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実はパスタ名人


「耳たぶ」
「?」

揃いの戦闘服に身を包んだ男女が、システムキッチンの前に並んで立っていた。
映画かドラマの撮影風景のような不思議な絵がそこにある。

「耳たぶって柔らかいよね」

マグカップに並々と注いだ珈琲を持ち上げた、009は隣りに立つ003の頬あたりに視線を注いでいた。
彼が話題にした、耳たぶが亜麻色のカーテンに隠れているためだ。

「え?」
「・・サイボーグって、何もかも、躯のどこもかしこも”硬い”って思っていたんだ」
「固い?」

自分の分のカップに作り置いていた珈琲をミルクを足す分量を考慮して淹れた003は、009の声に丁寧に返事をかえすが、BGMのように聞き流せる程度の感覚だった。

「そう。・・・だって”改造された”んだよ、サイボーグに。だからさ、躯の全部すみずみまで機械みたいに冷たく硬いって思ってたら」
「思っていたら耳たぶが柔らかくって驚いたの?」
「そうなんだ」

ズズっと音を立てて熱い珈琲をすすった009の視線は、ずっと003に注目している。
キッチン台の上に置いていたフレッシュミルクは使わずに、くるっと躯を反転させて冷蔵庫から牛乳を取り出す003を、ずっと見ている。
彼女がくるっと反転させたときに、揺らいだ亜麻色のカーテンからチラリとみえた、耳たぶ。

冷蔵庫を開ける音。
少し大きくなった作動音。
ひんやりとした空気が流れでて、003が冷蔵庫を閉めたことで周りに取り残された。

「・・・気にしたことなかったわ。柔らかいとか硬いとか・・・・」
「気にならない?」

質問について考える003の青い瞳は、天井をみるともなしにあおいだ。
唇が普段よりもアヒルのように尖る。

「茹でたてパスタみたいでさ。ちょうどいいアルデンテくらい軟かかった、ああ、ちゃんと柔らかいんだって思った」

ゆっくりと躯を反転させて、音もなく009の隣に再び立った003。
彼女の亜麻色のカーテンも先ほどと同じようにゆらぎ、隠れていた耳がチラリと009の前に姿を現した。

「アルデンテって簡単に言うけれど・・難しいのよ?本当のアルデンテの柔らかさをちゃんと知っているのかしら?009」
「そうなんだ?」

取り出した牛乳を淹れたマグが斑模様に滲んだ。
もう、彼女の唇は尖ってはいない。囁かに両方の口角が優しそうにあがっている。
瞳は3時のおやつを待つ子どものように、珈琲に夢中という感じだ。

「ねえ、003」
「なあに」

ズズズっと音を立てて熱い珈琲をすすった009はマグをキッチン台に置いた。

「じゃあ、僕らを改造したギルモア博士ってさ、パスタを茹でるのがすごく上手なのかもね、ちゃんとそんな感じで柔らかくしてくれたんだから」
「そうなるのかしら?」
「耳たぶの柔らかさを忘れなかったんだからさ」
「今度、パスタを茹でてみてくださいってお願いしてみる?」

陸海空を自由に行き交う万能型戦闘機に、備え付けられた小さなキッチンは仲間の一人のリクエストで、一流レストランのコックが羨ましがるほどのものだった。
限られたスペースのためにコンパクトにまとめてあるけれど、その多機能性と細部まで行き届いたこだわりは、賞賛の拍手を惜しみなく与えられることだろう。

しかし、残念ながら今は珈琲を淹れるぐらいにしか使われず、キャア!っと短い悲鳴があがる場所。

「もうっ!急にびっくりするじゃないっ」
「うん、003の耳たぶも(やっぱり)柔らかいね」

パスタの茹で具合ではなく、耳たぶの柔らかさを確認する場所になっていた。

「もうっ、もうっ!」
「でも・・・僕のより柔らかい気がするなあ・・・ちょっと茹で過ぎっぽい?」
「?!」
「うーん・・よくわからないや、もう一回触ってもいい?」
「ってもうっ触ってるっ・・・っ」

遠慮無く両手で003の頬を包むようにして、009の指先が003の先程よりも熱くなった耳たぶに触れる。

「ほらほら、やっぱりフランソワーズの方が柔らかいよ、僕の触ってみてよ、ね」






end.



















