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愛のlumiere
注意

3は9の前に、それなりにおつきあいを経験していて、深い中になった恋人がいた。という設定です。
駄目な方は避けてください。










自分の価値観を押し付けるつもりなんてない。
ただ、私が味わった感動を、あなたにも。
あなたにも伝えたかっただけ。

私が好きだと感じ、触れた一説を、あなたの瞳にも写してみて欲しかった。
ただ、あなたの瞳に、私がこころ動かされたその言葉を読んで欲しかった。




愛をえがいて欲しかった。
私とあなたの関係を、もう一歩、先の未来へと進めるために。







「セバスティアン・・・・・」


25日の、昼過ぎ。
長いイブの夜を2人きりで過ごした昨夜を引きずるように、けだるげな躯を手近にあった彼のローブを拝借して、キッチンへと向う。
香りが抜けきってしまった、半分ほど残ったワインをグラスについで、聖夜の名残で喉を潤した。



喜びと幸せに浸された躯はこころから、生誕の祈りを捧げるに相応しい愛に充ちている、・・・充ちて、いたはずだった。


「・・・フランソワーズ、先にシャワー浴びるよ」
「ええ」


小さなすれ違いは何度かあった。
気にしすぎているだけだと、友人たちは笑って答えた。
その笑顔が、瞼に張り付いている。


その笑顔と交互に、小さなキッチンに似合う、小さなバタフライ式の簡易テーブルの上に広がっている夢の後の残骸に紛れた本が映っていた。
卵から孵化ったばかりのひよこがおしりに殻をくっつけているような、そんな中途半端状態の破かれたラッピング。


「プレゼントのセンスが、ないのよ」


デザートのブッシュ・ド・ノエルを前にして、交換したプレゼント。


「・・・・ありがとうって、大切に読むよって言ってくれたじゃない」


手に取れば、食べこぼしたチーズがべたりとラッピングをおいかけてきた。


「・・・・・」


小さなすれ違いは何度か、あった。
彼も私も出会うまでに、様々な経験を得ている。育った環境も、場所も友人も違う。



だから、面白い。

だから、魅力的に思えて。





だから、自分とは違う部分に惹かれて。







だから、・・・・。







どんな小さな「?」を胸を駈けても、それが彼の個性、彼らしさ。と、私は受け入れた。
私は彼じゃないし。彼も私じゃない。


愛するこころからお互いが歩み寄って、彼と私の中で新しい共有の彼と私を作って行く。






と、信じて。







耳に届いていたシャワーの音が止まった。
私は手に取った彼へのプレゼントを、もとの位置に戻した。





ニュー・イヤーの夜に会う約束をしていたけれど。
少しフライングして、でかけた彼の部屋。


愛のささやきに答えながら、聖夜の夜と変わらない夢を観る。






夢はいつも、愛し合った後の甘さは含まなかった。



あの本はどこにあるの?
彼の寝室にも、小さなキッチンにも、エントランス近くの書棚にも見つけられない。



夢の中の私は、彼の部屋を冒険するワルキューレ。











宝箱に眠る秘宝は見つからないまま。
彼との間の一つ先の未来への一歩も、見つけられなかった。











『ああ、あの本?あるよ、机の引き出しに大切にして・・・・別に、趣味とかは一緒じゃなくてもいいだろ?そういうのじゃなくてさ。ぼくとフランソワーズで、一緒に同じ時を過ごす中で養っていく価値観の方を優先したい、そう思うのは間違ってることかな?」






友人は、自己中心的な考えね!と、彼ではなく私を否定した。
セバスティアンは素敵な人だと、パートナーとして申し分ない人だから、一度”ジャン”に会わせてから考えなさいとアドヴァイスしてくれた。


けれどかたくなに、私はあの本にこだわった。


金色の、可愛い天使の絵が切り抜かれたしおりと一緒にはさんだ、メッセージカードにこだわった。


”Je t'aime”








