RSSリーダー
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2
PRENDRE UN CANON 3



11月16日。
朝5時から始まる国内Aライセンス講習会に、参加した。

各種規則に関する講義をこなした後の筆記試験と、走行実技の試験(サーキット走行時のマナーや、旗信号等の理解度確認)のためのレース。

全てを終えるのに、丸一日かかる。







国内Bライセンスは取得ずみだった。
車を走らせることは嫌いではなかったから、たまにカートを滑らせに行っていた先で、声をかけられて。


自分がどこの誰かを記す”証明書”が欲しくて取ったそれは、ちょっとした自己満足だった。


その後、助っ人ドライバーとしてのレース参加経験はあるものの、Aライセンス取得のための条件である、”レースを除く競技会(ラリー、ジムカーナ、ダートトライアル、サーキットトライアルなど)に1回以上出場して完走すること。”が、こなせていなかった。
紹介に紹介を次ぐ伝手を辿り、なんとか競技会に出場できる資格と車があるクラブに参加させてもらえることになり、クリアした。


こればかりは、運が良かったとしか言いようがない。

自費で走っているわけでもなく、所属するモータースポーツクラブがあるわけでもない、そんな僕を受け入れてくれた先があったことに、今日、講習会に参加できるこに、こころから感謝する。




かなりのお金が動く世界なだけに、自分が選んだことなだけに、さすがに頼るわけにもいかず、お金になる仕事があると紹介されれば、場所時間問わず駈けて行き、参加条件に必要な競技会を含めて日本中を旅することになった。
走らせる車も必要だった。


僕が、僕であるための使命もあって予定していたスケジュールはかなり狂ってしまったけれど、地道に時間をかけてやっとたどり着いた、国内Aライセンス講習会。






結果は、その日のうちに発表された。


「ジョーっおごるから、つき合えよ!」
「すみません、明日の朝一で仕事が入ってるから、すぐに戻らないといけないです」
「ええ!?」
「仕事が・・今から戻らないと遅刻なんで」
「なんだよそれ!まったく、オーナーの秘蔵ッ子のお前なのになあ。扱いあれーのなんの・・・ひでーよなあ」
「扱いが荒いとかっとんでもない!今日受講できたのも、何もかも全部オーナーのおかげですからっ」
「それより、クラブにいつまで居る予定なんだ?」
「仮ライセンスが届くのが2週間後で、・・・・その受け取り先をクラブにしてるから・・あと、少し頼まれ事もされたので・・」
「目的は達成できたんだから早く帰ってやれよ、写真のフランス子ちゃんが待ってるんだろ?」
「フランス子ちゃんって呼ぶの、やめてくださいよ、”フランソワーズ”です。とにかく、ライセンスが届いてからじゃないと。それを、・・・」
「ん?」
「・・・・クリスマス・プレゼントに、する予定なんです」
「この野郎っ!急に女子率が高くなったと思えばお前のせいだしっ、彼女のフランス子ちゃんは絶世の美女だしっ、このっこのっ」
「かっ!彼女じゃないですっ、フランソワーズはっ大切な人だけどっ別にっ、ぼ、僕たちはっ、別にっその、恋人とかじゃっ」
「嘘をつくなっ嘘をっ!」
「いやっ本当ですっ、本当ですからっ佐藤さん!!僕たちはっ!!って、聴いてます?!まだ僕の片思いでっ」








フランソワーズ、・・・ねえ、フランソワーズ。




クリスマス・ツリーはちゃんと届いたかな?



オーナメントを飾ってくれたかな?




僕が帰るのを待っていたら駄目だよ、フランソワーズ。


ちゃんと、飾っていてね。

楽しみに、してるから。








たとえ、僕がいなくても。


誰がいなくても。


1人でも。


1人になってしまっても。




好きなことを、諦めたら駄目だよ。










『いいなー・・』






『なに?』




『いいなー・・・って言ったの』


『なにが、”いいなー”なんだい?』

『・・・私ね、試験に受かったり役をもらえたりした経験はあるのだけど』
『うん?』
『賞をもらったり、”表彰”されたことは一度もないの』
『へえ・・・そうなんだ。僕も・・・ないなあ』


フィギュア・スケートに本選手権を観ていたときにのことを、覚えていだろうか。


『・・・・』
『?』
『コンクールに出ても、いつも結果を出せなかったの。いつも、いつも・・・でも、それでも好きだったから』
『フラン、・・踊りたいなら・・・・』
『この、躯じゃ踊れないわ・・・』
『そんなことないと』
『そんなことあるのよ。ダンサーの躯じゃないもの。”サイボーグ”の能力で踊っても・・・意味がないわ。ダンサーとして鍛えた筋肉と感性と、”生身”であることが、大切なのよ。・・・・私たちが”スポーツ”をしてフェアじゃない理由と一緒なのよ、ジョー』
『・・・そんなこと、ないと思う』


