈夫。返り討ちにあうから」
「・・・・お兄さんだよ、君の」
「だって・・あんな話しを、・・私、知らなかったのよ・・私のせいだわ・・ジョー、私、私・・兄さんになんて酷い傷を負わせてしまったのかしら・・・」

ああ、やっぱりバスルームでの会話を着替えてしまったのか。
フランソワーズには、この傷は彼女がいなくなった後の訓練中の事故だと言っていたから。


・・・ショックだったんだろう。




ごめんな、フランソワーズ。
嘘をついて。

本当のことを離さなくて。お前を悲しませたくは、なかったんだ。


終わった事に、・・過ぎてしまった事・・に、さ。


「・・・君のせいじゃないよ、・・・すべては・・だろ?・・それも終わったんだ」
「でも・・でも・・・・・。ジョー・・、今夜は一緒にいて・・」



・・こういうとき、オレに直接泣き言を言うお前だったのにな?



「・・・一緒に、いたいのは、僕もだよ・・・」

行方不明になっていた間の出来事も含めて、オレにとっては、妹に関していえばオレに知らない事などないと思っていた。



「部屋に来て・・それが駄目なら、私がジョーの部屋にいくわ、兄さんが起きる前に部屋に戻るから・・・」
「・・・・・・・」



けれど。


「・・・フランソワーズ」
「お願いよ・・一緒に、いてちょうだい・・」





オレは部屋のドアをそうっと閉じた。
鍵をかけて、ルームライトを消し、ベッドへと潜り込んだ。


明日の朝一番に、ミレーヌの部屋へ行こう。
そろそろ出張から戻って来てるはずだしな。・・こっちから行かないと彼女は、絶対に連絡してこない。
フランソワーズに遠慮して・・・、もうそんな必要はないと言う事を解らせるために、ジョーに会わせたらいいな、うん。


そうしよう。


24日の朝に、ミレーヌを連れてこっちに戻って来たら良い。



フランソワーズには、ミレーヌにいて”オレの友人の姉で、家が近いことを理由に一緒に食事をする”くらいの仲としか説明してなかったから、な。

びっくりするだろうな、フランソワーズ。いや、その前に怒るか?
・・・その辺はジョーに押し付けておいたらいいか、こういうとき男がいると便利だ。

便利だけど、面倒くさくなくて助かったけど、こういうの・・・・寂しいかも・・な。


「・・・・・もう、オレの前で泣く必要がなんてなくなってしまったんだな・・」


オレの部屋の隣、ジョーに使ってもらっている元は物置にしていた小さな部屋の、ドアが閉まる音が壁伝い、聞こえる。



ドアが開き、閉じるまでの間がいつもよりも長く感じた。





「Bonne nuit、・・良い夢を・・・」



オレとミレーヌ、お前に、そして・・・お前のスペシャルな彼氏と一緒に、誕生日を祝おうな。










バレエ一筋でそっち方面は大人しすぎて、別の意味で心配してたんだが・・・・。フランソワーズもアムールの国の女だったんだな」


・・お前が大切に愛されているなら、それでいい・・・か・・・。











5.知らない事などないと思っていた。


「兄さんがいないわっ!」

朝早くに僕の部屋から出たフランソワーズが、5分もせずに舞い戻ってきた。

「えっ・・・ええ?!まさかっ・・昨日のことがバレて?!・・家出・・とか・・・・」


昨夜は久しぶり、・・・本当に久しぶりに、彼女と仲良くできたので(お風呂場と、部屋で♪)・・・セットした携帯電話のアラームが鳴るまで、ぐっすり夢の住人だった。
そのせいでまったく、ジャンさんが家を出て行ったことに気づかなかった。


「これ!」

フランソワーズが握り込んでいた、紙を受け取ってそれを読む、その速度を知っているかのように、フランソワーズが暗唱した。


「『せっかくの有給だから少しは”彼女”にもまわそうと思う、24日の朝にはそっちに戻る。




後は、ジョーになんでもしてもらえ。


フランソワーズを頼むな、ジョー』・・・で、彼女って誰よ!!」





「・・・さ、さあ・・」
「私っジャンに彼女がいるなんて聞いてないわよ!知らないわよっ!

フランソワーズが僕に噛み付いてくる。部屋を出て行く5分ほど前までまとっていた、しっとりと昨夜を引きずった甘えるような香りはもう、ない。

「私がジャンについて知らない事なんてないはずなのにっ!酷いわっ!誰よその女っ」

僕の胸ぐらをグっとつかみあげる勢いのフランソワーズ。
その怒り方がなんだか気に入らない僕は、怒りを追い払うかのように彼女の背中に手をまわしてぽんぽん。と、その背を叩く。


とにかく、僕はジャンに彼女の恋人として認めてもらえたってことなんだと思うよ。
そっちには・・気づいてくれないのかな?





24日の朝までは、2人きりなんだよ?

「ジョーっまだそんなに遠くへは行ってないはずよ!」
「・・・・・駄目だよ」

眼のスイッチを入れそうになった、彼女をぎゅうと抱き締めて、腕の中で抵抗する彼女を、昨夜の余韻を残したままの僕が、キスをした。




end.







お題もと/Fortune Fate
イラスト/ふわふわ。り

ちゃんとジャンをこういう風に書いたのは初めて・・かも???


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