”Je suis amoureuse de toi.”(私はあなたに恋してる)と言い続けた私の、・・・本当に言いたかった言葉を、彼はみつけてくれなかった。









私はまた同じ事を繰り返す。


「?」
「ジョー、今日は25日よ」


きょとん。と、不思議そうな顔で私の顔を見返して来る彼に、くすりと笑った。


「あ・・・。そうか、そうだ。もう12月で、今日は・・・」


クリスマスを世間一般に祝う余裕などない日々を送っているけれど、そんな日々だからこそ、世間一般に模様されて愛されるイベントを大切にしたいと思う。


「ありがとう、フランソワーズ」


照れたような、はにかんだ笑顔で、私の手からそれを受け取ってくれた。


「・・・ジョーの好みじゃないかもしれないけれど」
「なにかな?見ても良い?」


滅んだ筈のBG。


予想していなかった見えない敵からの襲撃によって破壊された、ギルモア研究所。
敵の動きを負いながら身の置き場所コズミ邸に移し、交代制でいつでもドルフィン号を常に出動できる状態にしておく。
3日交代で任務につく、今日は、私と009の当番だった。


「25日かあ・・、じゃあ昨日はイブだったんだね?」
「ええ・・。みんな忘れてるのかしら、ね?」


仲間へは、みなそれぞれ違うものを、コズミ博士を含めて、リビングルームのテーブルに置いて出て来た。


「クリスマスを?・・そんなことはないとは思うけど・・」
「あら、でもジョーは忘れていたじゃない」


私が今、手に出来る物で、みんなへの感謝と愛を込めて。


「まあね・・、クリスマスだからって特別なことをした記憶なんてないからなあ」
「もしかしたら、向こうではお祝いしてるかもよ?私たちに、クリスマスにドルフィンの当番で運がなかったんだーって言われてたり」


几帳面な彼の性格を現すように、丁寧にラッピングをといていく手元を見つめながら。
微かな不安に、こころを揺さぶられていた。






それはまるで、恋占いの結果を知るような期待に似た、寂しさ。
高揚する緊張と一緒に、諦めている自分を眺めている、素直さ。


「・・・本?」
「ええ、・・・フランス語のなのだけど、日本語訳のがあるって知って」
「ありがとう、フランソワーズ。・・・・でも、なんだか申し訳ないなあ」
「?」
「僕は、知っての通り、今日がクリスマスだって忘れていて・・だから、その」
「気にしないで。・・・私があなたに贈りたかったから、だけよ」







ハードカバーの本にクリスマスカードをはさんでおいた。

私の好きな、一文をフランス語で書いて。






”偶然に重なり合った雲と雲。通り過ぎる風に誘われて振り返ったときにできた隙間に、一筋の光がきらりと差し込んだ。それは、愛だ。私の胸に宿る愛が視えた”














end.









*告白・・って言えば告白もの・・・。なんです。
ああ、この人となら。と思う瞬間を、3に味わっていただきたく。
↓に。その後のちょっとした蛇足文ありです。



「愛って、・・よく、まだ、その・・・わからないんだけど、・・・・・・何かを大切だ、愛おしいって思う気持ちは、ゆるい陽射しの温かさにほっとするのに、似てるかなって、そんな風に思えた」



私に背中をむけたまま、まっすぐに反応のあったレーダーから視線を外さずに、言った。


「読んでくれたの?」
「とても綺麗な文章だけど、頭に入ってこなくて、もう少し時間が・・っていうか、・・・その、クリスマスカードだけ、読んで、その前後を眼で追っただけしか・・。・・・ごめん」
「いいの。カードに気づいてくれて、ありがとう」
「・・・・そうだ、ねえ、フランソワーズ」
「なあに?」
「この戦いが終わったら、一緒に空を眺めようね」
「・・・・・・?」
「何も考えずに空だけを眺めよう。もしも空を眺めていることに飽きたら」
「・・・飽きたら?」
「飽きたら、きっと僕にも視えてる・・・かな。・・キミと同じ光が・・。視えてると、思う。ううん。・・・・見たいと思った」





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