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素直になれない/恋せよ、戦士。
009としての勤めを真面目にこなしながら、アルバイトももちろん一所懸命。

003としてできるかぎりのことをしながら、ギルモア博士、イワンに加えて邸の家事一般を張大人を抜けた分までがんばり過ぎるほどにがんばっている。

ギルモア博士は相変わらず我道を行くゆえにカウントされていない。

001に・・肉体労働を求めるのはもう少し成長してからでないと難しい。

005は、005らしい働きをする。臨機応変に動く彼。



同じ日本に暮らしていても、ギルモア邸から出ている2人。006と007。
そんな彼等も繁盛記シーズン以外はなるべく邸へと戻ってきて、(月に2,3度のペースではあるが)ドルフィン号の定期点検に加わっていた。

ドルフィン号の定期点検(最低でも3日1度)は欠かせない。
いつでもどんなときにでも、発進できるようにしておかなければいけないからだ。
そのために、日本のギルモア邸に滞在組の責任は重大だった。

2人が抜けた穴を埋めるように005が居るが、いくら005が立派な体格で006と007分は十分に補っているといえど、4本の腕が2本になってしまっては確実に009の負担が増えてくる。
そんな009を補うように003が動けば彼女の負担も増えたことになり、チリも積もればなんとやら。

定期点検 to do list にチェックされた内容と日付がずれ始め、周回遅れが決定。
ヘルプコールで他のメンバーを呼び出すほどではないけれど、予定表を手に悩ましげに眉を下げてつくジョーのため息を聞いていると、なんとかしなければ、という思いにかられてしまうのは005。

責任感の強い009は気軽に”頼みごと”や”お願い”ができない。
意地っ張りだからとか、プライドが高い、などの問題ではなく、彼の生い立ちが影響しているように思える。
人に頼る、ことが苦手なのだ。
人に頼ることなく、自分で生きていかなければいけない環境で育った彼だから仕方のない部分である。

003も009と似たようなところがある。
早くに両親を亡くし、年離れた兄に育てられた003は、できる限り兄の負担にならないことを心がけながら成長してきた。
妹らしく兄に甘えたりもしたが、甘えていいこと、駄目なこと、と自分の中で基準を設けた中でのことだった。


一つ余計な線を引いて他人との距離をとりがちな2人はよく似ている。
そんな似た者の2人を相手にする00メンバーたちは、2人が引いた線を堂々と踏み込んでいかなければいけなかった。

相手はまだ十代の少年少女だ。
オトナとして、眼を配らなければならないポイントだと思っている00メンバーたち。


005はこっそり006へと電話を入れた。
電話を受けた006が002,004、そして008に連絡を入れる。

現在、保護動物の監査役ヴォランティア・レンジャーとして活動している008が手を挙げてくれた。

「夏休みでさ、学生ヴォランティアがドサっとやってきてくれるからね、すぐに戻るよ」





すぐに戻るよ、と行った言葉どおりに、008、ことピュンマは連絡を受け取った4日後には邸の玄関に立っていた。
突然の帰宅に、喜びと驚きがまざった複雑な顔で迎えられたピュンマは、休むこともなく地下のドックへと降りていく。


<ジョー!>
<だから、フランソワーズ・・せっかく送ってきてくれたんだから、今日の夕飯は納豆スパゲッティのじゃなくてさあ>


アルバイトのない日は大抵地下のドックでドルフィン号の定期点検に明け暮れているジョーへ、フランソワーズから通信が入った。


<もーっ違うのっ>
<そうだよ、納豆は違うくてさ、辛子明太子d>
<ピュンマが帰ってきたのっ!ピュンマが!!>
<え?!>


「どうした?ジョー」
「いまさ・・フランソワーズが、ピュンマって」


オイルにまみれた指先で頭を差したジョーに、ジェロニモは微笑んだ。


「そうか。」


006に連絡を入れた後、何も報告が入って来なかった。
どうしたのだろうか、と疑問に思っていたジェロニモの心が晴れる。
連絡を入れて一週間経たない内に、仲間が1人帰ってきてくれた。


