RSSリーダー
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2
ご機嫌曇りにのちキスの雨。


なんだよ。と、ジョーは呟いた。

そのつぶやきに反応したフランソワーズは、視線をTVからジョーへと映すと、瞬きと一緒に、彼の手に自分の手を重ねることで、自分の疑問を彼に告げた。


どうしたの?


ジョーはフランソワーズとは視線を重ねずに、左右に首を振った。

長い前髪がかすかに彼の鼻筋をなでた。


彼の動きをみて重ねただだけの手を、握った。


座っているソファがかすかにきしむ。

スピーカーから流れる天気予報士が、実際にはみえていないCG画像にむかって手を忙しそうに振って今夜の雲の流れを説明した。


七夕と言う日なのに、残念ながら今日は星が見えないようだ。



「なあに?」



とうとう、フランソワーズは声に出して彼のつぶやきの理由を尋ねると、ジョーは強く握られている手を解いた。


解かれた手に、フランソワーズが不満を載せて彼の膝に手をおくと、ジョーは躯をひねって、フランソワーズへと向き直った。



「今日に限って星がみえないなんて、最悪」

「今日に限って?」

「そう、だからさ」

「何か問題なの?」

「・・・ねえ、機嫌が悪いんだ」

「え?・・なに、突然?」

「直してよ」

「どうやって・・?」

「決まってるだろ?」



ジョーの膝に置かれていたフランソワーズの手が、倒れていく躯にしたがって、ジョーの腹部からあがっていき、彼の鎖骨あたりの、Tシャツを甘えるように掴んだ。


ジョーの前髪が、フランソワーズの頬をなでて往復する。


ソファの上に横たわった上半身とバランスを取るように、片足がフローリングから浮いた。

フランソワーズがはいていた、ピンク色のスリッパが心もとなげに、揺れている。





夏の訪れに歓喜する蝉。

波音にまぎれた、海と戯れる声。

カモメが、雲の流れの速さに、ジョーと同じくご機嫌斜めな鳴き方をしていた。






星が出るには早すぎる、七夕、7月7日の昼下がり。

例年よりも早い梅雨明けに、8月のように暑い日が続くこのごろ。


久方ぶりに降るかもしれない雨は、涼やかな風を届けてくれるので喜ばしいこと、なのに。

少しだけタイミングが悪かったようだ。



フランソワーズの鼻から抜ける空気の音は、外の気温よりもはるかに暑く、聴いてしまた者の体温をぐん!と跳ね上げる。




リビングルームでは、めったにしないキス。

フランソワーズにそそがれる、キスの雨は、ご機嫌が曇ったジョーによって。



「ジョー・・・も・・う、これ、以上は・・・」

「駄目、・・・・・今夜は星が見えないらしいから・・晴れるまで」



再び重ねられた唇に、フランソワーズは閉じた瞼の奥でスパークする情熱の星たちを、眺め続けた。







end.





背景イラスト/ふるるか
web拍手 by FC2
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。