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ひざまくら/キケン人物



静かな夜だった。

調査に出た仲間が戻ってくるまでの、つかの間の休憩。
ボクらは手頃な場所を見つけて、岩場の影に身を潜めながら夜を超える。
闇に浸した姿で危険に身を晒している仲間には申し訳ないけれど、日中に囮役として前線の敵を一手に引き受けたボクは、もう箸一本持ち上げる気になれなかった。


「・・009、眠れないの?」


硬い岩を背にしたボクの傍らに寄り添う003は、できるだけボクの耳元に唇を寄せ、葉擦れの音にも負けてしまいそうな囁かな声で語りかけてきた。


「ごめん」


答えるボクの声は空気が漏れたチューブのように、ただ息を吐き出して唇の動きを見せているだけ。
音になってはいない。


「どうして、謝るの?」


無防備になるボクをサポートするために、003は一睡もできないから。
常に耳と目をオープンにさせて周りを見張る。
・・・動くことが辛い、ボクを守るために。



「キミを・・危険にさらして、る・・」


ボクの唇を読む彼女と2人、明るい月明かりに晒された岩場のくぼみがつくる、影の中。
見上げる満天の星空があまりに美しく、今ボクらが置かれている状況とのギャップがひどすぎて、こういうときは逆に美しいものが気持ちを不安にさせるものだと知った。


「・・009・・」


日中の激戦を終えたのだから、身体的限界に近い現状況において、自分の不甲斐なさを嘆いても仕方がない。
溜めた息をはいたつもりだったけれど、それは音もなく、空気を振動させる力もないほどに弱かった。


「今夜はね、アタシがアナタを、・・・守る、の」
「・・・」


静寂の中、思えば今、とてもロマンティックな状況だよな、と頭の片隅で小さく舌打ちをつく余裕があるのだから、日が昇るころには、また戦える。
いや、いまどんな方向から敵が来たとしても、・・・キミのためなら、戦える。


「・・アタシじゃ、頼りないかもしれないけれど・・今は信じて、何があってもアタシが守るわ」


さらに寄せられたフランソワーズの躯のぬくもりに、甘えるように傾いていく躯は正直だ。
ここが、ギルモア邸のどこか、ならよかったのに。


残念で、仕方がない。


「躯を休めらるだけ、・・十分」


意識して腹に力を入れた。
彼女へと傾きかけた躯が、止まる。


「・・ねえ、ジョー・・・アタシにもっと・・」
「・・」
「アナタを、守らせて・・・、アタシがアナタを・・・・」



ーーー守りたい。





フランソワーズの手がボクの肩に触れる。
加えられた力に素直に傾いた、ボクの躯を、抱きしめた。


「フラっ・・・・n」
「いつも、守ってくれているでしょう?」


抵抗する力もなく、フランソワーズの胸の中に抱きしめられて。


「・・甘えていいって、言ってくれたでしょう?・・それなら、時には、アタシだって・・」


上半身を支えることができなまま、さらに傾いていく躯に、ボクは混乱する。


「ジョーと同じように、そうしたい、ときがあるの」


柔らかいぬくもりに、頬をのせるしかない体制になってしまった、ボクは。


「さあ・・・アタシにまかせて、眠ってちょうだい・・・。時間がくるまで、アタシがアナタを、守るの」


髪を優しく撫でられて、ボクは。


「おやすみなさい、・・・」


フランソワーズのひざ枕に、ボクは。


「・・・ジョー・・・」


ジンワリと、熱い何かが閉じた瞼を押し上げてくる。
ボクは微かに頭を左右にうごかすことで、フランソワーズのひざ枕に抵抗した、つもりだった。


「・・・fr、・・・n・・・」


太ももの感触が、疲れきった躯に悪影響を与えることを、どうやって説明すればいいのだろう。
フランソワーズを見上げる勇気がなく、ぎゅっと閉じた瞼に力をいれた。





ーーー別の意味で、休まらないよ・・・フラン・・・。



情けないような、嬉しいような、苦しくて、でもドキドキして、ラッキー、なんて気持ちもあって、どこか懐かしい感触が、吸い込んだ息といっしょに鼻孔を恐恐と通りぬけていく。














ジョーがこぼす寝息がフランソワーズの耳をくすぐりはじめた。
ひざ枕の体制になった直後、カチカチに固まっていたジョーの躯が、今はゆったりとリラックスしている。

膝に抱くジョーの体温。
撫でる指に絡む栗色の、やわらかな感触。
前髪をそっとかきあげて、見下ろす彼の横顔にフランソワーズは唇の乾きを意識してしまった。
唇をきゅっと噛み締める。


「・・・ん・ぅ」


いまさら過剰に動悸を打ちはじめた心臓へ追い打ちをかけるように、ジョーが寝返りを打つ。


「・・・ジョぉ・・」


枕を抱く癖があるのだろうか。
ジョーは腕を伸ばし、フランソワーズの細いウェストにぎゅっとしがみついた。


「・・・アタシ・・、いつか・・・我慢できなくなって、ジョーを襲っちゃうかもだわ・・」


困ったようにほおっと躯にたまるばかりの熱い息を吐き出した後、ジョーが目をさますまでの間、星の数でも数えて気を紛らわす。


「・・・・・もしかして、・・今のジョーにとって、一番の危険人物って・・アタシ?」















end.








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コメント
こんばんわー。いいですねー、このシチェーション。フランちゃんの膝枕で寝息を立てるジョーなんて、93ファンの萌えどころですよね。
あー、私もジョーのさらっさらの栗色の髪をなでながら、こっそり寝顔見てみたいです。フランちゃんの「襲っちゃうかも」わかるー!!ジョー君、けがしてるんでしょうか?本当にある意味怪我を我慢するより辛かったりして。そう、一番の強敵はきっとフランソワーズです。フランちゃんの腰なんてジョーの腕が一回りしてまだあまりそう。うらやましい限りです(涙)私の場合、きっとジョーが膝から転げ落ちてしまいます。
ダイエットするきっかけになるかも??

(すごく基本的な質問なのですが拍手ボタンってどこに隠れてるんですか?)

もじもじいいですねえ。(笑)+α的なもじもじもお待ちしております。えへ♡
2012/08/07 Tue| URL | ogityarina [ edit ]
こんにちは。

お題のひざまくら、いいですよね!
色々とひざまくらの状況を考えたんですが、一番シンプルでありえそうな場所で膝枕をしていただきましたv
93ファンの萌えどころ!
たしかに、ニンマリしてしまいますよね〜。

ジョーのさらさらの髪、・・・柔らかくてほのかに同じシャンプーの香りなんてしたら、もー・・・。
襲っただけですむかどうか・・(´∀`*)ウフフ
お嬢さん、もう襲っちゃえ☆って書いていて言いたかったです(笑)
ジョーは疲れきってますが、大丈夫です。怪我はさせていません。
なので、襲ってもいいんだよー・・!です(笑)

拍手ボタンですが、お話を書いた記事の一番下、右側にピンク色の四角い(防護服をきた猫の)絵に「CLAP」という文字がありませんか?投稿した記事の日付の真上にあるのなんです。
判りづらくて申し訳ないです。

コメントをありがとうございましたv

2012/08/07 Tue| URL | ACHIKO [ edit ]
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