「急に・・どうしたんだろう、何かあったのかな?」


切なげに眉間に皺を寄せたジョーに、ジェロニモは当然の反応だと思う。


「少し休憩を入れよう。」
「そうだね、・・ピュンマに話しを聞かないと」


ジョーの足元に置かれた予定表。
また少し遅れるなあ、という言葉を喉へと押し込みながら、ジェロニモを連れ立ってドルフィン号を出ていった。


「ただいまー!」


ドルフィン号を出た2人の前に、ちょうど邸から降りてきたピュンマとフランソワーズがドックへと入ってきた。


「おかえり、ピュンマ」
「よく来たな。」
「んーっ!我が戦友にして心の宿っドルフィン号っ!!今から僕がたーーーーっぷりお世話してあげるからね〜」


久しぶりに目にした陸空海両用戦闘機、ドルフィン号にピュンマは大きく両手を広げた。


「今帰ってきたばかりだろ、ピュンマ、いいよいいよっ・・・それよりどうしたんだい?連絡もなくさ・・」


ジョーがドルフィン号に乗り込もうとするピュンマを慌てて止める。
彼の意見に賛成らしいフランソワーズが、ピュンマの後ろで大きく首を上下に動かして頷く。


「そうよっ!ピュンマっ!!連絡もなくて・・・」


ジョーに腕を引っ張られるようにして、ドルフィン号への足を止められたピュンマがフランソワーズへと振り返る。


「我が家へ帰ってくるのにいちいち連絡するものかな?帰ってきたいときに帰って来られる、これ、ホーム、スイート・ホームの基本でしょ?」
「ジョーは連絡くれるわ」
「・・・え?」
「するよ、最低でも邸に変える30分前にはフランソワーズにメールするよ、”今から帰ります”ってさ」


ジェロニモは黙って静かにうなづいた。
うなづいたけれども、ジョーのような豆さで連絡は入れていない。


「ねー、ジョーは一緒に暮らしているのに連絡くれるものねー?」
「うん、する。当然だよ」
「・・・あ、そう・・」
「それよりさ、何か、あったのかい?」


ピュンマは律儀なタイプの人間で、ほうれんそう(報告、連絡、相談)を怠らない。
その彼が何も連絡なく邸に帰ってくることは珍しい。
今までにあっただろうか?と記憶の糸を手繰り寄せるが、糸の先には何もひっかからなかった。
だからこそ、本人(ピュンマ)の口から聞き出さなければならない。


「何もないよ、・・ただ、ドルフィン号の定期検査がそろそろ大変になってくるころかなーって思ったから帰ってきただけ」
「・・・それだけ、・・・なのかい?」


ピュンマの腕を掴んでいたジョーの手の力が強くなった。
真剣な眼差しを向けてくるジョーに、ピュンマは苦笑いで答える。
彼の表情から、自分に”何か”があったと勘ぐっているらしい。フランソワーズも、明るく対応してくれてはいるが、その瞳が何かを訴えかけている。


ーーー張大人から、連絡があって。と、言えばいいかもしれないけれど。



ピュンマは脳波通信のチャンネルを、ただ黙って事の成り行きを見守っているジェロニモへと合わせた。


<言わない方がいいよね?>
<どちらでもかまわない。>


味気ない答えに、ピュンマは乾いた笑い声を出した。



ーーー言い出しっぺは自分だろ、ジェロニモ。



通信には載せなかったこころの呟き。
ほんの少し訪れた沈黙に、ジョーの瞳が不安げに揺れた。


「p・・」
「ははは、そんな深刻なことじゃないよ!・・・世間は夏休みだろ?僕のところにもさ、夏休みを利用した団体のヴォランティア学生が来て、それがまあ、当初の予定していた人数を大幅に超えていてね。僕が借りている部屋も学生に提供することに決めたんだ。街まで行けばホテルもあるんだけれど、そこから通うとなるとけっこう距離があるしさ、それならいっそのこと、今年はギルモア邸で日本の夏を楽しもーって。部屋を提供したその足で飛行機に乗っちゃったのさ」


スラスラと、ピュンマの口から今回の訪問の理由が告げられた。
話しを聞きながら相槌を打っていたジェロニモは、言い終えたピュンマに通信を送る。


<上等だ。>



半分は本当のことだ。
少し大げさに言っているだけで。


「そうなの?」
「そうなんだよ」


ピュンマの言葉を素直に受けとったフランソワーズは、納得できたらしく満面の笑顔を見せた。
突然のことで、おかえりなさいのハグもキスもまだだったことを思い出したフランソワーズが、ピュンマにむかって両手を広げた。
ピュンマもにっこりと微笑んで躯をフランソワーズの方へと傾けた。
腕を掴まれているので、途中動きを止めたピュンマへとフランソワーズが歩み寄り、軽く抱き合って頬を3回合わせる。