*さりげなくイチャイチャする93*
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コメント
もー、ドルフィンの中でなにやってんすか!!でも、うらやましい!何気にちょーラブーな二人が大好きです。
耳たぶの話をしだしたときからぜーったいジョー君は話にかこつけてフランちゃんの耳たぶ触る計画だったんですよね、きっと。確信犯ですよね??でも、ジョー君の確信犯ならだまされちゃっても全然Okです。
(あ、でも、これって飲み会の時、スキンシップのきっかけになるかも?と思ったいけない私を許してください。)
でも、フランちゃんってどこもかもがやわらかくて弾力あってぷりぷりして手さわり心地よさそうじゃないですか?あ、ジョー君も、耳たぶをきっかけに........
てな訳で自分の耳たぶ触ってみたら、ゆですぎのうどんみたいでした。

扉絵みました。
かわいい!!ちょーかわいい!!フランちゃん酔っ払ってますね?ジョー君、上で暴れるバランスの悪いフランちゃん支えるのに必死かな・でも、なんか嬉しそうに感じるのはなぜ?

クビクロクリスマスバージョンも拝見しました。残ったケーキ、食べちゃったんですね?きと、そのあと機嫌とるためにとっても大きなワンホールのケーキ買いにオードリーまで行くんじゃないでしょうか?おっきなスプーン渡して『ほら、好きなだけ食べていいよ』って。(そういえばそういうお話ありましたね)

机の上で鹿踊りするフランちゃんもかわいいです。なんで机の上に乗っかることになったのかしら?

ACHICOさまのジョー君とフランちゃんのフェルトのぬいぐるみ、作ってみようかな?(なんて不器用なんで無理。だれかつくってぇー!)

また、素敵なお話とイラスト待ってます。
良いクリスマスを!!!
2011/12/10 Sat| URL | ogityarina [ edit ]
メリークリスマス!
こんにちは。
耳たぶを触ってイチャイチャ93vでしたー。
ドルフィン号の中で防護服で、戦闘の合間合間にある10分くらいの時間に93がするイチャイチャの様子が好きですっ!(宣言)ふふふ。
状況設定に萌えてます。

耳たぶタッチははじめから計画的だった?!のかどうか、9に訊ねてみたいですよね。
「会話の流れでそうなっただけだよ」で、ニッコリと誤魔化されそうな(?)気がします(笑)
私の耳たぶは、固めです・・。ピアスをあけるとき、「しっかりしてますね~」と言われたので、そうなんです(笑)

絵にもコメントをありがとうございます。
映画化に浮かれてクリスマスパーティで酔っ払った3ですね(^^♪
3に振り回されて苦労する9。も好きなんですよ(笑)でも、好きだから振り回されていることでさえ嬉しくてたまらない、「もー・・仕方ないなあ」とか愚痴りつつも(・∀・)ニヤニヤな9です。

食べちゃったケーキの弁償、ホールケーキ1つで足りたのでしょうかね・・私の書く3は大食いなもので(^_^;)
「好きなだけ」ならとんでもないことになりそうですよ(笑)

机の上に乗ったのは・・興奮のあまり、バレリーナなだけにテーブルを舞台に見立てて。とかでしょうか?
お行儀が悪いので、あとでコッテリG博士に怒られてそうですね。いや・・マナーにウルサそうな7か6に??

フェルトのぬいぐるみ?!あのちびっこい93の?!
うわー・・観てみたいですっ!(誰かつくってくださーいっ!)


たくさんの楽しいコメントをありがとうございました。
ogityarinaさんに素敵なクリスマスがおとずれませうように♪
2011/12/23 Fri| URL | ACHIKO [ edit ]
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