僕の財布の中の写真のキミは、楽しそうに笑っているのに、ときどき、瞳にいっぱい泪を溜めているようにみえることがある。
あのときの、泪に揺れた瞳を忘れられない僕だからなんだろうね。


その泪を忘れられない、僕だから。
その泪に何かを感じた、僕だから。









諦めちゃ駄目だよ、フランソワーズ。


好きって気持ちがあるのに、諦めたりしたら駄目だ。




踊ろう、フランソワーズ。

踊って欲しいんだ、フランソワーズ。




僕たちは、一体何のために戦い、そして戦い続けているんだろう?
もちろんBGを倒す目的があったけれど、BGほどではなくても、それに似た組織はたくさんあって、第二、第三の存在にならないように、それらが大きく成長していった先にある”破滅”を、僕たちを、僕たちと言う存在を通して、知って欲しい。





世界のために。


未来のために。





平和のために。







でも、本当にそうだろうか?
そんなテレビのヒーローが言う決まり文句のようなこと変わらない内容で、僕たちは戦っているんだろうか?



違うよね?
違うだろう、フランソワーズ。












僕はね、フランソワーズ。
僕以外の人間にとってはどうでもいいようなコト、のために戦っているんだよ。


とっても小さなことのために、必死になって護りたいから、どんなに辛くて苦しい戦況でも耐えられるんだ。







それは、世界の平和なんて言葉を口にする前の話し。


びっくりするかな?
呆れてしまうかな?













「受かって当然だと思っていたさ、・・・まあ、一応はおめでとうと言っておこうな」
「ありがとうございます。色々と、本当に・・・ありがとうございました」


ジョーは、きっちり90度に腰を折り、深々と頭を下げた。


「それで?」
「?」


ジョーが11月から身を寄せている、モータースポーツクラブ内の、オフィスに彼はいた。


「これから、どうするんだ?」
「・・・これからのことは、また改めて」
「本気でもうワンステップ、上を観たいと思ってないのか?」
「・・・Aライが取れたことによって、お前は国際Cレーズ除外者になるのも今の調子でいけば、最短コースだ。国際Bも範囲内とみてる」
「買いかぶりすぎです」
「・・・いままでのレースで、3位以下がない人間がえらく謙虚だな。コースの記録を塗り替えまくってるくせに」
「Bからは、世界が違います。・・・・・けれど」
「?」





フランソワーズ。


キミはどんな顔をするんだろう。









「世界一の、表彰台に彼女を立たせたいから・・・。」


サイボーグで、表世界から忍ぶように生きて行かなければと、暗黙のルールに縛られている僕(ら)が。
堂々と世の中に出て生きていこうとする、ことを。




フランソワーズ。


みんな(仲間)の反応は、それぞれに想像できるのだけれど、どうしても、キミがどんな反応をするのかが想像できない。

どうしてだろう。


ねえ、フランソワーズ。
どうしてだろうね。




「は!噂のフランス子ちゃんのために、世界一になろうっていうのか!!こりゃあいいっ!!謙虚どころかっバカだろ、ジョーっ!!いいなあっお前!女のために世界最速になるって言うか!」
「・・・”フランソワーズ”です」








僕はキミのために走るよ。
そのために戦って、世界一となるための”世界”を護るんだ・・・。

そして、それらは全部フランソワーズのものなんだよ。





僕が走ったすべての記録とか、賞とか、その他もろもろの、すべてキミのもの。
それは全部、キミが僕という人間を通して受け取ったものだから。

僕が結果を残せるのも、評価されるのも、すべてキミのおかげだからね。







フランソワーズ。

ねえ、フランソワーズ。





僕は何も怖くないよ。

サイボーグであることが世間に知られてしまったとしても。
僕は何も怖くないんだ。






どうしてだと、思う?



「本気で上、狙うんだな?」
「よろしくお願いしますっ!」







それは、



キミが好きだからだよ。


キミが好きで。
走ることが好きで。










好きなことから目をそらして、諦めて、好きという気持ち、自分の気持ちを偽って後悔する方が、怖いからだよ。







フランソワーズ、大丈夫だよ。


僕がいるから。
僕を観ていて。






大好きなバレエを始める勇気を、あげることができる男になるから。








「お前なら、口ばっかりの夢で終わらないかもしれんな!」









next

イラスト by ふるるか

(F3、1のライセンス内容とかその他は・・・創作上の都合というか、無知さ全開で色々と適当です・・・。)
web拍手 by FC2
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。