その間もピュンマの腕を掴んでいるジョーの手はそのままで。
さっきまでと今と、掴んでいる理由が変わっていることをジョーの手の温度と力加減でわかる。
密やかな笑みを口元に浮かべながら、再びジョーと向きあった。


「それで、作業途中だったんだろ?」
「う・・・うん」


ちょっと複雑な想いと一緒に、長い前髪に表情を消した。


「じゃ、まずは夕飯まで、付き合うよ!」
「い、いやっ・・・それは・・、帰ってきたばかりだしさ」
「狭い座席にじーっとしっぱなしでさあ、ちょっと動きたいんだよ、腹ごなしも兼ねて」
「ちょうどいい。今とりかかっている分を終わらせてしまおう。ピュンマも参加してくれれば一時間もかからない。」


ジェロニモの声もかかり、ジョーは頷くしかない。


「じゃ、お夕飯は1時間後にね!」


冷凍していた博多明太子をすぐに解凍しなくちゃ!と、独り言を言いながら、ドックを去っていくフランソワーズ。


「今日の夕食は明太子がメイン?」


3人がフランソワーズを見送った後に、ピュンマが第一声を発した。


「コズミ博士が今九州地方で学会があって・・送ってくれたんだ、たくさん」
「へー!僕大好きだよ、明太子vじゃあ今夜は明太子たっぷり白ご飯にvv」
「いや、パスタになるだろう。」
「うん、今日はパスタ」


ゆっくりとした動きでジョーはピュンマの腕から手を放す。
前髪に隠していた表情を、今はみせていた。


「フランソワーズが作るんだからな。ジョーの好物の一つ、辛子明太子スパゲッティ(刻み大葉入り)だ。」
「いやちがっ・・彼女は初めっなst」
「ふーん・・じゃあ、明日の朝のお楽しみにして、今夜はパスタかあ」
「sせっかくピュンマが帰ってきたんだしっ、ピュンマが食べたいものをつくってもらおうよっ!!」
「えー、いいよお、009にヤキモチ焼かれたら身がもたないもーん」


少々ジョーに腕を掴まれてもなんてこともないのだけれど、ピュンマはこれみよがしに、眉間に皺をよせて、掴まれていた部分に息を吹きかけたり、摩ったりしはじめた。


「ったく・・・挨拶くらいさせてよねー・・」


唇を尖らせてジョーを見上げる視線は拗ねている。


「え?!・・あ、・いさつ・・したじゃないか、目の前で・・」
「いつもしてるのとちが~う、なんか違ったー、腕掴まれてたしさあ・・・・もー、ジョーの前でフランソワーズと挨拶なんてできないよ、ね、ジェロニモ」
「ピュンマと挨拶ができなくなる状況の原因の一部はフランソワーズにもあるのだから仕方ない。」
「フランソワーズにはないよっ・・」
「だよね。さ、そういうことで、さっさとやってしまおう、ジェロニモ」
「うむ。」
「・・・え・・」


腕を掴まれていなかった方の手で、ピュンマはポン!とジョーの肩に手を乗せた。


「いーかげん、素直になりなよ。僕達にも、フランソワーズにもさ」
「・・・」
「大変なときは、ちゃんと”大変なんだ!”って声かけてくれないと、寂しいじゃん?・・そういうのとフランソワーズも同じさ」
「!」











夕食ができました!の声がかかり、男三人で手早く風呂に入り油と汚れ、汗を流してダイニングテーブルにいた。
先に食事を始めていたギルモア博士とピュンマが挨拶を交わし近況報告を始めた、ピュンマ。
話しは地下で聞いたものと重複しているために、ジェロニモとジョーは相槌を打つのみだった。
隣の席でコロコロと愛らしく笑い声をあげるフランソワーズをチラチラと横目で観察するジョーは、考えていた。





ーーー・・好きって言っても・・・いいのかなあ。








ボクの好きなもの。
素直になんでもフランソワーズに話せるのに、一番言わなくちゃいけないかもしれないことを、彼女に言えていない。



だけど。

だけど、だけど、だけどっ。



だけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっだけどっ


ーーーこっ・・告白っ・・・なんてさあっ・・・!!!





ブンブンブンっと千切れんばかりに首を左右に振りまくった。
突然のジョーの動きに、フランソワーズが驚き躯をジョーの席とは反対方向へと避けた。
フランソワーズの躯が急によってきて、ぶつかったギルモア博士は、フランソワーズ側へと手を伸ばして持ち上げていたビールの入ったグラスを反動で投げてしまった。




そのグラスが、ひゅーっと飛んだ。
博士の前に座っていたピュンマへクリティ☆カルヒット。



「…馬に蹴られるってこういうこと?」


左のこめかみを抑えつつ。ビールのかかった服を見つめながら、隣でテーブルの上を汚したビールを拭くジェロニモに呟いた。

「「ピュンマ!!」」
「おおっすまん、すまん・・・」
「ジョーってばっ!急に変な動きをするからっ!」
「博士にぶつかったのはフランだろーっ」
「だからっジョーが変に動いて、アタシが避けてっ」
「すまん、すまん、ピュンマ・・・儂がしっかり持っていなかったからじゃ」
「いいえっ博士っ」
「そうですよっフランソワーズがボクを避けるからっ」
「だからっ好きで避けたわけじゃないわよっ急にこーんなっ動きをするんですものっ!」


ジョーを真似をしてフランソワーズが頭を思い切り、力一杯頭を左右に振ってみせた。
すると、彼女の髪に飾られていたカチューシャが遠心力が働いて。

ひゅーっと飛んで・・・。



「イテッ☆」


服を着替えようと立ち上がったピュンマの頬にヒット。


「ごめんなさいっピュンマっ!」
「なにをやって・・・」


日本にやってきたばかりだと言うのに、2度も馬に蹴られることになったピュンマ。


「だからっアタシはジョーの変な動きをしたってことをっジョーのせいよ」
「ボク?!なんでボクっ!!今のは関係ないよ」
「ジョーの真似をしたのっ」
「しなくていいことをするからだよ」
「でもっこーんな動きが変でっびっくりしたからっ博士にぶつかっちゃってっビールがバーンっとこぼれてよっ」
「・・・ピュンマ」
「はい、・・博士」
「おかえり」


キャンキャンと言い合うジョーとフランソワーズの、喧嘩しているのにもかかわらず、どこか楽しそうな声が響くリビングルーム。


「あーーーーっもう頭振らなくていいから、わかったからっ」
「・・あ、・・・少しフラフラする・・」


静かに落ち着いたギルモア博士の、優しい声。


「・・帰って来ました」


満面の笑みで答えたピュンマは、言い合うジョーとフランソワーズを見つめて思う。


「そんな力いっぱい頭を振るからだよ・・・、大丈夫?」
「・・んー・・・」
「ちょっとじっとして」
「ん、・・」
「・・・まだフラフラする?目が回ってる?」
「・・・大丈夫っぽいわ」
「っぽいじゃ駄目だよ、・・横になる?」
「そこまでじゃないわ」
「でもさ」


恋をしている、2人のやりとりに観ている方が、ハラハラドキドキ。
むず痒くて、・・ニヤつく頬をがんばって堪えるのが大変だ。


「着替えてくるね」






ダイニングルームを出たピュンマがむかったバスルーム。
脱衣所で脱いだTシャツが、ビール臭い。


「・・・ホントに素直じゃないのは、僕だよねえ」


ーーー逃げてきちゃったんだし。


毎年夏にやってくる、ヴォランティアの学生たち。
今年の学生リストの中に、去年ピュンマが指導したグループに参加していた学生の名前があった。




『来年の夏に、ぜったいにまた戻ってきます。そのときに返事をください。』


さよならの日の告白から逃げる口実ができた。


「そんな僕だらか、これくらいは仕方ないよね」


洗面台でTシャツを水でささっと洗ってから洗濯機へ。
フランソワーズからの脳波通信で、リビングルームに置きっぱなしになっているスーツケースから適当に着替えのTシャツを持ってきてもらった。







end.

恋せよ、戦士2」へ












*実は8さんが一番素直じゃない。
9(3)さんに加えて8さんまで!なので、ギルモア邸は甘酸っぱい薫りに満ちています(笑)
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